共有名義トラブル事例と円満解決法を専門家が解説

共有名義トラブル事例と円満解決法を専門家が解説
  • URLをコピーしました!

こんにちは!終活だよドットコムの運営者、終活・相続・不動産の専門家のカズです。

「共有名義 トラブル 事例」で検索されたということは、今まさに不動産の共有問題でお困りか、将来そうなるかもしれないとご不安を抱えていらっしゃるのですね。

不動産を共有名義にする原因の多くは相続です。相続をきっかけに、それまで仲の良かった兄弟間で意見が対立したり、親子間の持分に関する問題が浮上したりすることは本当に多いんです。

いざ売却したくても売却できない場合の悩みや、固定資産税の支払いで揉めるケース、さらには共有者の一人が認知症になってしまうなど、問題は複雑化しがちです。

でも、ご安心ください。こうした共有名義トラブルの具体的な事例を知ることで、事前に対策を立てることも可能です。共有名義の解消方法はありますし、自分の持分のみを売却するといった選択肢も存在します。この記事を最後まで読めば、あなたの状況に合った解決策のヒントがきっと見つかりますよ。

共有名義のトラブル、一人で悩んでいませんか?


この記事のポイント
  • 共有名義で起こりがちな具体的なトラブル事例
  • トラブルを解決するための法的な解消方法
  • 自分の持分だけを売却する際の注意点
  • 将来のトラブルを防ぐための効果的な生前対策
コンサルタント @KAZU

共有名義の問題は「まだ大丈夫」と思っているうちに、相続が重なって権利関係が複雑化し、手が付けられなくなるケースが非常に多いです。問題が小さいうちに、早めに共有者全員で話し合う場を持つことが、円満解決の最大の秘訣ですよ。

目次

よくある共有名義トラブルの事例

よくある共有名義トラブルの事例

不動産の共有名義は、相続などをきっかけに「とりあえず公平に」と選択されがちですが、私の経験上、これは多くの場合、トラブルの「時限爆弾」を抱え込むようなものです。時間が経てば経つほど、権利関係が複雑になり、解決が難しくなってしまいます。ここでは、私がこれまでに現場で見てきた中でも、特に相談が多い典型的な共有名義トラブルの事例を、もう少し深く掘り下げてご紹介します。

相続が原因の不動産トラブル

最も多いのが、この相続、いわゆる「争族」がきっかけとなるトラブルです。例えば、お父様が亡くなり、実家の不動産をお母様と長男、長女の3人で「ひとまず法定相続分通りに共有しよう」と登記してしまうケース。

一見、公平で円満に解決したように見えますが、これが問題の始まりなんです。数年後、今度はお母様が亡くなれば、お母様の持分について「二次相続」が発生します。さらに、もし長男が亡くなれば、その持分は長男の配偶者や子どもへと引き継がれます。

こうして相続が繰り返されるたびに、共有者はネズミ算式に増えていきます。「あの時はみんな納得したはずなのに」と思っても、代が変われば考え方も変わりますし、付き合いの薄い親戚、あるいは会ったこともない人が共有者になることも…。

いざ実家を売却しようとした時には、10人以上の同意が必要になっていた、なんていう笑えない話も珍しくないのです。

2024年4月から「相続登記」が義務化されました

これまでは相続登記(不動産の名義変更)に期限はありませんでしたが、法改正により義務化されました。相続の開始を知った日から3年以内に登記しないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。

「とりあえず共有」のまま放置しておくことが、法的なリスクにも繋がる時代になった、ということをぜひ覚えておいてください。

なお、「相続放棄をしたら家はどうなるの?」と不安な方は、相続放棄した家がどうなるかの詳しい解説もあわせてチェックしておくと安心です。

兄弟間で意見が対立する

兄弟間で意見が対立する

これも本当に多い事例です。特に相続対象が「実家」という、金銭的価値と感情的価値が混在する不動産の場合、対立は深まりがちです。

例えば、こんなケースです。

  • 長男:「親との思い出が詰まった実家だ。仏壇もあるし、自分が将来戻るかもしれないから残したい
  • 次男:「自分は遠方に住んでいて使う予定もない。固定資産税の負担だけ続くのは嫌だ。早く売却して現金で分けたい

