
こんにちは。相続した実家や空き家の売却について一緒に考える、カズです。
私は不動産の仕事を20年以上やっていますが、空き家は普通の住宅より、売る前の確認事項が多いと感じます。親名義のまま、兄弟で意見が違う、家財が大量に残っている。そんな状態でも、最初から片付けや解体へお金をかける必要はありません。
空き家売却で特に注意したいのは、名義と家族の合意、建物・土地の不具合、売却費用、税金の特例です。まず現状のまま売れる条件を確かめ、その後で片付けや解体を判断しましょう。
- 売却前に確認したい10の注意点
- 親名義・共有名義の空き家で必要な確認
- 片付け・解体・税金で失敗しない判断基準
- 査定価格ではなく手取り額で比べる方法
空き家売却の30秒判断
- 親名義・兄弟で共有:売主と同意を確認。査定相談は先にできる
- 荷物が多い・家が古い:処分・解体の契約より先に現状査定
- 相続した古い実家:購入時の資料と3,000万円控除の要件・期限を確認
- 売り方で迷う:価格・売却期間・売主負担・手取り額を横並びに比較
空き家売却で注意したい権利と契約
買主が見つかってから「実は売れる状態ではなかった」とならないように、まず所有者と契約条件を確認します。特に相続した空き家では、この段階が大切です。
相続登記が済んでいるか確認する
親から相続した空き家なら、登記事項証明書で名義を見てください。親の名義が残っていても査定相談はできますが、通常は相続人への相続登記を済ませ、買主へ所有権を移せるようにする必要があります。
2024年4月1日から相続登記は義務化され、不動産を相続で取得したことを知った日から原則3年以内に登記申請が必要です。2024年4月1日より前に取得を知っていた未登記の相続については、原則2027年3月31日が期限。正当な理由なく義務に違反すると10万円以下の過料の対象になる場合があります。
名義変更を売却直前まで放置しない
遺産分割が成立した場合には、成立から3年以内にその内容に応じた登記をする義務もあります。相続人が多い、連絡が取れない人がいるなどの事情があれば、早めに司法書士へ相談してください。
制度の内容は法務省「相続登記の申請義務化について」で確認できます。名義がまだ親のままなら、売却前の準備と登記手続きを並行して進めましょう。
兄弟など共有者の合意を確認する
私が相続不動産の相談で難しいと感じるのは、家族の意見が一致しないケースです。「早く売りたい」人と「親の家だから残したい」人がいると、価格が分かっても話は止まります。
遺産分割前なら、まず遺言書の有無と相続人を確認します。すでに共有名義なら、空き家全体の通常売却には原則として共有者全員の同意が必要です。共有者の一人が、自分の判断だけで家全体を売却することはできません。
コンサルタント @KAZU兄弟で意見が違うときは、売るか残すかを繰り返し話すより、「いくらで売れそうか」「残すなら誰が固定資産税や管理費を負担するか」を並べる方が話しやすいですよ。争いになっている場合は弁護士の力も必要です。
境界と建物の不具合を調べる
古い空き家では、土地の境界、道路への接し方、未登記の増築、住宅ローンの抵当権を確認してください。現在の建築基準法上の接道条件を満たさず、解体すると建て直せない土地もあります。
建物については、雨漏り、シロアリ、給排水管の故障、傾きなど、分かっている事実を不動産会社へ伝えましょう。知らなかった不具合でも契約内容によって責任が生じる場合があり、「古い家を現状有姿で売る」と書くだけですべて免責されるわけではありません。
| 確認すること | 契約前に聞くこと | 主な確認先 |
|---|---|---|
| 境界・越境 | 境界標、測量図、隣地との合意はあるか | 土地家屋調査士 |
| 道路・再建築 | 建替えが可能か、道路の種類は何か | 自治体の建築担当課 |
| 未登記増築・抵当権 | 登記と現況が一致するか、抹消が必要か | 司法書士など |
| 雨漏り・シロアリ | 把握している不具合をどう告知するか | 不動産会社 |
| 契約不適合責任 | 売却後の責任範囲と期間はどうなるか | 不動産会社・法律専門家 |
事故や人の死など買主の判断に関わる事実があるときは、別途告知の検討も必要です。判断に迷う場合は不動産売却の告知義務と伝える範囲を確認し、自分だけで「知らせなくていい」と決めないでください。
片付け・解体・維持費の注意点
空き家は売る前にも費用が発生します。ただし、お金をかければその分高く売れるとは限りません。私なら次の3点を、業者へ発注する前に確かめます。
家財は査定後に片付けを判断する
「荷物が山ほど残っています。全部片付けないと査定できませんよね」と聞かれることがあります。でも、査定だけなら残置物が多くても対応できる会社はあります。
仲介では原則として引渡しまでに家財を撤去しますが、買主との合意や直接買取の条件によっては残置物付きで売れる場合もあります。最初から片付け費用をかける前に、撤去する場合と残す場合の条件を聞いてください。
