不動産売却やばいケース!知らないと数百万円損する恐怖の実情

不動産売却やばいケース!知らないと数百万円損する恐怖の実情
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終活だよドットコム運営者の終活・相続・不動産の専門家「カズです」。

「不動産売却やばいケース」と検索されているということは、ご実家の相続やお住み替えなどで、人生の大きな決断を前にされている最中かもしれませんね。

高額な取引ですし、専門知識も必要ですから、「悪質な業者に騙されたくない」「売った後にトラブルになったらどうしよう」と不安になるお気持ち、痛いほどよくわかります。

特に、不動産一括査定のデメリットや、しつこい電話の噂を聞いて、最初の一歩が踏み出せない方もいらっしゃるでしょう。また、相続した物件だと、税金や契約不適合責任といった売却後のリスクも心配ですよね。この不動産売却やばいケースは、その多くが「知識不足」と「準備不足」から起こっています。

ご安心ください。この記事では、私が多くの相続や不動産売却のご相談を受けてきた経験から、売主様が陥りがちな「やばいケース」の具体的な手口と、それを回避するための最強の防衛術を徹底的に解説します。この記事を読めば、あなたの不安が解消され、大切な資産を確実に守る方法がわかりますよ。

この記事のポイント
  • 悪質な不動産業者が使う「やばい手口」の具体例
  • 売却後に発生する「法的リスク」の本当の怖さ
  • 相続物件で注意すべき「税金の罠」
  • すべての「やばいケース」を回避する具体的な予防策
コンサルタント @KAZU

不動産売却は「誰と進めるか」が本当に重要です。査定額の高さだけで飛びつかず、「なぜその価格なのか」という根拠と、「あなたのためにどう売るか」という戦略を、誠実に説明してくれる担当者を見極めてください。その見極めが、やばいケースを避ける最大のコツですよ。

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悪質な業者を避ける確実な方法は、信頼と実績のある最大手に相談することです。

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目次

不動産売却やばいケースと悪質業者

不動産売却やばいケースと悪質業者

不動産売却の第一関門は、間違いなく「信頼できるパートナー(不動産会社)」を見つけることです。売却の成否は、ここで9割決まると言っても過言ではありません。

残念ながら、売主様の利益よりも自社の利益を最優先に考える業者も、業界には確かに存在します。彼らが使う典型的な「やばい手口」とその構造をあらかじめ知っておくことが、あなたの大切な資産を守るための第一歩になります。

不動産一括査定のしつこい電話

不動産一括査定サイト自体は、複数の会社の査定額を比較でき、おおよその相場観を掴むために非常に便利なツールです。私自身も、お客様に「まずは利用してみても良いですよ」とお勧めすることはあります。しかし、その「ビジネスモデル」を理解していないと、「やばい」体験をすることになります。

仕組みはこうです。あなたがサイトに物件情報を登録すると、その情報が(あなたが選んだ)複数の不動産会社に一斉に送信されます。そして、不動産会社側は、サイト運営会社に対して、あなた(売主候補)の情報1件あたり1万〜2万円といった高額な紹介料を支払っているのです。

不動産会社からすれば、1件の媒介契約(売却の依頼)を獲得するために、まず「先行投資」をしているわけです。そのため、支払ったコストを何としてでも回収しようと必死になります。

これが、「登録直後から鳴り止まない電話」や「しつこい営業電話」の正体です。彼らにとっては、あなたに電話をかけることは、仕入れコストを回収するための「営業活動」そのものなのです。

特に「査定額は電話で回答します」という業者は要注意です。これは書面(メール)で証拠を残さず、電話口での感触を探り、アポイントを取り付けるための常套手段であることが多いのです。

