遺影写真の選び方とマナー｜後悔しないための完全ガイド

URLをコピーしました！

ある日突然、大切な人の「遺影写真」を準備しなければならなくなったとき、あなたは迷わず行動できるでしょうか。

写真のサイズや大きさ、ふさわしい服装、背景の選び方…考えることはたくさんあります。

しかも、「遺影写真」にリボンは必要？料金はいくら？古い写真は何年前まで使えるの？と悩みが尽きません。

実際、私の知人は5年前の元気そうな写真を選んだのに、「棺に写真を入れてはいけない理由」を後から知り、驚いていました。

さらに、「葬儀で写真撮影は不謹慎ですか？」といった疑問や、「生きている人の写真は棺に入れるべきですか？」という声も少なくありません。

この記事では、遺影写真をどうするかに迷っている方へ向けて、後悔しない選び方や処分方法まで、プロの視点と実体験を交えてやさしく解説していきます。

この記事のポイント

遺影写真のサイズや服装、背景など基本的な選び方
遺影写真に必要な加工や準備の流れ
葬儀時や棺への写真の扱いに関するマナー
遺影写真の処分方法や料金の目安

遺影写真の準備と選び方の基本を解説

遺影写真のサイズや大きさはどれくらい？

遺影写真のサイズは、用途や飾る場所に応じて選ぶことが大切です。

「どのサイズが正解なの？」「小さい写真でも大丈夫？」と悩まれる方も多いのですが、最もよく使われるサイズは「四つ切サイズ（305mm×254mm）」になります。

これは葬儀の祭壇に飾るのにちょうど良く、故人のお顔がはっきりと見える大きさだからなんですね。

一方で、自宅での飾り用や焼香台の横など、より小さいスペースに置く場合には「L判」や「2L判」といった小型サイズもよく使われます。

以下のように、シーンによって選ばれているサイズはさまざまです。

使用シーン	推奨サイズ	対応の印刷形式
葬儀祭壇	四つ切（305×254mm）	額装・パネル推奨
焼香台横・来客スペース	2L判（178×127mm）	フォトフレーム
仏壇・リビング用	L判（127×89mm）	フォトスタンド
遠方の親族用	キャビネ（130×180mm）	配布用・コンパクト写真

