
相続税計算って、いざ自分でやろうとすると「何から手をつければいいの?」って戸惑いますよね。
私の知人も、被相続人が亡くなったあとに相続税の計算表を見ながら混乱していました。
特に、土地の評価や国税庁の相続税計算シミュレーションに頼っても、ピンとこない方が多いようです。
そこで今回は、相続税計算をスムーズに進めたい方のために、「相続税の税率」「基礎控除のルール」「自分で計算する際の注意点」などをやさしく整理しました。
たとえば、5000万円や7000万円の家を相続したとき、現金8000万円や3000万円の遺産だった場合、どれくらいの税額になるかも具体例つきで解説しています。
この記事を読むことで、相続税計算の基本がしっかり理解できて、「何を準備すればいいか」がはっきりしますよ。
土地・現金・住宅など、財産ごとに注意点も違いますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
- 相続税計算の基本的な仕組みと流れ
- 国税庁シミュレーションや計算表の使い方
- 財産の種類ごとの相続税の概算金額
- 自分で計算するときの注意点と落とし穴
相続税計算の基本と必要な準備

相続税計算を自分でする際の注意点
相続税の計算を自分でやろうと考える方は、ここ最近とても増えている印象があります。
確かに、ネット上には無料のシミュレーションツールや「計算早見表」が充実していますし、国税庁のページにも情報がまとまっているため、チャレンジしやすい時代になっているのは事実です。
ただ、その一方で自分でやる相続税計算には、大きな落とし穴もあることを、ぜひ知っておいてほしいのです。
まず、一番のポイントは「すべての財産が簡単に金額化できるとは限らない」ということです。
例えば、現金や預貯金であれば残高がそのまま評価額になるため、比較的簡単に扱えます。
しかし、不動産(土地や建物)や未上場株式、骨董品などは評価の方法が複雑で、専門的な知識がないと正しい金額を算出しにくいのです。
実際、私の知り合いのAさん(50代男性)は、被相続人であるお父様の土地を「固定資産税評価額」だけで計算してしまい、本来よりも低い評価額で申告してしまったそうです。
結果的に、後から税務署の調査が入り、修正申告+過少申告加算税+延滞税までかかってしまいました。
このように「土地の評価は路線価や倍率方式など、決まったルールに基づいて算出する」必要があるため、思い込みで判断してしまうのは非常にリスキーです。
もう一つ注意したいのが「法定相続人の数によって、基礎控除額が変わる」という点です。
相続税の基礎控除額は、3000万円+600万円×法定相続人の数というルールになっており、以下のように変動します。
法定相続人の人数 | 基礎控除額 |
---|---|
1人 | 3,600万円 |
2人 | 4,200万円 |
3人 | 4,800万円 |
ところが、相続人であるかどうかを誤って認識してしまうケースも少なくありません。
特に、養子の取り扱いや、代襲相続の有無などは非常にややこしいポイントです。
「配偶者がいるから大丈夫」と思い込まず、被相続人と相続人の関係性、法定相続分の割合などをしっかり整理しておく必要があります。
それに加えて、配偶者には「配偶者控除(最大1億6,000万円まで非課税)」があるため、計算上は課税対象から外れることも多いです。
このあたりをきちんと把握せずに進めてしまうと、正しくない納税額を出してしまい、トラブルになりかねません。
また、税務署への提出書類にも注意が必要です。計算に自信があっても、添付書類の不備や記載漏れがあると、受理されない・調査対象になるリスクもあります。
このように、相続税を自分で計算することは可能であっても、リスク管理と正確性が問われる作業であることを念頭に置いておくことが大切です。
こうした前提を理解したうえで、次に役立つのが「相続税 計算表」の活用方法です。
相続税 計算表の使い方と見方

ここでは、相続税の計算表(いわゆる速算表)の見方や使い方を、できるだけシンプルに解説します。
相続税の課税総額を算出したあと、「各相続人が受け取る財産の割合」に応じて負担する税額を決める際に、この計算表が登場します。
以下が、一般的な相続税の速算表です(国税庁の資料に基づく例です)。
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | 0円 |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
この表の使い方は、次の3ステップで理解できます。
【1】まず、課税遺産総額を法定相続分で分ける
例えば、総額1億円の課税財産があり、相続人が2人(配偶者と子1人)の場合、それぞれ法定相続分は1/2ずつとなります。
よって、各人の取得金額は5000万円になります。