しつこい電話への対処法

この「電話の嵐」を避ける最も効果的な方法は、最初の電話を受けた時点で、毅然とした態度で「あなたのルール」を明確に伝えることです。

「以降の連絡は、すべてメール(あるいは特定のチャットツール)にしてください」

「まずは全社の査定書を書面(メール添付のPDFなど)で拝見し、比較検討した上で、こちらからご連絡する会社を決めます」

と、主導権を握る一言を伝えましょう。この初期対応だけで、無駄な営業電話に悩まされるストレスは大幅に軽減できるはずです。

一括査定のメリットを活かしたい方へ

「しつこい電話は嫌だけど、信頼できる複数社は比較したい…」そんな方には、匿名査定や、提携企業が厳選されている一括査定サイトの利用も一つの手です。

あらゆる不動産物件を一括査定(いえカツLIFE)

おとり査定(釣り査定)の手口

おとり査定(釣り査定)の手口

一括査定を利用する上で、しつこい電話以上に警戒すべき「やばい」手口が、この「おとり査定(釣り査定)」です。

これは、一括査定で複数社がズラリと比較されるという状況を利用した、非常に悪質な営業テクニックです。業者は、まずあなたの注意を引き、他社を差し置いて「話を聞いてもらう」ために、意図的に相場よりも著しく高い査定額を提示します。

売主様からすれば、「A社は3,000万円、B社は3,100万円、C社は3,800万円」と並んでいたら、まずはC社の話を聞いてみたくなる心理を巧みに利用するわけです。「こんなに高く売れるんだ!」と喜んで媒介契約(売却の依頼)を結んでしまいますが、残念ながらそれが罠の始まりなのです。

おとり査定のカラクリ

おとり査定の典型的な流れは以下の通りです。

  1. 高額査定で契約を獲得: 「弊社の販売力ならこの価格で売れます」「今ならこの価格で買いたいというお客様がいます」など、魅力的な言葉で相場を無視した高額査定を提示し、売主の期待を煽って「専任媒介契約」などの独占的な契約を結ばせます。
  2. 意図的に売れない期間を作る: 当然、その価格は相場からかけ離れているため、市場に公開しても買い手はまったく見つかりません。内覧の希望すら入らない、静かな時間が過ぎていきます。
  3. 理由をつけて値下げを要求: 売却活動開始から1〜2ヶ月後、売主様が「本当に売れるんだろうか」と不安になり始めたタイミングを見計らって、業者は連絡してきます。 「予想以上に反響がないですね」「最近、市況が急に悪化しまして」「近隣で安い物件が出たので、このままでは厳しいです」 などと様々な理由をつけ、結局は相場通り、あるいは焦った売主の足元を見て相場以下の価格まで大幅な値下げを迫るのです。

結果として、売主様は「高く売れる」という叶わぬ幻想に貴重な時間を費やすことになります。不動産売却において、売り出し直後の「販売初期」は、物件が市場から最も注目されるゴールデンタイムです。

この最も高く売れる可能性があったはずの新鮮な期間を、おとり査定によって無駄にしてしまうことが、売主様にとって最大の損失と言えるでしょう。

査定額の「高さ」に一喜一憂するのではなく、「なぜその査定額になったのか」という具体的な根拠(周辺の成約事例、物件のプラス評価・マイナス評価)を、論理的に説明できる業者かどうかを厳しくチェックしてください。

囲い込みと両手仲介の罠

これは、売主様からは非常に見えにくく、しかし確実に売主様の利益を損なう、業界の構造的な「やばい」問題です。「囲い込み」とは、売却依頼を受けた物件を、不動産会社が意図的に他の不動産会社(=他社)に紹介せず、自社で買主を見つけようと情報をコントロールする行為を指します。

なぜそんな面倒なことをするのか? その目的はただ一つ、「両手仲介」を成立させるためです。

片手仲介と両手仲介

  • 片手仲介(売主様の利益が最大化されやすい): 売主側の業者(A社)と、買主側の業者(B社)が別々になるケースです。A社は売主様からのみ仲介手数料(例: 売買価格の3%)をもらいます。B社は買主様から仲介手数料をもらいます。
  • 両手仲介(業者の利益が最大化される): 売主側の業者(A社)が、自ら買主も見つけてくるケースです。この場合、A社は売主様と買主様の「双方から」仲介手数料(例: 3% + 3% = 6%)をもらうことができます。

