【相続税払えない知恵袋】専門家が解決策を伝授!

【相続税払えない知恵袋】専門家が解決策を伝授!
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相続はあったけど、手元にお金がなくて相続税が払えない…」なんて、頭を抱えていませんか?
結論から言うと、相続税が払えなくてもすぐに諦める必要はありません。延納や物納といった公的な制度を利用するなど、解決策はいくつか用意されています。


ただし、それぞれの対処法には手続きの期限や細かい条件があり、ご自身の状況に合わない方法を選んでしまうと、かえって事態が悪化する可能性も否定できません。

例えば、専業主婦の方で収入がない場合や、相続財産が不動産ばかりで現金がない場合など、相続税が払えないのはなぜ起こるのか、その背景は人それぞれです。


この記事では、相続税払えない知恵袋として、僕、専門家のカズが、お金ないときの対応や、放置した場合のリスクと対策について徹底解説します。

相続税が払えないときの対処法はもちろん、延納手続き物納の条件分割払いの方法、さらには家は売るべきか土地の評価見直しは可能かといった具体的な選択肢まで網羅します。

万が一の差し押さえ期限家族の連帯責任、いざという時の相談先も紹介するので、ぜひ最後まで読んで、不安を解消してくださいね!

この記事のポイント
  • 相続税が払えない根本的な原因がわかる
  • 延納や物納などの具体的な対処法を学べる
  • 差し押さえなどのリスクと回避策が明確になる
  • 税理士など専門家への適切な相談先が見つかる
コンサルタント @KAZU

僕もこれまで多くの相続のご相談を受けてきましたが、「まさか自分が…」と納税で困ってしまう方は少なくありません。

でも大丈夫、一つひとつ状況を整理すれば、必ず道は開けます。この記事が、あなたの不安を解消する第一歩になりますように!

目次

相続税払えない知恵袋|原因とリスクを解説

相続税払えない知恵袋|原因とリスクを解説

相続税が払えないのはなぜ起こるのか

「そもそも、どうして相続税が払えない状況になるの?」という疑問、とてもよく分かります。これは決して他人事ではなく、いくつかの典型的なパターンが存在するんです。

最も多いのは、やはり相続した財産の大部分が不動産だったというケースです。例えば、都心の一等地に立つご実家や、先祖代々の広大な土地などを相続した場合、財産の評価額は数千万円、時には億円単位になることも珍しくありません。

しかし、不動産はあくまで「資産」であって、すぐに使える「現金」ではありません。評価額に見合った高額な相続税を現金で一括納付するように言われても、手元に納税資金となる預貯金がなければ、支払いが困難になるのは当然ですよね。

相続財産の約半分は「不動産」

国税庁の「令和4年分 相続税の申告事績の概要」によると、相続財産の金額構成比は、土地が32.4%、家屋が5.3%となっており、不動産(土地・家屋)だけで全体の37.7%を占めています。

現金・預貯金等(35.0%)とほぼ同等の割合であり、いかに不動産が相続財産の中で大きなウェイトを占めているかが分かります。このデータからも、納税資金の確保が困難になりやすい構造がうかがえます。

(出典:国税庁「令和4年分 相続税の申告事績の概要」

そもそも相続税はなぜかかる?「基礎控除」がカギ

相続税は、すべての相続にかかるわけではありません。遺産総額から「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」で計算される「基礎控除額」を差し引いた金額がプラスになる場合にのみ、申告と納税の義務が発生します。

より詳しい相続税の計算方法については別の記事で解説していますので、参考にしてください。近年、都心部を中心に不動産価格が上昇しており、これまで対象外だったご家庭でも基礎控除額を超えてしまい、突然納税義務者になるケースが増えているのです。

実際に相続税を納める人の割合は?

