
こんにちは。親の家や相続した不動産の悩みを一緒に考える、カズです。
相続した実家を使う予定がないと、「すぐ売った方がいいのか」「少し待てば高く売れるのか」と迷いますよね。思い出のある家なら、なおさら急いで決めたくない気持ちもあると思います。
先に結論を言うと、使う予定がない家は、売却を即決するよりも、今の査定額と半年・1年持った場合の費用を早めに比べることが大切です。
待つ理由が「なんとなく値上がりしそう」だけなら、固定資産税や管理費、修繕、建物の劣化まで含めて考えた方が判断しやすくなります。
一方で、相続税の特例によっては申告期限までの保有が条件になる場合もあります。つまり「相続したら早く売れば正解」でも「3年待てば得」でもありません。この記事では、すぐ売る場合と待つ場合を比べながら、あなたの実家をいつ売るか決める順番を分かりやすく解説します。

- 相続した家をすぐ売る場合と待つ場合の違い
- 売却時期に関係する税制上の期限
- 査定額と保有コストを比べる方法
- 売る時期を決めるために今すること
相続した家はいつ売るべき?
売却時期に、すべての家庭へ共通する正解はありません。私なら、家を使う予定、税制上の期限、年間の維持費、建物の状態、現在の相場を同じテーブルに載せて考えます。
| 比べる項目 | すぐ売る場合 | 待つ場合 |
|---|---|---|
| 維持費 | 負担を早めに止めやすい | 固定資産税や管理費などが続く |
| 建物 | 現在の状態で売却を検討できる | 雨漏りや設備劣化が進むことがある |
| 税制 | 期限のある特例に間に合いやすい | 特例によっては待つ方がよい場合もある |
| 家族利用 | 売却後は使えない | 住む・貸すなどを検討できる |
| 相場 | 現在の価格で判断できる | 上がることも下がることもある |
使う予定がなければ早めに比較する
誰も住む予定がなく、賃貸などの活用案もない家なら、売却するかどうかは別として、現在の価格を早めに確認しておくといいですよ。査定を受けたからといって、その会社へ売却を任せる必要はありません。
私が相続不動産の相談を受けるときは、いきなり「いくらで売れますか」だけを見ません。まず登記名義、相続人、遺言書、遺産分割、住宅ローンや抵当権を確認し、そのあとで物件の状態とお金を見ていきます。
◆カズのワンポイントアドバイス
売るか残すか決まっていなくても、登記事項証明書で現在の名義を見ておくと話が進みやすくなります。家族では親名義だと思っていても、以前の世代の名義が残っていることがあるからです。
待つなら待つ理由を決める
待つ選択が合うのは、「来年から家族が住む」「相続税の特例で申告期限までの保有要件を確認している」など、待つ理由が具体的な場合です。相場が上がることだけを期待して保有するなら、その間の費用や建物状態も一緒に見てください。
特に空き家は、人が住んでいない間も庭木、換気、漏水、台風後の確認などが必要です。遠方の実家なら交通費や管理を頼む費用も出るので、売却価格だけではなく「持っている間に出ていくお金」も見逃せません。

すぐ売る場合と待つ場合を比較
売る時期を決めるときは、「高く売れそうか」だけで比べないのがポイントです。相続不動産では、売却価格から費用を差し引いた手元に残る金額と、待つ間に増える負担を見ると違いが分かりやすくなります。
すぐ売るメリット
使わない家を早めに売れば、固定資産税や管理費、火災保険、修繕などの負担を早く終えやすくなります。建物の傷みが進む前に市場へ出せる点もメリットです。
また、相続空き家の3,000万円特別控除や相続税の取得費加算には期限があります。対象になる可能性があるなら、期限ぎりぎりから動くのではなく、売却に必要な準備期間も考えて早めに確認した方が安心です。
すぐ売る注意点
ただし、相続直後に売れば必ず税金が安くなるわけではありません。例えば小規模宅地等の特例は、取得した人の区分によって相続税の申告期限まで宅地を保有することなどが条件になる場合があります。
さらに相続人が複数いる場合、売却方針が決まっていないまま買主を探しても途中で止まりやすいです。価格を比較する前に「誰が取得するのか」「売却代金をどう扱うのか」を家族で確認しておきましょう。
相続税申告前の売却については、相続税申告前に不動産を売却するときの手順と注意点で詳しく解説しています。
