
こんにちは。相続した実家や空き家の売却について一緒に考える、カズです。
私は不動産の仕事を20年以上やっていますが、空き家の相談では「早く手放したい」という話と同じくらい、「買取だと安くなると聞いたけど、本当に頼んでいいのか」と聞かれます。
空き家買取は、売却時期を決めやすく、片付けや内見の負担を減らしやすい一方、仲介で一般の買主を探すより価格が低くなる傾向があります。そのため、最初から買取一択にするのではなく、買取価格と仲介で売った場合の査定額・費用・期間を並べて考えるのが基本です。
先に押さえたい結論
遠方で管理が難しい、建物の傷みが大きい、売却期限を決めたいなら買取を比較しやすいです。時間に余裕があり、一般の買主が見つかりやすい条件なら仲介も確認してから決めましょう。
- 空き家買取と仲介の違い
- 買取価格が決まる考え方
- 空き家買取業者を比べるポイント
- 相続空き家で売却前に確認すること
空き家の買取で最初に知ること
空き家を売る方法は、買取だけではありません。仲介で一般の買主を探す方法もあり、一定期間は仲介で売り、売れなければ不動産会社が買い取る買取保証を扱う会社もあります。まず仕組みの違いを知り、自分が価格・時間・手間のどれを優先するのか決めると選びやすくなります。
空き家買取と仲介の違い
買取は不動産会社が直接買主になり、仲介は不動産会社が一般の買主を探す方法です。同じ「不動産会社へ相談する」でも、中身はかなり違います。
| 比較項目 | 買取 | 仲介 |
|---|---|---|
| 買主 | 不動産会社 | 個人・法人など |
| 売却時期 | 条件が合えば予定を立てやすい | 買主が見つかるまで変動する |
| 価格 | 再販売費用などを見込むため低くなりやすい | 市場で買主を探すため高い価格を目指しやすい |
| 内見 | 一般客向けの内見は通常少ない | 購入希望者の内見が入る |
| 仲介手数料 | 直接買取なら通常は発生しない | 媒介して成約すれば発生する |
仲介は高い価格を目指しやすい反面、査定額で売れるとは限らず、販売期間も物件ごとに変わります。逆に買取は、不動産会社と価格・条件が合えば一般の買主を待たずに進められるのが特徴です。
ただし、古い家だから買取、駅近だから仲介と単純には決められません。築年数、接道、土地需要、建物状態、残置物、売却期限まで合わせて見ます。実家のケースで比較を深く確認したい方は、実家売却の買取と仲介を価格・期間・手間で比べた記事も参考にしてください。
空き家買取の相場はどう決まる
「買取なら市場価格の何割ですか」と聞かれることがありますが、私は一律に何割とは言わないようにしています。買取会社は、購入後の修繕、解体、残置物処分、測量、保有期間、再販売の費用やリスクを見込んで価格を出すからです。
同じ地域の空き家でも、再建築しやすい土地と接道に制約がある土地、室内状態がよい家と大規模修繕が必要な家では価格差が出ます。つまり、買取価格だけを見ても、高いか安いかは判断しにくいということです。
査定では「なぜこの価格なのか」まで確認してください。残置物、解体、測量、登記、引渡し条件など、誰が何を負担するかで最終的な手取りは変わります。
買取価格が妥当かを見るには、仲介で売った場合の査定額も一つの基準になります。相続不動産の一括査定比較では、一般的な実家・空き家を複数社で比較するときの見方をまとめています。
さらに、買取価格と比べるための「仲介で売った場合の価格帯」を知りたいなら、複数社の査定を同じ条件で比べると判断しやすくなります。
\ 買取価格と比べる売却査定を確認 /
イエウールは直接買取専門ではありません。仲介で売る場合の査定額や会社の提案を比較し、買取価格を判断する材料として確認できます。
買取が向く空き家の特徴
買取を検討しやすいのは、売却価格だけでなく時間や手間も負担になっている空き家です。たとえば、遠方にあって何度も現地へ行けない、長期間空き家で傷みが進んでいる、家財が多い、近隣への管理負担を早く終わらせたい、といったケースですね。