国税庁の同調査によると、令和4年中に亡くなられた方(被相続人数)約157万人のうち、相続税の課税対象となったのは約15万人でした。これは、亡くなられた方全体のうち約9.9%にあたり、およそ「10人に1人」が相続税の対象となっている計算になります。平成27年の基礎控除額引き下げ以降、この割合は高水準で推移しており、相続税が決して他人事ではない時代になっていることを示しています。

(出典:国税庁「令和4年分 相続税の申告事績の概要」

また、故人が株式や投資信託といった有価証券を多く保有していた場合も注意が必要です。これらは不動産と違って現金化しやすい財産ですが、市場の状況によって価値が大きく変動するというリスクをはらんでいます。

相続税の計算は、あくまで相続開始日(亡くなった日)時点の株価で行われます。そのため、申告・納税の準備を進めている間に株価が大きく下落してしまうと、いざ売却したときには、納税額に満たない現金しか手に入らない…という悲しい事態も起こりえるのです。

遺産分割協議の難航が納税を阻む壁に

相続人同士で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」がまとまらないことも、納税が遅れる深刻な原因となります。特に相続人同士の関係が良くない場合や、不動産など財産の分け方で意見が対立した場合には、協議が数年にわたって長引くことも。

その間、故人の銀行口座は凍結されたままとなり、預金を引き出して納税に充てることができません。相続税の申告期限は、協議の状況に関わらず10ヶ月と定められていますから、結局、相続人が自身の固有財産から立て替えて支払うか、高額な延滞税を覚悟するしかなくなってしまうのです。

このように、相続財産の種類や評価額、そして相続人間の関係性といった、様々な要因が複雑に絡み合って「相続税が払えない」という状況は生まれるのです。

専業主婦が相続税を払えないケースとは

専業主婦が相続税を払えないケースとは

専業主婦(主夫)の方からのご相談で、「自分には定期的な収入がないのに、ある日突然、税務署から多額の相続税の通知が来てパニックになっています」というお話をよく伺います。これも、相続の仕組みを理解すると見えてくる典型的なケースです。

例えば、夫に先立たれた妻が、自宅不動産と預貯金を相続する「一次相続」のケースを考えてみましょう。この場合、配偶者には「配偶者の税額軽減」という非常に強力な特例が用意されています。

これは、国税庁の定めにより、法定相続分または1億6,000万円のいずれか多い金額までの財産であれば、相続税がかからないというものです。この特例を適用すれば、ほとんどのケースで妻が相続税を支払う必要はなくなります。

しかし、本当に注意が必要なのは、その後に訪れる「二次相続」です。二次相続とは、一次相続で財産を受け継いだ妻が亡くなったときに、その財産を子どもたちが相続するケースを指します。

一次相続で妻が多くの財産を相続し、その財産を大きく減らすことなく亡くなると、今度は子どもたちがその全財産を相続することになります。このとき、子どもたちには「配偶者の税額軽減」は使えません。

財産が主に不動産だった場合、子どもたち(例えば、結婚して専業主婦になった娘さんなど)に、いきなり重い納税負担がのしかかってしまう可能性があるのです。

二次相続対策の切り札「生命保険金」

このような事態を避けるためには、一次相続の段階から二次相続を見据えた財産分割を計画することが極めて重要です。有効な対策の一つが、納税資金として生命保険金を活用する方法です。

例えば、一次相続の際に妻が相続した預金で、妻自身を被保険者、子どもたちを受取人とする生命保険に加入します。こうすることで、妻が亡くなったときに、子どもたちは遺産分割協議を経ることなく、まとまった現金をスムーズに受け取ることができ、納税資金に充てられます。

生命保険金には「500万円 × 法定相続人の数」という非課税枠があるため、生前贈与と並行して活用することで節税対策としても有効です。

相続税を払えない場合の家族の連帯責任

「もし相続人の一人がどうしても相続税を払えなかったら、他の家族に迷惑がかかるの?」というご心配、本当によく分かります。これは家族関係にも影響を及ぼしかねない、非常に重要なポイントです。

