告知義務あり物件は査定でどれくらい下がる?価格への影響と査定根拠の比べ方

告知義務あり物件は査定でどれくらい下がる
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告知義務がある物件の査定額に、一律の下落率はありません。自然死などで価格への影響が限定的な場合もあれば、発見の遅れや特殊清掃、事件性、周知性によって大きく減額される場合もあります。

大切なのは、死因だけで判断せず、告知事項がない場合の相場と、告知事項を踏まえた査定額を分けて確認することです。

同じ事実と売却条件を複数の不動産会社へ伝え、いくら減額されたのか、なぜその金額になったのかを比較しましょう。仲介の成約予想価格と、不動産会社が直接買い取る価格は分けて考える必要があります。

この記事で分かること
  • 告知義務がある物件の査定額が何%下がるか
  • 査定額への影響を確認する計算方法
  • 自然死・孤独死・自殺などで告知が必要になる条件
  • 査定額の根拠を比較して売却方法を選ぶ手順
目次

告知義務あり物件の査定は一律に何%下がるとは決まっていない

国土交通省のガイドラインは、人の死に関する告知の一般的な判断基準を示していますが、査定価格の減額率までは定めていません。

実際の査定額は、買主の受け止め方だけでなく、立地、建物の状態、清掃・修繕費、地域の需要、売却方法によって変わります。

まずは、事案の内容によって何を確認すべきか整理しましょう。

事案の状況告知の考え方査定への影響
自然死・日常生活中の不慮の死原則として告げなくてもよい限定的な場合がある
自然死でも発見が遅れ特殊清掃あり特殊清掃の内容などを踏まえて告知を検討清掃費・建物の損傷なども影響する
自殺・他殺など買主の判断に重要な影響を与える場合は告知が必要心理的抵抗などから減額される場合がある
報道・近隣周知など社会的影響が大きい経過年数だけで告知不要とは判断しない買主の判断への影響が残る場合がある

この表は、査定額の下落率を確定するものではありません。同じ事案でも、需要の強い地域と買主が限られる地域では査定結果が異なります。

「孤独死だから必ず何%下がる」「自殺があったから売れない」と、最初から決めつけないことが大切です。

査定額が何%下がったかは通常の相場との差で確認する

告知事項による価格への影響を把握するには、同じ物件について、告知事項がないと仮定した価格と、実際の事情を踏まえた価格を比較します。

例えば、次のような査定結果だったとします。

比較項目金額
告知事項がない場合の成約予想価格2,000万円
告知事項を踏まえた成約予想価格1,800万円
価格の差額200万円
通常価格に対する調整率10%

計算方法は、200万円÷2,000万円×100=10%です。

これは査定書の見方を示す仮の計算例であり、実際の下落率や成約価格を保証するものではありません。

この200万円について、不動産会社へ次の内訳を確認しましょう。

  • 告知事項による心理的な価格調整
  • 臭い・汚損などの清掃費や原状回復費
  • 築年数や建物状態など、告知事項以外による調整
  • 想定売却期間や買主の需要を踏まえた調整

会社によって価格調整の項目や考え方は異なります。金額を明確に分けられない場合でも、どの事情が価格に影響したのか説明を求めましょう。

なお、直接買取では、買取業者の再販売費用や利益、保有期間中の費用なども価格に反映されます。

仲介の成約予想価格が2,000万円、直接買取価格が1,500万円だったとしても、その差額500万円がすべて告知事項による減額とは限りません。

告知義務の有無と査定額への影響は別の問題

国土交通省の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」は、居住用不動産の取引で宅地建物取引業者が取るべき一般的な対応基準を示したものです。

個別の査定価格や、売主・買主間の民事上の責任を一律に決めるものではありません。

自然死や、日常生活中の転倒・誤嚥などによる不慮の死については、原則として宅地建物取引業者が告げなくてもよいとされています。

ただし、発見の遅れなどにより特殊清掃が行われた場合や、買主から事案の有無について質問された場合、社会的影響が大きいなどの特段の事情がある場合は、別途判断が必要です。

また、賃貸では一定の経過期間に関する目安がありますが、売買には同じ期間基準がありません。「3年経ったから告知しなくてもよい」とは判断しないでください。

詳しい判断基準は、国土交通省の宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドラインで確認できます。