【2】速算表で税率と控除額をチェックする
5000万円は「5,000万円以下」の行に該当しますので、
- 税率:20%
- 控除額:200万円
となります。
【3】税額を計算する
5000万円 × 20% − 200万円 = 800万円
これが、相続税の計算表を活用したシンプルな計算方法です。
とはいえ、実際には法定相続分ではなく、実際の相続割合で分割されることも多くあります。例えば、生前の寄与分がある相続人が多く受け取るようなケースですね。
その場合も、一度「法定相続分での仮計算」→「実際の取得額で再調整」という流れで計算するのが正解です。
また、配偶者の税額軽減や未成年控除・障害者控除などの特例がある場合は別途考慮が必要です。
実際に、Bさん(60代女性)は、ご主人の遺産を子と1/2ずつ分ける想定で税額を計算しましたが、実際には配偶者控除の影響で申告自体が不要になったというケースもありました。
つまり、「速算表で出した税額=最終的に支払う金額」ではなく、あくまでベースとなる数値を出すための中間ステップとして活用するのが良いというわけです。
このように、計算表はとても便利ですが、それ単体で完結するわけではない点に注意してください。
次は、こうした計算表の活用を踏まえて、実際の相続金額別に税額を比較する「相続税計算例」について見ていきましょう。
相続税 計算 シミュレーション 国税庁で試す方法
このような相続の話題が出ると、「まずは税金がかかるかどうかを知りたい」と思われる方が多いのではないでしょうか。
ただ、相続税の計算は専門的な印象が強く、敬遠してしまう方も少なくありません。
そんなときにおすすめなのが、国税庁が提供している「相続税の申告要否判定コーナー」です。
これは、相続税がかかるかどうかをかんたんな質問に答えるだけで確認できる無料のオンラインツールです。
実際に私の知人でも、親族が亡くなって不安に思っていた方が、これを使って安心されたという例があります。
ここでは、その使い方を具体的にご紹介します。
【STEP1】相続財産の総額を把握する
まずは、被相続人が所有していたすべての財産(現金・不動産・預貯金・株式など)を合計します。
仮に、現金2,000万円、土地評価額3,000万円、株式1,000万円であれば、総額は6,000万円です。
【STEP2】法定相続人の人数を確認する
このときの注意点は、相続放棄をした人も人数にカウントされる点です。
また、養子がいる場合は、法定相続人としての制限(実子がいるときは1人まで)があることにも注意しましょう。
例えば、配偶者と子2人がいる場合、法定相続人は3人となります。
【STEP3】基礎控除額を自動計算
入力を進めると、自動的に基礎控除額=3,000万円+600万円×相続人の数が適用されます。
配偶者+子2人の場合は、
3,000万円+600万円×3=4,800万円となります。
つまり、財産総額が4,800万円以下なら、相続税は発生しないことになります。
【STEP4】シミュレーション結果の確認
最後に「判定する」ボタンを押せば、相続税の申告が必要かどうかが表示されます。
このとき、具体的な課税額までは出ませんが、相続税がかかるかどうかの判断基準を知るには十分な精度です。
実際、Aさん(50代男性)は、父親が亡くなった際にこのツールを使い、遺産5,000万円・相続人3人で基礎控除4,800万円を超えていたことがわかり、専門家に相談する決心がついたと言います。
もしこれを使っていなければ、申告漏れのリスクもあったかもしれません。
このように、相続税の初期判断にとても便利なツールですので、まずは一度シミュレーションを試してみることをおすすめします。
次は、この判断に重要な役割を果たす「基礎控除」について詳しくご説明します。
相続税 基礎控除の計算ルールとは

相続税の話をするとき、「基礎控除」という言葉が頻繁に出てきます。
これは、相続財産のうち、課税されない金額のことであり、相続税の有無や税額を大きく左右する基準です。
まず基本的な計算式はこちらです。
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の人数
この計算式は非常に重要ですので、覚えておいて損はありません。
具体的なケースで見てみましょう。
法定相続人の数 | 計算式 | 基礎控除額 |
---|---|---|
1人 | 3,000万円+600万円×1 | 3,600万円 |
2人 | 3,000万円+600万円×2 | 4,200万円 |
3人 | 3,000万円+600万円×3 | 4,800万円 |
【配偶者がいる場合の注意点】
たとえば、配偶者と子1人の場合、法定相続人は2人になります。
このとき、基礎控除額は4,200万円です。
そして、さらに配偶者は「配偶者の税額軽減」という制度があり、1億6,000万円までの相続であれば税金はかかりません。