両者の言い分に理があるため、話は平行線をたどります。さらに問題がこじれやすいのが、共有者の一人(例:長男)だけが実家に住み続けている場合です。

他の共有者(例:次男)からすれば、「自分は家賃を払ってアパートに住んでいるのに、兄貴はタダで実家に住んでいて不公平だ!」と感じるわけですね。ここから、「家賃(賃料)相当額を支払うべきだ」「固定資産税は住んでいる長男が全額負担すべきだ」といった金銭的な要求が出てくることもあります。

これは法的には「不当利得返還請求」と呼ばれるもので、兄弟間で裁判沙汰になってしまうケースも見てきました。感情的なしこりが残りやすく、解決が非常に難しい問題の一つです。

親子間の持分に関する問題

「親子間なら大丈夫だろう」と思うかもしれませんが、ここにも落とし穴があります。例えば、マイホーム購入時に親から資金援助を受けて、その分を親の持分として登記するケース。あるいは、二世帯住宅を建てる際に、親と子でローンを組んで共有名義にするケースなどです。

親が元気なうちは、全く問題ありません。しかし、十数年後、親が認知症などで意思能力を失ってしまったら、どうなるでしょうか。

もし、子どもが家を買い替えたい、あるいはローンを借り換えたいと思っても、共有者である親の同意が必要です。しかし、認知症の親は法律行為である「売買契約」や「抵当権設定契約」ができません。この場合、家庭裁判所に「成年後見人」の選任を申し立てる必要があります。

この成年後見制度、手続きが非常に煩雑な上、一度選任されると(多くの場合、弁護士や司法書士などの専門家が選ばれます)、専門家への報酬が親の財産から継続的に発生します。

さらに、後見人が選任されたからといって、すぐに不動産を売却できるわけではありません。「本人の(親の)居住用不動産」を売却するには、家庭裁判所の許可が別途必要になり、手続きはさらに複雑化します。「親が元気なうちに話し合っておけば…」と後悔される方が非常に多い事例です。

売却できない場合の悩み

売却できない場合の悩み

不動産全体を売却する行為は、法律用語で「変更行為」と呼ばれ、共有者全員の同意が不可欠です。民法第251条で定められている、非常に強力なルールです。たった一人でも反対すれば、他の99人が賛成していても売却はできません。

「反対」ならまだマシかもしれません。ご相談で多いのは、「そもそも同意を取り付けられない」ケースです。

  • 共有者の一人と昔に喧嘩して以来、連絡がつかない。
  • 相続を繰り返すうちに、会ったこともない親戚が共有者になっており、行方不明だ。
  • 海外に住んでいて、面倒だからと手続きに協力してくれない。

こうした場合、法的には「不在者財産管理人」の選任や「失踪宣告」の申立てといった手続きも考えられますが、いずれも裁判所を介するため、多大な時間と費用がかかります。その間に、売り時を逃してしまうことも十分あり得ます。

【重要】共有不動産のルール3原則

共有不動産の取り扱いには、必要な「同意」のレベルに応じて3つのルールがあります。

行為の種類具体例必要な同意
保存行為壊れた雨どいの修理、不法占拠者への明け渡し請求各共有者が単独で可能
管理行為不動産の賃貸、賃貸借契約の解除(※)持分の過半数の同意が必要
変更行為不動産全体の売却、増改築、土地の分筆共有者全員の同意が必要

(※)賃貸借契約については、契約期間などにより「変更行為」とみなされる場合もあります。

このように、「売却」は最もハードルが高い「変更行為」にあたるため、トラブルが続出するのです。

固定資産税の支払いで揉める

不動産を所有している限り、儲かっていなくても、使っていなくても、毎年必ず「固定資産税・都市計画税」の納付書が送られてきます。

共有名義の場合、法律上、共有者全員に「連帯納付義務」があります。(根拠:e-Gov法令検索 地方税法 第十条の二

これは、「共有者の誰か一人が全額払っても、他の人が払わなくても、役所は文句を言いませんよ」というルールです。役所は事務手続きを簡略化するため、共有者の代表者一人(多くは持分が一番多い人や、その地域に住んでいる人)に納付書を送付するのが一般的です。

ここで問題になるのが、「誰が、いくら負担するか」です。代表者がとりあえず全額を立て替えても、他の共有者が「自分は住んでいないし、何の利益も得ていないから払わない」などと主張して、支払いに応じないケースがあります。

