
こんにちは。相続した土地や実家の売却について一緒に考える、カズです。
相続した土地を売るとき、「相続空き家の3,000万円特別控除が使えるのか」「3年以内なら税金が安くなるのか」が気になる方は多いです。私も不動産の仕事を20年以上していますが、この2つは相談でよく聞かれます。
相続した土地だから自動的に相続空き家の3,000万円特別控除が使えるわけではありません。ただし、親が住んでいた一定の家屋と敷地を相続したケースでは、家を取り壊して土地として売る場合でも相続空き家の3,000万円特別控除を使えることがあります。
また、相続税を納めているなら取得費加算、一定の低未利用土地なら100万円控除が候補です。大切なのは、土地の状態・相続税の有無・親の取得費・売却期限を先に確認することです。
30秒で判断
- 相続時から更地だった土地:相続空き家の3,000万円特別控除は原則対象外
- 一定の古い実家と敷地を相続:相続空き家の3,000万円特別控除を確認
- 相続税を納めている:取得費加算を確認
- 低価格の低未利用土地:100万円控除を確認
相続した土地の売却税金と特別控除を30秒判定
まず「自分はどの制度を確認すればいいか」を切り分けます。税金の細かな計算より先に対象制度を絞ると、売却前に確認すべき期限や必要書類が見えやすくなります。
土地だけでは特別控除の対象にならない
相続した土地を売れば一律で3,000万円まで非課税になる、という制度ではありません。
相続空き家の3,000万円特別控除は、亡くなった親などが住んでいた一定の「被相続人居住用家屋」と、その敷地等を相続または遺贈で取得した人が対象になる制度です。
そのため、親が亡くなった時点ですでに更地だった土地を相続しただけなら、通常は相続空き家の3,000万円特別控除の対象になりません。反対に、対象となる家屋と敷地を相続し、その家屋を取り壊してから敷地を売る場合は、他の要件を満たせば対象になり得ます。
通常のマイホームの3,000万円特別控除とは別の制度です。「親の土地を相続した」という事実だけでは判定できません。
相続した土地の税額そのものを先に計算したい方は、相続した土地の売却税金と計算方法で取得費・税率・譲渡費用まで確認できます。
相続空き家の3000万円特別控除
相続空き家の3,000万円特別控除は、一定の要件を満たすと譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。2024年1月1日以後の譲渡で、対象となる家屋と敷地を取得した相続人が3人以上いる場合は、一人当たり最高2,000万円です。
主な確認ポイントは次のとおりです。
| 確認項目 | 主な要件 |
|---|---|
| 家屋 | 原則1981年5月31日以前に建築され、区分所有建物でない |
| 居住状況 | 相続開始直前に原則として被相続人以外の居住者がいない |
| 相続後 | 一定の場合を除き、事業・賃貸・居住に使っていない |
| 売却期限 | 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで |
| 売却代金 | 合計1億円以下 |
| 制度期限 | 現行制度では2027年12月31日までの一定の譲渡 |
2024年以後の一定の譲渡では、売却時点で耐震基準を満たしていない家屋でも、買主が譲渡した年の翌年2月15日までに耐震改修または全部の取壊しを行うことで対象になり得ます。
詳しい適用条件は、国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」で確認してください。
コンサルタント @KAZU古い実家が残っている場合、税金だけを見て先に解体するのは避けたいところです。現状のまま売るのか、解体して土地で売るのかで売却条件も変わります。まず相続空き家の3,000万円特別控除の条件と現在の査定価格を確認してから順番を決める方が安全ですよ。
相続税を払ったら取得費加算
相続税を納めた人が、相続や遺贈で取得した土地を一定期間内に売却した場合、売却した財産に対応する一定額の相続税を取得費へ加算できる特例があります。
これは相続空き家の3,000万円特別控除のように、譲渡所得から一定額を直接差し引く制度ではありません。取得費を増やして譲渡所得を小さくする仕組みです。
主な条件
- 相続または遺贈で財産を取得している
- その財産を取得した人に相続税が課税されている
- 法定の期限内にその財産を譲渡している
期限は、相続開始日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までです。通常の相続税申告期限が10か月なので「おおむね3年10か月」と表現されますが、正確な期限は相続開始日から個別に確認してください。
取得費加算の詳しい要件は、国税庁「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」で確認できます。
3年、3年10か月、5年の違いが分かりにくい方は、相続不動産の3年・3年10か月・5年の期限を先に見ると把握しやすいです。
低未利用土地は100万円控除も確認
相続した土地が空き地のまま使われていないなど、一定の低未利用土地等に該当する場合は、長期譲渡所得から最高100万円を控除できる特例があります。
2026年9月30日時点では、制度の対象期間は2028年12月31日までです。都市計画区域内の一定の低未利用土地等で、売却価額が原則500万円以下、一定の区域では800万円以下であること、売却年の1月1日時点で所有期間が5年を超えること、売却後に利用されることなどが主な要件です。
相続では親など被相続人の取得時期を引き継ぐため、相続してから5年経っていなくても所有期間要件を満たすことがあります。
ただ、価格が安い土地なら自動的に100万円控除になるわけではありません。市区町村による確認書類も必要になるため、売買契約前に所在地の自治体と税務署へ確認しておくのが安心です。
相続した土地の売却税金と特別控除の確認手順
