
親が亡くなり、不動産名義変更相続についてどう進めるべきか、悩んでいませんか?
実は、「不動産の名義変更は相続でどうすればいいですか?」と戸惑う方はとても多く、放置してしまうと大きなトラブルになることもあるんです。
たとえば、父が亡くなり家の名義変更をしないまま放っておいた方が、後になって土地の売却やローンの問題で困ったという事例もあります。
私の知人も、「不動産 相続 名義変更 自分でできる」と思い、必要書類を法務局で取得したのですが、不備が多く何度もやり直し、結局司法書士に依頼して費用が倍以上かかったんです。
このページでは、「相続と名義変更の違い」や「不動産 名義変更 相続 いつまでにすべきか」といった基本から、費用の相場、必要書類、放置した場合のリスクまで、やさしく丁寧に解説しています。
まずは、不動産名義変更相続の全体像を知るところから一緒に始めてみませんか?
- 不動産名義変更相続の手続きの流れがわかる
- 必要書類や申請先が明確になる
- 名義変更を自分で行う方法と専門家への依頼の違いが理解できる
- 名義変更を放置した場合のリスクがわかる
不動産名義変更相続の基本と手続きの流れ

不動産の名義変更は相続でどうすればいいですか?
もし、あなたのご家族が亡くなられたあと、その方の名義になっている不動産をどうすればよいか悩んでいるとしたら、まず思い浮かぶのが「名義変更の手続き」ですよね。
結論から申し上げますと、不動産の名義変更は「相続登記」という手続きで進めることになります。
この手続きは、法務局に申請して、登記簿に記載されている所有者の名義を、相続人に変更するものです。
ただし、準備すべき書類の取得や作成には、思っている以上に時間も手間もかかります。
例えば、私の知人であるAさん(40代・男性)は、父親が亡くなったあとに土地の名義変更を自分でしようと考えていました。
「どうせ戸籍と遺言書を出すだけでしょ?」と軽く見ていたのですが、実際は以下のような多くの必要書類を揃える必要があり、申請までに2ヶ月近くかかってしまいました。
必要な書類 | 内容 |
---|---|
被相続人の除籍謄本一式 | 生まれてから亡くなるまでの戸籍を取得 |
相続人全員の戸籍謄本 | 続柄を証明するため |
固定資産評価証明書 | 登録免許税の算出に必要 |
遺産分割協議書(または遺言書) | 相続人で合意した内容、または遺言の内容を証明 |
登記申請書(様式あり) | 法務局に提出する正式書類 |
このように、遺産分割協議書の作成も必要になる場合がありますし、相続人同士で協議がまとまらなければ、そもそも名義変更ができない状況になってしまう可能性もあります。
ちなみに、Aさんは途中で行き詰まり、結局は司法書士に依頼して進めることになりました。
費用はかかりましたが、依頼後はスムーズに1週間程度で名義変更が完了したそうです。
こう考えると、「自分で手続きしたほうが安い」と思っていても、かえって時間的・精神的コストが大きくなることもあるのです。
それでは次に、この「相続」と「名義変更」はどう違うのか、しっかり理解しておきましょう。
相続と名義変更の違いをわかりやすく解説

ここでは、多くの方が混同しがちな「相続」と「名義変更」の違いについて、できるだけわかりやすくお伝えしたいと思います。
まず、相続とは亡くなった方の財産を法的に引き継ぐことを意味します。
これには、預貯金、株式、そしてもちろん不動産も含まれます。
一方で、名義変更は、その引き継いだ財産の名義(所有者名)を変更するための手続きのことです。
つまり、相続が「法律的に権利が移ること」だとすると、名義変更は「その権利移転を登記などで表に出すこと」と言えます。
このように言うと少し難しいかもしれませんので、もう少し具体的に説明しますね。
例えば、あなたの父親が亡くなって実家の土地をあなたが引き継ぐことになったとします。
その時点で、法律上はあなたが所有者になります(これが相続)。
しかし、登記簿を見ると、まだ「父親の名前」が残ったまま。
これを「あなたの名前」に変えるには、法務局に申請して登記簿の記載を変更する必要がある(これが名義変更)というわけです。
このため、名義変更をせずに放置してしまうと、以下のような不都合が出てきます。
- 不動産を売却したくても、名義が違うため売れない
- 相続人が増え、遺産分割協議が複雑化する
- 固定資産税の請求先が故人のままになることもある
実際、私の前職で扱った案件で、祖父名義のまま20年も放置されていた土地がありました。
いざ売却したいとなったとき、相続人が10人以上に増えており、協議だけで半年以上かかったのです。
つまり、「相続=自動で名義が変わる」と思い込んでしまうのは危険です。
これらの違いを正しく理解したうえで、次の手続きである必要書類の確認に進んでいくことが重要になります。
不動産 名義変更 相続 いつまでに手続きが必要?