立て替えた人は、法的には他の共有者に対して、その持分に応じた負担分を請求する権利(求償権)がありますが、相手が素直に応じなければ、結局は裁判などを起こすしかありません。

かといって滞納すれば、最終的には不動産が差し押さえられ、競売にかけられてしまいます。金銭が直接絡むため、非常にシビアで根深いトラブルに発展しやすいですね。

共有名義トラブル事例の解決策

共有名義トラブル事例の解決策

さて、ここまで「こんなに大変なんですよ」というお話ばかりしてしまいましたが、もちろん、解決策がないわけではありません。諦めるのはまだ早いです!

こうした複雑な共有名義トラブルの事例を目の前にして、私たちはどうすればよいのでしょうか。状況は一つひとつ違いますから、法律、税金、そして何より「当事者の感情」を考慮しながら、最適な解決の糸口を探っていく必要があります。

ここでは、具体的な解決策について、そのメリットとデメリットを併せて解説していきます。

コンサルタント @KAZU

解決策を検討する際は、法律論(「こうすべきだ」)だけで押し通そうとせず、他の共有者の「感情」(「なぜそう思うのか」)にも配慮することが重要です。「売りたい」という自分の希望だけでなく、相手が「売りたくない」理由にもじっくり耳を傾ける姿勢が、意外と交渉を前に進める鍵になったりしますよ。

共有名義の解消方法とは

共有状態を解消するための最も基本的な方法は、「共有物分割」です。まずは共有者全員で話し合い(協議)、どう分けるかを決めます。主な方法は以下の3つです。

1. 現物分割(げんぶつぶんかつ)

これは、不動産そのものを物理的に分ける方法です。例えば、100坪の土地を、持分(例:2分の1ずつ)に応じて50坪ずつに「分筆(ぶんぴつ)」して、それぞれが単独所有の土地A、土地Bとして登記し直すイメージです。

  • メリット:土地という現物が手元に残る。売却せずに解決できる。
  • デメリット:家屋が建っている場合は物理的に分けられませんし、土地であっても、分け方(道路に面しているか、日当たりはどうかなど)によって価値が不均等になりやすく、結局揉めることがあります。分筆のための測量費や登記費用もかかります。

2. 代償分割(だいしょうぶんかつ)

これは、共有者の一人(例:長男)が不動産全部を取得する代わりに、他の共有者(例:次男)に持分相当額の金銭(代償金)を支払う方法です。「長男が実家を継ぐ」といった場合によく使われます。

  • メリット:不動産を売却せずに済み、特定の人が取得できる。
  • デメリット:不動産を取得する人(長男)に、代償金を支払うだけの十分な資力(現金)が必要です。また、「不動産の評価額」をいくらにするかで揉めることも多いです。(長男は安く見積もりたく、次男は高く見積もりたい、となりがちです)

3. 換価分割(かんかぶんかつ)

これは、不動産全体を第三者に売却し、その売却代金から仲介手数料などの諸経費を引いた額を、持分に応じて分配する方法です。

  • メリット:現金で公平に分けられるため、最もトラブルになりにくい、「ザ・公平」な方法です。
  • デメリット:思い出の家が他人(第三者)の手に渡ってしまうことになります。また、売却価格や売却のタイミング(いつ売るか)について、共有者間で合意が必要です。

「もし不動産全体を売却したらいくらになる?」
まずは、売却の第一歩として「相場」を知ることから始めましょう。

▶ 大手から地元密着まで最大6社に一括査定「イエウール」で無料査定する

話し合いがまとまらない場合は…「共有物分割請求訴訟」

上記の協議がまとまらない場合、裁判所に「共有物分割調停」や「共有物分割請求訴訟」を申し立てることができます。これは、共有者に認められた正当な権利です。

ただし、訴訟になると、裁判所が分割方法を決定します。この際、「現物分割」や「代償分割」が難しいと判断されると、裁判所の判断で不動産を「競売(けいばい)」にかけるよう命じられることがあります。

