
突然、親族から賃貸アパートやマンションを引き継ぐことになったら、あなたはどうしますか?「大家が亡くなった後、賃貸契約はどうなるんだろう?」と、まず頭に浮かぶのは入居者様のことかもしれませんね。
賃貸の相続では名義変更も必要ですし、気になるのは賃貸物件を相続した場合の家賃収入の扱い。そして、何より頭が痛いのが税金の問題です。賃貸不動産の相続税は一体いくらかかるのか、アパート相続税のシミュレーションをしてみても、本当にこの計算で合っているのか不安で夜も眠れない…なんてことも。
万が一、アパートの相続税が払えない事態になったら大変ですし、アパート相続は兄弟トラブルに発展しやすいとも聞きます。相続税対策でアパートを建てて失敗した、なんて笑えない話も耳にしますから、アパート相続のデメリットもしっかり理解しておきたいですよね。
相続した賃貸物件の評価方法や、「賃貸不動産を相続したら確定申告は必要ですか?」といった素朴な疑問まで、この記事で一つひとつ丁寧に紐解いていきましょう!
- 賃貸不動産を相続した際の一連の手続きの流れ
- 相続税評価額の計算方法と節税のポイント
- 相続で起こりやすい兄弟間のトラブルと回避策
- 相続した賃貸物件の経営で注意すべきこと

こんにちは、終活・相続の専門家カズです。賃貸不動産の相続は、普通の相続サポートとは異なり、手続きが複雑で多くの方が戸惑われます。特に家賃収入の扱いや入居者様への対応は、まさに時間との勝負。でも、ポイントさえ押さえれば大丈夫ですよ。私がこれまでサポートしてきた経験から、初心者がつまずきやすい点を中心に、具体的な解決策を分かりやすくお伝えしますね。
賃貸不動産相続の基本|手続きから評価まで


大家が亡くなった後、賃貸契約はどうなる?
まず最初に知っておいていただきたいのは、大家さんが亡くなったとしても、入居者様との賃貸借契約はそのまま新しい所有者(相続人)に引き継がれるということです。相続を理由に、入居者様にいきなり退去を求めたり、一方的に家賃を値上げしたりすることはできません。
これは、土地や建物といった物理的な不動産だけでなく、契約上の「貸主」としての地位も、権利や義務をすべて含めて相続人が承継するためです。
具体的には、家賃を受け取る権利はもちろんのこと、契約期間が満了した際に更新手続きを行う義務、さらには建物の修繕義務なども引き継ぎます。そして、特に注意が必要なのが「敷金」の返還義務です。敷金は、あくまで入居者様から預かっているお金であり、被相続人の財産ではありません。
したがって、将来入居者様が退去する際には、相続人がこの敷金を返還しなければなりません。遺産分割の際には、この敷金を「負債」として考慮に入れることを忘れないようにしましょう。
入居者様への通知も忘れずに
相続人が確定したら、できるだけ速やかに入居者様や管理会社へ、貸主が変更になった旨を書面で通知することが望ましいです。通知には、新しい貸主の氏名、連絡先、そして新しい家賃の振込先口座を明記します。これにより、入居者様も安心して家賃を支払うことができ、後のトラブルを防ぐことにも繋がります。
賃貸の相続で必要な名義変更