ただし、サイズだけでなく「元の写真の解像度」や「撮影時の構図」も非常に重要です。

私が以前、実家の父の遺影を急ぎで作ることになったとき、スマホで撮った旅行中の1枚を四つ切サイズに引き伸ばして使おうとしたことがあります。

ところがその写真、顔が小さく写っていて、引き伸ばしたらお顔がぼやけて見えてしまったんです。

お葬式の当日、「もっと元気だった顔が見たかったなぁ」と親戚に言われて、とても後悔しました。

このように、サイズだけでなく「元のデータが十分に大きく・鮮明であること」も重要です。

最近ではプロによる高画質加工や、古い写真の修復にも対応してくれる業者が増えています。

以下のような状況であれば、事前にプロに相談するのがおすすめです。

故人の写真が小さく写っている（顔のサイズが500円玉以下）
古くて色あせ・破れがある
写真に背景のノイズや他人が写っている

特に、CDなどのデータで納品されるサービスも増えていて、葬儀の後も焼香スペースや仏壇用にサイズ違いでプリントして使えるのが嬉しいところです。

このように、遺影写真は「大きければ良い」というわけではなく、用途に応じたサイズと元写真の質がマッチしていることが大切なんです。

では次に、その写真に写る服装についても見ていきましょう。

遺影写真にふさわしい服装とは

遺影写真にふさわしい服装とは、「その人らしさ」と「整った印象」が両立した装いです。

よく「和装やスーツじゃなきゃだめですか？」という質問をいただきますが、実はそんなことはありません。

現在では、普段着やお気に入りの服を選ばれる方も増えているんです。

例えば、私の知人のおばあちゃんは、いつも花柄のカーディガンがトレードマークでした。

生前に遺影写真を撮るとき、家族は「やっぱりスーツか和服がいいのでは」と悩んでいましたが、最終的にはそのカーディガン姿を選びました。

葬儀の日、「まさにおばあちゃんらしいね」と皆が笑顔で語りかけていたのが印象的で、「無理に形式に合わせず、故人らしさを優先した選択が正解だった」と感じました。

ただし、以下のような点には少し注意が必要です。

チェックポイント	解説
襟元がヨレていないか	だらしない印象にならないように注意
派手すぎるロゴやプリント	時に遺族の気持ちとズレる可能性も
葬儀に不向きな色味	派手すぎる蛍光色などは避けた方が無難
肌の露出が多すぎないか	Tシャツやタンクトップなどは場に合わないことも

また、プロの加工サービスでは、元の服装が普段着だったとしても、和装やスーツに「着せ替え加工」してくれるサービスもあります。

これは急に遺影が必要になった場合でも、手持ちの写真から整った印象の仕上がりに対応してくれるので、とても心強いですね。

そしてもう一つ忘れてはいけないのが「リボン」などの小物の有無です。

撮影時にリボンやアクセサリーをつけていても、写真加工で自然に外すことが可能な場合があります。

これにより、「整った印象を損なわずに個性も表現できる」仕上がりが目指せるのです。

遺影写真の服装は、あくまで「故人のイメージが大切に残ること」が目的です。

形式にとらわれすぎず、でも整った印象を心がけることが、大切な1枚を作るためのポイントと言えるでしょう。

では続いて、遺影に使う背景についても、印象を大きく左右する要素として見逃せません。

遺影写真に使う背景はどう選ぶ？

遺影写真に使う背景の選び方は、故人の印象や雰囲気に大きく関わってくるため、写真そのものと同じくらい重要です。

多くの方が「遺影の背景は何でもいいんじゃないの？」と考えがちですが、実際は雰囲気や整った印象、家族の納得感を左右する大切な要素なんですね。

現在では、写真スタジオや加工サービスでは背景の変更に無料対応してくれることも多く、下記のような選択肢が一般的です。

背景の種類	印象の特徴	向いているケース
単色（グラデーション）	落ち着いた印象で、祭壇に映える	一般的な葬儀、無難な選択をしたい場合
自然風景	温かみや優しさを感じる	優しい性格の故人、家庭的な雰囲気を大事にしたいとき
趣味や想い出の場所	個性が出て「その人らしさ」を強調できる	登山・釣り・旅行などが好きだった故人
着せ替え＋背景変更	フォーマルな印象に仕上がりやすい	元写真が普段着だったとき、背景が雑然としているとき

例えば、私の伯父は釣りが大好きで、海が人生そのものでした。

遺影の背景に薄い青空と海辺の風景を使った加工写真にしたところ、焼香に来てくださった方が「まさに○○さんらしいね」と、口々におっしゃってくれたんです。

逆に、以前別の親戚が亡くなったときには、スマホで撮った集合写真の背景をそのまま使ってしまい、後ろに他の人の手や食べ物が映り込んでいて、「もうちょっと整えてあげたかったな」と少し後悔が残ったこともありました。