ガイドライン上、告げなくてもよい類型でも、臭い・床や壁の損傷・残置物などの物理的な問題があれば、査定額に影響する場合があります。

反対に、告知が必要な事案でも、立地や土地価値などの条件によって価格への影響が限定される場合があります。

告知すべき範囲を詳しく確認したい方は、不動産売却の告知義務はどこまで?トラブル回避のチェックリストも参考にしてください。

査定への影響を左右する4つの条件

査定額がどの程度調整されるかは、主に次の4つの条件によって変わります。

  • 事案の内容:死因、発生場所、発見までの期間、報道や近隣への周知状況
  • 建物の状態:臭い、汚損、設備・内装の損傷、特殊清掃の実施範囲
  • 不動産の条件:立地、土地価値、築年数、地域の需要、建物の再利用のしやすさ
  • 売却方法:仲介で一般の買主を探すか、不動産会社へ直接売却するか

例えば、建物を利用する買主と、解体して土地を利用する買主では、重視する条件が異なる場合があります。

ただし、建物を解体すれば必ず価格への影響や告知の問題がなくなるわけではありません。解体費用や売却条件も含めて判断する必要があります。

「事故物件だから何%減」と先に決めるのではなく、通常物件としての基準価格と、告知事項・建物状態・販売上の難しさによる調整を分けて説明してもらいましょう。

査定額への影響を正しく比較する方法

告知事項がある物件でも、査定額を比較する基本的な考え方は通常の不動産と同じです。

ただし、会社ごとに伝える事実や売却条件が違うと、提示された価格を正しく比較できません。

同じ物件情報・告知事項・希望条件を伝え、査定額とその根拠を比較することが大切です。

査定前に事実と費用を整理する

まずは、分かる範囲で次の情報を整理しましょう。

  • 死因、発生場所、発生時期、発見日
  • 特殊清掃の有無と実施内容
  • 清掃・消臭・修繕の領収書や施工写真
  • 現在残っている臭い、汚損、家財、設備不良
  • 報道や近隣への周知状況について把握している事実
  • 価格を優先するか、売却期間や近所への配慮を優先するか

発生時期や発見までの日数が正確に分からない場合は、推測で記入せず「確認中」「不明」として不動産会社へ伝えましょう。

また、亡くなった方の氏名や詳細な個人情報などを、必要性の確認なく広く伝える必要はありません。告知する内容と範囲は、宅地建物取引業者と相談して整理してください。

先に大規模なリフォームや解体を決める必要はありません。

まずは現状のままの査定額と、清掃・修繕をした場合の見込み額を分けて確認します。

修繕による価格上昇の見込みが工事費を下回る場合は、現状のまま売却する方法も比較しましょう。

査定を依頼するときは告知事項を先に伝える

一括査定や不動産会社への相談では、分かっている事実を最初に伝えておくと、後から査定条件が変わることを防ぎやすくなります。

例えば、査定依頼時の備考欄には次のように記載できます。

査定依頼時の記入例

相続した住宅で、過去に室内で人が亡くなった経緯があります。特殊清掃は実施済みです。詳しい状況は査定時にご説明します。現在の状態で売却した場合の価格と、仲介・買取それぞれの対応可否を確認したいです。

記入例は実際の事実関係に合わせて修正してください。特殊清掃を実施していない場合や、発生時期が不明な場合は、その旨を記載します。

一括査定サービスでは、告知事項のある物件に対応できる会社が見つからない場合もあります。その場合は、事故物件や訳あり物件を扱う専門会社への直接相談も検討しましょう。

担当者へ3つの質問をして査定条件をそろえる

査定結果が届いたら、金額だけを見て判断せず、次の3点を確認してください。

  • 提示額は売出価格・成約予想価格・直接買取価格のどれですか?
  • 通常物件の基準価格と、告知事項による調整額の根拠は何ですか?
  • 清掃・残置物処分・修繕費などを差し引いた概算手取りはいくらですか?