ただし、現金、通帳、権利証、購入当時の契約書、写真、貴金属は先に確保しましょう。家族にとって大切な品も勝手に処分しないようにしたいですね。
荷物が多い家の査定については、残置物が多い空き家を査定する際の確認事項で詳しく紹介しています。
解体してから売るとは限らない
古い家は解体した方が売りやすい場合もありますが、解体費を回収できる保証はありません。古民家やリフォーム前提の家を探す買主がいれば、建物を残した方が選択肢が広がることもあります。
反対に、建物の傷みが激しく土地としての需要がある地域では、更地での販売が向く場合もあります。だから、古家付きのまま売る場合と更地にした場合の査定を、同じ条件で比べることが先です。
解体前の比較式
古家付き売却の概算手取り=成約見込額-売主負担費用-売却時の税金など
更地売却の概算手取り=成約見込額-解体費-売主負担費用-売却時の税金など
価格だけでなく、再建築の可否、解体時期、引渡し条件、税金の特例も合わせて確認しましょう。
解体と現状売却の条件を詳しく比べたいときは、古家付き土地を解体するか、そのまま売るかの比較も参考になります。
固定資産税と管理費を忘れない
空き家は住んでいなくても固定資産税や管理の費用がかかります。住宅用地の固定資産税には、一定の要件で200平方メートルまでの小規模住宅用地の課税標準を原則6分の1とする特例があります。
建物を解体して住宅用地でなくなると、軽減が外れることがあります。固定資産税は原則毎年1月1日時点の状況を基準にするため、解体の時期を自治体に確認してください。なお、税額そのものが必ず6倍になるわけではありません。
また、長期間放置して管理不全空家等として勧告を受けた場合、住宅用地の特例から外れる可能性もあります。売却までの火災保険、庭木の手入れ、見回り費用なども含めて考えてください。
ここまで確認したら、片付けや解体の契約をする前に、現在の売却相場を確かめてみましょう。複数社に同じ物件条件を伝えると、現状のまま売る場合の査定根拠や販売方針を比べやすくなります。
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査定後に売却を決める必要はありません。地域によって紹介会社数は異なり、不動産会社から電話・メール等で連絡が入る場合があります。
空き家売却で注意する税金と期限
相続した家では、売却代金だけでなく、親の購入当時の書類と税金の特例も大切です。売買契約後では間に合わない条件がないか確認しておきましょう。
親が購入したときの取得費を調べる
不動産を売ったときの税金は、売却代金の全額にかかるものではありません。基本的な譲渡所得は売却代金-取得費-譲渡費用で計算し、適用できる特別控除があれば考慮します。
相続した不動産の取得費と取得時期は、原則として親から引き継ぎます。建物は減価償却費相当額も考慮します。相続税評価額をそのまま取得費にできるわけではありません。
購入時の費用が分からない場合、譲渡価額の5%を概算取得費として使う方法があります。たとえば売却代金が3,000万円なら150万円です。ただし実際の取得費より小さければ、税負担が増える可能性があります。
家財を処分するときは、親が残した売買契約書、領収書、建築請負契約書、ローン資料などを捨てないでください。所有期間が売却年の1月1日時点で5年を超える場合は、原則として長期譲渡所得の税率約20.315%が使われますが、実際の税額は個別条件で変わります。
空き家の3000万円控除を確認する
一定の相続空き家を売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。2024年1月1日以後の譲渡で、対象の家屋と敷地等を取得した相続人が3人以上なら、1人当たりの限度額は最高2,000万円です。
ただし、相続した空き家なら必ず使えるわけではありません。建築時期や亡くなった方の居住状況、耐震・取壊し条件などを確認します。
| 主な条件 | 確認する内容 |
|---|---|
| 建築時期 | 原則1981年5月31日以前に建築 |
| 建物・居住状況 | 区分所有建物ではなく、相続直前に原則として被相続人以外が居住していないこと |
| 売却期限 | 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで |
| 売却金額 | 原則1億円以下 |
| 建物の状態 | 耐震基準への適合・取壊し等の売却方法に応じた要件 |
| 制度の期限 | 現行制度では2027年12月31日までの一定の譲渡 |
2024年以後の一定の譲渡では、買主が売却した年の翌年2月15日までに耐震改修や取壊しを行う形でも適用できる場合があります。ただし、工事完了と証明書類などの要件を満たす必要があります。
契約前に特例の適用可否を確認