このように、元の写真に余計な背景が写っている場合や、故人だけを際立たせたい場合には、背景変更は必須になります。

現在のプロの写真加工では、以下のような対応が可能です。

人物の切り抜きと背景変更
明るさや色調の調整
建物や人の映り込み除去
背景ぼかしやグラデーション追加

また、背景を選ぶときに考えるべきポイントを3つにまとめると以下の通りです。

遺影を見る人にとって違和感がないこと
故人らしさや人生を表現できる要素があること
写真全体が落ち着いた印象になること

なお、加工依頼をする際は、元の写真データの画質や保存状態が良いほど自然に仕上がるので、なるべく高画質の写真やスキャンデータを用意しておくと安心です。

このように背景選びは、ただの飾りではなく、写真全体の印象と「想い」を支える大切なパーツなのです。

そして背景と同様に、元の写真自体の「時期」にも大きな判断が必要になります。

遺影写真は何年前までの写真が適切？

遺影写真はなるべく元気だった頃の印象が残る写真を選ぶのが理想ですが、じゃあ「何年前までなら大丈夫なの？」という疑問を持つ方も多いです。

これに対する答えは、「5年以内が目安。ただし故人らしければ10年前でも問題なし」です。

なぜ5年以内と言われるかというと、顔立ちや髪型、年齢の印象が大きく変わりにくい期間とされているからです。

実際に私の叔母のとき、7年前に旅行先で撮ったお気に入りの1枚があったのですが、いざ遺影にしてみると今よりずいぶん若くて、「えっ、こんなに若かったっけ？」と親戚の間で少し話題になってしまいました。

その後、プロに相談してみたところ、「5〜6年以内であれば加工で現在風に寄せることも可能」と教えていただき、結果的に自然に見えるよう背景と光の調整をしてもらいました。

つまり、写真そのものの鮮度よりも、見る人に「違和感」がないことが最優先ということなんですね。

以下に、一般的な目安をまとめてみました。

撮影時期	使用の可否	補足内容
1〜5年前	◎	加工なしでもそのまま使いやすい
6〜10年前	◯	元気だった頃の姿であれば検討可能
10年以上前	△	加工次第では可能、ただし年齢差に注意
若い頃（20年以上前）	×	「誰かわからない」印象になりがち

また、選ぶ際に注意していただきたいのは、写真の保存状態と画質です。

時間が経ったプリント写真は色あせや破れ、折れなどが起きやすいため、そのまま使うと仕上がりが荒くなります。

この場合、スキャンしてデータ化し、プロの加工で補正する方法が一般的です。

最近では写真を送るだけで修正・高画質化・背景加工までしてくれるサービスもあります。

時間的に余裕がある場合は、生前に本人が気に入っている1枚を指定しておくのもおすすめです。

それにより、家族が「どの写真を使えばいいのか」で悩まずにすみ、精神的な負担も軽減されます。

写真の時期を選ぶうえで大切なのは、「年数」よりもその写真が遺影としてふさわしい印象を持っているかどうかということなんです。

そして次は、その大切な遺影写真の費用や相場について、しっかり確認しておくことが必要になります。

遺影写真はどのように選ぶと良いか

遺影写真を選ぶ際は、「誰が見てもその人らしい」と感じられる1枚かどうかがとても大切です。

よく「昔の写真でも大丈夫？」「服装や表情は自由でいいの？」と迷われる方が多いですが、**ポイントは“故人の人柄が伝わること”と“見る人が安心できること”**なんです。

実際、私の知人は、お父さまが亡くなったときに家族みんなで遺影用の写真を探し回ったそうです。

ですが、残されていたのはピンボケやサングラスをかけた写真、集合写真の一部だけ。

最終的に「仕方なくこれで…」と選んだ写真を、後から加工業者に持ち込んだものの、顔が小さすぎて綺麗に引き伸ばせなかったそうです。

「もっと早く気に入った1枚を選んでおけば…」と、かなり後悔されたと話していました。

このような後悔を防ぐためにも、以下のような選び方のチェックポイントを参考にされると安心です。

チェック項目	内容のポイント
表情が自然かどうか	作り笑顔より、いつもの笑顔がベスト
目線がカメラに向いているか	焼香時に参列者と目が合うように見える印象
背景に不要なものが写っていないか	他人の手や物、風景が邪魔していないか
故人らしさが出ているか	服装・髪型・姿勢から「らしさ」が伝わるか
顔がしっかり写っているか	小さく写りすぎていないか、明るさは十分か