一方、住宅需要が高い地域にある、建物状態が比較的よい、売却を急いでいないという場合は、最初から買取だけに絞らず仲介も確認したほうがよいことがあります。
◆カズのワンポイントアドバイス
私なら、空き家を急いで売る必要がなければ「仲介ならどのくらいで売れそうか」と「直接買取ならいくらか」の両方を聞きます。差額と売却までの期間を並べると、家族にも説明しやすくなりますよ。
荷物が残っていても査定できる
相続した実家では、家具、衣類、食器、仏壇などがそのまま残っていることが珍しくありません。査定の段階なら、荷物が残った状態でも相談できる会社はあります。
先に高額な片付けを済ませても、その費用分だけ買取価格が上がるとは限りません。そのため、私は処分業者と契約する前に、現況のまま査定を取り「残したまま引き渡せる物」「売主側で処分する物」「費用負担」を確認する方法をすすめています。
残置物の扱いをもう少し詳しく確認したい方は、空き家は残置物が多くても査定できるかを解説した記事をご覧ください。
空き家買取の流れを確認
一般的な買取は、相談、物件確認、査定、条件確認、売買契約、決済・引渡しという順で進みます。ただし、相続登記、境界、抵当権、未登記建物などがあると、途中で追加の確認が必要になることがあります。
- 所在地や建物状況を伝えて査定を依頼する
- 現地確認を受け、買取価格と条件を確認する
- 残置物・測量・解体などの負担を確認する
- 売買契約書の内容を確認して契約する
- 残代金の受領と所有権移転、引渡しを行う
「早く売れる」という言葉だけで契約日を決めず、いつ代金が入るのか、何を引渡しまでに終える必要があるのかまで日付で確認してください。
空き家の買取で失敗を避ける方法
買取で後悔しやすいのは、提示額だけを見て契約を急いだときです。相続空き家なら所有者名義や家族の意向、税金の特例まで関係します。ここからは、査定後に何を比べるかを見ていきます。
空き家買取業者の選び方
空き家の買取会社を選ぶときは、広告の大きさよりも、対象地域と物件種別の取扱経験、そして査定理由を見ます。古い戸建て、再建築に制約がある土地、残置物が多い家など、会社によって得意分野が違うためです。
比較するときは、買取価格だけでなく、契約日と決済日、残置物の扱い、測量や解体の負担、契約不適合責任の取り決め、追加費用の有無まで横に並べてください。最初の提示額が高い会社が、最終的な手取りでも一番高いとは限りません。
「今日契約すればこの金額」「他社に聞くと条件が下がる」など、比較する時間を与えない説明には注意してください。売買契約は金額が大きいため、分からない条項があればその場で決めず、内容を確認してから判断しましょう。
相続空き家は名義を先に確認
親の家を相続した空き家では、まず登記名義を確認してください。亡くなった親の名義のままでも査定相談はできますが、実際に売却して買主へ所有権を移すには、相続関係と登記を整える必要があります。
2024年4月1日から相続登記は義務化され、相続で不動産を取得したことを知った日から原則3年以内に申請が必要です。正当な理由なく義務に違反した場合は、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。制度の詳細は法務省「相続登記の申請義務化」で確認してください。
また、兄弟など複数人で共有している空き家全体を通常の売買で処分するなら、共有者全員の意思確認が必要です。誰か一人の判断だけで建物と土地全体を売ることはできません。
◆カズのワンポイントアドバイス
相続の相談では、一人は売りたいのに、もう一人は親の家を残したいということがよくあります。査定を取ることと売却を決めることは別なので、まず価格と条件を見てから家族で話す進め方でも大丈夫ですよ。
税金と特例は契約前に確認
相続した空き家は、売れた金額がそのまま利益になるわけではありません。売却時の譲渡所得は、基本的に売却代金から取得費や譲渡費用、利用できる特別控除などを差し引いて計算します。
ここで大事なのが、相続したときの評価額ではなく、原則として亡くなった方の取得価額や取得時期を引き継ぐことです。親が昔いくらで買ったのか分からない場合は、古い売買契約書、領収書、住宅ローン関係の資料などを片付け前に探してください。