この「両手仲介」自体は、宅地建物取引業法で認められており、違法ではありません。問題は、業者の利益が単純に「倍」になるという強烈なインセンティブが働くため、これを目指すあまり、売主様の利益を犠牲にする悪質な「囲い込み」が横行する温床となっている点です。

例えば、他社(B社)が「3,000万円で買いたい」というお客様を見つけてA社に問い合わせても、A社が「今、自社のお客様と2,900万円で交渉中です」と嘘をついて、B社のお客様を断ってしまうケースです。

A社にとっては、2,900万円で両手仲介を成立させた方が、3,000万円の片手仲介よりも利益が大きくなる(売主様は100万円損をする)からです。

囲い込みがもたらす売主様への実害

囲い込みが行われると、売主様は以下のような深刻な実害を受けます。

  • 機会損失(高く売れるチャンスを逃す): 本来出会えたはずの、より良い条件(より高く)買ってくれるかもしれない買主様を、業者の都合でシャットアウトされます。
  • 売却期間の長期化: 広く買い手を探す機会を奪われるため、売れるまでに無駄な時間がかかります。
  • 売却価格の下落: 購入希望者間の競争原理が働かないため、結局は「自社の顧客」の言い値に近い価格、あるいは値下げを余儀なくされます。

これは、売主様に対する重大な裏切り行為にほかなりません。

この悪質な手口は社会問題化し、2025年1月施行の法改正で規制が強化されました。(出典:国土交通省「宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する命令について」

しかし、売主様自身も、「レインズ(不動産流通機構)の登録状況を定期的に確認する」「(専任媒介の場合)営業報告の内容が、自社顧客の紹介ばかりに偏っていないか精査する」といった自衛策が、今後も引き続き重要です。

仲介手数料以外の不当な請求

仲介手数料以外の不当な請求

不動産売却において、売主様が不動産会社に支払う成功報酬は、原則として法律(宅地建物取引業法)で上限が定められた「仲介手数料」のみです。

この上限額は、計算が少し複雑なため、速算式がよく用いられます。

仲介手数料の上限(速算式・消費税別)

売買価格計算式
200万円以下の金額売買価格 × 5%
200万円超 400万円以下の金額(売買価格 × 4%) + 2万円
400万円超の金額(売買価格 × 3%) + 6万円

※400万円を超える取引がほとんどですので、一般的には「売買価格の3% + 6万円(税別)」が上限と覚えておけば大丈夫です。

「やばいケース」として問題となるのは、この法定の手数料とは別に、「広告宣伝費」「ポータルサイト掲載料」「事務手数料」「書類作成費」「ローン手続き代行料」といった名目で、不透明かつ不適切な費用を請求されることです。

宅建業法の解釈では、SUUMOやHOME’Sといったポータルサイトへの情報掲載や、通常の新聞折込広告(チラシ)の費用は、業者が仲介手数料を得るための「通常の営業活動」に含まれるとされています。これらを別途請求することは、原則としてできません。

例外として、売主様が「特別に依頼した広告」については、実費が請求される場合があります。例えば、以下のようなケースです。

  • 通常の配布エリアを大きく超えた、遠隔地でのポスティングや新聞広告
  • 売主様の希望による、通常規模を超える特別なカラーチラシの作成
  • 売主様の希望による、ドローン撮影や特別なCGパースの作成費用
  • 売主様の希望による、通常は行わない特別なハウスクリーニングやホームステージング費用

このような「特別な依頼」をしていないにも関わらず、何の説明もなく諸費用が上乗せされている場合は、宅建業法違反の可能性があります。

必ず媒介契約を結ぶ前に、「仲介手数料以外に、私(売主)が実費で負担しなければならない費用はありますか? ある場合は、その項目と金額の根拠を書面でください」と明確に確認しましょう。ここで曖昧な返答しかできない業者は、信用に値しません。

怠慢な担当者と売れない期間

ここまでは「悪意のある」業者によるやばいケースでしたが、悪意はなくても、「能力不足」や「単なる怠慢」な担当者に当たってしまうことも、売主様にとっては深刻な「やばいケース」です。

