
こんにちは。古い実家や相続した家の売却について一緒に考える、カズです。
私は不動産の仕事を20年以上やっていますが、「築40年、50年も経っているから、先に壊さないと売れませんよね」と聞かれることがあります。
でも、古い家だからといって、最初から解体する必要はありません。中古住宅として売る、古家付き土地で売る、更地にして売る、不動産会社へ買い取ってもらうという選択肢があります。
特に相続した実家では、荷物が残っていたり、名義が親のままだったりすることも珍しくありません。それでも査定から始められるケースは多いですよ。
先にするのは解体やリフォームではなく、「今の状態なら、いくらくらいで、どんな方法で売れそうか」を確認することです。
- 築40年・50年の古い家でも売れる理由
- そのまま・古家付き土地・更地・買取の違い
- 解体する前に確認する再建築と固定資産税
- 査定額ではなく最終手取りで比べる方法
古い家の売却を先に判断するポイント
- 古い家でも売却自体は可能
- 査定前の解体・全面リフォームは急がない
- 古家付きと更地の両方で価格を確認する
- 査定額から費用を引いた手取りで決める
古い家の売却はそのまま可能
築年数が古いだけで「売れない家」と決まるわけではありません。建物の状態だけでなく、土地の立地、接道、広さ、周辺需要、買主がどう使えるかまで含めて価格が決まります。
築40年・50年でも売れる
築40年や築50年を超える一戸建てでも、売却できる可能性はあります。
建物がまだ利用できる状態なら、中古住宅として探している人が購入することがあります。建物の評価が低くても、土地に需要があれば古家付き土地として売ることも可能です。
そのため、「築50年だから建物は必ず0円」「古いから土地しか価値がない」と築年数だけで決めない方がいいかなと思います。
税務上の法定耐用年数と、不動産市場で買主が感じる利用価値は別の話です。修繕状態、立地、間取りなどによって建物を利用したい買主が現れる場合もあります。
土地の条件も価格を左右する
古い家では建物部分より土地が査定価格へ大きく影響するケースがあります。
ただし、固定資産税評価額をそのまま売却価格と考えることはできません。
駅からの距離、土地面積、形状、道路幅、接道、用途地域、周辺の成約事例などを確認して、市場で売れそうな価格を考えます。
古家付きの相場をもう少し詳しく確認したい場合は、古家付き土地の売却相場と更地との価格差で、査定価格の見方を詳しく解説しています。
旧耐震の家も売却はできる
1981年6月より前の旧耐震基準で建てられた住宅でも、売却できないわけではありません。
ただ、買主が建物を利用する場合は耐震性や修繕状態を気にすることがあります。住宅ローンや建物利用の判断にも影響することがあるため、古い建物ほど「まだ使えるのか」「土地として考えるのか」を査定時に分けて確認してください。
建物の状態を買主へ分かりやすく伝えたい場合には、建物状況調査を検討する方法もあります。ただし、すべての古い家で必ず実施しなければならないという話ではありません。
古い家を売却する4つの方法
古い家の売り方は一つではありません。価格を優先するのか、先に費用をかけたくないのか、早く手放したいのかによって選択肢が変わります。
| 売却方法 | 先行費用 | 向いているケース | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| 中古住宅として売る | 少なめ | 建物を利用できる | 建物状態の確認 |
| 古家付き土地で売る | 少なめ | 解体前に市場へ出したい | 解体費を価格交渉される場合 |
| 更地にして売る | 解体費が必要 | 土地需要が高い | 再建築・税負担を確認 |
| 不動産会社へ買取 | 条件次第 | 期間や手間を減らしたい | 仲介より価格が低い傾向 |
中古住宅としてそのまま売る
建物をまだ利用できるなら、中古住宅として売り出す方法があります。
立地を優先する人、自分でリフォームしたい人、新築より購入費用を抑えたい人などが買主候補です。
ここで売主側が全面リフォームしても、その工事費を売却価格へそのまま上乗せできるとは限りません。
買主が自分好みに直したい場合もあるので、雨漏りなど重要な問題への対応は別として、査定前から大規模リフォームを前提にしない方がいいでしょう。
古家付き土地として売る
建物を残したまま、土地を中心に評価して販売する方法です。
売主が先に解体費を負担しなくて済み、買主側には「建物を利用する」「購入後に解体する」という選択肢が残ります。
一方、建て替えを予定する買主からは、将来の解体費を考慮して価格交渉を受けることがあります。
そのため、古家付き土地の査定額だけではなく、更地を想定した価格と解体費まで比べることが大切です。
解体して更地で売る
建物の老朽化が進み、住宅として使うのが難しい場合は、更地にして土地として販売する方法があります。
買主からすると古い建物を自分で解体する必要がなく、購入後の建築計画へ進みやすくなります。
ただし、古いという理由だけで先に解体するのはおすすめしません。
解体費が必要ですし、再建築できない土地だった場合には、利用できる建物までなくしてしまうことになります。
