
ご実家の相続、特に不動産の分け方って、考えただけで頭が痛くなりませんか?「うちは相続で揉める家族じゃないから大丈夫」なんて思っていても、いざとなると意外なところでつまづくのが不動産相続の難しいところなんです。
遺産分割で不動産の評価方法が違ったり、分けられるほどの現金がなかったり…。「親の遺産が4000万円くらいだと相続税はどうなるの?」といったお金の心配も尽きないですよね。
相続した土地の分け方や、そもそも分割できない土地をどうすればいいのか、悩ましい問題は山積みです。
遺産分割で不動産を分けるための代償分割という方法や、分割相続、分割登記、そして相続土地の分割登記といった手続き、さらには超重要な不動産の遺産分割協議書の作成まで、土地と建物を別々に相続するケースも含めて、知っておくべきポイントは本当に多いものです。
この記事で、そんなモヤモヤをスッキリ解決していきましょう!
- 不動産を公平に分ける4つの分割方法
- 相続トラブルを避けるための具体的な5ステップ
- ケース別のよくあるお悩みと実践的な解決策
- 相続手続きをスムーズに進めるための専門家の選び方

こんにちは、カズです!相続って、なんだか大事(おおごと)に感じますよね。でも、実はご家族が元気なうちから「もしもの時、この家どうしようか?」なんて、気軽に話せる雰囲気を作っておくことが一番の円満相続の秘訣だったりするんですよ。この記事を、ご家族と話すきっかけにしてみてくださいね。
不動産相続の分割方法とは?基本の4つを解説


不動産という分けにくい財産を、相続人の皆さんでどう分けるか。その方法には、大きく分けて4つの種類があります。それぞれのメリットやデメリットを知っておくことが、円満な遺産分割への第一歩になります。ご自身の状況に一番合うのはどの方法か、じっくり考えてみましょう。
分割方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
現物分割 | 手続きが比較的シンプル 不動産をそのまま残せる | 公平に分けるのが難しい 土地の形状などで価値に差が出やすい |
換価分割 | 数字で明確に分けられ公平 納税資金を確保しやすい | 思い出の家や土地がなくなる 売却に時間や費用がかかる 譲渡所得税がかかる場合がある |
代償分割 | 家業や居住地を守れる 不動産の価値を損なわない | 不動産を取得する人に多額の資金力が必要 不動産の評価額で揉めやすい |
共有分割 | 手続きが簡単で、一見公平に見える | 将来の売却や活用に全員の同意が必要 権利関係が複雑化し、次の相続で揉める原因になる |
①現物分割:不動産をそのままの形で分ける
現物分割は、相続財産をそのものの形で分ける方法です。例えば、「土地は長男、預貯金は次男」というように、財産を物理的に分割します。土地が広ければ、「分筆」といって一つの土地を複数に分けて、それぞれを各相続人が取得する方法も考えられますね。
この方法の利点は、先祖代々の土地などを売却せずにそのまま引き継げることです。しかし、それぞれの財産の価値がぴったり法定相続分通りになることは稀で、誰かが多くもらったり少なくなったりと、不公平感が生まれやすいのが難点です。
分筆するにも、土地の形や道路への接し方で価値が大きく変わってしまうため、注意が必要になります。
現物分割のポイント
複数の不動産や、不動産以外にも預貯金などの財産が豊富にある場合に検討しやすい方法です。相続人全員が分割内容に納得できるかが鍵となります。
②換価分割:売却して現金で公平に分ける


