
こんにちは。親の家や相続した不動産の悩みを一緒に考える、カズです。
相続した実家が遠方にあって、「仕事や介護で現地へ行けない」「兄弟や親族に代わりに動いてもらえないかな」と困ることがありますよね。
先に結論を言うと、実家の売却は、売主本人に売却の意思があり、代理人へ必要な権限をきちんと与えられるなら、本人が現地へ行かずに進められる場合があります。
ただし、委任状を作れば本人が完全にノータッチでよい、という意味ではありません。
価格変更、売買契約、手付金・残代金、引渡しなど「代理人がどこまで決めてよいか」を先に決め、本人確認の方法まで不動産会社や司法書士へ確認しておくことが大切です。

- 実家売却を代理人へ任せられる条件
- 委任状で明確にしたい権限の範囲
- 本人が現地へ行けない場合の確認方法
- 査定から契約・決済までの進め方
実家売却は代理人に任せられる
本人が現地へ行けない場合でも、代理人を立てて不動産売却を進める方法があります。民法では、代理人が権限の範囲内で本人のためにした意思表示は、原則として本人に直接効力が生じます。
| 売却の場面 | 代理人対応 | 事前に決めたいこと |
|---|---|---|
| 現地確認・鍵対応 | 任せられる場合がある | 鍵の保管場所、残置物、立会い |
| 価格交渉 | 権限の範囲内で対応 | 最低価格、本人確認が必要な条件 |
| 売買契約 | 契約権限があれば対応可能 | 契約条件、手付金、解除対応 |
| 決済・引渡し | 内容により対応可能 | 代金受領、振込先、鍵の引渡し |
| 本人確認 | 本人側の対応が残る | 確認方法、連絡可能な時間 |
代理制度の基本は、e-Gov法令検索の民法で確認できます。
相続した実家は売主を先に確認
相続した実家なら、代理人を決める前に「誰が売主になるのか」を確認してください。亡くなった親本人を委任者にして、子が代理人として売ることはできません。
私が相談を受けるときも、最初に見るのは現在の登記名義、相続人、遺言書の有無、遺産分割の状況です。家族では父名義だと思っていても、登記事項証明書では祖父母など以前の名義が残っていることがあります。
売却全体の手順、税金、必要書類まで確認したい方は、親記事の相続不動産売却の完全ガイドへ戻ると全体像を確認できます。
親が存命なら売却意思が前提
親名義の実家を子が代理で売る場合も、親本人が売却や委任の内容を理解し、自分の意思で代理権を与えられることが前提です。家族だからという理由だけで、子が親の家を自由に売れるわけではありません。
本人が売却や委任の意味を理解して意思表示できない状態なら、通常の委任状だけで進めるのは避けてください。成年後見制度を利用している場合、本人の居住用不動産を処分するには家庭裁判所の許可が必要になるケースがあります。
成年後見人などによる居住用不動産の処分は、裁判所の居住用不動産処分許可の案内で最新情報を確認してください。
委任状は権限の範囲を決める
代理人を立てるときは、「売却に関する一切を任せる」と広く書けば楽に見えます。しかし、不動産は価格も契約条件も大きく動くため、何を任せ、何を本人の最終判断として残すかを分けた方がトラブルを防ぎやすいですよ。

価格変更の範囲を決める
たとえば2,000万円で売り出した実家に、買主から1,850万円なら契約したいという話が来たとします。その場で代理人が値下げを決めてよいのか、本人へ確認するのかで動き方が変わります。
「1,900万円未満は本人確認」「価格変更は毎回本人へ確認」など、判断の境界を決めておく方法があります。価格だけでなく、引渡し時期や残置物、契約不適合責任に関する条件なども同じです。
契約と代金受領を分ける
売買契約を締結する権限と、手付金や残代金を受け取る権限は別に考えた方が分かりやすいです。契約は代理人が行い、売却代金は売主本人名義の口座へ振り込む形にするなど、お金の流れも事前に確認しておきます。