結論からお伝えすると、相続税には「連帯納付義務」という制度があり、他の相続人が代わりに納税する責任を負います。

これは、民法上の連帯保証人と非常によく似た制度で、税務署は、本来納税すべき人が滞納した場合、他の相続人や包括受遺者(遺言書ですべての財産を受け取った人)に対しても「滞納されている税金を、あなたが代わりに納付してください」と請求する法的な権利を持っています。

ただし、どこまでも無限に責任を負わされるわけではありません。各相続人が負う連帯納付義務の範囲は、自分が相続によって得た利益の額が上限と定められています。

例えば、兄が3,000万円の財産を相続して納税できず、弟が500万円の財産を相続したとします。この場合、弟が兄の代わりに支払う義務があるのは、最大でも自分が相続した500万円まで、ということです。自身の固有財産を投げ打ってまで支払う必要はありません。

家族関係に亀裂が入る前に

もちろん、税務署もいきなり他の相続人に請求書を送りつけるわけではありません。まずは納税を怠っている本人に対して、電話や書面(督促状)で何度も支払いを促します。

それでも納税されない、あるいは連絡が取れないといった悪質なケースに至った場合に、最終的に他の相続人へ連絡が来ることになります。

この連帯納付義務が原因で、家族間の関係に深い亀裂が入ってしまうことも少なくありません。トラブルを未然に防ぐためにも、遺産分割協議の段階で、誰がどの財産を相続し、納税資金をどう確保するのかを全員でオープンに話し合っておくことが何よりも大切です。

(出典:国税庁「相続税のあらまし」

相続税を払えない場合の差し押さえ期限

相続税を払えない場合の差し押さえ期限

相続税の納付期限は、法律で厳格に定められており、原則として被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。この期限までに現金で一括納付するのがルールですが、もし1日でも遅れてしまうと、残念ながら厳しいペナルティが課せられます。

まず、納付期限の翌日から「延滞税」が自動的に日割りで加算されていきます。これは銀行ローンの延滞利息のようなもので、納付が遅れる期間が長くなるほど、雪だるま式に納税額が膨らんでしまいます。

延滞税の税率は、納期限の翌日から2ヶ月を経過する日までは比較的低いですが、それを過ぎると高くなるため、注意が必要です。

税務署からの督促状が送られてきてもなお納付しないままでいると、国税徴収法に基づき、最終的には財産の「差し押さえ」という強制的な手続きが執行されます。

差し押さえに「何ヶ月以内」という明確な期限が法律で決まっているわけではありませんが、実務上は督促状の送付から数ヶ月〜1年程度の間に実行されることが多いようです。差し押さえに至るまでの一般的な流れは以下の通りです。

  1. 納付期限を過ぎる
  2. 税務署から督促状が届く
  3. 電話や訪問による催告が行われる
  4. 最終警告として「差押予告通知書」が届く
  5. 財産の差し押さえが実行される

差し押さえの対象となるのは、預貯金、給与、不動産、自動車、生命保険など、換金価値のあるあらゆる財産です。

特に預貯金や給与(手取り額の4分の1まで)は、税務署が金融機関や勤務先に直接連絡を取ることで、比較的簡単に差し押さえることができてしまいます。不動産が差し押さえられると、最終的には公売(オークション)にかけられ、市場価格より安い価格で強制的に売却されてしまうこともあります。

「差押予告通知書」は最後のチャンス

差押予告通知書」が届いたら、それは文字通り最終警告であり、事態は非常に深刻です。この通知を無視すると、ある日突然、銀行口座からお金がごっそり引き落とされていたり、自宅に調査官が財産調査に来たりする可能性があります。

そうなる前に、必ず税務署に連絡を取り、納税の意思があること、そして現在の厳しい状況を正直に伝え、今後の納付計画について相談することが絶対に重要です。どうにもならない場合は、最終手段として相続放棄の手続きを検討する必要も出てきます。

相続税を払えない場合のリスクと対策

ここまで解説してきたように、相続税を払えないまま放置してしまうことには、金銭的にも精神的にも多くのリスクが伴います。ここで改めて、想定されるリスクとその対策を表で整理しておきましょう。