待つメリットと注意点
家族が住む可能性がある、近い時期に利用方法を決める予定があるなど、保有する目的があるなら待つ選択もあります。また、税制上の保有要件を満たすため、一定期間売らない方がよいケースもあります。
一方で、将来の相場は確実には読めません。半年後に価格が上がっても、その間に管理費や修繕費が増えれば、結果として手元に残る金額が増えないこともあります。「待てば高く売れるか」ではなく、「待つことで手残りが増える見込みがあるか」で考えてみてください。
売却時期に関係する期限
相続不動産には「3年」という言葉がいくつも出てきますが、それぞれ別の制度です。ここを混ぜてしまうと売却時期を決めにくくなるので、今回のテーマに関係するものだけ確認します。
相続登記は売却期限ではない
法務省の案内では、2024年4月1日から相続登記は義務化され、相続で不動産を取得したことを知った日から原則3年以内に申請が必要です。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になる可能性があります。
ただし、この3年は「3年以内に家を売らなければならない」という意味ではありません。相続登記が終わる前でも査定はできますが、買主への所有権移転までには売主となる相続人の名義関係を整える必要があります。詳しくは相続した家の名義変更と売却までの順番を確認してください。
空き家特例は年末期限に注意
国税庁が案内する相続空き家の特例では、一定の要件を満たすと譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。なお、2024年1月1日以後の譲渡で対象となる家屋や敷地等を取得した相続人が3人以上の場合は、1人当たりの控除上限が2,000万円となります。原則として相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することなどが条件です。
2026年8月時点では、この制度の適用期間は2027年12月31日までです。1981年5月31日以前の建築、区分所有建物ではないこと、売却価額など条件が細かいため、「親が住んでいた家だから使える」と決めつけないでください。
取得費加算にも期限がある
国税庁が案内する取得費加算の特例では、相続税を負担した人が一定期間内に相続財産を売ると、相続税額の一部を取得費へ加算できる場合があります。期限は、相続開始日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までです。
一般に「相続からおおむね3年10か月」と説明されますが、正確な期限は相続税の申告期限を基準に確認します。空き家特例とは適用関係の調整もあるため、両方の名前を見つけたからといって単純に二重で使えるわけではありません。
「3年」「3年10か月」「5年」の違いは、相続不動産をいつまでに売るか期限別に解説した記事でまとめています。
税制だけで売却日を決めないでください。小規模宅地等の特例や空き家特例、取得費加算は、相続人の状況や物件の使われ方などで結果が変わります。正確な情報は国税庁などの公式サイトをご確認ください。個別の税額や適用可否は税理士、登記や権利関係は司法書士・弁護士など、内容に合う専門家へ最終確認することをおすすめします。
売る時期は手残りで考える
私が実務で大切だと思うのは、査定額そのものより「売ったあと、いくら残るか」です。そこへ待つ期間の費用を加えると、今売る場合と待つ場合を現実的に比べられます。

半年と1年の保有費を出す
まず、固定資産税、マンションなら管理費・修繕積立金、火災保険、庭や建物の管理、必要な修繕などを確認します。次に半年保有した場合と1年保有した場合で、どのくらい支出が増えるかを計算します。
例えば、待つことで売却価格が少し上がる予想でも、その増加分より保有費や修繕費の方が大きければ、待つメリットは小さくなります。反対に、具体的な利用予定があり、費用を負担しても残したいなら、その選択には理由があります。
査定額ではなく根拠を見る
複数社へ査定を頼むと、金額に差が出ることがあります。そこで一番高い査定額だけを選ぶのではなく、近隣の成約事例、土地の形、接道、築年数、建物状態など、金額の理由を説明できるかを見てください。