「不動産の名義変更って、いつまでにやらなきゃいけないの?」と感じている方はとても多いと思います。
実は、現時点では名義変更の手続きに法的な期限はありません。
ただし、2024年4月1日からは制度が変わり、「相続登記の申請義務化」が始まりました。
このため、今後は放置してしまうと過料(罰金)のリスクもあるので注意が必要です。
制度改正のポイントを、まずは下記の表で確認してみましょう。
内容 | 改正前 | 改正後(2024年4月~) |
---|---|---|
相続登記の義務 | 任意 | 義務(罰則あり) |
期限 | なし | 相続を知った日から3年以内 |
罰則 | なし | 正当な理由なしに放置→10万円以下の過料 |
つまり、相続人が相続を知った日(通常は死亡日)から3年以内に登記の申請をしなければならないということです。
これには、「相続人が1人だけ」の場合でも例外ではありません。
たとえ家族内で話が済んでいたとしても、法務局への正式な申請=登記を済ませなければ法律違反になる恐れがあるのです。
また、名義変更が済んでいないと、将来的に遺産分割協議がややこしくなったり、不動産の売却ができなかったりといった問題にもつながります。
例えば、Bさんのケースをご紹介しましょう。
Bさんは10年前に母を亡くし、実家の土地と家屋をそのままにしていました。
家族間で「自分が継ぐ」とは話していたそうですが、登記の申請は行っていませんでした。
ところが最近になって、兄弟の1人が「売却したい」と言い出したことで、当時の話が通用せず、改めて遺産分割協議をやり直すことに。
その結果、兄弟の1人が反対したため、家庭裁判所に持ち込む事態になってしまいました。
このようなトラブルを避けるためにも、相続が発生したらできるだけ早く、必要書類を集めて申請の準備を始めることが大切です。
なお、名義変更に必要な書類には以下のようなものがあります。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本(取得に1週間〜10日かかることも)
- 相続人の戸籍謄本・住民票
- 固定資産評価証明書
- 登記申請書
- 遺産分割協議書(協議が必要な場合)
これらを踏まえると、「まだ大丈夫」と思って先延ばしにするのは、大きなリスクにつながりかねません。
では次に、「父が亡くなった場合の家の名義変更は、どこまで可能なのか」について詳しく解説していきます。
父が亡くなり家の名義変更はいつまでできますか?

「父が亡くなってから、もう数年が経ってしまったけれど、今からでも家の名義変更はできるのだろうか…?」と悩む方は少なくありません。
結論から申し上げますと、相続登記の義務化以降は「3年以内に名義変更を行う必要」があります。
この3年というのは、父が亡くなった日を相続開始日とし、かつ相続人がその事実を知った日から起算されます。
それ以前に亡くなった場合は、2024年4月1日から3年以内に申請をすればOKとされています。
つまり、2023年以前にお父様が亡くなっていて、まだ登記をしていない場合は、遅くとも2027年3月31日までに申請しなければならないというわけです。
このとき注意していただきたいのは、次の3点です。
- 申請期限を過ぎると10万円以下の過料対象になることがある
- 時間が経つほど、相続人が増える(再相続)可能性が高くなる
- 必要書類の取得が困難になるケースが多い
実際にあったケースですが、Cさんという方は、お父様が亡くなってから10年以上名義変更をしていませんでした。
その間に、母親も亡くなり、兄弟の1人は連絡が取れなくなり、もう1人は海外移住。
いざ名義変更をしようとしたときに、戸籍が取れず、相続人の調査からやり直しになりました。
こうした事態を避けるためにも、登記は相続発生後、できるだけ早期に動き出すことが重要です。
特に、家などの不動産は協議で揉めやすい資産の一つです。
「父が住んでいた家を自分が継ぐ」といった思いがあっても、法的には他の相続人の同意(遺産分割協議)が必要です。