相続によって賃貸不動産を取得することが決まったら、その不動産を管轄する法務局で「相続登記」という不動産の名義変更手続きが必須です。この手続きを行って初めて、その不動産が自分の所有物であることを第三者に対して法的に主張できるようになります。
これまで相続登記は任意でしたが、所有者不明の土地問題が深刻化したことを受け、法務省の発表通り、2024年4月1日から義務化されました。正当な理由なく、相続の開始を知った日から3年以内に登記申請をしないと、10万円以下の過料の対象となる可能性がありますので、必ず行いましょう。
相続登記の一般的な流れ
- 遺言書の有無の確認:まず、被相続人が遺言書を遺していないかを確認します。
- 相続人の確定:被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等を取り寄せ、相続人を確定させます。
- 遺産分割協議:遺言書がない場合、相続人全員で誰がどの財産を相続するかを話し合います。
- 遺産分割協議書の作成:協議で合意した内容を文書化し、相続人全員が署名・実印を押印します。
- 必要書類の収集・登記申請:法務局に登記申請書と下記の必要書類を提出します。
相続登記の主な必要書類と取得場所
書類の種類 | 主な取得場所 |
---|---|
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本 | 本籍地の市区町村役場 |
被相続人の住民票の除票または戸籍の附票 | 最後の住所地の市区町村役場 |
相続人全員の戸籍謄本 | 各相続人の本籍地の市区町村役場 |
不動産を相続する方の住民票 | 住所地の市区町村役場 |
固定資産評価証明書 | 不動産所在地の市区町村役場または都税事務所 |
相続人全員の印鑑証明書 | 各相続人の住所地の市区町村役場 |
これらの書類収集は非常に手間がかかるため、手続きに不安がある場合は、司法書士などの専門家に依頼することも検討しましょう。
賃貸物件の相続と家賃収入の扱い
相続が発生してから、遺産分割協議が完了するまでの間、アパートから生じる家賃収入は誰のものになるのでしょうか?これは、法律的には「遺産」そのものではなく、相続財産から生じる「果実」とされ、各共同相続人がそれぞれの法定相続分に応じて取得する権利を持つ共有財産と解釈されています。
しかし、実際問題として、毎月の家賃を法定相続分で分割して各相続人に振り込んでもらうのは現実的ではありません。そのため、実務上は相続人の代表者が一旦すべての家賃収入を受け取り、管理費用などを差し引いた上で、遺産分割協議が成立した際に最終的に精算する、というケースが一般的です。
ここで最も重要になるのが、家賃の振込先口座の変更手続きです。金融機関は、口座名義人の死亡を知ると、その口座を凍結します。口座が凍結されると、入金も出金もできなくなり、家賃が振り込まれない、管理費が引き落とせないといった問題が発生します。相続手続きの中でも、この口座変更の連絡は、管理会社や入居者様へ最優先で行うべき事項の一つです。
賃貸不動産を相続したら確定申告は必要ですか


はい、ほとんどのケースで確定申告が必要になります。賃貸不動産を相続した場合、主に2種類の確定申告が関係してくることを理解しておきましょう。
1. 準確定申告(亡くなった方の申告)
これは、亡くなった被相続人自身の、その年の所得税の確定申告です。相続人は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に、被相続人に代わって申告と納税を行わなければなりません。
申告の対象となるのは、その年の1月1日から亡くなった日までの期間に得た所得(家賃収入や給与所得など)です。もし期限内に申告を忘れると、無申告加算税や延滞税が課される可能性があります。
2. 相続人自身の確定申告
賃貸不動産を相続した方は、相続開始日(被相続人が亡くなった日)以降に発生した家賃収入を、ご自身の「不動産所得」として、翌年の確定申告期間(原則2月16日~3月15日)に申告する必要があります。不動産所得は、年間の総家賃収入から、経営にかかった必要経費を差し引いて計算します。
不動産所得の主な必要経費の例
- 租税公課(固定資産税、不動産取得税、登録免許税など)
- 損害保険料(火災保険、地震保険など)
- 減価償却費(建物の価値の減少分)
- 修繕費(原状回復費用など)
- 管理費(管理会社への委託料)
- 借入金の利子(建物取得のためのローン利息)
- その他(税理士報酬、交通費、通信費など)
経費として認められる範囲については、国税庁のウェブサイト「不動産所得の計算方法」にも詳しい解説がありますので、参考にしてください。
相続した賃貸物件の評価方法
相続税の計算を行う上で、相続財産の評価は非常に重要です。特に不動産は評価額が大きく、その評価方法が相続税額に直接影響します。賃貸に出している物件は、自分で使用している物件に比べて、相続税評価額が低く算出されるという大きな特徴があります。
これは、賃貸借契約によって、所有者がその不動産を自由に使用したり、売却したりすることが制限されるため、その制約分を価値から差し引くという考え方に基づいています。
土地の評価:「貸家建付地(かしやたてつけち)」
賃貸アパートや貸家が建っている土地は「貸家建付地」と呼ばれ、その評価額は更地(自用地)として評価した場合の価額から、以下の計算式で求められる金額を控除して算出します。
貸家建付地の評価額 = 自用地としての評価額 × (1 – 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)
- 自用地としての評価額:路線価方式または倍率方式で計算した、更地としての評価額です。
- 借地権割合:土地の利用権のうち借地権が占める割合で、国税庁の路線価図で確認できます。地価の高い都市部ほど割合が高くなる傾向があります。
- 借家権割合:建物の利用権のうち借家権が占める割合で、これは全国一律30%と定められています。
- 賃貸割合:課税時期(相続開始日)において、実際に賃貸されている各独立部分の床面積の合計が、建物全体の床面積に占める割合です。
建物の評価:「貸家(かしや)」
建物についても同様に、第三者に貸している場合は「貸家」として評価され、自分で使用している場合の評価額(固定資産税評価額)から減額されます。
貸家の評価額 = 固定資産税評価額 × (1 – 借家権割合 × 賃貸割合)
このように、賃貸物件は評価額が圧縮されるため、結果として相続税の節税に繋がるのです。
ここまで手続きの流れを見てきましたが、いかがでしたか?少し複雑ですよね。特に税金の話になると、数字が苦手な方は頭が痛くなるかもしれません。
でも、相続税の仕組みを少し知っておくだけで、精神的にも金銭的にも余裕が生まれます。ここからは、皆さんが一番気になるお金とトラブルの話。具体的な失敗例も交えながら、賢く乗り切るコツをお教えしますね。
賃貸不動産相続の税金とトラブル対策


