
「親が亡くなって不動産を相続したけど、この土地の評価額ってどうやって調べるの…?」
相続が始まると、多くの方がまずこの壁にぶつかります。
特に、相続する不動産の評価額の調べ方が分からず、遺産分割の話し合いで兄弟間の争いに発展してしまうケースも少なくありません。7000万の不動産を相続したら相続税はいくらになるのか、固定資産税の通知書を見てもよく分からないし、国税庁のサイトは専門用語だらけ…。
自分で土地の評価をやってみようにも、計算方法が複雑で不安になりますよね。このままでは、手続きが進まないどころか、家族関係までギクシャクしてしまうかもしれません。でも、ご安心ください。この記事を読めば、そのモヤモヤ、僕がスッキリ解決します!
- 相続不動産評価額の基本的な考え方と種類
- 自分でできる評価額の調べ方(路線価・倍率方式)
- 評価額が相続税や遺産分割にどう影響するのか
- 評価額で損しないための注意点やトラブル回避策

こんにちは!終活・相続の専門家カズです。相続不動産評価額、本当にややこしいですよね。でも、基本さえ押さえれば大丈夫!この記事では、僕が15年以上見てきた現場の経験を基に、専門用語をかみ砕いて、誰にでも分かるように解説します。一緒に不安を解消していきましょう!
相続不動産評価額の基本と調べ方


相続する不動産の評価額はどうやって調べますか?
「不動産の価格」と一言でいっても、実は4つの異なる価格(一物四価)が存在するんです。これを知らないと、「評価額の話をしているつもりが、全然違う価格の話だった…」なんていう悲劇が起こりかねません。まずはこの4兄弟をしっかり見分けてあげましょう!
僕、カズも昔は「なんでこんなに価格が分かれてるんだ!」って頭を抱えました(笑)。でも、それぞれの役割が分かると、相続手続きがぐっとスムーズに進みますよ。
▼そもそも相続って何から始めるの?という方へ
相続は不動産だけでなく、様々な手続きが必要です。全体像を掴みたい方は、まずこちらの記事からどうぞ。
>> 終活とは何か?今から始める人生の不安を減らす方法
価格の種類 | 概要 | 誰が決める? | 主な用途 |
---|---|---|---|
①実勢価格(時価) | 実際に市場で売買される価格。需要と供給で変動する。 | 売主と買主 | 不動産の売買、遺産分割協議 |
②公示価格 | 国が示す正常な土地取引の目安となる価格。 | 国土交通省 | 公共事業の用地買収、一般的な土地取引の指標 |
③固定資産税評価額 | 固定資産税や都市計画税などを計算するための基準価格。 | 市町村(東京23区は都) | 固定資産税、不動産取得税などの計算 |
④相続税評価額(路線価・倍率) | 相続税や贈与税を計算するための基準価格。 | 国税庁 | 相続税、贈与税の計算 |
このように、目的によって使うべき価格が全く異なります。今回、私たちが主に注目するのは、相続税を計算するための「④相続税評価額」です。遺産分割で揉めないためには「①実勢価格」も重要になりますが、まずは税金計算のキモとなる相続税評価額の調べ方をマスターしましょう。
相続税評価額・土地評価額の調べ方