競売になると、一般の市場価格よりもかなり安い金額(5~7割程度)でしか売れないことが多く、結局、共有者全員が損をしてしまう可能性があるので注意が必要です。

共有名義の不動産を実際に売却する場面での流れや注意点をより詳しく知りたい場合は、共有名義の不動産売却の流れと解決策もあわせて読んでみてください。

自分の持分のみを売却する

自分の持分のみを売却する

「他の共有者がどうしても売却に同意してくれない」「話し合いにすら応じてくれない」…そんな八方ふさがりのような状況でも、残された手段があります。それは、ご自身の「持分」だけを売却することです。

持分は、個人の財産権です。そのため、家全体を売る「変更行為」とは違い、他の共有者の同意は一切不要で、単独で自由に売却することが可能です。

ただし、考えてみてください。一般の人が「〇〇さん家の持分3分の1だけ」を買うでしょうか?まず買いませんよね。買ったところで、他の共有者(〇〇さん一家)とまたトラブルになるのは目に見えています。

そこで登場するのが、「共有持分専門の買取業者」です。彼らは、こうした複雑な権利関係にある持分を専門に買い取っています。

  • メリット:
    ・他の共有者と一切交渉するストレスなく、スピーディーに現金化できる。
    ・面倒な共有関係から法的に離脱できる。
  • デメリット:
    ・売却価格は、市場価格よりもかなり安い金額(一般的には市場価格の5割~7割程度、場合によってはそれ以下)になる可能性が高いです。
    ・(なぜ安いか?)業者は、買い取った後、他の共有者と交渉したり、共有物分割請求訴訟を起こしたりする手間・コスト・リスク(=専門知識)を全て引き受けることになるため、その分が価格から差し引かれるのです。

こうした共有名義のような訳あり不動産の扱いは非常に専門性が高くなります。ご自身の持分が業者に渡った結果、その業者が新しい共有者として、残ったご家族(他の共有者)に対して、賃料相当額の請求や、共有物分割請求訴訟を起こす可能性もゼロではありません。ご自身の問題は解決しますが、他のご家族が新たな対応を迫られることになるかもしれない、ということは知っておく必要があります。

「他の共有者と揉めたくない…」
「すぐにでも自分の持分だけ手放したい!」
そんな方は、専門業者への相談が早道です。

▶ 他社で断られた共有持分でも買い取り可能な「ワケガイ」で無料査定を試す

共有不動産の効果的な活用法

売却以外の選択肢として、「活用」もあります。例えば、共有不動産(空き家になっている実家など)をリフォームして賃貸に出し、その家賃収入を持分に応じて分配する方法です。

前述の通り、賃貸に出す行為は「管理行為」にあたるため、持分の過半数の同意があれば可能です(全員の同意は不要)。

ただし、これも簡単な話ではありません。

活用するなら「ルールの明確化」が必須!

賃貸に出すにしても、事前に決めておくべきことが山積みです。

  • リフォーム費用は誰がいくら負担するのか?
  • 賃貸管理を不動産会社に委託する場合、その費用は?
  • 家賃が滞納されたり、空室になったりした場合のリスク負担は?
  • 将来、修繕が必要になった場合の費用負担は?

こうしたルールを共有者間で「公正証書」などの書面でしっかり決めておかないと、「売却しておけばよかった…」と、新たなトラブルの原因になることも少なくありません。

土地であれば、賃貸住宅(アパート)を建てるだけでなく、駐車場(コインパーキング)やトランクルームとして活用するといった方法も考えられますが、いずれにせよ初期投資や管理の負担について、共有者間での合意形成が不可欠です。

「共有名義のトラブル、法的な手続きはどうなるの?」
「弁護士に相談すべきか悩んでいる…」
そんな時は、まず専門家が運営する窓口で現状を整理してみましょう。

共有名義のトラブル、一人で悩んでいませんか?

共有名義トラブルに関するよくあるご質問FAQ

共有名義トラブルに関するよくあるご質問FAQ

Q1. 共有者の一人と連絡が取れない場合、不動産は売却できませんか?

A1. 原則として、共有者全員の同意がなければ不動産全体の売却はできません。ただし、法的な手続き(不在者財産管理人の選任申立てなど)を経て売却できる可能性はあります。

Q2. 固定資産税を払わない共有者がいますが、どうすればよいですか?

A2. 共有者は連帯納付義務を負うため、他の共有者が立て替えて支払う必要があります。立て替えた分は、その共有者に対して法的に請求(求償権の行使)することが可能です。

Q3. 自分の持分だけを売却すると、他の共有者に迷惑がかかりますか?