さらに、契約条件の変更、契約解除、鍵の引渡し、登記関係書類の受け渡しなど、代理人が実際に行う予定の行為を洗い出してください。
◆カズのワンポイントアドバイス
私なら「全部任せるか」で考えません。現地でしかできない作業は代理人へ任せつつ、価格とお金に関する最終判断は本人に残せないかを考えます。代理人も「ここまでは決めてよい」と分かる方が動きやすいんです。
白紙に近い委任状は避ける
委任状には法律で全国一律のひな形があるわけではありません。だからこそ、ネット上のひな形をそのまま使うのではなく、対象不動産、委任者と代理人、委任する行為、作成日などを取引内容に合わせて確認することが大切です。
特に、後から内容を書き足せる空欄や、範囲が分からない表現は残さない方が安心です。実印や印鑑証明書など必要な書類も取引ごとに確認し、不動産会社と決済を担当する司法書士へ先に聞いてください。
代理人でも本人確認は残る
代理人を立てても、売主本人の確認がなくなるわけではありません。不動産売買では、所有者本人か、売却意思があるか、代理権が本当に与えられているかが重要になります。
不動産会社の本人確認がある
宅地建物取引業者は、宅地・建物の売買契約の締結やその代理・媒介など一定の取引について、犯罪収益移転防止法に基づく取引時確認の対象です。制度の内容は、国土交通省の不動産業におけるマネー・ローンダリング対策で確認できます。
本人が遠方、入院中、施設入居中、海外在住などの場合は、「本人は現地へ行けない」と査定や相談の段階で伝えてください。本人確認を電話、面談、郵送など、どの方法で行うかは一律ではなく、取引内容や担当者の確認方法によって変わります。
司法書士の確認方法も聞く
決済では、買主への所有権移転登記を司法書士へ依頼するのが一般的です。代理人売却では、契約日になってから確認方法を決めるのではなく、司法書士が売主本人へいつ・どのように本人確認や意思確認をする予定かを早めに聞いておきましょう。
日本司法書士会連合会も、不動産取引に関する本人確認への協力を案内しています。代理人だけが連絡できれば終わり、と考えず、本人と直接連絡できる手段を残しておくことが大切です。

現地へ行けない売却の進め方
本人が行けないからといって、最初に委任状だけ作る必要はありません。名義と相続関係を確認し、現地で必要な作業を洗い出してから、代理人の範囲を決める方が手戻りを減らせます。
査定前に5つ伝える
不動産会社へ相談するときは、物件所在地、現在の登記名義、本人が現地へ行けない事情、代理人候補、本人と連絡できる方法の5つを伝えてください。相続した実家なら、相続登記が済んでいるかも伝えます。
相続登記がまだの場合は、相続した家の名義変更前に売るまでの順番で、査定と登記をどこまで並行できるか確認できます。
必要書類は先に確認する
代理売却で確認されやすい書類
委任状、売主本人の本人確認書類、印鑑証明書、代理人の本人確認書類、登記識別情報通知または権利証などです。相続した実家では、相続登記や遺産分割に関する書類が別途必要になる場合もあります。
ただし、必要書類は物件の名義、契約内容、登記手続によって変わります。「これだけあれば必ず足りる」と決めず、不動産会社と司法書士の両方へ確認してください。
査定額と対応方法を比べる
代理人を使う売却では、査定額だけで不動産会社を決めない方がいいですよ。現地確認、鍵の受け渡し、契約方法、本人確認、司法書士との連携、決済まで、どこまで遠方対応できるかも比べてください。
私なら複数社へ同じ条件を伝え、「代理人売却に対応できるか」「本人確認はいつ誰が行うか」「価格変更は本人確認を挟めるか」を聞きます。査定額が高くても、何度も本人の帰省が必要なら、交通費や時間の負担まで含めると選び方が変わるかもしれません。

実家の売却を相談する会社を選ぶ前に、複数社の査定額と提案内容を比べておくと、代理売却への対応の違いも確認しやすくなります。
\ 実家の査定額と提案内容を比較 /
査定結果を見てから売却するか決められます。
帰省回数を減らす方法全体は、遠方の実家を売却する方法で詳しく解説しています。