また、背景や服装が気になる場合は、プロの加工サービスで背景変更・着せ替え・明るさ調整などに対応してくれます。

最近はスマホで撮ったお気に入りの写真でも、高画質化や不要な写り込みの除去など、幅広く加工できる技術があります。

たとえば、「海辺で家族と撮った写真だけど、背景に他人が写っている」というケースでも、背景を青空に差し替えて自然に仕上げてもらえることが可能です。

そしてもう一つのポイントが、「遺影写真は自分で選んでおいても良い」ということ。

自分の元気な姿を見てほしいと思ったら、生前に気に入った1枚を家族に伝えておく、あるいはエンディングノートに写真データの保存場所を記録しておくのも一つの方法です。

データの形式については、印刷や加工がしやすいJPEG形式で200万画素以上が理想的。

下記のように、データ形式や画素数も確認しておくと安心です。

データ形式	推奨内容
JPEG形式	印刷対応で最もポピュラー
画素数	200万画素以上（四切対応なら1000万画素）
保存先	パソコン・クラウド・USBなど複数バックアップ推奨

こうして選んだ写真が、故人を偲ぶ時間を優しく包んでくれる1枚になります。

次に、そんな遺影写真によく使われる「リボン」の必要性についても見ていきましょう。

遺影写真にリボンは必要なのか

「遺影にリボンは必ずつけるもの？」というご質問をよくいただきますが、実はリボンをつけるかどうかには明確な決まりはありません。

地域や葬儀社の慣習によって異なることもありますし、家族の判断に任せられることも多いです。

よく見かけるのは、黒リボン（黒枠の写真）を胸元に飾るスタイルですが、これは故人に対する哀悼の意を込めた象徴のようなもの。

ですが、最近では「もっと明るい雰囲気にしたい」「生前の元気な姿をそのまま残したい」といった意向から、リボンなし・白枠・カラフルな額縁を選ぶケースも増えているんです。

実際、私の叔母が亡くなったとき、家族が「黒いリボンではなくて、白い花をあしらった優しい額縁にしたい」と葬儀社に相談したところ、柔軟に対応してもらえたそうです。

来場された方々からも「明るくて温かい印象の写真だったね」と好評で、「喪」だけにとらわれずその人らしさを大切にしたいという思いが伝わってきました。

一方で、親族の中には「遺影には黒リボンが常識でしょ」と驚かれた方もいたようです。

そのため、親戚やお寺さんの考え方も一度確認しておくと安心です。

以下に、リボンの有無による印象の違いや使い分けの参考をまとめてみました。

リボンの種類	印象	よく使われるケース
黒リボン	厳粛・伝統的	一般葬・社葬・伝統を重視する家庭
白リボン	穏やか・上品	仏式・女性の遺影や明るめの演出希望時
リボンなし	自然体・自由な印象	家族葬・直葬・故人らしさを優先したい場合
花飾り付き	華やか・記念的	お別れ会や終活フォト、生前撮影など

加工サービスを使えば、後からリボンを追加する・外すといった柔軟な対応も可能です。

特に、写真データで納品してもらっていれば、葬儀ではリボンあり、自宅ではリボンなしにプリントし直すなど、目的に合わせて自由に使い分けることもできます。

つまり、リボンの有無は「つけなければいけない」ものではなく、“故人への想い”をどう形にするかを考えたうえで、自由に選んで良いものなんです。

そして次に気になるのが、その遺影写真にかかる「料金」についてではないでしょうか。

遺影写真の準備と選び方に関する葬儀後の疑問と対応策

遺影写真の料金の相場とは

遺影写真の料金は、「どこまでの加工・仕上げを希望するか」によって大きく異なります。

とくに最近では、プロの手による高画質化や背景変更、服装の着せ替え対応など、サービスの幅が広がっているため、料金もさまざまです。

まず、一般的な料金相場をざっくりと知っておくと安心です。

以下の表にまとめました。

サービス内容	相場価格（税込）	備考
シンプルな遺影写真作成（背景ぼかし程度）	5,000円〜7,000円程度	店舗受付、加工内容少なめ
高画質スピード仕上げ	9,000円〜11,000円程度	色補正・高画質化付き、即日対応あり
プレミアム加工（服装変更・家紋追加等）	12,000円〜15,000円程度	背景・服装・細部の修正含む
プリント＋額縁セット	＋1,000円〜3,000円	サイズ・額縁素材により価格変動
データ納品（CD・クラウド）	無料〜＋1,000円程度	JPEG形式が主流