契約後の熱意の低下

媒介契約(特に、1社にしか任せられない専任媒介契約)を獲得すること自体がゴールになってしまっている担当者です。契約書にハンコをもらうまでは非常に熱心だったのに、契約を結んだ途端に連絡が減り、積極的な販売活動が止まってしまうケースです。

販売戦略の不在

あなたの物件の「強み」と「弱み」を正しく分析できていないケースです。例えば、「このマンションは築年数が古いが、管理が良く駅近だ。だから、リタイア後のご夫婦や、利便性重視のDINKS(子供のいない共働き世帯)にターゲットを絞ってアピールしよう」といった、具体的な販売戦略がありません。

ただポータルサイトに情報を載せるだけで、「反響がない」と嘆いているだけでは、プロとは言えません。

不誠実な業務報告

専任媒介契約(専属専任・専任)の場合、業者は売主様に対し、法律で定められた頻度(専属専任なら1週間に1回以上、専任なら2週間に1回以上)で、業務の状況を報告する義務があります。

この報告が期限より遅れたり、報告内容が「今週の反響:0件」「ポータルサイト閲覧数:〇〇件」といった具体性のない数字だけで、「だから、次の一手として何をするのか」という提案が一切ない場合、担当者が怠慢である可能性が高いです。

「怠慢」か「囲い込み」かを見極める

特に注意したいのは、この「販売活動が止まっている(ように見える)怠慢」な状態が、実は前述の「囲い込み(両手仲介狙い)」と表裏一体である可能性です。

担当者が、他社からの買主紹介を水面下で断りつつ、自社の買主が現れるまで「待ち」の姿勢に入っているのかもしれません。売主様から見れば、これは「怠慢」にしか見えません。

営業報告書で、内覧希望者の出所が「自社顧客」や「自社ポータルサイト経由」ばかりに不自然に偏っていないか、チェックする視点も必要です。

売却後に発覚する不動産売却やばいケース

売却後に発覚する不動産売却やばいケース

無事に売却活動が終わり、買主様も見つかり、決済(代金の受け取りと物件の引渡し)も完了した。ホッとした数ヶ月後……。買主から「契約書に書かれていなかった欠陥が見つかった! 修理費用を払ってほしい!」と連絡が来る。

これこそが、金銭的にも精神的にも最もダメージの大きい、最悪の「やばいケース」です。売却が完了した後でさえ、売主様を縛り続ける法務リスクについて、詳しく解説します。

コンサルタント @KAZU

売却後のトラブルは、「知らなかった」では済まされません。特に相続した古いご実家などは、売主様自身も把握していない不具合が潜んでいる可能性があります。「売る前に専門家(ホームインスペクター)に調べてもらう」。この一手間が、将来の数百万円の賠償リスクからあなたを守ってくれます。

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そもそも、売却の「前」の段階で凍結されていませんか?

売却後のトラブルも大変ですが、親御様名義の不動産が「認知症」で資産凍結され、売却自体ができなくなるケースが急増しています。

「実家を売却して施設費用に」という計画が、根底から崩れてしまうのです。認知症による資産凍結から親を守る|家族信託のおやとこ

親御様が元気なうちに、今すぐできる対策をご確認ください。

契約不適合責任と高額賠償

不動産売買の法律関係で、近年最も大きな変更があったのがこの点です。かつての「瑕疵(かし)担保責任」は、2020年4月の民法改正により「契約不適合責任」へと変わりました。

言葉が変わっただけでなく、売主様の責任は実質的に「強化」されたと理解してください。

  • 旧:瑕疵担保責任 「隠れた」瑕疵(欠陥)についてのみ、売主が責任を負う。買主が請求できるのは、主に「損害賠償」か「契約解除」だった。
  • 新:契約不適合責任 「隠れた」かどうかは関係なく、「契約書の内容と、実際に引き渡したモノが違う(=不適合)」場合に、売主が責任を負う。