また、名義変更の手続きが終わっていないと、不動産をリフォームするにも銀行ローンが組めなかったり、相続人の1人が勝手に住み始めてしまったりと、後々トラブルになる可能性があるのです。
だからこそ、今のうちにしっかり準備をしておくことが大切です。
次は、そうした名義変更に必要な具体的な書類や流れについて、さらに詳しく見ていきましょう。
不動産名義変更相続に必要な書類と費用

書類名 | 備考 |
---|---|
被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで) | 取得には複数の自治体をまたぐ場合もあるため日数に注意 |
相続人全員の戸籍謄本 | 相続人ごとに必要、兄弟姉妹が多い場合は枚数が増える |
相続人全員の住民票 | 登記簿の住所との一致確認に必要 |
固定資産評価証明書 | 毎年1月1日時点の評価額が必要 |
不動産の登記事項証明書(登記簿謄本) | 登記されている不動産内容を確認するため |
遺産分割協議書(協議が必要な場合) | 法定相続では不要だが協議による分割時は必須 |
登記申請書 | 法務局に提出する正式な書類。形式に注意 |
相続関係説明図 | 家系図のような図で説明。手書きでも可 |
代理人がいる場合の委任状 | 司法書士などに依頼する場合に必要 |
印鑑証明書(遺産分割協議書に押印する場合) | 法的な効力をもたせるために必要なことが多い |
不動産 名義変更 必要書類 法務局で確認すべき点
不動産の相続で名義変更を進めるとき、どの書類が必要か不安に感じる方はとても多いと思います。
一見するとネットの情報で手続きが完結しそうに見えますが、実際には法務局ごとに求められる細かなルールや受付対応が違うこともあるんです。
このため、最初にやるべきことは、必ず一度「管轄の法務局」に確認することです。
これは面倒に見えるかもしれませんが、結果的に二度手間や書類の差し戻しを防げるので、実は最も効率的な方法になります。
例えば、「遺産分割協議書に添付する印鑑証明書の有効期限は3か月以内に限る」としている法務局もありますし、反対に「6か月以内まで認める」という柔軟なところもあります。
また、登記申請書の様式も、記入例や指定項目が微妙に異なるケースがあるため注意が必要です。
以下の表に、法務局で事前に確認しておきたい主要なチェックポイントをまとめました。
確認すべき点 | 内容の例 | 注意点 |
---|---|---|
登記申請書の書式 | 各法務局で公開されている記入例を参照 | 書き方に不備があると補正連絡が入る |
印鑑証明書の有効期限 | 3ヶ月以内か6ヶ月以内か | 法務局によって異なるため必ず確認 |
相続関係説明図の様式 | 手書きでも良いが形式がある程度決まっている | フォーマットが掲載されている法務局サイトもあり |
添付する戸籍の種類 | 被相続人の出生〜死亡の連続戸籍 | 抜けがあると受付不可になることも |
郵送申請の可否 | 一部法務局では郵送による対応可能 | 対面を原則とする法務局もあるため事前確認が必要 |
このような確認をせずに進めてしまい、「申請しても受理されなかった」「補正対応で何度も法務局へ通った」という声は少なくありません。
Dさんの事例をご紹介します。
Dさんはお父様の遺産である不動産を自分の名義に変更しようと、ネットで見た情報を頼りに書類を準備しました。
ところが、法務局に提出したところ「遺産分割協議書に必要な相続人の印鑑証明書が不足している」と言われ、補正指示を受けて再提出。
しかも、すでに他県に住んでいる兄弟の証明書取得に1週間以上かかり、仕事も休んで対応する羽目になったそうです。
このようなミスを避けるためには、最初の段階で必ず法務局の窓口か電話で、必要書類・書き方・注意点を確認することがとても大切です。
もし平日の時間がとれない場合は、法務局のホームページにある「申請様式」や「記入例PDF」なども参考になりますし、最近ではオンライン相談や電話予約による窓口対応も増えてきています。
また、不動産登記に関して経験のある司法書士へ依頼すれば、最初からミスなくスムーズに申請できるというメリットもあります。