例えば、私の叔父が亡くなった際、急きょ遺影写真を作ることになったのですが、家族に「この写真を使いたい」と言われたものが、昔の集合写真の一部だったんです。

当然、背景には人が映り込んでいて、顔のサイズも小さめ。

急ぎであったこともあり、近所のプリントショップに依頼しましたが、「プロ加工に対応していない」「時間がかかる」と言われてしまい、結果的に1万3千円ほどかけてプレミアム仕上げ対応の専門店へ依頼しました。

費用は高めでしたが、着せ替えや明るさ補正、背景を青空に変更してくれる対応がとても丁寧で、納得できる仕上がりになりました。

ここで注目したいのは、単純な価格だけで比較するのではなく、「どこまで希望を叶えてくれるか」「どのくらいの時間で納品できるか」も含めて考えることなんです。

また、データ納品にしておけば、焼香台用に小さくプリントしたり、後日フォトスタンドで飾ったりと用途の幅が広がります。

このように、遺影写真の料金はサービスの質や納期、仕上がりイメージによって変わります。

料金を節約するには、生前に元気なうちにお気に入りの写真を撮っておく、加工が少なくて済む写真を選ぶといった準備もひとつの方法です。

では、葬儀後にその遺影写真をどう保管・処分すべきか、次の内容で詳しくお伝えします。

遺影写真の処分方法と注意点

遺影写真の処分について、「どうすればいいのかわからない」「捨ててしまってもいいの？」というお声をよくいただきます。

たしかに、故人を偲ぶために飾られていた写真ですから、感情的にも処分しづらいと感じるのは自然なことです。

実際、私の実家でも祖母が亡くなった際、遺影写真をずっと仏壇横に飾っていました。

ただ、数年が経ち仏壇を整理するタイミングで「そろそろしまってもいいのかな？」と悩み、最終的には近くのお寺でお焚き上げをしていただきました。

このように、遺影の処分方法にはいくつか選択肢があり、自分たちの考え方や故人への想いに応じて選んでよいものなんです。

以下に、代表的な処分方法をまとめました。

方法	内容の概要	費用目安	注意点
自治体の可燃ごみ	白い布などで包み、塩で清めてから処分	無料	心情的に抵抗がある場合は不向き
お寺・神社でお焚き上げ	合同供養の一環で、遺影や位牌などをお焚き上げ	3,000円〜10,000円	必要に応じて予約や持ち込みが必要
葬儀社で引き取り	四十九日や法要の際に、葬儀社が遺影の処分に対応してくれる場合がある	葬儀プランにより異なる	葬儀社に事前確認が必要
自宅保管（しまう）	箱に入れて押入れや仏壇の引き出しなどに保管	無料	湿気やカビに注意、劣化しないよう配慮が必要
リサイズして飾る	L判や2Lサイズに縮小し、フォトスタンドや仏壇に置く	100円〜2,000円	プリント・加工が必要になる場合がある