この改正により、買主様が売主様に請求できる権利も強化され、以下の4つが明確化されました。

「知らなかった」は通用しない【無過失責任】

この責任の最も恐ろしい点は、売主様に過失がなくても(=売主様がその欠陥の存在をまったく知なくても)責任を負わされる「無過失責任」である点です。

例えば、売主様も全く知らなかった床下のシロアリ被害や、壁内部のわずかな雨漏りが、引渡し後に発覚した場合。それが「契約書に記載されておらず、契約内容と異なる」と判断されれば、売主様は買主様から以下の請求を受ける可能性があります。

  1. 追完請求(修理の要求): 「まずは欠陥を直してください」という請求です。これが基本となりました。
  2. 代金減額請求: 修理が不可能だったり、売主様が修理に応じない場合に、「その欠陥の分、代金を減額してください」という請求です。
  3. 損害賠償請求: 「その欠陥のせいで、ホテル住まいを余儀なくされた。その費用も賠償してください」など、追加の損害を請求されることです。
  4. 契約解除: 欠陥が重大で、買主様が「住む」という目的を達せられない場合に、「契約そのものを白紙に戻す」という請求です。

これが、売却後に発生する最大の金銭リスクであり、数百万円単位の賠償に発展するケースも稀ではありません。

心理的瑕疵の告知義務違反

心理的瑕疵の告知義務違反

契約不適合責任(モノの欠陥)と並んで、売主様が重い責任を負うのが「告知義務違反」です。これは、売主様が「知っていた」物件に関するネガティブな情報を、故意に(あるいはうっかり)買主に伝えなかった(告知しなかった)ケースを指します。

物理的な欠陥でなくても、買主様の「購入判断に重大な影響を与える」と判断される事実は、すべて告知する義務があります。その代表格が「心理的瑕疵」です。

  • 敷地内(建物内や庭など)での自殺、他殺
  • 火災や事故による死亡
  • 特殊清掃が必要となった孤独死
  • (過去の判例では)建物内で殺人事件があった土地など

これらは、買主様の「心理的な嫌悪感」を引き起こす可能性があり、売主様がその事実を知っていたのであれば、必ず告知しなければなりません。

よく「賃貸物件なら、孤独死から3年経過すれば告知しなくてよいガイドラインが出た」という話(※正確には「おおむね3年間」)がありますが、あれはあくまで「賃貸」の話です。

不動産「売買」においては、そのような期間の免除規定は一切ありません。

過去の判例では、何十年も前の事件であっても、買主の「心理的嫌悪感」が客観的に認められるとして、告知義務違反(=損害賠償)が認められたケースもあります。「言わなければバレないだろう」という安易な考えは、将来、非常に高い代償を払うことになります。

いわゆる「事故物件」の売却でお悩みの方へ

心理的瑕疵や孤独死など、一般の仲介では売却が難しい物件は、専門の買取業者に相談するのが最も確実な解決策です。査定は無料ですので、まずは相談してみましょう。

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近隣トラブルは告知が必要?

見落としがちですが、心理的瑕疵と同様に非常に「やばい」のが「環境的瑕疵(近隣トラブル)」です。

物件そのものには何の欠陥がなくても、その周辺環境に「住み心地を著しく害する」要因がある場合、それも告知義務の対象となります。

  • 近隣の騒音(例:夜中に大音量で音楽を流す住民、工場の稼働音、動物の異常な鳴き声など)
  • 異臭(例:近隣のゴミ屋敷、工場の排気、飲食店からの臭いなど)
  • 近隣住民による迷惑行為(例:頻繁に怒鳴り込んでくるクレーマー、ゴミの不法投棄、私道での迷惑駐車など)
  • 近隣の反社会的勢力の事務所や、指定暴力団の組事務所の存在