リスクの種類具体的な内容有効な対策方法
延滞税の発生納付期限の翌日から、年率数パーセントの延滞税が日割りで加算されます。納付が遅れるほど、本来の税額に上乗せされる金額が増えてしまいます。1日でも早く納付することが最善です。それが難しい場合は、税務署に相談の上、延納(分割払い)を申請することを検討します。
財産の差し押さえ督促を無視し続けると、預貯金、給与、不動産などの財産が強制的に差し押さえられます。最悪の場合、自宅が公売にかけられ失う可能性もあります。税務署からの連絡は絶対に無視せず、誠実に対応することが不可欠です。すぐに全額払えなくても、分割納付などの相談に応じてもらえる場合があります。
各種加算税の発生申告自体を期限までに行わなかった場合、「無申告加算税」が課されます。さらに、意図的に財産を隠蔽したと判断されると、最も重い「重加算税」(最大40%)の対象となります。たとえ納税が難しくても、相続税の申告だけは必ず期限内に行うことが鉄則です。これにより、無申告加算税を避けることができます。
家族・親族間のトラブル連帯納付義務により、他の相続人に納税の負担が及び、迷惑をかけてしまう可能性があります。これが原因で、家族関係に深刻な亀裂が生じることもあります。遺産分割協議の際に、納税資金を誰がどうやって確保するのかを、相続人を調査した上で全員が納得するまでしっかりと話し合っておくことが重要です。

これらのリスクの中で最大級のものは、本来払う必要のなかったペナルティ(延滞税や加算税)によって、最終的な納税総額が雪だるま式に増えてしまうことです。そして、その結果として、故人が遺してくれた大切な財産を、不本意な形で失うことにも繋がりかねません。

このような最悪の事態を避けるための最も重要な対策は、繰り返しになりますが、「納税が難しくても、申告だけは必ず期限内に行うこと」、そして「問題が深刻化する前に、一刻も早く専門家に相談すること」です。

相続税の問題は、時間が経てば経つほど選択肢が狭まっていきます。一人で抱え込まず、専門家の知恵を借りることが、最善の解決策を見つけるためのカギとなるでしょう。

コンサルタント @KAZU

「税務署」と聞くと、なんだか冷たくて怖いイメージがあるかもしれませんが、担当者の方も同じ人間です(笑)。

きちんと事情を説明して、納税する意思を示せば、分割での納付計画など、親身に相談に乗ってくれるケースがほとんどなんですよ。

決して連絡を無視したりせず、正直に現在の状況を伝える勇気が大切です。

相続税払えない知恵袋|具体的な解決策

相続税払えない知恵袋|具体的な解決策

相続税が払えないときの対処法を解説

さて、ここからはお待ちかねの具体的な解決策について、さらに深掘りして見ていきましょう。相続税がどうしても払えないという厳しい状況に直面した場合でも、打つ手は残されています。

主に考えられるのは以下の4つの対処法です。それぞれのメリット・デメリットをしっかり理解し、ご自身の状況に最も適した方法を選ぶことが、後悔しないための第一歩です。

対処法主な特徴メリットデメリットこんな人におすすめ
1. 延納相続税を分割で支払う制度。・財産を手放さずに済む
・最長20年の分割が可能
・利子税(利息)がかかる
・担保の提供が必要な場合がある
・申請手続きが複雑
公務員や会社員など、将来的に安定した収入が見込める方。
2. 物納現金ではなく、不動産などの財産そのもので税金を納める制度。・現金がなくても納税できる
・財産を売却する手間が省ける
・延納でも払えない場合の最終手段
・評価額が時価より低くなる
・条件が厳しく、認められないことも多い
他に手段がなく、相続財産の中に物納に適した財産がある方。
3. 財産の売却相続した不動産などを売却して現金を作り、納税する方法。・一括で納税できる
・物納より有利な価格で現金化できる可能性が高い
・大切な財産を手放すことになる
・売却に時間がかかる場合がある
・売却益に譲渡所得税がかかる
誰も住まない不動産がある方や、財産を整理してスッキリしたい方。
4. 金融機関からの借り入れ銀行の「納税ローン」などを利用して納税資金を借りる方法。・迅速に資金を確保できる
・財産を手放さずに済む
・金利負担が発生する
・審査があり、必ずしも借りられるとは限らない
・返済計画が必要
不動産の売却が間に合わない場合の「つなぎ融資」として利用する方。