使えそうな制度が見えたら、次は「どれを使うか」だけでなく、売却後にいくら残りそうかまで見ます。特例だけ先に決めるのではなく、取得費・売却価格・売却費用を同じ紙に並べて比べるのがポイントです。
取得費と税額を先に試算する
相続した土地の譲渡所得は、基本的に次の式で考えます。
課税譲渡所得 = 売却価額 − 取得費 − 譲渡費用 − 適用できる特別控除
取得費は、原則として親など被相続人が土地を取得したときの購入代金や購入手数料などを引き継ぎます。相続税評価額や固定資産税評価額へ置き換えるわけではありません。
取得費が分からない場合などは、売却価額の5%相当額を概算取得費として使えます。ただし、実際の取得費より大幅に低くなると譲渡所得が大きくなるため、古い売買契約書、領収書、通帳、ローン資料などは先に探してみてください。
所有期間も被相続人の取得時期を引き継ぎます。一般的には、売却年の1月1日時点で5年を超える長期譲渡なら所得税・復興特別所得税・住民税を合わせて約20.315%、5年以下の短期譲渡なら約39.63%です。
特例は併用できるか確認する
特例は、条件を満たすものを全部足せばいいわけではありません。
相続空き家の3,000万円特別控除と相続税の取得費加算は、同じ不動産の譲渡について併用できません。両方の条件を満たしそうなら、取得費、相続税額、譲渡費用を入れて税額を比較します。
| 制度 | 先に確認する人 | 税金への反映 |
|---|---|---|
| 相続空き家の3,000万円特別控除 | 親の一定の家屋と敷地を相続した人 | 譲渡所得から最高3,000万円等を控除 |
| 取得費加算 | 相続税が課税された人 | 一定額の相続税を取得費へ加算 |
| 低未利用土地の100万円控除 | 一定の低価格・低利用の土地を売る人 | 長期譲渡所得から最高100万円控除 |
どれが有利かは人によって変わります。特に相続空き家の3,000万円特別控除と取得費加算の両方が候補になる場合は、売却後ではなく売買契約前に税務署や税理士へ確認してください。
査定価格と税引後の手取りを比べる
税金が分かっても、その土地がいくらで売れそうか分からなければ最終的な手取りは出せません。
土地は接道、間口、形、境界、用途地域、古家の有無などで査定額に差が出やすいです。相続税評価額や固定資産税評価額だけを見て売却価格を決めず、複数社の査定根拠と売却期間まで確認してください。
まだ売るか決め切っていなくても、査定価格が分かれば「特例を使って期限内に売った場合」と「しばらく保有した場合」を比べやすくなります。
一般的な土地の仲介売却を考えているなら、1社だけの査定額で決めず、条件に合う会社を比較する方法があります。
\ 売却前に土地の査定額の幅を確認 /
査定内容を見てから、実際に売却するか判断できます。
売却後は確定申告を確認する
相続した土地を売って譲渡所得が出た場合は、原則として売却した年分の確定申告が必要です。
また、相続空き家の3,000万円特別控除、取得費加算、低未利用土地の100万円控除など、申告を前提とする特例を使う場合は、特例によって課税所得がゼロになるケースでも確定申告や必要書類の提出が必要です。
申告時期や必要書類は、相続した土地を売却したときの確定申告と必要書類で詳しく確認できます。
相続した土地の特別控除FAQ
Q1. 親が亡くなる前に家を解体していた土地でも相続空き家の3,000万円特別控除を使えますか?
A. 相続開始時に対象となる被相続人居住用家屋が存在せず、更地だけを相続した場合は、通常は相続空き家の3,000万円特別控除の対象になりません。相続後に対象家屋を取り壊して敷地を売るケースとは分けて考えます。
Q2. 相続税を払っていなければ取得費加算は使えませんか?
A. 取得費加算は、相続または遺贈で財産を取得し、その財産を取得した人に相続税が課税されていることが要件の一つです。相続税が課税されていない人は、通常この特例の対象にはなりません。
Q3. 兄弟3人で相続した場合も3,000万円ずつ控除できますか?
A. 2024年1月1日以後の譲渡で、対象となる家屋と敷地を相続または遺贈で取得した相続人が3人以上いる場合、相続空き家の3,000万円特別控除の控除上限は一人当たり2,000万円です。共有持分や取得状況も含めて個別に確認してください。
Q4. 低未利用土地の100万円控除は相続してすぐでも使えますか?
A. 所有期間は原則として被相続人の取得時期を引き継ぐため、相続後の期間が短くても売却年の1月1日時点で5年超の要件を満たすことがあります。ただし、土地の所在地、売却価額、利用状況、売却後の利用など他の要件も必要です。
相続した土地の売却税金と特別控除まとめ
相続した土地の特別控除は、「土地を相続したから使える」と一括りにはできません。
- 相続時から更地なら相続空き家の3,000万円特別控除は原則対象外
- 一定の実家と敷地を相続したら相続空き家の3,000万円特別控除を確認
- 相続税が課税されたなら取得費加算を確認
- 低未利用土地なら100万円控除も確認
- 相続空き家の3,000万円特別控除と取得費加算は同じ不動産では併用できない
私なら、まず親の購入資料と相続税申告書を確認し、次に特例の期限を確認します。そのうえで現在の査定価格を取り、税金や売却費用を差し引いた手取りで比較します。
売却前にやることは3つです。
- 親の取得費が分かる資料を探す
- 使えそうな特例と期限を税務署・税理士へ確認する
- 土地の査定価格と売却までの期間を確認する
税制の適用可否や最終的な税額判断は、税務署または税理士へ確認してください。一方、土地をいつ査定するか、現状のまま査定してよいか、家族と何を確認してから売却へ進むかといった不動産売却の進め方は私と一緒に確認できます。
\ 売却を決める前に進め方を確認 /
売却を決めていない段階でも進め方から確認できます。
査定前に確認する資料や家族との話し方から相談できます。
なお、税率や制度要件は改正されることがあります。正確な情報は国税庁などの公式サイトをご確認ください。個別の税務判断は税理士等の専門家へご相談ください。











