
共同名義のマンションを売却して譲渡益が出た場合は、代表者がまとめて申告するのではなく、共有者が自分の持分についてそれぞれ確定申告します。
3,000万円の特別控除も共有者ごとに判定されます。売却代金、取得費、譲渡費用、特例を同じ基準で整理し、全員分の合計が物件全体の金額と一致するか確認することが重要です。
- 譲渡益が出た共有者は、自分の持分について個別に申告する
- 売却代金は持分、取得費は取得経緯、譲渡費用は最終負担額で整理する
- 3,000万円控除は共有者ごとに居住実態などの要件を確認する
- 取得費不明、相続、費用負担のずれがある場合は税理士確認が安全
共同名義マンションの確定申告は共有者ごとに行う
マンション全体の税額を計算して代表者が申告する方法ではありません。共有者ごとに譲渡所得を計算し、売却した年の翌年に各自が申告します。申告期間は、原則として売却した年の翌年2月16日から3月15日までです。
譲渡益が出た人は原則として申告が必要
譲渡所得は、共有者ごとに次の式で計算します。
持分に応じた売却代金-(その持分の取得費+その共有者が負担した譲渡費用)-適用できる特別控除
計算結果がプラスなら、原則として確定申告が必要です。3,000万円控除などを使って税額がゼロになる場合も、特例を適用するために申告します。
譲渡損失が出て、損失の特例も使わない場合は、売却だけを理由とする申告は通常必要ありません。ただし、ほかの土地・建物の譲渡益との通算や、一定のマイホームの譲渡損失特例を使う場合は申告が必要です。
申告の基本は国税庁の不動産売却の確定申告案内で確認できます。
コンサルタント @KAZU同じマンションを売っても、持分の取得時期や取得費が違えば、一人は利益、ほかの人は損失になることがあります。全員を一括判断しないことが大切です。
売却代金・取得費・譲渡費用を同じ表で整理する
登記上の持分が2分の1ずつなら、売却代金も原則として2分の1ずつ計上します。取得費は各共有者がその持分を取得した経緯に沿って確認し、建物部分は減価償却費相当額を差し引きます。
売却時の仲介手数料などは、各共有者が最終的に負担した額を整理します。一人が立て替えた場合は、誰がいくら負担したのか分かる精算記録を残してください。
- 売却代金の入金先、各共有者への分配額、精算日
- 購入時の代金、仲介手数料、改良費、建物の減価償却
- 売却時の仲介手数料、印紙代など、売却に直接要した費用
- 共有者ごとの売却代金・取得費・譲渡費用・特別控除・譲渡所得
買主から受け取った固定資産税・都市計画税の精算金は、譲渡価額に含めて整理します。一方、売主が負担した固定資産税、管理費、修繕積立金、住宅ローン返済額は、支払額がそのまま譲渡費用になるわけではありません。
代表者の口座へ全額を入金し、持分と異なる割合で分ける場合は、贈与税の問題が生じないかも含めて確認が必要です。
共有者間の合意やマンション全体の売却が進まない場合は、共有名義の不動産売却 困難な理由と解決策で先に整理できます。
3,000万円控除は共有者一人ひとりを判定する
共有のマイホームを売った場合、特別控除額は全員で合計3,000万円ではありません。要件を満たす共有者一人につき、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できます。
ただし、共同名義なら全員が自動的に使えるわけではありません。各共有者について、そのマンションを実際に自宅として使っていたか、売却先が配偶者や一定の親族など特別な関係者でないかを確認します。
共有者ごとの取扱いは国税庁「共有のマイホームを売ったとき」で確認できます。
相続した区分所有マンションに相続人自身が住んでいなかった場合、相続人のマイホームに対する3,000万円控除は通常使えません。また、被相続人の空き家に対する別の特例は、区分所有建物登記がされたマンションを対象外としています。
一方、相続や遺贈で取得し、相続税が課税された共有者は、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却すると、相続税の一部を取得費へ加算できる可能性があります。
計算や必要書類は相続財産を譲渡した場合の取得費の特例で確認してください。
必要書類と申告前の確認手順
申告書を別々に作る前に、物件全体の売却代金と費用を一つの一覧へまとめ、その後で各共有者へ分けます。全員分の合計が売買契約書や領収書の金額と一致するか確認しましょう。
共有者全員で資料を集めてから各自の申告書を作る
次の資料には、税務署への提出書類だけでなく、計算や特例判定に使う確認資料も含みます。
- 登記事項証明書などで共有者と持分割合を確認する
- 売却時の売買契約書、精算書、仲介手数料などの領収書をそろえる
- 購入時の契約書、領収書、リフォーム資料、住宅ローン資料を探す
- 共有者別の売却代金、取得費、譲渡費用、特例を同じ一覧で整理する
- 各自が確定申告書、申告書第三表、譲渡所得の内訳書と、特例に必要な添付書類を準備する
相続したマンションの取得費は、原則として亡くなった方の購入代金などを引き継ぎます。
資料が見つからない場合は売却代金の5%を概算取得費にできますが、実額より低くなり税負担が増えることがあるため、通帳や分譲時の価格資料も探してください。
売却するか、共有を解消するか、家族への説明から整理したい場合は、全体像をまとめた相続不動産・空き家・売却相談も参考にしてください。
取得費が不明、共有者ごとに居住状況が違う、相続税の取得費加算を検討する、費用負担と持分が一致しない場合は、申告書を完成させる前に税理士へ確認すると安全です。
相談時は、共有者ごとの取得費の根拠、使える特例、売却代金と費用の分け方、依頼報酬と業務範囲を同じ条件で確認すると比較しやすくなります。
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