実際の解体費については、空き家解体費用の相場と追加費用もあわせて確認してください。
不動産会社に買い取ってもらう
仲介では一般の買主を探しますが、買取では不動産会社などが直接買主になります。
古い家や残置物のある家でも、会社によっては現状で相談できます。何度も内覧へ対応したくない場合や、売却時期を決めやすくしたい場合の選択肢です。
ただし、買取会社は購入後の修繕、解体、再販売費用やリスクを見込みます。そのため、一般的には仲介で市場へ売り出す場合より価格が低くなる傾向があります。
価格を優先するなら仲介を先に検討し、期間や手間も重視するなら買取価格も比べる。最初からどちらか一方へ決める必要はありません。
ここまで売り方が分かれば、次は「今の家ならそれぞれいくらになりそうか」を確認します。解体前の状態で複数社へ見てもらえば、古家を残すか更地にするかの材料を集められます。
\ 解体前に古い家の査定額を比較 /
査定を取っても、その場で売却や解体を決める必要はありません。
一括査定サービスそのものを比べてから決めたい方は、相続不動産の一括査定サービス比較も参考にしてください。
解体前に確認したいこと
古い家の売却で後から戻せないのが解体です。少なくとも再建築、税金、家財、建物状態を確認してから工事を決めてください。
再建築できる土地か確認する
今そこに家が建っているからといって、同じ土地へ新しい家を建てられるとは限りません。
道路の種類や接道状況などが現在の建築基準を満たさず、建物を取り壊すと原則として再建築できない土地があります。
そうした家を先に壊すと、「現在の建物を修繕して使う」という選択肢までなくなります。
接道や道路の扱いが分からない場合は、解体契約より先に確認してください。不動産会社だけで判断せず、必要に応じて自治体の建築指導担当へ道路種別や再建築条件を確認します。
再建築できない可能性がある家については、再建築不可物件の売却方法と解体前の注意点で詳しく解説しています。
解体費と固定資産税を確認する
住宅の敷地には一定の要件で住宅用地に対する固定資産税の特例があります。
住宅1戸につき200㎡以下の小規模住宅用地では、固定資産税の課税標準額が価格の6分の1となります。
建物を解体して住宅用地でなくなると、この特例を受けられなくなる場合があります。ただし、家屋分の固定資産税がなくなることや負担調整もあるため、「壊したら税額が必ず6倍」と考えるのは正確ではありません。
固定資産税は物件所在地や時期によって確認事項が変わります。解体する前に所在地の市区町村へ確認してください。
家財やリフォームは先にしない
親の家を相続した場合、「荷物を全部捨ててから査定しよう」と考える方がいます。
でも、査定するだけなら家具や家財が残っていても相談できることが多いです。
先に何十万円もかけて処分したとしても、その分だけ家が高く売れるとは限りません。
空き家で家財も残っている場合は、空き家を片付け・解体せずそのまま売る方法も確認してください。
◆カズのワンポイントアドバイス
家財が残っていることを恥ずかしく感じなくても大丈夫です。私なら、売却方法が決まる前に全部処分するより、まず今の状態で査定してもらいます。何を片付けるべきかは、そのあとでも決められます。
建物の不具合は正確に伝える
古い家では、雨漏り、シロアリ、傾き、給排水設備の不具合、過去の修繕などが価格や契約条件へ影響する場合があります。
契約不適合責任の範囲を契約で決める場合でも、売主が把握している不具合を隠してよいわけではありません。
知っている不具合や修繕履歴は査定時から伝え、売買契約では責任範囲を確認することが、引渡し後のトラブルを減らす基本です。
査定と手取りで売り方を決める
古い家では、査定価格だけを比べると判断を間違えることがあります。どの状態で売る査定なのかをそろえ、売却までに出ていく費用も含めて考えてください。
査定条件をそろえて比べる
例えば、A社が「古家付き・荷物ありの現況」、B社が「売主が解体して更地渡し」で査定していたら、金額だけを比べても意味がありません。
査定を依頼するときは、次の条件をそろえて聞くと分かりやすくなります。
- 古家付きの現況ならいくらを見込むか
- 更地にした場合はいくらを見込むか
- どの周辺成約事例を参考にしたか
- 想定している売却期間はどの程度か
- 買取なら最終受取額はいくらか
一番高い査定額を出した会社が、一番高く売ってくれる会社とは限りません。
◆カズのワンポイントアドバイス
査定額が3,000万円、3,100万円、3,700万円と並んだら、3,700万円へ目が行きますよね。でも私なら、「その価格なら、どんな買主へ、どのくらいの期間で売れると考えていますか」と聞きます。数字だけでなく理由を見てください。
売却価格より手取りで比べる
更地の査定価格が古家付きより高くても、解体費や家財処分費を差し引けば手取り差がほとんど残らないことがあります。
比較するときは、次のように考えます。
| 比較項目 | 古家付き | 更地 | 買取 |
|---|---|---|---|
| 想定価格 | 現況の成約予想 | 更地の成約予想 | 買取提示額 |
| 解体費 | 原則なし | 売主負担なら必要 | 条件による |
| 家財処分 | 契約条件による | 解体前に必要な場合 | 現況相談できる場合 |
