
こんにちは!終活・相続・不動産相続の専門家、カズです。相続の話って、なんだか難しそう…って思いますよね。特に、ご実家などの不動産が絡むと「どうしたらいいの?」と頭を抱えてしまう方も少なくありません。
「相続放棄された不動産はどうなるの?」あるいは「相続人全員が不動産を相続放棄したらどうなるか知りたい」といった疑問から、不動産の相続放棄手続きや必要書類、兄弟間での土地の相続放棄の問題、さらには相続放棄した家の解体費用は誰が払うのか、といった具体的なお悩みまで、本当に様々です。
また、相続放棄された土地を買いたい、物件の購入を考えているという方もいらっしゃるかもしれませんね。この記事では、そんな複雑な相続放棄と不動産の問題、特に知っておかないと大変なことになる管理義務や、最終的に国庫帰属になるまでの流れを、少しでも分かりやすく、楽しく解説していきますね!
- 相続放棄した不動産の最終的な行方
- 【2023年法改正】相続放棄後の管理義務の対象者
- 相続放棄の具体的な手続きと準備すべき必要書類
- 放棄された不動産を売買する際の注意点と方法

相続放棄、特に不動産が絡むと「手続きが面倒」「放棄した後が心配」という声をよく聞きます。でも大丈夫!この記事では、皆さんのそんな不安を解消するため、基本のキから法改正の新しいポイントまで、しっかり、そして分かりやすくお伝えしますね。
相続放棄不動産の行方と基本的な手続き


相続放棄された不動産はどうなるか解説
「相続放棄をしたら、家や土地はどうなっちゃうの?」これは、一番多くの方が疑問に思う点ですよね。相続放棄された不動産がどうなるか、その行方は主に2つのパターンに分かれます。
まず一つ目は、あなた以外にも相続人がいる場合です。例えば、ご兄弟のうち、あなただけが相続放棄をしたとします。この場合、あなたが放棄した分の相続権は、他のご兄弟に移ります。つまり、不動産は他の相続人が引き継ぐかどうかを判断することになるのです。あなたが放棄したからといって、即座に不動産が宙に浮くわけではない、ということですね。
そして二つ目が、相続人全員が相続放棄をした場合です。このケースでは、最終的に不動産は国のもの、つまり「国庫に帰属」することになります。ただし、これも自動的にそうなるわけではなく、いくつかの法的な手続きを踏む必要があるんですよ。
相続人全員が不動産を相続放棄したらどうなる


では、ご兄弟など法定相続人の全員が不動産を含む財産の相続放棄をしたら、具体的にどうなるのでしょうか。この場合、相続する人が誰もいなくなった財産を管理・清算するための特別な手続きが必要になります。
利害関係者(例えば、亡くなった方にお金を貸していた人など)や検察官が家庭裁判所に申し立てることで、「相続財産清算人」(旧:相続財産管理人)が選任されます。これは、多くの場合、弁護士などの専門家が選ばれます。
相続財産清算人の役割
相続財産清算人は、亡くなった方(被相続人)の財産を調査し、借金があれば返済し、最終的に残った財産を国庫に納める役割を担います。つまり、誰も相続しなかった不動産は、この清算人によって売却など現金化され、清算手続きに使われることになるのです。こうした放置された空き家が抱える問題は、近年特に注目されています。
この手続きには時間がかかり、申立てから完了まで1年以上を要することも珍しくありません。相続人全員が放棄したからといって、すぐに不動産の問題が解決するわけではない、という点は覚えておいてくださいね。
相続放棄不動産の国庫帰属について
前述の通り、相続人全員が相続放棄した不動産は、最終的に国庫に帰属します。しかし、ここで大きな注意点があります。それは、国庫帰属は簡単にはできないということです。
相続財産清算人の選任を申し立てるには、「予納金」という費用を裁判所に納める必要があります。これは、清算人の報酬や財産管理にかかる費用を賄うためのお金で、数十万円から、場合によっては100万円以上かかることもあります。
予納金の負担
この予納金は、相続財産から支払われるのではなく、申立てをした人が負担するのが原則です。もちろん、最終的に財産が売却できてお金が残れば、そこから返還される可能性はありますが、必ずしも全額が戻ってくるとは限りません。「相続放棄したのに、なぜか多額の費用負担が…」なんてことにもなりかねないのです。
つまり、価値のある財産が残っていない場合、誰も清算人の申立てをせず、結果的に不動産が放置され続けてしまう、というケースも少なくないのが現実です。国庫帰属への道は、決して平坦ではないのですね。
不動産の相続放棄手続きと必要書類