換価分割は、相続した不動産を売却して現金化し、そのお金を相続人間で分ける方法です。「1円単位」で分けられるので、最も公平で分かりやすい分割方法と言えるでしょう。誰もその不動産に住む予定がない場合や、相続税の納税資金を準備したい場合に適しています。
一方で、大切な実家や土地を手放すことになるため、寂しさを感じる方もいらっしゃるかもしれません。また、不動産の売却には時間がかかりますし、不動産会社への仲介手数料などの費用も発生します。
売却によって利益(譲渡所得)が出た場合は、相続税とは別に譲渡所得税がかかる点も忘れてはならないポイントです。(出典:国税庁「譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」)
③代償分割:一人が相続し、他の相続人には代償金を支払う
代償分割は、相続人のうちの一人が不動産をすべて相続する代わりに、他の相続人に対してその人の相続分に相当するお金(代償金)を支払う方法です。例えば、長男がご両親と同居していた実家をそのまま相続して住み続けたい、といった場合に有効な手段となります。
この方法なら、不動産を売却せずに済み、その価値を維持できるのが大きなメリットです。しかし、最大の課題は不動産を相続する人に、他の相続人へ支払うための十分な資力が必要なこと。
代償金は高額になりがちなので、預貯金が足りなければローンを組むなどの対策を考えなければなりません。また、代償金の元になる不動産の評価額をいくらにするかで、意見が分かれやすいという側面もあります。
➃共有分割:複数人で共同所有する(ただし注意が必要!)


共有分割は、一つの不動産を複数の相続人の共有名義にする方法です。例えば、兄弟2人で相続する場合、持分2分の1ずつで登記します。手続きが簡単なので安易に選ばれがちですが、実は将来のトラブルの種になりやすい、最も注意が必要な方法です。
共有名義の大きなデメリット
共有名義の不動産は、売却したくても共有者全員の同意がなければ売れません。ちょっとしたリフォームでさえ、持分の過半数の同意が必要です。
さらに、共有者の一人が亡くなると、その人の相続人が新たな共有者となり、ネズミ算式に権利関係が複雑化してしまう恐れがあります。問題を先送りにするだけになってしまうことが多いため、基本的にはおすすめできない方法です。
とりあえず共有にしておく、という選択は避け、できる限り今回の相続で誰が取得するのかをはっきりと決めるのが賢明です。どうしてもという事情がない限り、他の3つの方法を検討しましょう。
不動産相続で揉めないためのステップと注意点


【終活・相続の専門家カズのワンポイントアドバイス!】
不動産の価値って、意外と人によって見方が違うものなんです。「駅に近いから価値があるはず」「いや、土地の形が悪いから…」なんて言い合いになると大変です。できれば不動産鑑定士のような中立な専門家に見てもらうと、皆さん納得しやすいですよ。公平な物差しを持つことが、円満解決の秘訣です。
相続が始まったら、どのような流れで進めていけば良いのでしょうか。焦らず、一つ一つのステップを確実に踏んでいくことが、無用なトラブルを避けることにつながります。ここでは、不動産相続を円満に進めるための5つのステップを解説します。
STEP1:遺言書の有無を確認する
まず最初にやるべきことは、被相続人(亡くなった方)が遺言書を残していないかを確認することです。法的に有効な遺言書がある場合は、原則としてその内容に従って遺産を分けることになります。
遺言書には、自分で書く「自筆証書遺言」と、公証役場で作成する「公正証書遺言」があります。自筆証書遺言は自宅の仏壇や金庫、貸金庫などに保管されていることが多いです。
見つからない場合は、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」や、公証役場で公正証書遺言が作られていないかを確認してみましょう。(出典:法務局「自筆証書遺言書保管制度について」)
STEP2:相続人と相続財産を確定させる