| 売却期間 | 買主次第 | 買主次第+解体期間 | 比較的決めやすい |
最終的には「いくらで売れるか」だけでなく「費用を払ったあと、いくら残るか」で比較してください。
相続した古い家は名義と取得費を確認
相続した実家の場合は、査定と一緒に登記名義を確認してください。
親名義のままでも査定相談を始めることはできますが、実際に買主へ所有権を移すには、相続関係と登記を整える必要があります。
また、兄弟など複数人が関係する場合は、一人が「売りたい」、もう一人が「残したい」となることがあります。解体のように元へ戻せないことは、家族の意思を確認してから進めた方が安全です。
もう一つ忘れたくないのが、昔の売買契約書や建築請負契約書です。
相続した土地・建物を売却するときの取得費は、原則として亡くなった方が購入したときの取得費を引き継ぎます。取得費が分からない場合などは売却価額の5%相当額を概算取得費とできる制度があります。
(出典:国税庁「相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期」)
だから、家財整理中に古い契約書、領収書、住宅ローン関係資料などが出てきたら、確認せず捨てないでください。
相続した家の売却手続き全体については、相続不動産売却の手順・税金・期限の完全ガイドで詳しく確認できます。
税金・登記・建築条件の判断は個別事情で変わります。正確な情報は国税庁、法務局、物件所在地の自治体などの公式情報をご確認ください。個別の税務・登記・法的判断は、必要に応じて税理士、司法書士、弁護士など適切な専門家へご相談ください。
売り方と費用条件まで確認したら、同じ条件で複数社の査定根拠を比べると判断しやすくなります。
\ 現況・更地の判断材料をそろえる /
価格と売り方を見てから、依頼する会社を決められます。
古い家売却で迷ったときの判断
ここまで読むと、古い家を売るときに大事なのは「築何年か」だけではなく、建物を使えるか、土地としてどう評価されるか、先にかかる費用はいくらかという点だと分かると思います。
自分に合う売り方を選ぶ
| 今の状況 | まず検討する方法 |
|---|---|
| 建物の状態が比較的よい | 中古住宅としての査定 |
| 建物価値は低いが土地需要がある | 古家付き土地と更地を比較 |
| 解体するか迷っている | 解体前の現況査定 |
| 早く手放したい | 仲介査定と買取条件を比較 |
| 再建築できるか分からない | 役所確認後に売却方法を比較 |
| 相続人の意見がまとまらない | 解体せず家族と方針確認 |
古い家の売却に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 築50年なら建物の価値は必ず0円ですか?
A. 必ず0円と決まるわけではありません。税務上の耐用年数と実際の市場での利用価値は別です。建物状態や立地によっては中古住宅として検討する買主もいます。土地としての査定と建物を利用する前提の査定を確認すると判断しやすくなります。
Q2. 旧耐震基準の古い家でも売却できますか?
A. 売却できます。ただし、建物を利用する場合は耐震性や修繕状態が買主の判断材料になります。古家付き土地として売る、更地を想定して売る、買取を比較するなど、建物状態と土地条件に合わせて売り方を検討してください。
Q3. 古い家を売る前にインスペクションは必須ですか?
A. すべての古い家で売主が必ず実施しなければならないものではありません。ただ、建物を中古住宅として売りたい場合などは、現在の建物状態を確認する方法の一つになります。費用をかける前に、不動産会社へ実施する意味があるか確認してください。
Q4. 古い家はリフォームしてから売る方がいいですか?
A. 必ずしも先にリフォームする必要はありません。工事費を売却価格で回収できるとは限らず、買主自身が好みに合わせてリフォームしたい場合もあります。まず現況査定を取り、工事後に期待できる価格との差を確認してから判断する方がいいでしょう。
古い家の売却は査定から始める
古い家の売却で最初にやることは、解体業者やリフォーム会社を探すことではありません。
まず今の状態で価格と売却方法を確認し、そのあとで必要な作業だけを選ぶ。私はこの順番が一番分かりやすいと思っています。
今日から進めるなら、次の3つで十分です。
- 登記名義と手元の不動産資料を確認する
- 建物や家財をそのままにして査定を取る
- 古家付き・更地・買取の手取りを比べる
その結果、建物を残して売る方がいいと分かれば解体費を使わずに済みます。更地の方が手取りや売りやすさで有利なら、その時点から解体を検討すればいいわけです。
あわせて確認したい記事
相続した家では、価格だけでなく、名義、相続人の意向、荷物、再建築、税金などが重なり、自分の場合だけ判断しにくくなることがあります。
売却するかまだ決めていなくても、「先に何を確認すればいいのか」という段階から相談できます。
\ 売るか壊すか決める前でも相談できます /
売却を決めていない段階でも、状況の確認から相談できます。
文章で状況を伝える方が話しやすければ、LINEから気になっていることだけ送ってください。
所在地や築年数など、分かる範囲から伝えていただければ大丈夫です。