それでは、実際に不動産を含む財産の相続を放棄する場合の手続きと、必要書類について見ていきましょう。手続き自体は、ご自身で行うことも可能です。
手続きの基本的な流れ
- 必要書類の収集:まずは、申立てに必要な戸籍謄本などを集めます。
- 申述書の作成:「相続放棄申述書」という書類を作成します。書式は裁判所のウェブサイトからダウンロードできます。
- 家庭裁判所への申立て:被相続人(亡くなった方)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、書類一式を提出します。この申立ては、相続の開始を知った時から3ヶ月以内に行う必要があります。
- 照会書への回答・返送:申立て後、裁判所から「本当に自分の意思で放棄しますか?」といった内容の確認書(照会書)が送られてきますので、記入して返送します。
- 受理通知書の受領:問題がなければ、裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が届き、手続きは完了です。
主な必要書類
申述する人と被相続人の関係によって必要書類は変わりますが、一般的には以下の書類が必要です。より詳しい相続放棄の手続きと注意点については、別の記事でも解説していますので参考にしてください。
書類 | 取得場所 |
---|---|
相続放棄申述書 | 裁判所窓口、またはウェブサイト |
被相続人の住民票除票または戸籍附票 | 被相続人の最後の住所地の市区町村役場 |
申述人(放棄する人)の戸籍謄本 | 申述人の本籍地の市区町村役場 |
被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本 | 被相続人の本籍地の市区町村役場 |
詳しくは、申立てをする家庭裁判所のウェブサイトで確認するか、専門家に相談するのが確実です。
(参考:裁判所「相続の放棄の申述」)
相続放棄不動産に課される管理義務
さて、ここが今回の記事で一番お伝えしたい、とても重要なポイントです。相続放棄をしても、特定の条件下では不動産の管理義務が残ってしまうことがあるのです。
このルールは、2023年4月1日の民法改正によって内容が大きく変わりましたので、しっかり押さえておきましょう。
【法改正】管理義務を負うのは「現に占有している人」だけ!
改正後の民法では、相続放棄後の管理義務(正確には「保存義務」)を負うのは、「その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているとき」と明確に定められました。
簡単に言うと、「亡くなった方と一緒に住んでいた」など、その不動産を事実上使っていたり、管理していた人が相続放棄をした場合に、管理義務が残るということです。
逆に、遠方に住んでいて、長年その不動産とは関わりがなかったような相続人は、相続放棄をすれば管理義務を負わない可能性が高くなりました。これは大きな変更点ですね。
管理を怠った場合のリスク
もし管理義務があるにもかかわらず不動産を放置し、例えば、建物が倒壊して隣家を壊してしまったり、通行人が怪我をしたりした場合には、損害賠償責任を問われる可能性があります。相続放棄をしたからといって、すべての責任から解放されるわけではないのです。この管理義務から解放されるためには、前述の「相続財産清算人」に不動産を引き継ぐ必要があります。



この「管理義務」のルール変更は本当に重要です。以前は責任の範囲が曖昧で多くの方が不安を感じていました。今は「占有」という事実が判断基準です。ご自身が対象になるか不安な場合は、迷わず専門家に状況を話して判断を仰ぐのが一番の安心材料になりますよ。
相続放棄不動産に関する個別ケースと注意点


土地の相続放棄ができない場合とは
「この土地だけ、相続放棄することはできないの?」というご質問をよく受けます。結論から言うと、特定の財産だけを選んで相続放棄することはできません。
相続放棄は、預貯金などのプラスの財産も、借金などのマイナスの財産も、すべての財産を放棄する制度です。したがって、「価値のない土地だけを放棄して、預金は相続したい」ということは認められていません。
また、もう一つ「相続放棄ができない」典型的なケースがあります。それは「単純承認」とみなされる行為をしてしまった後です。
単純承認とみなされる行為の例
- 相続財産である不動産を売却したり、賃貸に出したりする(なお、相続した不動産を売却する方法は別に解説しています)
- 被相続人の預金を引き出して自分のために使う
- 相続財産を使って被相続人の借金を返済する
このような行為をすると、「相続する意思がある」と判断され、後から相続放棄をすることができなくなってしまう可能性があります。相続放棄を検討している間は、相続財産には一切手を付けないのが鉄則です。
土地の相続放棄と兄弟への影響