遺言書がなかった場合、あるいは遺言書に記載のない財産があった場合は、法律で定められた相続人(法定相続人)全員で話し合い(遺産分割協議)をすることになります。そのためには、「誰が相続人なのか」そして「何が相続財産なのか」を正確に把握する必要があります。
相続人の調査
相続人を確定させるには、被相続人の出生から死亡までの一連の戸籍謄本(除籍・改製原戸籍を含む)を取得します。
これにより、離婚歴や認知した子の有無などが判明し、自分が知らなかった相続人が見つかることもあります。もし相続人が一人でも欠けた状態での遺産分割協議は無効になってしまうため、この調査は非常に重要です。
相続財産の調査
不動産については、役所から毎年送られてくる「固定資産税の納税通知書」や、法務局で取得できる「登記事項証明書(登記簿謄本)」で確認します。
預貯金は通帳やキャッシュカードを探し、借金などのマイナスの財産がないかも、郵便物などから手がかりを探しましょう。
STEP3:不動産の評価方法を決める
遺産分割協議を進めるうえで、おそらく一番の難関となるのが、不動産の価値をいくらと見積もるか、という点です。不動産の評価額には、主に以下の4つの基準があり、どれを使うかによって金額が大きく変わってきます。
- 実勢価格(時価):実際に市場で売買されると想定される価格。
- 公示価格:国が示す土地取引の目安となる価格。
- 路線価(相続税評価額):相続税や贈与税を計算する際の基準となる価格。
- 固定資産税評価額:固定資産税などを計算する際の基準となる価格。
遺産分割協議では、相続人全員が合意すればどの価格を使っても良いのですが、一般的には最も公平とされる「実勢価格(時価)」を参考にすることが多いです。不動産会社に査定を依頼したり、より正確性を求めるなら不動産鑑定士に鑑定を依頼したりする方法があります。
STEP4:遺産分割協議を行い、協議書を作成する


相続人と財産が確定したら、相続人全員で遺産の分け方を話し合います。これが遺産分割協議です。全員が遠方に住んでいる場合は、電話や手紙、メールなどで行っても構いません。重要なのは、相続人全員が合意することです。
そして、話し合いで決まった内容は、必ず「遺産分割協議書」という書面にまとめましょう。この書類がないと、後の不動産の名義変更(相続登記)や預貯金の解約手続きができません。
口約束だけでは「言った、言わない」のトラブルになりかねないので、面倒でも必ず作成してください。作成の際は、相続人全員が署名し、実印を押印します。
STEP5:相続登記(名義変更)を忘れずに行う
遺産分割協議がまとまり、不動産を誰が相続するかが決まったら、法務局で不動産の名義を被相続人から相続人へ変更する手続き(相続登記)を行います。
相続登記は2024年4月1日から義務化されました!
これまで任意だった相続登記が、法律の改正により義務化されました。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記をしないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。不動産を相続したら、速やかに手続きを進めましょう。
手続きには遺産分割協議書や戸籍謄本など多くの書類が必要となり、専門的な知識も求められます。ご自身で手続きするのが不安な場合は、司法書士などの専門家に依頼するのが一般的です。
不動産相続分割方法についてよくあるご質問FAQ





相続手続きが無事に終わっても、実はそれで終わりではありません。今回相続した財産は、いつか次の世代に引き継がれていきます。ご自身の相続が、お子さんやお孫さんの代で「争続」の火種にならないよう、ご自身の想いを遺言書に残しておくなどの準備も、ぜひ考えてみてくださいね。
まとめ:円満な不動産相続のために知っておくべきこと
- 不動産の分割方法は主に現物分割、換価分割、代償分割、共有分割の4種類
- 現物分割は財産をそのまま分けるが不公平になりやすい
- 換価分割は売却して現金で分けるため最も公平
- 代償分割は一人が不動産を継ぐ代わりに他の人へお金を払う方法
- 共有分割は将来のトラブルの元になりやすいため避けるのが賢明
- 相続が始まったら、まずは遺言書の有無を確認することが最優先
- 相続人を確定させるには出生から死亡までの戸籍謄本が必要
- 相続財産にはプラスの財産だけでなく借金などのマイナス財産も含まれる
- 不動産の評価額は実勢価格を基準に話し合うのが一般的
- 相続人全員の合意内容は必ず遺産分割協議書にまとめる
- 遺産分割協議書には全員が署名し実印を押す
- 相続登記(名義変更)は2024年4月1日から義務化された
- 相続登記を怠ると10万円以下の過料の対象になる可能性がある
- 相続税の申告期限は相続開始を知った日から10か月以内
- 当事者だけで解決が難しい場合は家庭裁判所の遺産分割調停を利用できる
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