どの方法がベストかは、相続財産の内容、相続人の経済状況やライフプランによって大きく異なります。例えば、将来的に安定した収入が見込める会社員の方であれば、財産を手放さずに済む「延納」が有力な選択肢になります。

一方で、誰も住む予定のない実家を相続したのであれば、空き家として放置するリスクも考慮し、「売却」して納税し、残ったお金を有効活用する方が合理的かもしれません。それぞれの方法の詳しい内容については、次の項目から一つずつ丁寧に解説していきますね。

相続税が払えない場合の延納手続き

相続税が払えない場合の延納手続き

延納」は、相続税を一括で納付することが難しい場合に、税務署長の許可を得て、年賦(分割)で納めることができる制度です。

いわば、国が認めてくれた公式な税金の分割払い制度ですね。財産を手放すことなく、納税の負担を長期的に平準化できるのが最大のメリットです。

延納を利用するためには、以下の4つの要件をすべて満たした上で、期限内に申請する必要があります。

延納を申請するための4つの必須要件

  • 相続税額が10万円を超えていること:少額の納税には利用できません。
  • 金銭で一括納付することが困難である理由があること:手元に十分な預金があるのに利用することはできません。「納付困難な金額」の範囲内でのみ認められます。
  • 原則として担保を提供すること:延納税額および利子税の額に相当する担保(不動産、国債、税務署長が確実と認める有価証券など)を提供する必要があります。ただし、延納税額が100万円以下で、かつ延納期間が3年以下の場合は、担保は不要です。
  • 申告期限までに延納申請書を提出すること:相続税の申告期限(10ヶ月以内)までに、担保提供に関する書類を添付して、税務署に申請する必要があります。

延納できる期間は、相続した財産に占める不動産等の割合によって異なり、最長で20年まで認められます。しかし、非常に重要な注意点として、延納期間中は元金に加えて「利子税」という利息を支払わなければなりません。

この利子税の利率は、銀行のローン金利に比べると比較的低めに設定されていることが多いですが、決してゼロではありません。

延納を申請する前には、税理士に相談して、利子税を含めた将来の総支払額がいくらになるのかを正確にシミュレーションしてもらうことが不可欠です。計画性のない延納は、かえって将来の家計を圧迫する原因にもなりかねません。

相続税が払えない場合の物納の条件

物納」は、延納によっても金銭での納付が困難な場合にのみ認められる、いわば最終手段としての納税方法です。

その名の通り、現金(金銭)の代わりに、相続した土地や建物、株式といった「物」そのもので税金を納めます。相続税独自の制度であり、所得税や法人税にはない特別な扱いです。

物納は誰でも自由に選択できるわけではなく、延納制度よりもさらに厳しい条件が設けられています。

物納が認められるための厳しい条件

  • 延納によっても金銭での納付が困難であること:まず延納を検討し、それでも払えないという客観的な事実が必要です。
  • 物納申請書を期限までに提出すること:延納と同様に、申告期限までに申請が必要です。
  • 物納できる財産は、定められた種類と順位のものであること:物納に充てることができる財産には優先順位が定められており、第一順位は国債、地方債、不動産、上場株式などです。非上場株式や動産(美術品、ゴルフ会員権など)は順位が低く、先順位の財産がない場合に限られます。
  • 物納する財産が「管理処分不適格財産」でないこと:例えば、境界線が不明確な土地、抵当権が設定されている不動産、共有名義で権利関係が複雑な不動産など、国が管理・処分するのに不適切な財産は物納することができません。