◆カズのワンポイントアドバイス
遠方の実家では「行けないこと」より、「誰が何を決めるかが決まっていないこと」の方が売却を止めやすいと感じます。名義、代理人、価格決定、代金の受け取り、本人確認。この5点を早めに共有しておくと話が進みやすいですよ。
次にやることは3つ
本人が現地へ行けないなら、次の順番から始めてください。まだ売却を決め切っていなくても、この3つは確認できます。
- 登記事項証明書で売主となる人を確認する
- 代理人へ任せる範囲と本人が残す判断を決める
- 複数の不動産会社と司法書士へ本人確認・契約・決済方法を確認する
相続人が複数いる場合は、代理人を決める前に家族の売却方針も合わせてください。兄弟で相続しているなら、兄弟で相続した実家を売却する手順も確認しておくと、代表者だけで話を進めてしまう行き違いを防ぎやすくなります。
ここまで確認してから査定額や売却方法を比べると、「代理人を使える会社か」「自分はどこまで対応が必要か」が見えやすくなります。個別事情が複雑なら、査定前の段階で不動産会社や司法書士などへ相談しておくのも一つの方法です。
代理人へ任せる範囲や本人確認の方法は、名義・相続状況・本人の居場所などで変わるため、一般的な査定だけでは判断しにくいことがあります。売却を前提にせず、誰が何を確認し、どこまで代理人へ任せるかをKAZUと一緒に整理できます。
\ 代理人を立てる前の状況確認にも /
売却を決める前の確認事項だけでも相談できます。
短く状況を伝えたい方はLINEから相談できます。
実家売却の代理人に関するFAQ
代理人を立てる実家売却で、よく聞かれる疑問に答えます。
Q1. 家族なら委任状なしで売れますか?
A. 家族というだけで、所有者本人の不動産を自由に売ることはできません。本人の代理人として契約するなら、代理権があることを相手方へ示せるよう、実務では委任状などを準備して進めます。必要書類は不動産会社と司法書士へ確認してください。
Q2. 代理人だけで決済できますか?
A. 委任された権限の範囲で代理人が契約や決済に対応できる場合はあります。ただし、売主本人の本人確認や売却意思の確認まで省略できるとは限りません。契約前の早い段階で決済担当の司法書士へ確認方法を聞いてください。
Q3. 委任状はひな形で十分ですか?
A. ひな形は確認項目の参考にはなりますが、そのままで十分とは限りません。対象不動産、価格変更、契約締結、代金受領、引渡し、解除など、実際に任せる内容へ合わせ、空欄や曖昧な表現を残さないようにします。
Q4. 共有者を代理人にできますか?
A. 共有者の一人が、ほかの共有者から代理権を与えられて手続きを進める方法はあります。ただし、実家全体を売るなら、代理人になった人が他人の持分まで勝手に処分できるわけではありません。各共有者の売却意思と委任内容を確認してください。
Q5. 認知症の親でも委任できますか?
A. 認知症という診断名だけで一律には決まりませんが、本人が売却や委任の意味を理解して意思表示できない状態なら、通常の委任状で進めるのは適切ではありません。成年後見制度など別の手続きが関係する可能性があるため、家庭裁判所の案内や司法書士・弁護士へ確認してください。
まとめ
実家の売却は、本人が現地へ行けなくても、代理人を立てて進められる場合があります。大切なのは、委任状を作ることそのものではなく、誰が売主か、本人に売却意思があるか、代理人へ何を任せるかをはっきりさせることです。
特に、価格変更、売買契約、代金受領、引渡しは曖昧にしないでください。そのうえで、本人確認の方法と必要書類を不動産会社・司法書士へ確認し、査定額だけでなく遠方対応の方法まで比べると判断しやすくなります。
法律、登記、成年後見などは個別事情で扱いが変わります。正確な情報は法務省、裁判所、国土交通省などの公式サイトをご確認ください。最終的な判断は、司法書士・弁護士など内容に合った専門家へご相談ください。
▼あわせて読みたい記事▼