A3. 持分を買い取った業者などが、他の共有者に対して賃料相当額の請求や、共有物分割請求訴訟を起こす可能性があります。これにより、他の共有者が対応を迫られるケースは多いです。

Q4. 共有者が認知症になった場合、どうすればよいですか?

A4. 認知症などで意思能力がないと判断されると、売却などの法律行為はできません。家庭裁判所に「成年後見人」の選任を申し立て、後見人が本人に代わって手続きを行う必要があります。

専門家へ相談するメリット

ここまで読んでいただいて、「うわ、やっぱり面倒くさいな…」と思われたかもしれません。その通りなんです。共有名義の問題は、法律、税務、不動産実務が複雑に絡み合う、専門知識の総合格闘技のようなものです。

当事者同士での解決が困難なのは当たり前。だからこそ、早い段階で専門家に相談することをお勧めします。専門家といっても、得意分野が異なります。

専門家の種類主な役割・得意分野相談すべきタイミング
弁護士交渉の代理、法的手続き(調停・訴訟)のプロ。他の共有者と揉めている場合。【トラブル発生後】話し合いがこじれた、裁判も辞さない場合。
司法書士登記(相続登記、持分移転)のプロ。成年後見制度や家族信託の書類作成も。【手続き発生時】相続が発生した、認知症対策をしたい、話し合いがまとまった後。
不動産会社売却査定、買い手探し、活用の提案など、不動産実務のプロ。【検討・実行時】「売却したらいくら?」を知りたい、持分売却を検討している場合。
税理士税金(相続税、贈与税、譲渡所得税)のプロ。【手続き発生時】相続税申告が必要、生前贈与したい、売却益が出そうな場合。

私の経験上、「揉めてから」弁護士さんに駆け込むよりも、「揉める前」に司法書士さんや不動産会社に相談し、選択肢を整理する方が、はるかに円満かつ低コストで解決できるケースが多いです。多くの専門家が初回無料相談などを実施していますので、まずはご自身の状況を整理して、話を聞いてもらうだけでも価値がありますよ。

「相続税や贈与税、売却時の税金がいくらかかるか不安…」
「生前対策の相談もしたい!」
そんな時は、税金のプロに相談するのが一番です。

▶ 相続に強い税理士を「税理士ドットコム」で無料で探してみる

トラブルを防ぐための生前対策

トラブルを防ぐための生前対策

ここまで様々な解決策をお話ししてきましたが、相続・不動産の専門家として、私が声を大にして言いたいのは、これに尽きます。

最も重要で効果的なのは「トラブルが起きないように生前に対策しておくこと」!

一度こじれた問題を解決する(=マイナスをゼロに戻す)には莫大なエネルギーが要りますが、生前対策(=ゼロをプラスに保つ)は、ご本人の意思一つで始められます。具体的には、以下のような対策が考えられます。

1. 遺言書を作成する

最も基本的かつ強力な対策です。「不動産は、長年にわたり同居してくれた長男に相続させる」といった内容の「公正証書遺言」を作成しておくことを強くお勧めします。これにより、相続人全員での遺産分割協議が不要になり、意図しない「とりあえず共有」状態を防ぐことができます。

「付言事項」で想いを残そう

遺言書には、「付言(ふげん)事項」として、なぜそのような分け方にしたのか、ご自身の想いや感謝の気持ちをメッセージとして残すことができます。法的な拘束力はありませんが、残されたご家族の感情的な対立を和らげるのに、非常に大きな効果がありますよ。

2. 生前贈与する

ご自身が元気なうちに、「この不動産は長男に」と決めているなら、生前に贈与してしまう方法です。ただし、不動産の贈与には高額な贈与税不動産取得税がかかる場合があります。相続時精算課税制度など、税制の特例も活用できますが、税理士さんなどと相談しながら慎重に進める必要があります。

3. 家族信託を活用する

これは、私が今一番注目している生前対策の一つです。元気なうちに、信頼できるご家族(例:長男)と契約を結び、不動産の管理・処分権限を託しておく制度です。

遺言書は「亡くなった後」にしか効力を発揮しませんが、家族信託は「ご自身が元気なうち」から効力を発揮させられます。最大のメリットは、認知症対策として非常に有効な点です。