賃貸不動産にかかる相続税の基本
賃貸不動産を相続した場合の相続税についてですが、その不動産の評価額だけに直接税率を掛けて計算するわけではない、という点をまずご理解ください。相続税は、被相続人が遺した全ての財産の合計額から、借入金や未払金といった債務を差し引いた「正味の遺産総額」を基準に計算されます。
そして、全ての相続で税金が発生するわけではありません。相続税には「基礎控除」という非課税枠が設けられており、正味の遺産総額がこの基礎控除額以下であれば、相続税の申告も納税も不要です。
相続税の基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)
例えば、相続人が妻と子供2人の合計3人であれば、基礎控除額は「3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円」となります。遺産総額がこの金額を下回っていれば、相続税の心配はありません。
さらに、賃貸事業に使われていた土地については、「小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等)」という強力な節税制度が適用できる可能性があります。この特例を使えれば、土地の評価額を最大200㎡まで50%減額できます。ただし、相続開始前3年以内に貸付を始めた土地には原則適用できないなど、細かい要件がありますので、適用できるかどうかは税理士などの専門家への確認が必須です。
アパート相続税のシミュレーション


相続税が実際にどのくらいになるのか、具体的なイメージを持っていただくために、簡単なモデルケースで税額を計算してみましょう。
【シミュレーション条件】
- 相続財産:
・貸家建付地(評価額):3,000万円
・貸家(評価額):2,000万円
・預貯金:4,000万円
正味の遺産総額:9,000万円 - 相続人:配偶者と子供2人(法定相続人は計3人)
- 遺産分割:法定相続分通りに分割(配偶者1/2、子供各1/4)
- 基礎控除額の計算
3,000万円 + (600万円 × 3人) = 4,800万円 - 課税対象となる遺産総額の計算
遺産総額 9,000万円 – 基礎控除額 4,800万円 = 4,200万円 - 相続税の総額の計算
まず、課税遺産総額を法定相続分で分割したと仮定して、各人の税額を計算し、それらを合計して税金の総額を算出します。
・配偶者分:(4,200万円 × 1/2) = 2,100万円 → 税額 265万円
・子供1人分:(4,200万円 × 1/4) = 1,050万円 → 税額 107.5万円
相続税の総額:265万円 + 107.5万円 + 107.5万円 = 480万円 - 各人が実際に納める税額の計算
算出した相続税の総額(480万円)を、実際に財産を取得した割合に応じて按分します。今回、配偶者は「配偶者の税額軽減」という特例により、1億6千万円または法定相続分のいずれか多い金額まで相続税がかからないため、納税額は0円となる可能性が高いです。結果として、子供2人が相続税の総額を負担することになり、それぞれ約240万円を納税するという計算になります。
ご注意:このシミュレーションはあくまで基本的な計算例です。実際の相続税額は、小規模宅地等の特例の適用有無、二次相続(次の相続)まで考慮した分割方法、その他の財産の内容などによって大きく変動します。正確な税額を知るためには、必ず税理士にご相談ください。
相続税対策でアパート経営が失敗する例
「借金をしてアパートを建てれば、相続税が劇的に安くなる」という営業トークを耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。確かに、借入金はマイナスの財産として遺産総額から控除でき、建物も貸家評価で圧縮されるため、計算上は大きな節税効果が見込めます。しかし、その節税効果だけを鵜呑みにしてしまうと、取り返しのつかない失敗に繋がるケースが後を絶ちません。
よくある失敗パターンとその末路
- ずさんな需要予測と空室地獄:賃貸需要が見込めない郊外の土地に、業者の言うままアパートを建設。当初は良くても、数年後には空室が目立ち始め、家賃収入がローン返済を下回る「持ち出し経営」に。売却しようにも買い手がつかず、まさに負の遺産となってしまうケース。