物納の最大のデメリットは、財産の評価額が時価(実際の市場価格)よりもかなり低く見積もられてしまう点です。物納する財産は、相続税を計算する際の評価額(いわゆる相続税評価額)で国に引き取られます。

特に不動産の場合、相続税評価額は時価の8割程度が目安とされているため、例えば時価5,000万円の土地を物納しても、4,000万円分の納税にしかならない、ということが起こるのです。

したがって、手間はかかりますが、市場で5,000万円で売却して、その現金で納税した方が有利になるケースがほとんどです。物納はあくまで「最後の手段」と考え、まずは延納や売却を検討するのが賢明な判断と言えるでしょう。

(出典:国税庁「相続税の物納」

相続税が払えないとき、家は売るべきか

相続税が払えないとき、家は売るべきか

「相続税を払うために、両親が大切にしてきた実家を売るしかないのか…」と悩むのは、経済的な問題以上に、精神的にも非常につらい決断ですよね。この問題に「絶対的な正解」はなく、ご家族の状況や想いを丁寧に整理して判断する必要があります。

まず客観的に考えるべきは、「その家に今後、相続人の誰かが住む具体的な予定があるのか?」という点です。もし誰も住む予定がなく、管理する人もいないまま空き家になってしまうのであれば、売却は非常に合理的な選択肢となります。

空き家を所有し続けると、毎年固定資産税都市計画税がかかり続けますし、実家の維持費や火災保険料、定期的な修繕・管理費も必要になります。これらのランニングコストは、長期的に見るとかなりの負担になります。

増え続ける日本の「空き家問題」

総務省統計局が5年ごとに行う「住宅・土地統計調査」の令和5年速報集計によると、全国の空き家数は過去最多の900万戸にのぼり、総住宅数に占める空き家率は13.8%に達しています。相続した実家が誰も住まないまま放置され、管理不全な空き家となるケースは社会問題化しています。適切な管理を怠ると、倒壊の危険性や地域の景観・治安の悪化を招き、行政から指導や勧告、最悪の場合は過料や行政代執行の対象となる可能性もあるため、注意が必要です。

(出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」

前述の通り、物納する場合の不動産の評価額は時価より低くなる傾向があります。そのため、急いでいなければ、市場でじっくりと買い手を探して売却し、その現金で納税した方が、最終的に手元に残る金額が多くなる可能性が非常に高いのです。

売却によって利益(譲渡所得)が出た場合は所得税・住民税の対象となりますが、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」という制度を使えば、納付した相続税額の一部を不動産の取得費に加算でき、結果として税負担を軽減できる場合があります。(参照:国税庁 No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

売却以外の選択肢「リースバック」とは?

「家は手放したくない、でも現金が必要…」という場合には、「リースバック」という方法も選択肢の一つです。これは、一旦不動産会社などに家を売却し、その後は賃貸契約を結んで、家賃を払いながら同じ家に住み続けるという仕組みです。

将来的に資金に余裕ができれば、買い戻すことができる場合もあります。ただし、売却価格が相場より安くなる、家賃が割高になるなどのデメリットもあるため、利用は慎重に検討する必要があります。

最終的な決断は、経済的な損得勘定だけでなく、「家族の思い出」や「故人の想い」といった感情的な要素も大切にしながら、相続人全員でよく話し合って決めることが何よりも重要です。

相続税が払えない土地の評価見直し

「提示された土地の評価額が高すぎて、どう考えても相続税が払えない…」という場合、その評価額の妥当性を疑ってみることは非常に重要です。もしかしたら、その評価額は必要以上に高く計算されているかもしれません。

土地の相続税評価額は、主に国税庁が定めた「路線価」を基に計算されますが、これはあくまで標準的な形状の土地を想定した価格です。

実際の土地は、形がいびつだったり、道路に面している部分が狭かったりと、様々な個別の事情を抱えています。

税理士が申告を行う際、これらの個別要因を考慮して評価額を減額(補正)しますが、土地の評価は非常に専門的で奥が深いため、相続に不慣れな税理士が申告した場合、適用できるはずの減額要因が見逃され、評価額が過大に計算されてしまっているケースが少なくないのです。

