
こんにちは。親の家や相続した不動産の悩みを一緒に考える、カズです。
親が住まなくなった実家を前にすると、「元気なうちに売った方がいいのか、それとも相続してから売った方がいいのか」と迷いますよね。税金だけで決めようとすると、かえって答えが見えにくくなるテーマです。
先に結論を言うと、相続前と相続後のどちらが常に有利とは限りません。

親本人の意思、今の居住状況、売却後のお金の使い道、相続人の人数、使える税制まで並べて、家族全体で最終的にいくら残るか、手続きにどれだけ負担がかかるかで比べるのが現実的です。
- 相続前と相続後で変わる売主と手続き
- 生前売却と相続後売却の税金の違い
- 家族構成や親の意思から見た判断基準
- 売る時期を決める前に確認する順番
相続前と相続後の結論
まず大きな違いを押さえましょう。相続前に売れば売主は親本人で、売却代金は親の財産になります。相続後に売れば、不動産を取得した相続人が売主になり、相続登記や遺産分割との関係も出てきます。
| 比較項目 | 相続前に売却 | 相続後に売却 |
|---|---|---|
| 売主 | 原則として所有者である親本人 | 不動産を取得した相続人 |
| 相続時に残る財産 | 売却代金の残額など | 原則として相続開始時の不動産 |
| 税制 | 親本人のマイホーム特例などを検討 | 取得費加算や相続空き家特例などを検討 |
| 家族の話し合い | 親の意思を中心に進める | 相続人・遺産分割・売却方針の確認が必要 |
| 向きやすい場面 | 親が売却を希望し、資金を生活や介護に使いたい | 不動産のまま承継する意味があり、相続後の税制も確認したい |
判断のポイント
「相続税だけ」「売却時の税金だけ」で決めないことです。相続前に売れば分けやすい現金になりますが、その現金が親の手元に残れば相続財産です。相続後なら税制上の選択肢が増えることがある一方、相続人や名義の手続きが増えます。
相続前に売る方が向く場合
相続前の売却は、親が元気で意思がはっきりしており、今後その家を使う予定がないケースで考えやすい方法です。特に、売却代金を親自身の生活費や施設費に充てたい場合は、目的と売却がつながっています。

親本人が売却を望んでいる
不動産は親の財産なので、相続前の売却を決める主体も親本人です。子どもが「将来相続するから」と自分の判断だけで売ることはできません。
親が売却を望み、住み替えや施設入居後の資金計画も見えているなら、生前に売って管理負担を終わらせる方法は検討しやすいでしょう。固定資産税、保険、修繕、庭の手入れなどが続く家なら、保有を続ける費用も一緒に見ます。
現金にして分けやすくしたい
一つの実家を兄弟で分けるより、現金の方が分け方を話しやすい面はあります。ただし、売っただけで相続税の対象から外れるわけではありません。親が使わずに残した売却代金は、原則として親の財産として相続時に確認することになります。
また、売却後のお金を子どもへ渡せば、金額や方法によって贈与税など別の論点が出ます。「現金化すれば相続対策になる」と単純には考えない方がいいですよ。
親のマイホーム特例を確認する
親が自分のマイホームを売る場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。すでに住まなくなっている場合でも、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売るなどの要件を満たせば対象になることがあります。
一方、相続後に子どもが売る場合は「親が住んでいた家だから」というだけで、子ども自身のマイホーム特例が使えるわけではありません。相続後には別の空き家特例を検討する形になるため、売却前後で使える制度を分けて見てください。
相続後に売る方が向く場合
相続後の売却は、不動産のまま相続することに税務上または家族上の意味がある場合に候補になります。ただし、「不動産は現金より必ず相続税が安い」と決めつけるのは避けましょう。
不動産の相続税評価を確認したい
土地の相続税評価は路線価方式や倍率方式、家屋は原則として固定資産税評価額を基にします。実際の売却価格と同じ数字ではありません。そのため、相続前に現金化した場合と、不動産として相続した場合では、相続税の計算結果が変わることがあります。