- サブリース契約の落とし穴:「30年間家賃保証」という言葉に安心して契約したものの、実際には2年ごとに家賃の見直し条項があり、景気の変動を理由に保証家賃を大幅に引き下げられる。最終的には契約を解除され、多額のローンだけが残るケース。
- 税務署からの「否認」リスク:相続開始の直前に、高齢の親が多額の融資を受けてアパートを建設・購入した場合など、その取引が相続税の負担を不当に減少させるためのものと税務署に判断されることがあります。この場合、「財産評価基本通達6項」が適用され、通常の相続税評価額ではなく時価(売買実例価額など)で評価され、多額の追徴課税を課される可能性があります。
賃貸経営は、節税の手段である前に、長期的な視点が必要な「事業」です。目先の節税額に惑わされず、その土地で本当に事業として成り立つのかを冷静に見極める必要があります。最終的に相続した物件を売却するか賃貸に出すかは、慎重な判断が求められます。
知っておきたいアパート相続のデメリット


毎月安定した家賃収入が得られるという大きなメリットがある一方で、アパート相続には見過ごすことのできないデメリットやリスクも伴います。これらを事前に理解しておくことが、後悔しないための第一歩です。
最大のデメリットは、やはり経営リスクです。代表的なものに、空室リスク、家賃滞納リスク、そして家賃下落リスクがあります。周辺に新しい競合物件ができたり、地域の人口が減少したりすれば、空室は増え、家賃も下げざるを得ません。
収入が不安定になる一方で、固定資産税やローンの返済、管理費といった支出は容赦なく続きます。空き家のまま放置するリスクは、思った以上に大きいのです。
また、建物の老朽化も深刻な問題です。築年数が経てば、外壁の塗り替え、屋上の防水工事、給湯器やエアコンといった設備の交換など、大規模な修繕が必要になります。これらの費用は数百万円単位になることも珍しくなく、計画的に修繕費を積み立てておかないと、いざという時に対応できません。
さらに、入居者対応という精神的な負担も無視できません。騒音トラブル、ゴミ出しルールの違反、家賃滞納の督促など、貸主として対応すべき問題は多岐にわたります。もちろん、これらの管理業務は管理会社に委託することが可能ですが、最終的な経営責任は所有者であるあなた自身が負うことになるのです。
アパート相続で起こりうる兄弟トラブル
預貯金であれば1円単位で公平に分割できますが、アパートという「分けられない財産」は、相続人の間で最もトラブルになりやすい遺産と言っても過言ではありません。親の面倒を誰が見てきたか、といった過去の感情的なしこりと絡み合い、「争族」へと発展するケースが非常に多いのです。
特に問題となりやすいのが、安易に「共有名義」で相続してしまうことです。例えば兄弟2人で2分の1ずつ共有名義にすると、その場は丸く収まるように見えます。
しかし、将来、どちらかが「このアパートを売りたい」と考え、もう一方が「まだ家賃収入が欲しいから売りたくない」と意見が対立した場合、共有者全員の同意がなければ売却はできません。この対立が原因で、兄弟関係に修復不可能な亀裂が入ってしまうこともあります。
トラブルを避けるための遺産分割方法
分割方法 | 内容 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
現物分割 | 長男がアパート、次男が預貯金、というように財産を現物のまま分ける方法。 | 手続きが比較的シンプル。 | 各財産の価値が異なり、完全に公平な分割が難しい。 |
代償分割 | 代表者1人がアパートを相続する代わりに、他の相続人に不足分を現金(代償金)で支払う方法。 | 不動産を共有にせず、1人に集約できる。 | 不動産を相続する人に、十分な代償金の支払い能力が必要。 |
換価分割 | アパートを売却して現金化し、その現金を相続人間で分ける方法。 | 最も公平に分割でき、後のトラブルが少ない。 | 売却に時間がかかる。希望の価格で売れるとは限らない。譲渡所得税がかかる。 |
どの方法が最適かは、ご家庭の状況によって全く異なります。最も確実なトラブル防止策は、被相続人が生前に公正証書遺言を作成し、誰に何を相続させるか、その理由まで明確に遺しておくことです。
アパートの相続税が払えない時の対処法