さて、本題の相続税評価額(相続税路線価)の調べ方です。計算方法は、土地の場所によって大きく2つの方式に分かれます。なんだか難しそうですが、一度ルールを理解すれば大丈夫です!
土地の評価方法は2種類!
1.路線価方式
主に市街地にある土地で使われる方式です。道路(路線)ごとに設定された1㎡あたりの価格(路線価)を基に、土地の形状などに応じて補正を加えて評価額を計算します。
2.倍率方式
郊外や山林など、路線価が定められていない土地で使われる方式です。その土地の固定資産税評価額に、国税庁が定める一定の「倍率」を掛けて評価額を計算します。
ご自身の土地がどちらの方式で評価されるかは、後ほどご紹介する国税庁のホームページで簡単に確認できます。基本的には、「街なかの土地は路線価方式、それ以外は倍率方式」とイメージしておくと分かりやすいかもしれませんね。
国税庁サイトで相続税評価額を確認
「じゃあ、その路線価や倍率はどこで見るの?」と思いますよね。答えは、国税庁のウェブサイトにあります。ここで「財産評価基準書」というページをチェックするのです。
初めて見ると少し戸惑うかもしれませんが、手順通りに進めれば誰でも調べられますよ。
路線価図・評価倍率表の確認手順
- 国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」のページにアクセスします。
- 地図から、調べたい不動産の所在地がある都道府県を選択します。
- 「路線価図」または「評価倍率表」を選択します。
- 市区町村、町名へと進んでいくと、目的の路線価図や評価倍率表が表示されます。
路線価の見方
道路に「150D」のように数字とアルファベットが書かれています。これは「1㎡あたり150千円(15万円)」という意味です。アルファベットは借地権割合を示すもので、ご自身の土地であれば、まずは数字の部分に着目してください。
このサイトで、ご自身の土地が「路線価地域」なのか「倍率地域」なのかが判明します。この情報が、相続不動産評価額を計算するためのスタートラインになります。
参考情報サイト: 国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」
URL: https://www.rosenka.nta.go.jp/
自分で相続税の土地評価はできるか


「サイトも見方が分かったし、これなら自分で土地の評価ができそう!」そう思われる方も多いでしょう。もちろん、ご自身で相続税の土地評価を計算することは可能です。
特に、土地の形がきれいな四角形で、面している道路が一本だけ、といったシンプルなケースでは、比較的計算しやすいです。計算式は以下の通りです。
路線価方式の基本計算: 路線価 × 土地の面積(㎡) = 評価額
自分で評価する場合の注意点
ただし、土地の形状が複雑な場合は注意が必要です。例えば、土地の奥行が極端に長かったり短かったり、形がいびつ(不整形地)だったり、2つ以上の道路に面していたりすると、「奥行価格補正」「不整形地補正」といった専門的な補正計算が必要になります。
以前、僕が担当したお客様で、ご自身で評価額を計算して申告された方がいました。しかし、土地が旗竿地(はたざおち)という特殊な形状だったため、適用できるはずの減額補正を見逃していたのです。
結果的に、税務調査で指摘を受け、本来より数十万円も高い相続税を納めることになってしまいました。このような失敗を避けるためにも、少しでも「うちの土地、複雑かも?」と感じたら、専門家への相談を検討することをおすすめします。
▼相続税の基本と節税のコツを知りたい方はこちら
「そもそも相続税ってどう計算するの?」という基本からしっかり押さえたい方は、こちらの記事がおすすめですよ。
>> 相続税計算の基本と節税のコツを図解で徹底解説
相続不動産評価額の計算は、相続税額に直結する非常に重要な作業です。コストを抑えるために自分でやる選択も一つですが、リスクも理解しておくことが大切ですね。
固定資産税で不動産・土地評価額を調べる
「倍率方式」の土地の場合、計算の基になるのが固定資産税評価額です。これは、毎年春ごろに市町村から送られてくる「固定資産税の納税通知書」に記載されています。
納税通知書の中にある「課税明細書」を見てみてください。「価格」や「評価額」という欄に記載されている金額が、固定資産税評価額にあたります。(「課税標準額」とは異なる場合があるので注意してくださいね!)
「あの書類、どこにしまったかな…」となりがちですよね(笑)。もし見当たらない場合は、不動産がある市町村の役所(都税事務所)で「固定資産評価証明書」を取得すれば確認できますよ。
倍率方式の計算式はシンプルです。
倍率方式の計算: 固定資産税評価額 × 倍率 = 評価額
前述の国税庁のサイトでご自身の土地の倍率(例えば「1.1」など)を調べ、この固定資産税評価額に掛けるだけで、相続不動産評価額が算出できます。路線価方式に比べると、計算はかなり分かりやすいですね。
ただし、この固定資産税評価額は、あくまで倍率方式の土地や、建物の相続税評価額を計算する際に使うものです。遺産分割で話し合う際の時価(実勢価格)とは異なることが多い点も覚えておきましょう。