相続において、兄弟関係は時に複雑な問題を生むことがあります。土地の相続放棄も例外ではありません。
例えば、被相続人に配偶者も子も親もおらず、兄弟姉妹が相続人となるケース。あるいは、子が全員相続放棄をして、次の順位である兄弟姉妹に相続権が移るケースなどがあります。
もしあなたが土地を含む財産の相続放棄をした場合、その相続権は他の兄弟に移ります。あなたが良かれと思って放棄したことで、逆に他の兄弟に管理の難しい不動産を押し付ける形になってしまう可能性もあるのです。円満な解決のためには、不動産の分割方法について事前に知識を得ておくことも大切です。
トラブル回避のためのコミュニケーション
法的な義務ではありませんが、相続放棄を決断した際は、その旨を次の順位の相続人、特にご兄弟には事前に一言伝えておくのが望ましいでしょう。「実は相続放棄を考えていて…」と相談するだけでも、後のトラブルを避けるきっかけになります。相続は家族の問題でもあるので、コミュニケーションはとても大切ですね。
相続放棄した家の解体費用は誰の負担
「相続放棄する予定の家が、今にも崩れそうで危ない。自治体からも指導が来たし、解体してしまってもいい?」これも、切実なご相談の一つです。
しかし、これは非常に危険な判断です。前述の通り、家の解体は「財産の処分行為」とみなされ、単純承認したと判断される可能性が極めて高いからです。そうなると、借金なども含めて全て相続しなければならなくなります。
たとえ空き家が危険な状態であっても、相続放棄をするのであれば、自己判断で解体してはいけません。管理義務を負っている場合でも、できることは応急処置など「保存行為」の範囲に限られます。
解体費用を誰が負担するか、という問題以前に、相続放棄をするなら解体はしない、というのが大原則です。もし自治体から解体などを強く求められている場合は、すぐに弁護士などの専門家に相談し、法的な観点から対応を協議する必要があります。
相続放棄された土地を買いたいときの購入方法


ここまでは相続放棄をする側の視点でしたが、逆に「相続放棄された土地や物件を買いたい」と考えている方もいるかもしれませんね。
相続放棄された不動産を購入することは、不可能ではありませんが、通常の不動産取引とは大きく異なります。
購入のルートは、基本的に「相続財産清算人」から購入するという流れになります。相続人全員が放棄した不動産は、この清算人が管理・処分する権限を持つからです。
購入までの流れ
- 相続財産清算人が選任されているか確認する。
- 清算人に対して購入の意思を伝える。
- 清算人が不動産を競売にかけるか、任意売却するかを判断する。
- 任意売却の場合、清算人は家庭裁判所の許可を得て売却手続きを進める。
このプロセスは、通常の不動産売買よりも時間がかかり、手続きも複雑です。また、相続財産清算人が選任されていない「放置された」状態の不動産は、そもそも売買の相手方が存在しないため、購入することはできません。まずは、法務局で不動産の名義変更(相続登記)の情報を確認したり、専門家に調査を依頼したりすることから始める必要がありますね。
相続放棄不動産についてよくあるご質問FAQ



相続放棄は、一度手続きをすると撤回できません。だからこそ、後悔しない選択が大切です。特に不動産が絡むと、管理義務や費用の問題など、見えにくいリスクが潜んでいます。少しでも迷ったり、不安に感じたら、一人で抱え込まずに専門家に相談してくださいね。
まとめ:相続放棄不動産は専門家へ相談を


- 相続放棄はプラスもマイナスも全ての財産を放棄する制度
- 特定の不動産だけを放棄することはできない
- 相続放棄の手続きは相続を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所へ
- あなたが放棄すると相続権は次の順位の相続人(例:兄弟)へ移る
- 相続人全員が放棄した不動産は最終的に国のもの(国庫帰属)になる
- 国庫帰属には相続財産清算人の選任が必要で費用もかかる
- 2023年の法改正で管理義務は「現に占有していた人」に限定された
- 管理義務を怠ると損害賠償リスクがある
- 単純承認とみなされるため財産の処分や家の解体はNG
- 手続きには戸籍謄本などの必要書類を揃える必要がある
- 兄弟間でトラブルにならないよう相続放棄の意思は伝えるのが望ましい
- 解体費用は相続放棄するなら負担すべきではない
- 放棄された不動産を買いたい場合は相続財産清算人から購入する
- 相続放棄の手続きは一度行うと撤回できない
- 複雑な場合は弁護士や司法書士など専門家への相談が安心
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