「相続財産は評価額の高いアパートだけ。納税するための現金が手元にない…」このような状況は、決して珍しいことではありません。相続税は、原則として申告期限(相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内)までに、現金で一括納付しなければなりません。
もし、どうしても現金での納付が難しい場合には、国が定めた救済措置があります。しかし、それぞれに厳しい要件やデメリットがあるため、慎重な検討が必要です。
納税が困難な場合の主な対処法
延納 納税額が10万円を超え、担保を提供することなどの一定の要件を満たした場合に、税務署長の許可を受けて、年賦(分割払い)で納付する方法です。期間は最長20年ですが、期間中は年1%前後の利子税がかかります。
物納 延納によっても金銭で納付することが困難な場合に、相続した財産(不動産や株式など)そのもので税金を納める方法です。ただし、物納できる財産には優先順位があり、管理や処分が難しい不動産(境界が不明確な土地など)は許可されないなど、非常に厳しい要件があります。
まさに最終手段と言えるでしょう。 不動産の売却 相続した不動産の一部または全部を売却し、その売却代金で納税する方法です。相続税の申告期限から3年以内に売却すれば、「取得費加算の特例」が使え、売却にかかる譲渡所得税を軽減できる場合があります。多くの場合、最も現実的な選択肢となります。
いずれの方法を選択するにせよ、申告期限までに税務署への申請や相談が必要です。納税資金に少しでも不安を感じたら、放置せずに、一日も早く税理士などの専門家に対策を相談することが何よりも重要です。
賃貸不動産相続についてよくあるご質問FAQ



たくさんの情報、本当にお疲れ様でした!賃貸不動産の相続は、法律や税金、経営の知識まで求められるので、最初は大変に感じるかもしれません。ですが、一つひとつ丁寧に対応すれば、親御さんが遺してくれた大切な資産を、次の世代にしっかりと繋いでいくことができます。最後に、この記事の重要ポイントをまとめましたので、今後のためのチェックリストとして、ぜひご活用くださいね。
専門家への相談が重要な賃貸不動産相続


- 貸主としての地位や敷金返還義務も相続の対象となる
- 相続登記は2024年4月から義務化されたため速やかに手続きする
- 相続発生後の家賃収入は遺産分割が終わるまで法定相続分で分割
- 家賃の振込先口座の変更は最優先で行う
- 被相続人分の準確定申告と相続人自身の確定申告が必要になる
- 賃貸物件は貸家建付地・貸家評価で相続税評価額が低くなる
- 相続税は遺産総額が基礎控除額を超えた場合に発生する
- 小規模宅地等の特例で土地の評価額を大幅に下げられる可能性がある
- 節税目的だけの安易なアパート建築は失敗リスクが高い
- 空室リスクや修繕費の負担がアパート経営の主なデメリット
- 共有名義での相続は将来のトラブルの原因になりやすい
- 遺言書は最も有効な相続トラブル防止策
- 相続税が払えない場合は延納・物納・売却などの選択肢がある
- 手続きや判断に迷ったら税理士や司法書士など専門家へ相談する
- 信頼できる賃貸管理会社を見つけることが経営成功のカギ
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