さらに、一定の宅地では小規模宅地等の特例を使える可能性があり、典型的な特定居住用宅地等では330㎡まで80%の減額があります。ただし取得者によっては相続税の申告期限までの居住や保有が要件です。相続後すぐに売る予定なら、特例への影響を先に確認してください。
相続後の売却特例を確認したい
相続税を負担した相続人が一定期間内に相続財産を売る場合は、相続税額の一部を取得費へ加算できることがあります。また、亡くなった親が住んでいた一定の旧耐震住宅などでは、相続空き家の3,000万円特別控除を使える可能性があります。
2026年8月時点で相続空き家の特例は、一定の要件を満たす2027年12月31日までの譲渡が対象です。相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までという期限もあり、対象財産を取得した相続人が3人以上なら控除上限は一人2,000万円です。取得費加算と同じ譲渡で自由に重ねて使える制度でもありません。
相続後の税制は「期限内なら使える」というものではありません。相続人の人数、建築時期、居住状況、売却額、相続後の利用状況などで結果が変わります。売買契約を結ぶ前に、税務署や税理士へ適用可否を確認してください。
相続税の申告期限より前に売るケースは、相続税申告前に不動産を売却する手順と注意点で詳しく確認できます。
税金は手残りで比べる
私なら、生前か死後かを決めるときに「税額が低い方」だけを見ません。売却価格から税金、仲介手数料、登記費用、片付け、測量、解体、ローン残債などを差し引き、家族全体で残る金額を比べます。

売却代金も相続財産になる
生前に3,000万円で売ったとしても、その3,000万円がそのまま残っていれば、相続時には現金などとして確認することになります。逆に、不動産で残せば相続税評価は市場価格とは別の方法で計算されます。
だからこそ「生前売却=相続税が下がる」「相続後売却=必ず得」という結論にはできません。親が売却代金を何に使うのかまで含めて見る必要があります。
親の購入資料を残しておく
相続後に売る場合でも、取得費と取得時期は原則として親のものを引き継ぎます。親が昔買ったときの売買契約書や領収書が見つかれば、譲渡所得の計算で重要な資料になります。
取得費が分からない場合には売却額の5%を概算取得費とする方法がありますが、実際の取得費を確認できる場合と税額が大きく変わることがあります。古い書類は片付けの途中で捨てず、中身を見てから判断してください。
◆カズのワンポイントアドバイス
相続前か相続後かを比べるときも、査定額だけでは決めません。私なら「今売った場合の手残り」「相続後に売った場合の税金と費用」「半年や1年持った場合の維持費」を同じ紙に並べます。数字がそろうと、家族の話し合いがかなり進めやすくなります。
手続きと家族事情も比べる
税金と同じくらい大切なのが、誰が売主になれるか、家族の意見がそろっているかです。相続前と相続後では、ここが大きく変わります。
相続前は親が売主になる
親名義の不動産なら、原則として親本人が売主です。子どもが手続きを手伝う場合でも、本人の売却意思や適切な権限が必要になります。
認知症などで判断能力に不安があり、成年後見人等が本人の居住用不動産を処分する場合には、家庭裁判所の許可が必要になることがあります。施設へ入ったから子どもが自由に売れる、という話ではありません。
相続後は名義と相続人を確認する
相続後は、遺言書、相続人、不動産を誰が取得するかを確認します。2024年4月1日から相続登記は義務化され、不動産を相続で取得したことを知った日から原則3年以内に申請が必要です。
兄弟など複数の相続人がいるなら、売るか残すかだけでなく、最低売却価格、費用負担、代金の分け方まで話しておくと進めやすくなります。詳しくは兄弟で相続した実家を売る手順と合意の進め方も参考にしてください。
契約後に相続が起きたら別確認
親が売買契約を結んだあと、引渡しや残代金決済の前に亡くなることもあります。この場合は「契約したから完全に相続前売却」「引渡しが後だから相続後売却」と単純に分けられません。
