
相続した家を売って税金がかかるのは、売却代金そのものではなく、取得費・譲渡費用・特別控除を差し引いた「課税譲渡所得」がプラスになる場合です。
税額は、親の購入価格、建物の減価償却、所有期間、空き家の3,000万円控除や取得費加算の適用で大きく変わります。譲渡所得が出なくても、売買契約書の印紙税などがかかる場合はあります。
まずは親が購入した当時の資料と相続・売却費用の領収書を集め、売買契約を結ぶ前に使える特例と期限を確認しましょう。
- 親の購入代金と購入時の諸費用
- 相続登記費用と売却に直接かかった費用
- 空き家特例と取得費加算の適用期限
税金以外も含めて売却方針や空き家の扱いを整理したい方は、相続不動産・空き家・売却相談も確認してください。
相続した家の売却にかかる税金は譲渡所得と所有期間で決まる

売却までの流れや必要書類は、相続不動産 売却 手続きの完全ガイドで確認できます。
取得費・譲渡費用・所有期間で税額が変わる
課税譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除
計算結果が0円以下なら、原則として譲渡所得に対する所得税・住民税はかかりません。
| 項目 | 主な内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 取得費 | 親の購入代金や購入手数料 | 建物は減価償却後の金額 |
| 譲渡費用 | 仲介手数料・印紙代・測量費・売却目的の解体費 | 修繕費や固定資産税は原則対象外 |
| 特別控除 | 空き家の3,000万円控除など | 要件確認と確定申告が必要 |
事業に使っていない不動産では、相続人が負担した登録免許税や登記費用も実額の取得費に含められます。ただし、譲渡費用との二重計上はできません。
売却年の1月1日時点で所有期間が5年を超える長期譲渡の税率は20.315%、5年以下の短期譲渡は39.63%です。所有期間は相続日からではなく、親など被相続人の取得日から引き継ぎます。
取得費不明なら5%で計算する前に資料を探す
取得費が分からない場合は、売却価格の5%を概算取得費にできます。ただし、実際の購入価格より低くなると、課税される利益が大きくなります。
- 売買契約書、領収書、建築請負契約書
- 購入時の仲介会社・分譲会社・金融機関に残る資料
- 通帳、住宅ローン関係書類、登記事項証明書
概算取得費を選ぶと、相続人が支払った登記費用や改良費などを別に足すことはできません。資料から取得費を合理的に確認できるかは個別判断になるため、5%で申告する前に税理士へ確認してください。
取得費による税額差の例
売却価格4,000万円、譲渡費用150万円、長期譲渡、特別控除なしで計算します。
- 減価償却後の取得費が2,000万円:税額は約376万円
- 概算取得費5%の200万円:税額は約741万円
この例では、取得費の違いだけで税額に約366万円の差が出ます。
3,000万円控除と取得費加算は売却前に比較する

相続した家で使いやすい主な特例は、空き家の3,000万円控除と相続税の取得費加算です。同じ不動産では併用できないため、期限と税額を比べて選びます。
空き家の3,000万円控除は家屋と期限に要件がある
被相続人の居住用財産に係る空き家特例は、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。2024年1月1日以後の譲渡で、対象家屋・敷地を取得した相続人が3人以上なら、1人あたりの上限は2,000万円です。
- 1981年5月31日以前に建築され、区分所有建物ではない
- 原則として相続直前まで被相続人が一人で居住していた。一定の老人ホーム入所は例外あり
- 相続後から売却まで居住・賃貸・事業利用をしていない
- 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る
- 2027年12月31日までに売却する
- 売却代金の合計が1億円以下で、特別関係者への売却ではない
1億円以下の判定では、自分の売却分だけでなく、分割して売った部分や他の相続人の売却分も一定期間合算される場合があります。
家屋が耐震基準を満たすか、取り壊されることも必要です。2024年以後は、売却後に買主が翌年2月15日までに耐震改修または取壊しを完了する場合も対象になり得ます。
この方法を利用する場合は、買主が期限までに工事を完了できるか、確認書類の取得に協力できるかを売買契約前に確認します。
詳しい条件は、国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」で確認できます。
相続税を納めた人は取得費加算も比較する
相続税が課税された人は、その一部を売却した不動産の取得費へ加算できる場合があります。
期限は、相続開始日の翌日から、相続税申告期限の翌日以後3年を経過する日までです。通常は相続開始から約3年10か月となります。
空き家の3,000万円控除とは同じ不動産で併用できません。両方の要件を満たす場合は、実際の相続税額と譲渡所得を使い、税額が少なくなる方を比較します。
取得費の推計可否や有利な特例は、相続税額、相続人の人数、家の利用状況、売買契約の内容で変わります。税理士へ相談すると、手元資料を前提に税額の試算と必要書類を確認できます。
広告
\ 取得費と使える特例を税理士に確認 /
希望条件を伝え、紹介された税理士と話してから依頼先を判断できます。
利益が出る場合や特例を使う場合は確定申告する
譲渡所得がプラスになる場合は、原則として売却した翌年に確定申告が必要です。申告期間は通常2月16日から3月15日までで、期限が土日祝日に当たる場合は翌開庁日になります。
特例を使って税額が0円になる場合も申告が必要です。所得税と復興特別所得税は申告期限までに納め、住民税は申告内容をもとに翌年度に課税されます。
売却前に行う順番
- 親の購入資料と相続・売却費用の領収書を集める
- 空き家特例と取得費加算の期限を確認する
- 特例ごとの税額と必要書類を比較する
▼あわせて読みたい関連記事▼