つまり、配偶者がほとんどの財産を相続する場合、相続税が0円になるケースも多いのです。
【失敗談:基礎控除を誤認したケース】
Bさん(40代女性)は、兄と二人で母の相続を受けました。
ところが、兄が相続放棄したため、相続人は1人と思い込んで基礎控除を3,600万円と判断。
実際には、放棄していても兄は法定相続人としてカウントされるため、控除額は4,200万円だったのです。
この誤認により、申告漏れを指摘され、修正申告に追われることとなりました。
【法定相続人の判断が重要】
以下のようなケースでは、法定相続人の人数に注意が必要です。
- 養子がいる(実子の有無でカウント制限がある)
- 相続放棄した人がいる(人数には含む)
- 認知された非嫡出子がいる(法律上の相続人になる)
このように、基礎控除の正確な計算には「相続人の判断」が不可欠です。
これを理解しておくことで、相続税が発生するかどうかを見誤らずに済みます。
次は、この基礎控除を前提に、どのような金額帯で相続税がどれくらいかかるのか、具体的な実例を交えて見ていきましょう。
相続税計算の実例と具体的な金額目安

相続税 計算例から見える負担感とは
相続税がかかるかどうかを調べるためにシミュレーションを試してみたものの、「いくらぐらい納めるのかピンとこない…」という声はよく聞きます。
実際、財産の総額や法定相続人の人数、相続の割合によって税額は大きく変わるため、感覚的にイメージしにくい部分があるんですね。
ここでは、具体的な計算例を使って、どれくらいの負担感があるのかを視覚的にご紹介します。
【例1】相続財産6,000万円・相続人2人(配偶者と子1人)
まず、基礎控除は下記のように計算されます。
項目 | 内容 |
---|---|
基礎控除 | 3,000万円+600万円×2=4,200万円 |
つまり、課税対象は6,000万円-4,200万円=1,800万円です。
次に、法定相続分に従って相続したと仮定します。
相続人 | 相続割合 | 課税遺産額 | 税率 | 控除額 | 納税額 |
---|---|---|---|---|---|
配偶者 | 1/2(900万円) | 900万円 | 15% | 50万円 | 85万円 |
子 | 1/2(900万円) | 900万円 | 15% | 50万円 | 85万円 |
※速算表に基づく
合計で相続税は170万円となります。
「6,000万円も相続するなら余裕で払える」と思うかもしれませんが、実際はその多くが不動産で現金が少なかった場合、納税資金に困るケースもあります。
【失敗談:財産が土地中心で納税資金に困った例】
ある50代男性の方は、父親の遺産が評価額7,000万円の土地のみでした。
相続人は2人で、課税対象は2,800万円。
結果、相続税として約250万円を現金で支払う必要がありました。
ところが、現金を持っておらず、納税のために土地を一部売却せざるを得なくなったそうです。
「相続税はかかるとは思っていたけれど、払えるとは限らない」と痛感されたとのことでした。
こういった体験を踏まえると、相続財産の内容が現金か不動産かによって、同じ税額でも心理的負担が変わってくることがよくわかります。
次は、この計算の前提となる「税率」と「控除額」について、もう少し詳しく見ていきましょう。
相続税 税率と控除額の仕組みを解説

相続税の金額は、課税される金額に応じた「税率」と、それに対応する「控除額」を使って計算されます。
ここで言う課税金額とは、相続財産の総額から基礎控除を差し引いた後、法定相続人の法定相続分で分けた金額のことを指します。
【速算表:税率と控除額】
課税金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | 0円 |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
【例:課税遺産総額が4,000万円の場合】
法定相続人が2人の場合、1人あたりの取得金額は2,000万円。
2,000万円に対する税率は15%、控除額は50万円です。
つまり、
2,000万円 × 15% - 50万円 = 250万円
これが1人あたりの相続税額になります。
【注意点:税率は相続人の数ではなく金額で決まる】
例えば、相続人が1人で1億円を受け取ると30%の税率が適用されますが、
相続人が2人で5,000万円ずつ受け取ると20%の税率で済む場合があります。
つまり、分け方によって税率が変わるという点は、相続対策でも非常に重要なんです。
【成功例:生前に贈与して税率を抑えたケース】
Cさんは、自身の死後に相続人が高い税率を課されることを避けるため、生前に少しずつ贈与を行いました。
結果、最終的な課税総額が3,000万円以下に収まり、税率は15%で済んだそうです。