査定額は、その価格で必ず売れるという保証ではありません。私なら「この価格で売れなかったら、いつ見直すのか」「仲介と買取のどちらが現実的か」まで聞いて、売却期限とのバランスを考えます。
◆カズのワンポイントアドバイス
相続した家は「2,000万円で売れそう」で終わらせず、仲介手数料、登記費用、測量、解体、残置物処分、税金、ローン残債などを差し引いた金額を見てください。売値より手残りを見ると、家族でも話し合いやすくなります。
売却を決める前にすること
売る時期に迷っている段階でも、できる準備はあります。むしろ、売却を決めてから名義や書類を調べ始めるより、先に確認しておく方が選択肢を残しやすいですよ。
- 名義・相続人・家族の利用予定を確認する
- 現在の査定額と半年・1年の保有費を比べる
- 税制上の期限と売却準備期間を確認して時期を決める
親が購入したときの売買契約書や領収書が残っていれば、古くても捨てないでください。売却時の取得費を確認する資料になることがあります。住宅ローンや抵当権が残っている場合は、残債も同時に確認します。
相続不動産の売却手順、税金、必要書類まで全体を確認したい方は、相続不動産売却の完全ガイドへ戻ると流れをつかみやすいです。
ここまで確認して「売る方向で考えよう」となったら、次は現在の査定額と売却条件を複数社で比べる段階です。まだ家族の考えがまとまらない、税金や名義が複雑という場合は、査定だけを先行させず、先に個別事情を確認した方が進めやすいでしょう。
今売る場合の価格を複数社で確認しておくと、半年・1年待つ場合の保有コストと比べて判断しやすくなります。
\ 今の査定額を複数社で比較 /
査定結果を見てから売る時期を考えられます。
相続した家の売却時期に関するFAQ
最後に、相続した家をいつ売るか考えるときによく出る疑問へ、短く答えます。
Q1. 相続した家はすぐ売った方がいい?
A. 使う予定がなく、維持費や管理負担が続くなら早めの売却が合う場合があります。ただし、小規模宅地等の特例など、申告期限までの保有が要件になるケースもあるため、相続直後に一律で売るのが正解ではありません。
Q2. 相続した家は3年以内に売らないとダメ?
A. 家そのものに一律の3年売却期限があるわけではありません。相続登記、相続空き家の特例、取得費加算などに別々の期限があるため、自分に関係する制度を確認します。
Q3. 相続してすぐ売ると短期譲渡になる?
A. 相続した土地・建物の取得時期は、原則として被相続人の取得時期を引き継ぎます。そのため、相続してすぐ売ったという理由だけで短期譲渡になるわけではありません。実際の判定は売却年の1月1日時点の所有期間などで行います。
Q4. 相続税申告前でも実家を売れる?
A. 相続人や不動産の取得者が決まり、売主として必要な名義を整えれば、相続税の申告前でも売却できる場合があります。ただし、利用予定の税制や遺産分割への影響を先に確認してください。
Q5. 売るか迷っていても査定していい?
A. はい。売却を決めていなくても、現在の相場を知るために査定を受けることはできます。大切なのは最高額だけで決めず、査定根拠と売却にかかる費用、半年・1年保有した場合の費用まで比べることです。
相続した実家は、家族の利用予定、登記名義、税制上の期限などが重なるため、査定額だけでは売る時期を決めにくい場合があります。
KAZUへの相談では、売却を前提にせず、今確認することと売る時期を決める順番を一緒に確認できます。

\ 売る時期を決める前の状況確認に /
売却するか決まっていない段階でも相談できます。
短く状況を伝えたい方はLINEから相談できます。
相続した家を売る時期のまとめ
相続した家を売るタイミングは、「相続から何年たったか」だけでは決まりません。使う予定があるか、税制上の期限はいつか、持ち続ける費用はいくらか、今いくらで売れそうかを並べて考えることが大切です。
使う予定がないなら、売却を急いで決める必要はありません。ただ、価格と保有コストの確認まで先延ばしにする必要もありません。まず名義と家族の方針を確認し、次に現在の査定額と半年・1年の費用を比べ、そのうえで税制上の期限を見て売却時期を決めてください。
あなたの実家にとって「待つ理由」が具体的にありますか。そこがはっきりしないなら、今の価格と持ち続ける費用を数字で確認するところから始めると、次の一歩が見えやすくなると思います。
▼あわせて読みたい記事▼