次はその「家の名義変更を司法書士に依頼した場合の費用」について、具体的な金額やメリットを見ていきましょう。
不動産 相続 名義変更 費用の目安と内訳

不動産の相続で名義変更を行うとき、費用の全体像が分かりづらいと感じる方は少なくありません。
実際には、名義変更にかかる費用は主に「登録免許税」「書類の取得費用」「司法書士報酬」などに分かれます。
この章では、それぞれの費用の内訳をできるだけわかりやすくご説明します。
まずは、一般的な名義変更費用の構成を一覧表でご覧ください。
項目 | 費用の目安 | 補足 |
---|---|---|
登録免許税 | 固定資産評価額の0.4% | 不動産の評価額により大きく変動 |
書類の取得費用 | 約5,000円〜10,000円 | 戸籍・住民票・評価証明などの取得 |
郵送・印紙代 | 約2,000円〜3,000円 | 申請書類の送付や証紙代など |
司法書士への依頼料 | 約60,000円〜100,000円 | 内容や地域により変動あり |
これらをすべて合計すると、相続登記全体の費用目安はおよそ7万円〜15万円程度になるのが一般的です。
ここで注意したいのは、登録免許税が固定資産評価額に基づいて決まる点です。
たとえば、評価額が2,000万円の不動産を相続する場合、登録免許税は次のようになります。
コピーする編集する2,000万円 × 0.004 = 8万円
つまり、固定資産評価が高ければ高いほど、登記の費用も上がるということですね。
私の知人であるFさんのケースでは、親から相続した土地が都心部にあり、評価額が高かったため、登録免許税だけで15万円近くかかってしまったそうです。
さらに、遺産分割協議書を司法書士に作成してもらった結果、別途2万円の作成料が加算されてしまいました。
このように、費用は条件によって大きく上下するため、事前に登記や申請内容を整理し、無駄のない準備をしておくことが大切です。
費用を抑えたい方は、次にご説明する「司法書士に依頼した場合の相場感」を知っておくと安心です。
家の名義変更を司法書士に頼むといくらかかりますか?
不動産の名義変更を司法書士に依頼するかどうか悩む方、多いのではないでしょうか?
自分で申請するよりも当然費用はかかりますが、書類の作成・申請・登記までを一括で対応してくれるため、安心感は非常に大きいです。
ここでは、司法書士に依頼した場合の費用相場と、実際の依頼内容についてご紹介します。
まず、司法書士報酬の相場は以下のようになります。
依頼内容 | 相場費用 | 内容 |
---|---|---|
相続登記のみ依頼 | 約50,000円〜80,000円 | 基本的な書類作成と申請代行 |
遺産分割協議書の作成 | 約10,000円〜30,000円 | 相続人間の協議が必要な場合 |
追加で相続関係説明図の作成 | 約5,000円前後 | 必須ではないがあると便利 |
トータル費用 | 約70,000円〜120,000円 | 登録免許税は別途必要 |
司法書士に依頼することで、自分で書類を取得・作成・申請する手間を丸ごと省けるのはやはり大きなメリットです。
私自身も、以前父が他界した際には迷わず司法書士に依頼しました。
正直、最初は「自分でやれば費用を浮かせられる」と思っていたのですが、相続人が県外にいたこともあり、戸籍や住民票の取得に手間取りそうだったため断念。
結果的に、司法書士の先生に依頼したところ、必要な書類の案内から取得代行、登記申請まですべてスムーズに対応していただき、とても安心して任せられました。
また、法務局とのやり取りも一括してくれたので、登記の補正など面倒な再提出もなく一発で完了。
今振り返っても、「数万円の差でここまで安心できるなら、依頼して正解だった」と思っています。
一方で、「できるだけ費用を抑えたい」という方は、最低限だけを依頼して、あとは自分で進めるという選択肢もあります。
このように、自分に合った依頼方法を選ぶことが、費用と安心感のバランスをとる上で大切です。
次は、「土地の相続放棄をしたらどうなるのか?」という疑問に対して、具体的なリスクと判断基準を見ていきましょう。
不動産 相続 名義変更 自分でできるか?