例えば、以下のような特徴を持つ土地は、専門家が見直すことで評価額を大きく下げられる可能性があります。

専門家による評価額減額が期待できる土地の例

  • 不整形地:きれいな四角形ではなく、L字型や三角形など、いびつな形の土地。
  • 無道路地・狭小間口宅地:道路に全く面していない、または接している間口が2m未満の土地。
  • がけ地・傾斜地:敷地内に崖や急な傾斜を含んでいる土地。
  • セットバックが必要な土地:建築基準法の規定により、将来的に敷地の一部を道路として提供しなければならない土地。
  • 騒音・悪臭・嫌悪施設:線路や幹線道路に隣接して騒音がひどい、近くにゴミ処理場や墓地があるなど、周辺環境に問題がある土地。

もし相続税の申告・納税を済ませてしまった後であっても、諦めるのはまだ早いです。申告期限から5年以内であれば、「更正の請求」という手続きを行うことで、評価額を再計算し、払い過ぎた税金を取り戻せる可能性があります。

土地の評価に強い相続専門の税理士にセカンドオピニオンを依頼することで、数百万円単位で税金が還付されるケースも珍しくありません。心当たりがある方は、ぜひ一度相談してみることを強くおすすめします。

相続税払えない場合についてのよくあるご質問FAQ

相続税払えない場合についてのよくあるご質問FAQ
相続税を払えない場合、他の相続人が払うのですか?

はい、相続税には連帯納付義務があり、他の相続人が立て替えて支払う責任を負います。ただし、その責任の範囲は自分が相続で得た財産の価額が上限となります。

相続税が払えない場合、相続放棄すればいいですか?

相続放棄をすれば相続税の支払い義務はなくなりますが、プラスの財産もすべて手放すことになります。借金が多い場合などを除き、安易に選択すべきではありません。相続開始から3ヶ月以内という期限もあるため慎重な判断が必要です。

貯金がなくても相続税は払えますか?

はい、手元に現金がなくても、延納(分割払い)や物納(不動産などで納付)といった制度を利用できます。また、相続した不動産などを売却して納税資金を作る方法もありますので、諦めずに専門家へご相談ください。

相続税が払えない場合の相談先

相続税の問題は、税法の知識だけでなく、不動産評価や民法など、幅広い専門知識が要求される非常に複雑な分野です。

一人で、あるいは家族だけで解決しようとすると、かえって事態を悪化させてしまうことも少なくありません。困ったときには、ためらわずに専門家の力を借りることが、最善の解決策への近道です。

税理士

相続税の申告や納税に関する相談の最初の、そして最も重要な窓口は税理士です。

特に、年間を通じて多くの相続案件を手掛けている「相続専門の税理士」は、延納や物納の複雑な申請手続き、専門的な知識が要求される土地評価の見直しによる減額交渉など、あらゆる状況に対応できる深い知識と豊富な経験を持っています。

税理士法人によっては、初回の相談を無料で受け付けているところも多いので、「まずは話を聞いてもらう」というくらいの軽い気持ちで問い合わせてみるのが良いでしょう。

税務署

納税計画に関する具体的な相談は、もちろん管轄の税務署でも受け付けています。窓口では、延納や納税猶予の制度説明や、申請書類の書き方などを丁寧に教えてくれます。

支払う意思があることを示し、誠実に相談すれば、担当者も親身に対応してくれるでしょう。ただし、税務署はあくまでも法律に則って「税金を徴収する」のが役割です。

そのため、節税につながるようなアドバイスや、相続人にとって最も有利な方法を提案してくれるわけではない、という点は明確に理解しておく必要があります。

弁護士・司法書士

相続の問題は、税金だけとは限りません。遺産分割の話し合いがまとまらず、相続人間で対立が生じてしまった(いわゆる「争族」)場合は、法律の専門家である弁護士の出番です。