もし贈与がなければ、税率は20%になっていたとのこと。
このように、相続税の税率と控除額の仕組みを理解しておくことが節税にも直結します。
それでは次に、相続財産の中でも特に注意が必要な「土地」の計算についてご紹介していきます。
相続税 計算 土地評価のポイント
相続財産の中でも土地の評価は特に難しく、ミスしやすいポイントです。
なぜなら、現金や預金のように金額がはっきりしていない上に、評価方法によって相続税の額が大きく変わるからなんです。
しかも、被相続人の所有していた土地が自宅や貸駐車場だったりすると、それぞれ適用できる特例も違うので、判断を誤ると過大な相続税を支払ってしまうリスクもあります。
【土地の評価は「路線価」か「倍率方式」で決まる】
土地の評価方法は、大きく分けて以下の2種類です。
評価方法 | 適用地域 | 内容 |
---|---|---|
路線価方式 | 市街地など、路線価のある地域 | 国税庁が公表する1㎡あたりの価値に、土地面積をかけて計算 |
倍率方式 | 路線価のない地域(地方など) | 固定資産税評価額 × 国税庁の定める倍率で計算 |
例えば、100㎡の土地で1㎡あたりの路線価が20万円であれば、
20万円 × 100㎡ = 2,000万円がその土地の評価額となります。
一方、倍率方式では、固定資産税評価額が800万円、倍率が1.1倍であれば、
800万円 × 1.1 = 880万円が評価額となります。
このように、同じ面積の土地でも場所や評価方法によって大きな差が出るのが特徴です。
【失敗例:特例を使わず、評価額が倍になったケース】
ある方のケースですが、被相続人から自宅の土地を相続した際、本来であれば「小規模宅地等の特例」を使えば80%評価減が可能だったのに、それを知らずに申告。
結果として、3,000万円の評価額でそのまま相続税を計算してしまい、納税額が約500万円も多くなってしまったという苦い経験があります。
このようなことを防ぐためにも、評価方法と適用できる特例は事前にしっかり確認しておく必要があります。
【適用できる主な特例】
特例名 | 対象となる土地 | 評価減割合 |
---|---|---|
小規模宅地等の特例(居住用) | 被相続人の自宅敷地 | 最大80%減額(330㎡まで) |
小規模宅地等の特例(事業用) | 被相続人の事業に使っていた土地 | 最大80%減額(400㎡まで) |
小規模宅地等の特例(貸付用) | 被相続人が賃貸に出していた土地 | 最大50%減額(200㎡まで) |
これらの特例を知っているかどうかで、数百万円単位の違いが出ることも珍しくありません。
では次に、よりイメージしやすいように「5,000万円を相続した場合、相続税がいくらかかるのか」を具体的に見ていきましょう。
5000万円を相続したらいくら相続税がかかりますか?

「相続財産が5,000万円あったら、実際どれくらい相続税を払うことになるんだろう…?」
これは多くの方が感じる疑問だと思います。
一見、5,000万円と聞くと「そこまで多くないし、相続税はかからないかも」と思いがちですが、相続人の数や構成、そして財産の内容によって結果はまったく異なります。
【シミュレーション:配偶者と子1人の2人で相続】
まず、基礎控除額を確認します。
項目 | 内容 |
---|---|
基礎控除 | 3,000万円 + 600万円 × 2人(法定相続人)= 4,200万円 |
よって、5,000万円 - 4,200万円=800万円が課税対象額です。
これを法定相続分どおりに分けると、配偶者と子が各400万円ずつ相続したと仮定します。
この金額に対して適用される税率は以下の通りです。
相続人 | 相続金額 | 税率 | 控除額 | 税額 |
---|---|---|---|---|
配偶者 | 400万円 | 10% | 0円 | 40万円 |
子 | 400万円 | 10% | 0円 | 40万円 |
合計納税額は 80万円 となります。
なお、配偶者には「配偶者の税額軽減」という特例があるため、配偶者の納税額は実質ゼロになる可能性もあります。
【注意点:財産の内訳が現金か不動産か】
現金で5,000万円ある場合は納税に困りませんが、不動産中心の場合、評価額は高くても現金が手元にないことがあります。
私の知人のケースでも、評価額5,000万円の土地を相続したものの、現金がほとんどなく、相続税を支払うために土地を一部売却せざるを得なかったという話がありました。
このように、金額だけで相続税の有無や負担を判断するのは難しく、財産の種類や構成、相続人の人数、割合など複数の要素を総合的に考えることが大切です。
次は、もう少し高額なケースである「7,000万円の家を相続した場合」の具体例をご紹介します。
7000万円の家の相続税はいくらですか?