ここまでが基本の「調べ方」でした。路線価や倍率など、新しい言葉が出てきて少し疲れたかもしれませんね。でも、ご安心を。一番大変な山は越えました!ここからは、この評価額が「実際にどう使われるのか」という、より実践的なお話に入っていきます。頑張りましょう!
相続不動産評価額と遺産分割・税金


遺産分割における相続不動産評価額
相続税の計算で使う評価額は「相続税評価額」だとお伝えしました。では、遺産分割、つまり「誰がどの財産をどれだけもらうか」を決める話し合いでは、どの価格を使うのが正解なのでしょうか?
実は、ここには「この価格を使いなさい」という法律上の決まりはありません。相続人全員が合意すれば、極端な話、どの価格を使っても良いのです。
しかし、これがトラブルの火種になることが非常に多いです。
評価額で揉める典型的なパターン
例えば、相続人が長男と次男の2人で、遺産が「長男が住む実家(相続税評価額3,000万円)」と「預金5,000万円」だったとします。
- 長男の主張:「相続税申告で使った相続不動産評価額の3,000万円で計算しよう。だから俺は実家をもらって、預金は1,000万円もらう。次男は預金4,000万円で公平だろ?」
- 次男の主張:「いやいや、実際に売ったらいくらになるか、時価(実勢価格)で計算すべきだ。不動産屋の査定だと4,000万円だったぞ。それなら兄さんの取り分は預金500万円のはずだ!」
このように、不動産をもらう側は評価額が低い方が有利(相続税評価額を使いたい)、もらわない側は評価額が高い方が有利(時価を使いたい)となり、意見が対立してしまうのです。
▼不動産相続後の手続きに不安がある方へ
無事に分割協議が終わっても、不動産は名義変更が必要です。手続きで損しないためのポイントはこちらで解説しています。
>> 不動産名義変更相続で損しないための注意点と費用相場を解説
遺産分割を円滑に進めるためには、どの評価額を基準にするか、事前に家族でしっかり話し合うことが重要です。迷った場合は、不動産鑑定士に鑑定を依頼し、客観的な価格を基に話し合うのも一つの手です。
相続での土地評価額をめぐる争い


前述のように、遺産分割での評価額の考え方の違いは、相続を「争族」に変えてしまう大きな原因の一つです。
僕が以前ご相談を受けたケースでは、地方にある広大な山林の評価額で兄弟が対立しました。兄は「固定資産税評価額も低いし、価値なんてないに等しい」と主張し、弟は「将来開発されるかもしれない価値を考慮すべきだ」と主張。話し合いは平行線をたどり、結局、家庭裁判所での調停にまで発展してしまいました。
調停や審判では、原則として時価(実勢価格)を基準に判断が下されます。このケースでも、不動産鑑定士による鑑定が行われ、最終的には兄の主張よりかなり高い価格で分割割合が決定されました。しかし、そこに至るまでに1年以上の時間と、弁護士費用や鑑定費用で100万円以上のお金がかかってしまったのです。
お金も時間も、そして何より家族の感情もすり減らしてしまうのが相続争いです。そうならないためにも、客観的なデータに基づいて冷静に話し合う姿勢が本当に大切になります。
▼「争族」を未然に防ぐ仕組みづくり
親が元気なうちに家族で財産管理のルールを決めておけば、こうした争いを防げます。その有効な手段が「家族信託」です。
>> 家族信託の落とし穴とは?契約前に知るべき注意点15選
相続不動産評価額の調べ方よくある質問(FAQ)
7000万の不動産相続、相続税はいくら?


