こんにちは。親の家や相続した不動産の悩みを一緒に考える、カズです。
相続した実家が遠方にあり、「仕事や介護で現地へ行けない」「兄弟や親族に手続きを任せたい」と困ることがありますよね。
先に結論を言うと、実家の売却は、売主本人に売却の意思と判断能力があり、代理人へ必要な権限をきちんと委任できれば、本人が現地へ何度も行かずに進められる場合があります。ただし、委任状を渡したら本人が一切関わらなくてよいわけではありません。
価格変更、売買契約、手付金や残代金の受領、引渡しなど、代理人に任せる権限を曖昧にしないことが大切です。さらに、不動産会社や司法書士による本人確認・売却意思の確認も想定しておきましょう。

- 実家売却を代理人へ任せられる条件
- 本人が現地へ行けない場合の進め方
- 委任状で明確にしたい権限の範囲
- 不動産会社と司法書士へ確認すること
実家売却は代理人に任せられる
民法では、代理人が与えられた権限の範囲で本人のために行った意思表示は、本人に直接効力が生じるとされています。つまり、適切な代理権があれば、本人に代わって売買契約などを進めることができます。
| 確認する場面 | 考え方 |
|---|---|
| 現地査定や立会い | 代理人や不動産会社に任せられる場合がある |
| 価格交渉 | 値下げできる範囲を決めて委任する |
| 売買契約 | 契約締結権限を明確にして代理人が対応 |
| 代金受領・引渡し | 受領権限や振込先、鍵の引渡しまで確認 |
| 本人確認 | 代理人を立てても本人側の確認が残る |
代理制度の基本は、e-Gov法令検索の民法第99条でも確認できます。
実務で先に見るのは「誰が代理人になるか」より「誰が売主なのか」です。相続した実家なら現在の登記名義、遺言の有無、遺産分割の状況を確認し、売却する人を確定させてから代理の話へ進むと混乱しにくくなります。
相続した実家は売主を先に確認
親が亡くなった後の実家では、亡くなった親を委任者として代理人を立てることはできません。まず相続関係を確認し、誰が不動産を取得して売主になるのかを決める必要があります。
家族では「父の家」と思っていても、登記事項証明書を見ると祖父母など以前の名義が残っているケースもあります。私なら、代理人の委任状を作る前に、まず登記名義と相続人を確認します。

相続不動産の売却全体の順番は、相続不動産売却の完全ガイドでまとめています。このページでは、その中でも「本人が現地へ行けず代理人を使う場面」に絞って見ていきます。
親が存命なら意思確認が前提
親名義の実家を子が代理で売る場合も、親本人に売却する意思があり、委任内容を理解して判断できることが前提です。家族だからという理由だけで、子が自由に売却できるわけではありません。
民法では、法律行為をした時に意思能力がなかった場合、その法律行為は無効とされています。認知症という診断名だけで一律に決まるものではありませんが、本人が売却内容を理解して意思表示できない状態なら、通常の委任状だけで進めることは避けるべきです。
成年後見制度を利用している場合、本人の居住用不動産の売却には家庭裁判所の許可が必要になることがあります。詳しくは裁判所の居住用不動産処分許可の案内で確認してください。
委任状は権限の範囲を決める
代理人を立てるときに一番避けたいのは、「売却に関する一切の権限を任せる」とだけ書いて、本人と代理人で想定している範囲が違ってしまうことです。
実家は金額が大きく、価格だけでなく契約条件や引渡し時期でも判断が変わります。
だからこそ、委任状はひな形をそのまま使うより、不動産会社と司法書士へ予定している手続きを伝えたうえで内容を合わせる方が安心です。

価格変更の上限と下限を決める
たとえば2,000万円で売り出しても、買主から1,850万円なら購入したいと交渉されることがあります。このとき代理人がどこまで判断してよいのか、事前に決めておきます。
「最終価格は本人へ確認する」「○○万円未満には下げない」など、本人が残したい判断権限をはっきりさせる方法があります。代理人を使う目的は、本人の意思をなくすことではなく、現地対応の負担を減らすことです。
契約と代金受領を分けて考える
売買契約を締結する権限と、手付金や残代金を受領する権限は、同じように見えて役割が違います。契約は代理人に任せても、売却代金は売主本人名義の口座へ振り込む形にするなど、お金の流れを分かりやすくしておくと後の確認もしやすくなります。
そのほか、引渡し日、鍵の受け渡し、契約条件の変更、解除に関する対応など、代理人が実際に行う予定の行為を洗い出してください。空欄を残した委任状や、後から自由に内容を書き足せる状態は避けた方がよいでしょう。
コンサルタント @KAZU私なら「代理人に全部任せるか」ではなく、現地でしかできないことだけ任せ、価格とお金に関する最終判断は本人に残せるかを考えます。権限を広げすぎない方が、本人も代理人も動きやすいですよ。
代理人でも本人確認は必要
委任状があっても、本人確認がなくなるわけではありません。不動産は高額な財産なので、「本当に所有者本人か」「本当に売る意思があるか」「その代理人へ権限を与えたか」が確認されます。
宅地建物取引業者は、不動産売買など一定の取引で犯罪収益移転防止法に基づく取引時確認の対象になります。制度の概要は国土交通省の不動産業におけるマネー・ローンダリング対策で確認できます。
確認方法は先に聞いておく
本人が遠方、入院中、施設入居中などの場合、どの方法で本人確認や売却意思を確認するかは、取引内容や担当する不動産会社・司法書士によって変わります。
そのため、「代理人を立てるので本人は一切対応できません」と進めるのではなく、査定を依頼する段階で本人の居場所や連絡可能な方法を伝えておくのがおすすめです。
司法書士による不動産取引の本人確認については、日本司法書士会連合会の案内も参考になります。
本人確認の方法を自己判断で決めないでください。電話だけで足りるのか、対面や書類の確認が必要なのかは個別の取引で異なります。契約日や決済日の直前に止まらないよう、担当者へ早めに確認しましょう。
現地へ行けない売却の進め方
代理人を使う場合でも、最初から委任状を作る必要はありません。まず売主と不動産の状態を確認し、その取引で代理人が担当する範囲を決めていきます。