不動産の相続にあたって、「名義変更は自分でできるの?」と気になっている方、多いのではないでしょうか。
実際、登記の申請自体は本人が自分で行うことが可能です。
ただし、必要な書類の取得や作成、申請手続きには専門知識や注意点が多く、正直ハードルが高いのが現実です。
まず、名義変更の手続きを自分で行う際の基本ステップは以下の通りです。
【自分で名義変更する場合の流れ】
- 必要書類の確認・取得(戸籍・住民票・評価証明書など)
- 遺産分割協議書を作成(相続人全員が協議・署名)
- 登記申請書を作成(法務局指定の様式あり)
- 法務局へ申請(郵送 or 窓口提出)
- 補正があれば対応
この流れを見ると「案外シンプルかも?」と思うかもしれませんが、実際にやってみると予想以上に時間と手間がかかることが分かります。
私の友人のAさんも、最初は「自分でやって節約しよう」と考えていました。
ところが、戸籍謄本を出生から取得する際に、本籍地が転々としていたため、3つの自治体にまたがって取り寄せる必要があったそうです。
さらに、遺産分割協議書の記載ミスがあり、法務局から補正を求められて再提出。この対応に1ヶ月以上かかってしまい、結果的に「司法書士に最初から依頼すればよかった」と後悔していました。
このように、自分での申請は費用を抑えられる一方で、時間・労力・ミスのリスクも高まるというデメリットがあります。
もし以下のような方であれば、自力で名義変更を目指してみるのもアリです。
【自力名義変更に向いている人】
- 法律文書の作成が得意な方
- 相続人が少ない(協議がスムーズ)
- 時間に余裕がある
- 登記関係に慣れている
一方で、以下のような方は最初から専門家へ依頼した方が失敗も少なく、結果的にスムーズです。
【専門家への依頼が安心なケース】
- 相続人が多く、協議に時間がかかる
- 書類取得が複雑(本籍地が分散しているなど)
- 仕事が忙しく、平日に時間が取れない
- 登記内容に不明点がある
このように、自分の状況に合わせて「自力 or 専門家依頼」を選ぶことが重要です。
では、もし名義変更をせずに放置してしまったら、どんなことが起こるのでしょうか?次で詳しく見ていきましょう。
亡くなった親の土地名義変更しないとどうなる?
親から土地を相続したのに、名義変更せずに放置してしまう――
実は、これが原因でトラブルになるケースは少なくありません。
名義変更をせずにいると、相続人がその土地の法的な所有者と認められず、売却や担保設定などが一切できません。
さらに、将来的にはもっと厄介な問題が起こる可能性もあるんです。
【名義変更をしないことで起こる主なリスク】
リスク | 内容 |
---|---|
不動産を売れない | 登記上は故人名義のままなので売買契約ができない |
相続人が増え複雑化 | 相続人の1人が死亡すると、数次相続となり関係者が倍増 |
固定資産税の通知が届かない | 納税義務者が不明瞭になり、延滞金や督促の対象になる |
相続人間の協議が困難に | 時間が経つほど関係が希薄になり協議が難航しやすい |
私が実際にサポートしたBさんのケースでは、祖父の土地の名義が亡くなったまま40年以上放置されており、登記されていた相続人のうち3人がすでに他界していました。
結果として、協議が必要な相続人が10名以上に増え、誰が誰なのか調査するだけで半年以上かかったという事例もあります。
また、当初は売却予定だった土地も、「全員の同意が得られず」売るに売れない状況に。
このような事態に陥ると、名義変更どころか、登記や申請自体がストップしてしまう可能性もあるのです。
「うちは兄弟仲がいいから大丈夫」と思っていても、年月が経てば状況は変わります。
相続人が増える=協議の難易度が上がるということは、意外と見落とされがちなポイントです。
名義変更をしないまま放置することで起きるデメリットは計り知れません。
少なくとも、「後でやろう」と思っている方は、できるだけ早めに動き出すことが、家族や将来の自分を守る第一歩だとお伝えしておきます。
次は、「土地の相続放棄をしたらどうなるのか?」というテーマについて、さらに掘り下げてお話していきますね。
土地の相続放棄をしたらどうなるの?