こうしたトラブルについて、「もう解決したから大丈夫だろう」「これは生活音の範囲内だ」といった売主様の主観的な判断は一切通用しません。

重要な判断基準は、「もし買主が契約前にその事実を知っていたら、購入判断に影響した(=買わなかった、あるいは減額を要求した)可能性があるか」どうか、です。

もし、このような近隣トラブルの存在を売主様が「知っていながら黙って売った」場合、後で発覚すれば告知義務違反に問われます。さらに、後述する「契約不適合責任の免責特約」を結んでいたとしても、「知っていたのに隠した」という悪質性から、その免責特約自体が無効とされ、損害賠償の対象となる可能性が極めて高いです。

このような一般の買い手が見つかりにくい「訳あり不動産」は、通常の仲介ではなく、専門の買取業者へ売却する(買取)が、最も確実な出口戦略となる場合があります。

共有名義や再建築不可など「訳あり」物件の解決策

近隣トラブル以外にも、「共有名義で揉めている」「接道義務違反で再建築不可」など、複雑な事情を抱えた不動産は、専門家への相談が不可欠です。

「共有持分のみ」でもOK!訳あり物件の無料査定を相談する(ワケガイ)

「うちの不動産も、もしかして訳あり物件かもしれない…」と感じた方へ
訳あり物件とは?基礎ガイド|価格に潜む落とし穴と専門家の回避法 で、事故物件・再建築不可・共有名義・接道義務違反など、よくあるパターンと注意点を基礎から確認しておくと安心です。

ローン残債割れと持ち出し金

ローン残債割れと持ち出し金

これは法的なリスクとは異なりますが、売主様の「資金計画」が破綻する、金銭的に「やばいケース」の典型です。「ローン残債割れ」とは、不動産の売却価格が、住宅ローンの残債(残りの借金)を下回ってしまう状態を指します。

例えば、以下のようなケースです。

売却価格(手取り): 3,000万円

住宅ローンの残債: 3,200万円

200万円の赤字(持ち出し)が発生

なぜこれが「やばい」のか。それは、不動産を売却するためには、その物件に設定されている「抵当権」(=もしローンを返せなかったら、銀行がその家を競売にかけてお金を回収できる権利)を、必ず抹消しなければならないからです。そして、抵当権を抹消する条件は、「住宅ローンを全額完済すること」です。

上記の例では、売却代金の3,000万円をすべて返済に充てても、まだ200万円のローンが残ってしまいます。この不足する200万円は、売却の決済日当日に、売主様が自己資金(貯金など)から持ち出して支払う必要があります。

もし、この「持ち出し金」が用意できなければ、ローンを完済できず、抵当権も抹消できず、買主様に所有権を移転できません。つまり、そもそも売却自体が成立しない(=契約不履行)という最悪の事態に陥ります。

売却活動を始める前に、まずは「住宅ローンの残高証明書」を取り寄せたり、金融機関のウェブサイトで確認するなどして、「今、残債がいくらあるのか」を1円単位で正確に把握することが、絶対条件です。

相続物件の税金と取得費不明

相続したご実家を売却する際、最大の税務上の「やばいケース」がこれです。「売却益(利益)が出たら税金がかかる」ことはご存知の方も多いですが、その「利益」の計算方法に、恐ろしい罠が潜んでいます。

「相続した不動産の売却手順を、全体像から整理しておきたい」という方へ
相続不動産 売却 手続きの完全ガイド では、相続登記から査定・契約・引き渡しまでの流れを、必要書類や注意点とあわせてわかりやすく解説しています。

不動産売却で利益(=譲渡所得)が出ると、その利益に対して「譲渡所得税」が課税されます。利益の計算式は、原則としてシンプルです。

譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用)

ここで最大のネックとなるのが「取得費」です。取得費とは、その不動産を「いくらで買ったか」という購入代金だけでなく、購入時にかかった仲介手数料や登記費用、不動産取得税なども含まれます。

問題は、親や祖父母が昔(例えば30年、40年前)に買った物件の場合、当時の「売買契約書」や「領収書」がどこにも見当たらず、「取得費がいくらだったのか、完全に不明」というケースが多発することです。

概算取得費5%ルールの恐怖

もし、この「取得費」を証明する書類が何もない場合、税務署はどのような計算をするのか。ここで「売却価格の5%」を取得費とみなす、という非常に厳しいルール(=概算取得費)が適用されます。