相続税上は残代金請求権などが問題になり、譲渡所得の扱いも契約や引渡しの状況で確認が必要です。ちょうど売買の途中で相続が起きた場合は、不動産会社だけで判断せず税理士や司法書士へ早めに確認してください。
迷ったときの判断順序
「まだ売ると決めていない」という段階でも大丈夫です。先に判断材料をそろえておけば、親の意思が変わったときや相続が起きたときにも慌てにくくなります。

- 名義と親の意思を確認する:登記事項証明書、居住予定、売却後の資金用途を確認します
- 税金と保有費用を概算する:生前売却、相続後売却、それぞれで使えそうな特例と維持費を確認します
- 現在の価格と手残りを比べる:複数社の査定根拠、売却期間、必要費用を同じ条件で見ます
相続前と相続後の手残りを比べるなら、まず現在の査定額の幅をそろえておくと家族で検討しやすくなります。
\ 相続前後の判断用に査定額を比較 /
査定額を見てから売却時期を考えることもできます。
相続後の「すぐ売るか、待つか」まで迷っている場合は、相続した家を売るタイミングの判断基準も参考になります。
相続登記、必要書類、税金、売却の流れまで全体を見たい場合は、相続不動産売却の手順・税金・期限をまとめた完全ガイドへ戻って確認してください。
相続不動産売却に関するよくある質問(FAQ)
最後に、相続前と相続後の売却でよく出る疑問へ答えます。
Q1. 親が生きているうちに子どもだけで売れますか?
A. 親名義の不動産なら、原則として所有者である親本人が売主です。子どもが代理で動く場合も本人の意思と適切な代理権が必要です。判断能力に不安がある場合は、成年後見制度など別の確認が必要になることがあります。
Q2. 生前に売れば相続税はかかりませんか?
A. いいえ。売却後の現金が親の手元に残っていれば、原則として相続財産として確認します。不動産を現金化しただけで相続税がなくなるわけではありません。
Q3. 相続後に売る方が税金は安いですか?
A. 一律には言えません。不動産の相続税評価、小規模宅地等の特例、取得費加算、相続空き家特例、親本人のマイホーム特例など、使える制度が違います。家族全体の税額と手残りで比べる必要があります。
Q4. 親が施設へ入った実家は生前に売るべきですか?
A. 親が戻る予定、売却意思、施設費などの資金需要、マイホーム特例の期限を確認して決めます。施設入居だけで売却を急ぐ必要はありませんが、空き家の維持費が続くなら現在の価格と保有費用は早めに確認した方がいいでしょう。
Q5. 売買契約後に親が亡くなったらどうなりますか?
A. 契約、引渡し、代金決済の時期によって相続税や譲渡所得の扱いを個別に確認する必要があります。売買の途中で相続が発生した場合は、契約書を持って税理士や司法書士へ確認してください。
相続前と相続後のどちらで売るかは、親の意思、家族構成、名義、現在価格を一緒に見ないと一般論だけでは判断しにくいケースがあります。
KAZUへの相談では、売却を前提にせず、家族で確認する順番と不動産面の判断材料を一緒に整理できます。
\ 相続前後の売却判断を一緒に整理 /
売却時期が決まっていない段階でも相談できます。
短く状況を伝えたい方はLINEから相談できます。
まとめ|家族全体で比べる
不動産を相続前に売るか相続後に売るかは、税金だけでは決まりません。親本人が売りたいのか、売却代金を何に使うのか、不動産のまま相続する意味があるのか、相続人が何人いるのかまで見て判断します。
私なら、まず名義と親の意思を確認し、次に生前売却と相続後売却の税金・費用を概算し、最後に現在の査定価格から手残りを比べます。「どちらが得か」ではなく「家族にとってどちらが進めやすく、最終的に納得できるか」まで見るのが大切です。
税制や登記の扱いは、相続開始日、居住状況、相続人構成、物件条件によって変わります。正確な情報は公式サイトをご確認ください。最終的な税務判断は税理士、登記は司法書士、法律上の争いは弁護士など、内容に合った専門家にご相談ください。
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