「じゃあ、実際に7000万円の相続不動産評価額の土地を相続したら、税金はいくらなの?」という疑問にお答えします。ただし、これは非常に重要なポイントなのですが、相続税は個別の財産の価格だけで決まるわけではありません。
相続税は、亡くなった方の全ての遺産の総額から、基礎控除額を差し引いた残りの金額に対して課税されます。
相続税の基礎控除額
計算式: 3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)
例えば、法定相続人が妻と子供2人(合計3人)の場合、基礎控除額は、
3,000万円 + (600万円 × 3人) = 4,800万円
となります。
この場合、遺産の総額(7000万円の不動産+預金など)が4,800万円以下であれば、相続税はかからず、申告も原則不要です。もし遺産総額が7,000万円(不動産のみ)であれば、課税対象は 7,000万円 – 4,800万円 = 2,200万円 となります。
▼相続税の計算方法を詳しくチェック!
実際の税額計算はもう少し複雑です。詳しい計算ステップや税率については、こちらの記事で図解を交えて解説しています。
>> 相続税計算の基本と節税のコツを図解で徹底解説
この2,200万円を、法定相続分で分けたとして各人の税額を計算し、合計するという流れになります。
相続税の土地計算シミュレーション
「もっと具体的に、うちの土地の相続税がいくらになるか知りたい!」という方のために、簡単なシミュレーションをしてみましょう。
しかし、前述の通り、正確な相続不動産評価額の計算には、土地の形状に応じた様々な補正が必要です。また、亡くなった方が住んでいた土地などには「小規模宅地等の特例」という評価額を最大80%も減額できる強力な特例が使える場合もあります。
これらの専門的な判断を全て個人で行うのは非常に困難です。そのため、ウェブ上にある簡易的なシミュレーションはあくまで「概算」と捉え、正確な税額を知りたい場合は、必ず相続に強い税理士に相談することをお勧めします。
▼税金対策は生前から!
相続税の負担を減らすには「生前贈与」も有効な手段です。実際に成功した方の体験談を参考にしてみませんか?
>> 生前贈与体験談成功例から学ぶ!相続税対策と注意点
僕たち専門家は、現地の確認や役所調査なども含め、あらゆる角度から評価額を下げられる要素がないかを徹底的にチェックします。それが、結果的に数百万円単位での節税につながることも珍しくありません。正確な相続不動産評価額の算出は、専門家への相談が一番の近道と言えるでしょう。
まとめ:相続不動産評価額の重要ポイント


お疲れ様でした!今回は相続不動産評価額の調べ方から、それが関わる税金や遺産分割の話まで、幅広く解説してきました。最後に、この記事の重要ポイントをリストでおさらいしましょう。
- 不動産の価格には実勢価格や固定資産税評価額など4種類ある
- 相続税の計算で使うのは国税庁が決める相続税評価額
- 市街地は路線価方式で評価額を計算する
- 郊外などは固定資産税評価額に倍率を掛ける倍率方式で計算する
- 路線価や倍率は国税庁のウェブサイトで確認できる
- 自分で評価も可能だが複雑な土地は専門的な補正計算が必要
- 計算ミスは追徴課税のリスクにつながるため注意が必要
- 遺産分割でどの評価額を使うかは法律で決まっていない
- 相続税評価額と時価のどちらを使うかでトラブルになりやすい
- 話し合いがまとまらなければ調停や審判に発展することもある
- 相続税は個別の財産ではなく遺産総額にかかる
- 基礎控除額(3000万円+600万円×相続人数)を超えるとかかる
- 小規模宅地等の特例などを使えば大幅に評価額を下げられる可能性がある
- 正確な評価額と税額の計算は相続専門の税理士への相談が確実
- 評価額の理解は円満な相続への第一歩である



相続不動産評価額は、ただの数字ではありません。それは、ご家族が遺してくれた大切な想いの価値を示す一つの指標です。この評価額を正しく理解することが、円満な相続への大切な一歩になります。この記事が、あなたの不安を少しでも和らげるお役に立てたなら、これ以上嬉しいことはありません。
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