もしご自身が認知症になった後でも、契約に基づき、託された長男が不動産を売却したり、賃貸管理したりできるのです。成年後見制度よりも柔軟かつスピーディーに対応できるのが魅力ですね。

4. 元気なうちに売却・整理する

ある意味、最もシンプルで究極的な対策かもしれません。将来、子どもたちが「実家」の扱いで揉めそうだと少しでも感じるのであれば、ご自身が元気なうちに、意思決定ができるうちに、不動産を売却して「現金」で残すのです。

現金であれば、1円単位で公平に分けることができます。思い出の詰まった家を手放すのは寂しいかもしれませんが、それが原因で子どもたちが争うことになるよりは…と、決断される方も増えています。

「終活」の一環として、ご自身の財産を整理(換金)しておくことは、残されるご家族への何よりの思いやりになるかもしれません。

すでに相続した不動産の具体的な売却手順を知りたい方は、相続不動産を売却するときの手続きガイドもチェックしてみてください。

コンサルタント @KAZU

「相続」が「争族」にならないために、一番効果的なのは生前の対策です。「ウチは仲が良いから大丈夫」というご家庭ほど、いざ相続という「お金」と「感情」が絡むイベントが発生すると、あっけなく揉めてしまうものです…。元気なうちに、ご自身の明確な「意思」を、遺言書や家族信託という「法的な形」で残しておくことを、私は強く、強くお勧めします。

共有名義トラブル事例の悩み解決

ここまで、共有名義トラブルの様々な事例と、その解決策、そして最強の対策である「生前対策」について、たっぷりとお話ししてきました。

もうお分かりかと思いますが、不動産の共有名義は、一見公平なようですが、その実態は「問題の先送り」でしかありません。権利関係者が増えれば増えるほど、解決は困難になり、余計な費用と時間、そして何より大切なご家族間の「絆」まで失うことになりかねません。

どの事例を見ても、放置して良いことは、本当に一つもない、というのが私の揺るぎない結論です。

問題を解決するには、確かに、時間も労力も、そして精神的なエネルギーも必要です。しかし、今行動しなければ、その負担は将来、あなたのお子さんやお孫さんの世代に、より重く、より複雑な形で引き継がれてしまいます。

この記事を読んで、「うちも当てはまるかも…」「そろそろマズイかも…」と感じた方は、ぜひ「今日」を、その第一歩の日にしてください。

今日からできる!トラブル解決へのアクションプラン

難しく考える必要はありません。まずはこの3つから始めてみませんか?

  1. 【把握する】
    まずは法務局で「登記事項証明書(登記簿謄本)」を取得し、現在の正確な権利関係(誰がどれだけ持分を持っているか)を把握する。(今はオンラインでも取得できますよ!)
  2. 【打診する】
    他の共有者に対し、「将来のことで、一度ちゃんと話し合っておかない?」と問題解決のための「話し合い」を正式に申し入れてみる。(まずはLINEや手紙、メールでも構いません)
  3. 【相談する】
    自分の状況を整理したメモ(いつから共有か、誰と共有か、自分はどうしたいか)を作成し、無料相談などを利用して一度専門家に「壁打ち」してもらう。

小さな一歩が、複雑に絡まった糸を解きほぐす、最初のきっかけになります。あなたのその一歩を、心から応援しています!

あわせて、孤独死物件・再建築不可・空き家・遺品整理などをまとめて俯瞰したい方は、訳あり不動産・相続・遺品整理の総合ガイドもチェックしてみてください。

共有名義、相続、認知症対策…
何から手をつければいいか分からない…
そんなあなたの「最初の一歩」を専門家がサポートします。

共有名義のトラブル、一人で悩んでいませんか?

▼あわせて読みたい関連記事▼

まずは無料相談で我が家の診断

共有名義トラブル事例と円満解決法を専門家が解説

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた専門家

保有資格: 相続診断士 / 宅地建物取引士 / AFP(日本FP協会認定)など20種以上

不動産・金融業界で15年以上の実務経験、1,500件以上の相談実績を持つ相続・終活・不動産相続のプロフェッショナル。法律・税務・介護の専門家と連携し、ご家族に寄り添った円満な終活・相続を実現します。

▶︎ 詳しいプロフィールは下記リンクマークから

目次