一定の要件を満たす相続空き家には、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。2024年1月1日以後の譲渡で、対象財産を取得した相続人が3人以上の場合は一人あたり最高2,000万円です。建築時期、相続直前の利用状況、売却期限、譲渡価額など複数の要件があるため、国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」で最新条件を確認してください。
税金の特例は、売却後では条件を調整できないことがあります。相続税を納めている、取得費が分からない、大きな売却益が出そう、古い実家を売るといった場合は、売買契約前に税理士や税務署へ確認するのが安全です。
契約条件は価格と一緒に見る
買取では「仲介手数料がかからない」「現況のまま売れる」と説明されることがありますが、すべての取引で同じ条件になるわけではありません。
直接買取なら通常はその買取会社への仲介手数料は発生しません。一方、別の会社が媒介に入る取引では手数料が発生する場合があります。また、契約不適合責任、残置物、境界、測量、解体、登記費用などを誰が負担するかは契約内容によって変わります。
そのため、最終比較は「買取価格」ではなく、受取額から自分が負担する費用を引いた手取りと、引渡しまでに必要な作業で行ってください。
空き家買取に関するよくある質問
Q1. 空き家買取なら仲介手数料はかかりませんか?
A. 買取会社と売主が直接売買するなら、通常はその会社への仲介手数料は発生しません。ただし別の不動産会社が媒介に入る取引では手数料が発生する場合があります。誰が買主で、誰が仲介するのかを契約前に確認してください。
Q2. 買取なら契約不適合責任は負わなくてよいですか?
A. 買取だから自動的に売主の責任がなくなるわけではありません。責任範囲を限定した契約を提示する会社もありますが、物件と契約内容によって扱いは変わります。雨漏り、シロアリ、越境など把握している事実は正確に伝え、契約条項を確認しましょう。
Q3. 空き家は解体してから買取査定を頼むべきですか?
A. 先に解体する必要はありません。古家付きのまま買い取る会社もあり、解体費をかけてもその分だけ手取りが増えるとは限りません。現況の買取価格と、解体した場合の見込みを比較してから決めてください。
Q4. 共有名義の空き家を一人で売れますか?
A. 自分の共有持分だけを処分する話と、空き家全体を売却する話は別です。共有物件全体を通常の売買で売却するには、原則として共有者全員の意思調整が必要です。相続人間で意見が分かれている場合は、契約前に司法書士や弁護士などへ相談してください。
空き家の買取で後悔しないために
空き家買取は、早く手放したい人や、管理・片付けの負担を減らしたい人にとって有力な選択肢です。ただし、仲介より価格が低くなる傾向があるため、最初から1社の提示だけで決める必要はありません。
私なら、まず名義と家族の方針を確認し、荷物が残っていても現況で査定を取ります。そのうえで、仲介の想定価格と買取価格、売却までの期間、売主負担、最終的な手取りを同じ表にして比べます。
次にやることは3つです。
- 登記名義と相続人・共有者を確認する
- 現況のまま買取価格と仲介査定を確認する
- 手取り・売却時期・自分の負担で最終判断する
相続登記、兄弟姉妹の意見、残置物、税金などが重なると、どこから手を付けるか分かりにくくなります。そういう場合は、売却を決める前に状況を一度確認して、優先順位を決めたほうが進めやすいです。
\ 売るか迷う段階から相談できます /
売却を決めていなくても、確認する順番から相談できます。
短く状況を伝えたい方はLINEからでも大丈夫です。
なお、税制や登記、売買契約の扱いは個別事情で変わります。正確な情報は国税庁・法務省などの公式サイトをご確認ください。税金は税理士、相続登記は司法書士、相続人間の争いは弁護士など、最終的な判断は内容に応じた専門家へご相談ください。