相続空き家の特別控除と相続税の取得費加算は、同じ不動産の譲渡について併用できません。税額がゼロでも特例を使うには確定申告が必要です。売却前に税理士などへ確認しましょう。
正確な条件は国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」をご確認ください。
査定価格と売却方法の注意点
最後は売却方法の選び方です。査定額の高さだけで会社を選ぶと、後で解体や片付けの負担が分かり、手取りが減る場合があります。
査定額ではなく手取り額で比べる
査定額は成約を保証する価格ではありません。比較するときは、各社に「成約見込額」「販売期間」「売主が負担する費用」「最終的な手取りの見込み」を同じ条件で書いてもらうとよいでしょう。
| 比較軸 | 不動産会社へ聞くこと |
|---|---|
| 価格 | 査定の根拠となる近隣の成約事例は何か |
| 売れるまでの期間 | いつ販売状況を見直すか |
| 売主負担 | 測量・片付け・解体・仲介手数料を誰が負担するか |
| 契約条件 | 残置物、境界、引渡日、契約不適合責任はどうなるか |
| 手取り | 売却価格から費用・税金・ローン返済等を引くとどうなるか |
1社の提示額だけで決めず、不動産会社の提案内容と根拠を比べてください。具体的な査定サービスの違いは相続不動産の一括査定サービス比較で確認できます。
仲介と買取の違いを確認する
仲介は一般の買主を探す方法で、高い売却価格を目指しやすい反面、成約時期が読めません。買取は不動産会社などが直接買うため早く進みやすい一方、価格は低くなる傾向があります。
| 比べる項目 | 仲介 | 直接買取 |
|---|---|---|
| 価格と期間 | 価格を目指しやすいが時期は不確定 | 価格は低めになりやすいが時期を決めやすい |
| 家財・解体 | 買主との条件調整が必要 | 現状のまま引き受ける会社もある |
| 仲介手数料 | 契約に応じて発生 | 直接取引なら通常不要 |
| 売却後の責任 | 契約内容で決まる | 契約内容で決まる |
「高く売りたいのか」「いつまでに売りたいのか」「片付けや管理の負担を減らしたいのか」。優先順位によって選び方は変わります。直接買取を希望する場合は、査定サイトの紹介会社が必ず買い取るわけではない点にも注意してください。
名義・費用・税金・売却方法まで確認できたら、具体的な査定結果を比較する段階です。条件が異なると手取りも変わるため、売却を任せる前に複数社の提案を確かめてください。
\ 売却を決める前に査定条件を比較 /
査定結果を確認してから依頼先を選べます。申し込む際は不動産会社からの連絡方法や対象エリアも確認しましょう。
空き家売却のよくある質問とまとめ
最後に、売却前の相談で生じやすい疑問を確認します。特に期限や売却を決めていない場合の扱いは、誤解しないようにしておきたいですね。
空き家売却のよくある質問(FAQ)
Q1. 空き家は相続から3年以内に必ず売る必要がありますか?
A. いいえ。売却自体に一律の3年期限はありません。ただし相続登記の申請期限と、相続空き家の3,000万円特別控除の売却期限は別々にあります。相続した日と名義の状態を確認してください。
Q2. 遠方に住んでいても空き家を売却できますか?
A. はい。遠方でも査定や売却準備は進められます。現地確認、鍵の管理、残置物の撤去、本人確認、契約や決済の方法を不動産会社・司法書士と事前に相談してください。
Q3. 無料査定を依頼したら必ず売却しなければいけませんか?
A. いいえ。査定を依頼しただけで、売買契約を結ぶ義務は生じません。提示された価格や売却条件、担当者の説明を比較してから、売却するかどうかを決められます。
空き家売却の注意点まとめ
空き家の売却で気をつけたいのは、売れる状態かを確かめる前に片付け・解体へお金を使うことと、税金・契約条件を確認せずに話を進めることです。
次にやることは3つだけ
- 登記事項証明書、固定資産税の通知書、親の購入時の資料を確認する
- 荷物や建物を現状のまま、複数社へ査定を依頼して価格・期間・費用を比べる
- 共有者の合意や税金の特例で迷う場合は、契約前に専門家へ確認する
売却の全工程を知りたい方は空き家売却の全手順と必要書類へ。売り出しても決まらない場合は相続した空き家が売れない原因と見直し方が参考になります。
一方、家族の意見が違う、相続登記が済んでいない、解体すべきか決められない方は、いきなり査定だけで結論を出さなくても大丈夫です。相談では何から確認するかを一緒に考えられます。
\ 売却を決める前の相談でも大丈夫 /
売却を決めていない段階でも、家族の事情や物件の状況について相談できます。
LINEなら、気になっていることを文章で伝えて相談できます。
法律や税金の正確な情報は各機関の公式サイトをご確認ください。個別の登記・紛争・税務の判断は、それぞれ司法書士・弁護士・税理士などへご相談ください。