例:相続したご実家を「5,000万円」で売却。取得費は不明。

【税務署の計算(概算取得費5%)】

取得費: 5,000万円 × 5% = 250万円

譲渡所得: 5,000万円 - (取得費 250万円 + 譲渡費用(仮) 200万円) = 4,550万円

もし、本当は親がその家を「3,000万円」で買っていた(本当の取得費は3,000万円)としたら、本来の譲渡所得は「1,800万円」(5,000万 – (3,000万 + 200万))だったはずです。

それが、「取得費不明」というだけで、税務上の利益(譲渡所得)が4,550万円に跳ね上がり、本来払う必要のなかったはずの莫大な譲渡所得税が課税されてしまうのです。これが、相続物件に潜む最大の「税務上の爆弾」です。

対策は、絶対に諦めないことです。「売買契約書」がなくても、法務局で「登記簿謄本」を取得して当時の購入時期(抵当権の設定時期など)を調べたり、当時の「住宅ローンの返済履歴」や「通帳の振込履歴」を探し出すことが重要です。

それでも見つからない場合、最終手段として、税理士さんと相談し、当時の「地価公示」や「建物の建築単価」などから「合理的に取得費を推計」する方法もあります。

税務署に認められるハードルはありますが、5%ルールをそのまま適用されるよりは、はるかに税金を抑えられる可能性があります。相続した不動産の売却は、税務知識が豊富な専門家への相談が不可欠です。

相続税や譲渡所得税の不安、専門家に相談しませんか?

「取得費が不明」「特例が使えるか知りたい」など、不動産売却の税金は非常に複雑です。自己判断で損をしないためにも、まずは信頼できる税理士に相談しましょう。

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不動産売却のトラブルについてよくあるご質問FAQ

不動産売却のトラブルについてよくあるご質問FAQ
「契約不適合責任」はいつまで負うのですか?

売主が個人の場合、当事者の合意で「引渡しから3ヶ月間」などと期間を限定するのが一般的です。ただし、売主が宅建業者の場合は最低2年間となります。

「契約不適合責任を免責」にする特約は有効ですか?

売主が個人の場合、買主との合意があれば「免責特約」は原則として有効です。ただし、売主が知っていた瑕疵を隠した場合、その免責特約は無効になります。

ホームインスペクション(建物診断)はやるべきですか?

強く推奨します。費用はかかりますが、事前に問題点を発見・告知することで、売却後の契約不適合責任を問われる「やばいケース」をほぼ確実に回避できます。

告知義務のある近隣トラブル物件は、どう売ればいいですか?

仲介での売却は困難を極めるため、専門の「買取業者」に売却するのが賢明な出口戦略です。買取なら契約不適合責任も免責されるケースがほとんどです。

コンサルタント @KAZU

ここまで「やばいケース」をたくさんお話ししましたが、不安にさせるのが目的ではありません。「トラブルは、すべて事前に予防できる」ということを知ってほしかったのです。正しい知識で武装し、誠実なパートナーを見つけることが、あなたの資産を守る最強の盾になります。

不動産売却やばいケースの予防と解決策

ここまで、不動産売却の「活動中」と「売却後」に潜む、様々な「やばいケース」を見てきました。どのケースも、実際に陥ってしまえば、数百万円、時には数千万円単位の金銭的損失と、計り知れない精神的ストレスを売主様にもたらします。

しかし、これらのリスクのほとんどは、「事前の準備」「戦略的な対応」によって、その発生確率を限りなくゼロに近づけることが可能です。

まず、業者選びの段階では、「おとり査定」のような目先の高値に惑わされず、提示された査定額の「根拠」と、あなたの物件を売るための「具体的な販売戦略」を、誠実かつ論理的に説明できる担当者かどうかを厳しく見極めること。これが、悪質業者を回避する第一歩です。