特に気をつけたいのが、「写真をそのまま燃やすのは気が引ける…」という方が多いこと。

そういった場合には、手を合わせて感謝の気持ちを込めて白布に包む、あるいは専門機関へ依頼することで、心理的な負担を軽くできます。

また、最近では「遺影を捨てる」のではなく、アルバムにまとめて残したり、データ化してクラウドに保存したりするご家庭も増えているんです。

これなら、物としての整理はできても、“記憶”として残すことができますよね。

そして、処分のタイミングとしては四十九日、初盆、一周忌など、節目に合わせる方が多い印象です。

焦って処分せず、ご家族で相談しながら進めていくことが、もっとも自然で後悔の少ない形だと思います。

このように、遺影写真の処分は正解が決まっているわけではありません。

それぞれのご家庭や状況に応じた方法を選びながら、故人への敬意と気持ちの整理を大切にしていただければと思います。

では次に、多くの方が気にされる「葬儀中に写真撮影するのはマナー違反なのか？」についても、少し掘り下げてみましょう。

葬儀で写真撮影は不謹慎ですか？

葬儀での写真撮影について、「不謹慎ではないか」と気にされる方は少なくありません。

特に参列者の立場でカメラやスマホを取り出すと、周囲の視線が気になるのは自然な感覚だと思います。

ただ、実際のところ、撮影そのものが絶対的にマナー違反というわけではありません。

私自身、父の葬儀のときに、親族がこっそりとスマホで祭壇の写真を撮っていたことがありました。

最初は「失礼じゃないかな？」と感じたのですが、後から「記録として残したい」「孫に見せてあげたい」と聞いて、なるほどな…と思ったんです。

このように、目的やタイミング、そして撮影のしかたによって、受け取られ方が変わるのが現実です。

下記に、「撮影が好ましくないシーン」と「配慮すればOKなケース」を簡単に整理しました。

状況・タイミング	写真撮影の印象	注意点・配慮点
焼香中や読経中	不謹慎と感じる人が多い	一切撮影を控える
故人の棺やご遺体の撮影	家族の了承がない場合はNG	必ず親族の同意を得ること
葬儀前の会場・飾りつけ記録用写真	比較的許容される	参列者がいない時間帯や端で撮影する
遺影や花祭壇などの記録用	家族の希望であれば問題ないこともある	シャッター音を消す、静かに行う
集合写真（親族・親しい友人）	場合によっては喜ばれることもある	式が終わった後、了承を取ったうえで撮影する

つまり、誰のために・どんな気持ちで写真を撮るのかが大切なんです。

最近では、プロのカメラマンに依頼して静かに撮影してもらうというケースも増えてきました。

これは遺族が主催側として、「後から見返す記録として残したい」「供花の配置など、今後の参考にしたい」といった理由でお願いしていることが多いです。

一方で、私の友人の話ですが、会社の同僚の葬儀で、受付近くからスマホを出して祭壇を撮影していたら、ご家族に注意されたそうです。

本人は「ご家族に渡そうと思って…」という気持ちだったようですが、やはりタイミングや意図が伝わらなければ逆効果なんですよね。

葬儀という場は、何よりも“故人への敬意”が第一です。

写真撮影をする場合も、その目的がしっかりしていて、かつ配慮ある行動ができていれば、マナー違反とは限りません。

では次に、よく聞かれる「棺に写真を入れるのはダメなのか？」という点について、詳しく見ていきましょう。

棺に写真を入れてはいけない理由は何ですか？

「大好きだった家族の写真を棺に入れてあげたい」
「元気なころの思い出を一緒に旅立たせたい」

こう思われる方はとても多いですし、その気持ちは本当に美しいものです。

ですが、実際には“写真を棺に入れるのは避けた方がよい”とされるのが一般的なんです。

その理由は主に以下の2つです。

1つ目は火葬炉での燃焼の問題です。

写真の印画紙には化学薬品やプラスチック成分が使われていることが多く、有害なガスを発生させる可能性があるとされています。

実際、葬儀社や火葬場によっては、「写真やガラス、金属類の副葬品はご遠慮ください」と説明書きがあることも珍しくありません。

2つ目は宗教的・風習的な理由です。

特に仏教では「この世への未練を断ち切って成仏する」という考え方があるため、生きている人の姿が映った写真を一緒に火葬することは、“この世への執着を残す”と解釈されることもあるんですね。