弁護士は、依頼者の代理人として他の相続人と交渉したり、家庭裁判所での調停や審判の手続きを進めたりすることができます。

また、相続した不動産の名義変更(相続登記)については、登記の専門家である司法書士が担当します。相続税の問題だけでなく、このような法的なトラブルや手続きが絡む場合は、それぞれの専門家にも並行して相談することが必要になります。

相続の悩みを一括解決!「ワンストップサービス」が心強い

最近では、税理士、弁護士、司法書士、さらには不動産コンサルタントやファイナンシャルプランナーなどが連携し、相続に関するあらゆる問題を一つの窓口でサポートしてくれる「ワンストップサービス」を提供している事務所が増えています。

相続人があちこちの専門家を探して回る手間が省け、各専門家が情報を共有しながら最適な解決策を提案してくれるため、非常に心強い存在となるでしょう。

まとめ:相続税払えない悩みは知恵袋で解決

まとめ:相続税払えない悩みは知恵袋で解決
  • 相続税が払えない主な原因は相続財産が不動産に偏っていること
  • 納税資金がなくても延納や物納といった救済制度がある
  • 延納は分割払いの制度で利子税がかかる
  • 物納は不動産などで納める最終手段だが評価額が低くなる傾向
  • 専業主婦でも二次相続で高額な納税義務が生じる可能性がある
  • 相続税には連帯納付義務があり他の相続人にも責任が及ぶ
  • 納付期限は相続開始から10ヶ月以内で遅れると延滞税が発生する
  • 督促を無視すると預貯金や不動産が差し押さえられるリスクがある
  • 納税が難しくても申告だけは期限内に済ませることが重要
  • 家を売るべきかは将来の利用価値や維持費を考慮して慎重に判断する
  • 不動産売却は物納より有利なケースが多いが売却を急ぐと損をすることも
  • 土地の評価額は専門家が見直すことで減額できる可能性がある
  • 払い過ぎた相続税は5年10ヶ月以内なら更正の請求で還付の可能性
  • 困ったときの第一の相談先は相続専門の税理士
  • 遺産分割で揉めている場合は弁護士への相談が必要
コンサルタント @KAZU

相続は、誰の身にも起こりうることですが、人生で何度も経験するものではありません。

だからこそ、分からないことが多くて不安に感じてしまうのは、ごく自然なことなんです。

ここで一番大切なのは、一人で抱え込まずに、正しい知識と経験を持った専門家を頼ること。

それが、ご家族全員が納得できる円満な相続への、一番の近道だと僕は信じています。

\ 相談は無料。しつこい営業なしで安心 /

今日からできるアクションプラン

  1. 相続財産のリストアップと概算評価:まずはどんな財産がどれくらいあるのか、わかる範囲で書き出してみましょう。預貯金、不動産(固定資産税の納税通知書が参考になります)、有価証券など、全体像を把握することが問題解決の第一歩です。
  2. 納税資金のシミュレーション:相続財産の中ですぐに使える現金・預金がいくらあるかを確認します。相続税がいくらかかるか概算できれば、あといくら不足するのか、具体的な目標金額が見えてきます。
  3. 相続専門の税理士にコンタクトを取る:インターネットで「相続税 税理士 無料相談 お住まいの地域名」などと検索し、気軽に相談できそうな専門家を探してみましょう。初回相談だけで、問題解決の糸口が見つかることも多いですよ。

不安を具体的な行動に変えることで、道は必ず開けます。まずは小さな一歩から、一緒に踏み出してみましょう!


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この記事を書いた専門家

保有資格: 相続診断士 / 宅地建物取引士 / AFP(日本FP協会認定)など20種以上

不動産・金融業界で15年以上の実務経験、1,500件以上の相談実績を持つ相続・終活・不動産相続のプロフェッショナル。法律・税務・介護の専門家と連携し、ご家族に寄り添った円満な終活・相続を実現します。

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