そして、売却後のトラブルを防止するために、私(カズ)が最も強く推奨する予防策が、「ホームインスペクション(既存住宅状況調査)」の活用です。

これは、資格を持つ専門家(ホームインスペクター)が、中立の立場で建物の劣化状況や欠陥の有無(雨漏り、シロアリ、傾きなど)を診断するものです。費用は数万円(例:5万〜7万円程度)かかりますが、この「先行投資」が、将来の数百万円の賠償リスクからあなたを守ってくれます。

インスペクションの結果、もし瑕疵(欠陥)が見つかったとしても、落ち込む必要はまったくありません。その結果(インスペクション報告書)を、売却時に作成する「物件状況報告書(告知書)」にすべて正確に記載し、「この物件には、こういう瑕疵があることを承知の上で売買します」と契約書に明記すればよいのです。

そうすれば、買主様はその瑕疵について、後から「契約不適合責任」を追及することができなくなります。これこそが、売主様が取れる、最も誠実かつ最強の法的防衛策なのです。

また、相続物件の「取得費不明」の罠に対しては、売買契約書がなくても諦めず、税理士などの専門家と協力して、合理的な取得費を算出する努力を怠らないことが、手元に残る現金を最大化するために重要です。

「不動産売却やばいケース」を回避するための鍵は、突き詰めれば、「売主自身が防衛のための知識を持つこと」「リスクを隠さず、誠実に開示すること」「そして、そのプロセスを二人三脚で支えてくれる、誠実な専門家(パートナー)と組むこと」、この3つに尽きます。

ご実家の売却とあわせて、片付けや遺品整理でお悩みの場合、専門の業者に相談するのも賢明な判断です。すべてを自分で抱え込む必要はありません。

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今日からできるアクションプラン

この記事を読んで、「やばいケースは避けたい」と本気で思われたなら、まずはこの3つのアクションから始めてみてください。

  • プラン1:住宅ローンの残債確認 まずは「敵(=残債)がいくらか」を正確に把握しましょう。金融機関のウェブサイト(インターネットバンキング)や、郵送される残高証明書で今すぐ確認できます。
  • プラン2:相続物件の書類捜し(相続の場合) ご実家を売る可能性がある方は、ご両親が元気なうちに「売買契約書」や「登記済権利証(または登記識別情報)」、「購入時のパンフレット」などがどこにあるか、確認・共有しておきましょう。それが将来の数百万円の節税に繋がります。
  • プラン3:ホームインスペクションの情報収集 「(お住いんの地域名) ホームインスペクション 費用」などで検索し、信頼できる診断会社(NPO法人や、特定の不動産会社に属さない中立な会社)がどれくらいあるか、費用相場はいくらかを調べてみましょう。

とくに「まだ売るか決めていない空き家」をそのままにしている方へ
【緊急警告】空き家放置リスクで税金6倍!?今すぐ始める具体的な対策 を読んでおくと、固定資産税の増税や行政指導など、「放置したまま起こり得る最悪のシナリオ」とその回避策を事前に押さえられます。

準備が8割です! 不安を解消するためにも、まずは小さな一歩から、確実な売却の準備をスタートさせましょうね。

売却の「前」の資産凍結リスク、忘れていませんか?

すべての「やばいケース」の土台には、「親が元気であること」が前提にあります。

万が一、親御様が認知症などで判断能力を失うと、すべての売却活動がストップします。認知症による資産凍結から親を守る|家族信託のおやとこ

そうなる前に、専門家が提案する「家族信託」の資料だけでも確認しておきましょう。

最後にもう一度。信頼できるパートナー探しが第一歩です。

不安な時こそ、実績No.1の安心感が大きな助けになります。

まずは無料の査定申込みから、あなたの不動産売却をスタートさせましょう。

まずは「いくらで売れそうか」、無料査定で我が家の診断

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この記事を書いた専門家

保有資格: 相続診断士 / 宅地建物取引士 / AFP(日本FP協会認定)など20種以上

不動産・金融業界で15年以上の実務経験、1,500件以上の相談実績を持つ相続・終活・不動産相続のプロフェッショナル。法律・税務・介護の専門家と連携し、ご家族に寄り添った円満な終活・相続を実現します。

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