実際に、私の知人が母親を亡くした際、遺影の小さいプリントを棺に入れようとしたところ、葬儀担当者に「火葬炉のルールでNGです」と丁寧に断られたそうです。

悲しみの中で準備していたため、その場で対応に困ってしまい、急きょ代わりにお手紙や折り紙で思い出を表現することに変更したと話してくれました。

それでも「何か持たせてあげたい」という場合には、写真そのものではなく、気持ちのこもった手紙や花、布などを選ぶことをおすすめします。

写真を使いたい場合は、お焚き上げ用に別で準備する、お寺や霊園に相談して供養してもらうなどの方法が安心です。

以下に、棺に入れてもOKなもの・NGなものを簡単にまとめておきます。

入れても問題ないもの	入れるのを避けるもの
生花（故人の好みの花）	写真・CD・本などの印刷物
手紙・折り紙・紙製の手作り品	プラスチック・金属・ガラス製品
ハンカチ・布製の思い出の品	お金・スマホ・バッテリー類

こうして見てみると、「物」ではなく、「気持ち」を添えることの方が大切なんだなと感じますよね。

ご遺族としても「何かしてあげたい」という想いが強いからこそ、事前に葬儀社や火葬場としっかり相談しておくと安心です。

では次に、「生きている人の写真を棺に入れるのはどうなのか？」という点について、より具体的にご紹介していきます。

生きている人の写真は棺に入れるべきですか？

「亡くなった方が大切にしていた家族の写真を一緒に棺に入れてあげたい」
そんなお気持ちになる方は、決して少なくないと思います。

特に親子や夫婦で深い絆があった場合、生前に撮った“元気な家族写真”を副葬品に選ぶことを考える方は多いです。

ですが、葬儀のマナーや宗教的な観点からみると、生きている人の写真を棺に入れるのは避けたほうがよいというのが一般的な考え方になります。

ここでは、その背景にある考え方と、実際に起きた失敗談、そして代替案まで詳しくお伝えしていきます。

生きている人の写真を入れるとどうなるのか？

まず知っておいていただきたいのが、「写真は“魂を写す”ものとされる文化的背景がある」ということです。

古くからの日本の風習では、写真に写る人は“そこに存在している”と捉えられることもありました。

そのため、生きている人の写真を棺に入れる＝その人も一緒に連れていくというイメージを持たれる方もいらっしゃいます。

とくに年配の方や、地域によってはこういった考えが色濃く残っているため、配慮が必要です。

また、もう一つ大事なのが火葬場のルールや安全性の問題です。

写真に使われている印画紙には薬品やプラスチック成分が含まれており、有害ガスが発生する可能性があるため、火葬場によっては持ち込み自体を禁止している場合があります。

実際に起きた失敗談

私の知り合いが体験した話ですが、お祖父さまが亡くなられたとき、娘さんが「家族全員が写っているお気に入りの写真を一緒に入れたい」と言って、自宅にあったL判の写真をそのまま棺に入れたそうです。

ところが、火葬場で「これは入れられません」と返されてしまい、その場で取り出すことに。

あわてて葬儀社のスタッフに相談し、急きょデータで残っていた写真を印刷しなおして“厚紙にカラーコピー”して対応したというエピソードがありました。

写真自体を諦めるのではなく、「別の素材で想いを伝える工夫」が必要なんだなと感じたそうです。

入れてはいけないもの・代わりにできること

以下に、生きている人の写真を入れることに関する対応策を表にまとめました。

行動内容	推奨度	備考
通常の写真プリントを棺に入れる	×	火葬不可。化学物質や火災リスクのためNG
写真を紙に印刷して折り紙や手紙風に添える	△	火葬場に事前確認。紙質によって対応可能なこともある
写真データをUSB等で添える	×	プラスチック製や金属製品の副葬は禁止
遺影写真の縮小コピーをお守り風に加工して入れる	△	布に貼るなど可燃素材で対応すれば可能なこともある
写真の代わりに“故人との思い出のエピソードを書いた手紙”	◎	内容も気持ちも伝わる。火葬対応も安心