査定前に5つの情報を伝える
不動産会社へ相談するときは、物件所在地、現在の名義、本人が現地へ行けない事情、代理人候補、本人と連絡できる方法を伝えてください。相続した実家なら、相続登記が済んでいるかも重要です。
遠方対応に慣れた会社なら、鍵の受け渡し、現地確認、残置物、契約、決済まで、どこを代理人が担い、どこを本人が確認するかを早い段階で示してくれます。
帰省回数を減らす売却全体の進め方は、遠方の実家を売却する方法で詳しく解説しています。
査定額だけで会社を決めない
代理人を使う売却では、査定額の高さだけでなく、遠方対応や本人確認、司法書士との連携まで見て不動産会社を比べてください。
代理売却の経験が少ない会社だと、契約直前になって追加書類や本人対応が必要と分かることもあります。
私なら、査定時に「代理人契約へ対応できますか」「本人確認はどの段階で、誰が、どの方法で行いますか」「価格変更は毎回本人確認にできますか」と聞きます。これだけでも、進め方の違いが見えやすくなります。
実家の売却を相談する会社を選ぶ前に、複数社の査定額と提案内容を比べておくと、会社ごとの違いを確認しやすくなります。
\ 実家の査定額と提案内容を比較 /
査定結果を見てから売却するか決められます。
次にやることは3つ
本人が現地へ行けないからといって、実家売却そのものを諦める必要はありません。次の順番で確認すると、委任状を作る前に必要なことが見えてきます。
- 登記事項証明書で売主となる名義人を確認する
- 代理人へ任せる範囲と本人が残す判断を決める
- 不動産会社と司法書士へ本人確認・契約・決済方法を確認する
相続登記がまだなら、相続した家の名義変更をしていない場合の売却手順も先に確認しておくと進めやすいです。



遠方の実家では「行けないこと」より、「誰が何を決めるかが決まっていないこと」の方が売却を止めやすいと感じます。名義、代理人、価格決定、代金受領、本人確認。この5点を先に共有しておくと、現地へ行けない事情があっても相談しやすくなります。
代理人へ任せる範囲や本人確認の方法は、名義・相続状況・本人の居場所などで変わるため、一般的な査定だけでは判断しにくいことがあります。売却を前提にせず、誰が何を確認し、どこまで代理人へ任せるかをKAZUと一緒に整理できます。
\ 代理人を立てる前の状況確認にも /
売却を決める前の確認事項だけでも相談できます。
短く状況を伝えたい方はLINEから相談できます。
実家売却の代理人に関するFAQ
代理人を立てる実家売却で、よく聞かれる疑問をまとめます。
Q1. 家族なら委任状なしで売れますか?
A. 家族というだけで、所有者本人の不動産を自由に売却できるわけではありません。代理人として契約するなら、本人から代理権を与えられていることを確認できるようにし、不動産会社が求める委任状や本人確認書類などを準備します。
Q2. 代理人だけで決済までできますか?
A. 与えられた代理権の範囲で代理人が契約や決済に対応できる場合はあります。ただし、所有者本人の本人確認や売却意思の確認まで省略できるとは限りません。決済前に担当する司法書士へ確認方法と必要書類を確認してください。
Q3. 委任状はひな形のままで大丈夫ですか?
A. ひな形は項目を確認する参考にはなりますが、そのまま使えるとは限りません。対象不動産、売却条件、価格変更、契約締結、代金受領、引渡しなど、実際に任せる行為に合わせて内容を確認し、空欄や曖昧な表現を残さないようにします。
Q4. 共有者の一人を代理人にできますか?
A. 共有者が、別の共有者へ自分の権限を委任することは可能です。ただし、実家全体を売却するなら、他人の持分まで一人の判断で売ることはできません。共有者全員の売却意思と、それぞれの委任範囲を確認する必要があります。
Q5. 認知症の親でも子を代理人にできますか?
A. 認知症という診断名だけで一律には決まりませんが、親本人が売却や委任の意味を理解して意思表示できない状態なら、通常の委任状で解決しようとしないでください。成年後見制度など別の手続きが必要になることがあり、居住用不動産の処分では家庭裁判所の許可が必要になる場合があります。
まとめ
実家の売却は、本人が現地へ行けなくても、代理人を立てて進められる場合があります。大切なのは、委任状を作ること自体ではなく、売主本人の意思を確認し、代理人へ任せる権限を具体的に決めることです。
特に、価格変更、売買契約、代金受領、引渡しを曖昧にしないでください。相続した実家なら、その前に現在の名義と誰が売主になるのかを確認します。
そのうえで、本人確認の方法、契約・決済時の必要書類、遠方対応の可否を不動産会社や司法書士へ確認し、査定額だけではなく進め方まで比べると判断しやすくなります。
この記事は一般的な情報提供を目的としています。法律・登記・成年後見・税金の扱いは個別事情で変わるため、正確な情報は法務省、裁判所、国土交通省などの公式サイトをご確認ください。
個別の契約や登記の最終判断は、司法書士・弁護士などの専門家へご相談ください。
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