例えば、A社の仲介による成約予想価格が1,800万円、B社の直接買取価格が1,500万円だった場合、単純にA社の方が300万円高く売れると判断することはできません。

仲介では、買主が見つかるまでの期間や仲介手数料などを考慮する必要があります。直接買取では、売却期間や引渡し条件、売主が負担する費用などを確認しましょう。

また、告知事項を踏まえた査定価格なのか、現地確認前の暫定価格なのかも重要です。

最終的には、成約の見込み、売却期間、費用、引渡し条件、概算手取りを同じ条件で比較します。

査定書の基本的な見方は、不動産査定の根拠を確認する方法|査定額を見極める5つの質問も参考になります。

まず知りたいのは「必ず売れる価格」ではなく、同じ事実を伝えたときに各社が示す価格の幅と理由です。

一般の仲介で売れる可能性を確認してから、必要に応じて専門買取も比較すると、売却方法を判断する材料が増えます。

\同じ条件で査定額と根拠を比較/

対応会社数は物件条件で異なります。告知事項があることを伝え、対応可否と査定条件を確認してください。

査定で分かることと個別に整理することを分ける

不動産査定では、売却価格の目安、仲介・買取の可能性、想定売却期間、必要な費用などを確認できます。

一方で、次のような問題は査定額だけでは決まりません。

  • 誰が把握している事実を不動産会社へ説明するのか
  • 相続人へ査定結果をどう共有するのか
  • 片付けや特殊清掃、修繕をいつ行うのか
  • 売却価格と売却期間のどちらを優先するのか

一般の一括査定で対応会社が見つからない場合や、早期売却を優先する場合は、事故物件を扱う専門会社の買取条件も確認しましょう。

ただし、仲介の成約予想価格と直接買取価格は、価格の決まり方が異なります。査定額だけでなく、費用や引渡し条件を含めた比較が必要です。

告知義務あり物件の査定でよくある質問

自然死なら必ず告知不要ですか?

必ずとは限りません。自然死は原則として宅地建物取引業者が告げなくてもよいとされていますが、発見の遅れに伴う特殊清掃が行われた場合や、買主から質問された場合、社会的影響が大きい事情がある場合などは別です。把握している事実を不動産会社へ伝え、個別に確認してください。

告知義務がある物件は必ず査定額が下がりますか?

必ず下がるとは限りません。事案の内容だけでなく、立地、土地価値、建物の状態、買主の需要、売却方法などによって査定結果は異なります。通常物件の基準価格と、告知事項を踏まえた価格の両方を確認し、調整理由を比較しましょう。

リフォームすれば告知しなくてよいですか?

リフォームや特殊清掃をしても、過去の事実が消えるわけではありません。告知が必要な事情について適切な説明をしなかった場合、売却後に契約上のトラブルになる可能性があります。工事をする前に、不動産会社へ告知の要否と査定への影響を確認しましょう。

告知義務あり物件でも一括査定を利用できますか?

利用できる場合があります。ただし、対応する不動産会社の有無は物件条件や地域によって異なります。査定依頼時に把握している告知事項を伝え、仲介での売却に対応できるか確認してください。対応会社が見つからない場合は、専門買取会社への直接相談も選択肢になります。

まとめ|査定額の根拠を確認してから売却方法を決める

告知義務がある物件の査定額に、一律の下落率はありません。

まずは通常物件としての相場を確認し、告知事項や建物の状態が価格にどのように反映されたのかを比較しましょう。

査定前に行うことは、次の3つです。

  • 事案の経緯と清掃・修繕内容を整理する
  • 同じ事実と売却条件を伝えて複数社へ査定を依頼する
  • 価格の根拠・売却期間・費用・概算手取りを比較する

査定結果が分かっても、相続人への説明、売却時期、不動産会社へ伝える情報、仲介と買取の選択は、個別の事情によって変わります。

相続した実家や空き家の売却で迷っている場合は、査定額を確認したうえで、家族へ確認することと不動産会社へ伝えることを整理すると、次の行動を決めやすくなります。

KAZUへの相談では、査定結果をもとに、売却方法や手続きの進め方、家族への説明に必要な情報を一緒に整理できます。

\売却を決める前の状況整理でも大丈夫です/

事実関係や家族の意向がまとまっていなくても、分かる範囲から整理できます。

文章で状況を伝えたい方は、LINEから相談できます。

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この記事を書いた専門家

保有資格: 相続診断士 / 宅地建物取引士 / AFP(日本FP協会認定)など20種以上

不動産・金融業界で20年以上の実務経験、1,500件以上の相談実績を持つ相続・終活・不動産相続のプロフェッショナル。法律・税務・介護の専門家と連携し、ご家族に寄り添った円満な終活・相続を実現します。

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