「親の土地を相続したくない」「山奥で使い道がなく管理も大変」
このような声、実は年々増えてきている印象です。
特に最近は、相続する不動産にメリットがないと判断して“相続放棄”を検討するケースが増えているのですが、土地を放棄すればすべてが解決…とはいかないのが実情なんです。
まずは、相続放棄によってどんな影響があるのか、そして放棄した後に起こることを具体的に見ていきましょう。
【そもそも相続放棄とは?】
相続放棄とは、相続人が家庭裁判所に申請をして、財産も借金も一切引き継がないことを法的に宣言する手続きのことです。
この放棄をすることで、対象となる不動産や預金、借金など全ての相続権を放棄することになります。
つまり、「土地だけいらないけど他はもらいたい」という選択はできません。
【土地を放棄した結果、どうなる?】
一見「相続放棄すれば、いらない土地からも解放される」と思いがちですが、放棄をすると相続権が次の順位の人へ移るという仕組みになっています。
順位 | 相続人の対象 |
---|---|
第1順位 | 子(直系卑属) |
第2順位 | 親(直系尊属) |
第3順位 | 兄弟姉妹 |
例えば、長男が相続放棄すると、次は妹や弟、または親が自動的に相続人になるという流れです。
つまり、自分が放棄しても、家族や親族が相続人となり、その土地を引き継ぐことになります。
これを「次順位相続」と言います。
実際に、私の知人であるCさんのケースでは、親の残した山林を相続放棄しました。すると、次に妹が相続人となり、何も知らないうちにその土地の固定資産税通知が届き、「え?なんで私が?」と大混乱に。
結果的に、妹さんも放棄したため、さらに相続権が叔父の方へ移ることになり、相続人探しが数年に及ぶ“たらい回し状態”になってしまいました。
【相続放棄後の土地は最終的にどうなる?】
誰も相続しないまま全員が放棄をした場合、その不動産は最終的に国庫(国の所有)に帰属します。
しかし、ここが注意点です。
「放棄=すぐに国に引き取ってもらえる」わけではないという点。
あくまで**“相続人全員が正式に相続放棄を完了”してから、一定期間を経た後**に、やっと国に帰属することになるんです。
その間、登記名義が故人のままで放置されると、
- ゴミ不法投棄
- 土地の草刈りや倒木
- 隣地との境界トラブル
などの問題が起こっても、誰も責任を持てず地域トラブルになる可能性も。
また、名義変更しないままだと、相続人でない人が勝手に売却や申請をすることもできません。
【土地を放棄するか迷ったら?】
土地の放棄は一度行うと原則取り消しができないため、非常に重要な決断です。
もし以下のような特徴がある土地であれば、慎重な検討が必要です。
【相続放棄を検討すべき土地の特徴】
- 固定資産税だけがかかる山林や原野
- 建物が倒壊寸前で修繕費が高額
- 活用予定がなく将来的にも利用価値が低い
- 他の相続人との協議が成立しない
そして、放棄前には「相続登記義務化(2024年施行)」もチェックが必要です。
今後は相続した土地を3年以内に登記しなければ10万円以下の過料が科される可能性もあるため、なおさら無視できないテーマになってきています。
「どうせ誰も使わないし」「あとで考えればいいや」と後回しにすると、あなた自身や家族に予想外のトラブルがふりかかることがあるのです。
不動産名義変更相続の基本を総まとめ
- 不動産名義変更相続は所有者の死亡により必要となる手続きである
- 相続登記には遺言書の有無や遺産分割の有無で流れが異なる
- 公正証書遺言がある場合は家庭裁判所の検認を省略できる
- 自筆証書遺言の場合は家庭裁判所の検認が必要になる
- 相続人全員による遺産分割協議で名義変更が進められる
- 法定相続割合を使う場合は協議書が不要である
- 数次相続がある場合は過去の相続分までさかのぼる必要がある
- 登記名義人でない場合はその前の相続登記から始める必要がある
- 書類が不足していると申請が却下される可能性がある
- 必要書類は法務局で確認し、正確に取得しておくべきである
- 相続登記は原則として義務ではないが、早期手続きが望ましい
- 不動産の名義変更を放置すると権利関係が複雑化する
- 名義変更登記は司法書士への依頼も可能である
- 登記申請には書類作成・申請書提出などの工程がある
- 管轄法務局への相談や確認がスムーズな手続きに繋がる
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