まず前提として、不動産を相続する際の相続税は、実勢価格(売買価格)ではなく、相続税評価額を基準に計算します。
この評価額は、路線価や固定資産税評価額をもとに算出され、実際の売買価格の6〜8割程度になることが多いです。
例えば、7,000万円で売れそうな家でも、評価額が5,000万円程度になることも珍しくありません。
【評価額5,000万円として試算】
相続人が「配偶者と子1人」のケースで見ていきましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
財産の評価額 | 5,000万円 |
基礎控除額 | 3,000万円 + 600万円 × 2人 = 4,200万円 |
課税遺産総額 | 5,000万円 − 4,200万円 = 800万円 |
次に、この800万円を法定相続分で分けた場合、それぞれの税額は以下の通りです。
相続人 | 相続額 | 税率 | 控除額 | 納税額 |
---|---|---|---|---|
配偶者 | 400万円 | 10% | 0円 | 40万円 |
子 | 400万円 | 10% | 0円 | 40万円 |
なお、配偶者には「配偶者の税額軽減」があるため、実際には配偶者分は0円になるケースが多いです。
つまり、この場合の相続税額は40万円程度となる可能性が高いと言えます。
【よくある失敗:評価額を時価と勘違い】
実際に相談を受けた方で、「7,000万円の家だから相続税は何百万もかかる」と思い、焦って家を売却してしまった方がいらっしゃいました。
でも、よくよく調べてみると、評価額が4,800万円だったため、基礎控除内で相続税はかからなかったということもありました。
このように、評価額と時価は別物ですので、冷静に計算してみることが大切です。
次は、同じ金額でも「現金8,000万円の相続」ケースを確認してみましょう。
現金8000万円の相続税はいくらですか?

現金は評価がぶれることがないため、相続税の計算が非常にシンプルです。
つまり、8,000万円まるごとが相続財産の総額となります。
【シミュレーション:相続人が配偶者と子1人】
項目 | 内容 |
---|---|
財産の評価額(現金) | 8,000万円 |
基礎控除額 | 3,000万円 + 600万円 × 2人 = 4,200万円 |
課税遺産総額 | 8,000万円 − 4,200万円 = 3,800万円 |
これを法定相続分で分けたとすると、1人あたり1,900万円です。
相続人 | 相続額 | 税率 | 控除額 | 納税額 |
---|---|---|---|---|
配偶者 | 1,900万円 | 15% | 50万円 | 235万円 |
子 | 1,900万円 | 15% | 50万円 | 235万円 |
この時点での相続税合計額は470万円です。
ただしここでも、配偶者が相続する分には「配偶者の税額軽減」が使えるため、実際の納税は子の235万円のみとなる可能性もあります。
【現金を残すメリットと落とし穴】
現金を相続するメリットは、納税資金に困らないことです。
しかし、相続税がかかるケースでは、現金の残し方・分け方でトラブルになることもあります。
私が対応した事例では、親が長男に全額を預けるように遺言書で指定していたため、他の兄弟が不満を持って調停に発展してしまったことがありました。
このような事態を防ぐには、法定相続人の法定相続分や遺留分を意識した分配を検討しておく必要があります。
ここまで「不動産」と「現金」での相続パターンをご紹介しましたが、次はより身近な金額である「3,000万円の遺産を相続する場合」について詳しく見ていきましょう。
3000万の遺産で相続税はいくらですか?
3,000万円という金額は、住宅や預貯金、保険金などを合わせると意外と届いてしまう水準です。
まず最初に注目すべきは基礎控除額です。
相続税の基礎控除は以下のように計算されます。
基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
【シミュレーション:相続人が子ども2人の場合】
項目 | 金額 |
---|---|
相続財産総額 | 3,000万円 |
法定相続人 | 子ども2人 |
基礎控除 | 3,000万円 + 600万円 × 2人 = 4,200万円 |
このケースでは、相続財産の総額が基礎控除の範囲内に収まるため、相続税は一切かかりません。
【注意点:遺産総額の見落とし】
ある方は、親の預金がちょうど3,000万円だったため「税金はかからない」と安心していました。
しかし後から、死亡保険金1,000万円と不動産評価額800万円が追加され、相続財産の総額が4,800万円となり、課税対象になってしまったというケースがありました。
このように、相続財産の対象は現金だけでなく、保険、不動産、有価証券なども含まれるため、総額を正確に把握することが大切です。
また、法定相続人の人数によって基礎控除額が変わるため、遺産分割協議前に人数を正しく認識しておくことも重要です。
次は「相続税を自分で計算したい」という方向けに、どのような点に注意すべきかを見ていきます。
相続税計算の基本ポイントを整理する

- 相続税計算は遺産の総額から基礎控除を引いて行う
- 基礎控除は「3000万円+600万円×法定相続人の数」で決まる
- 被相続人の全財産が課税対象になる
- 相続財産には不動産や現金、有価証券などが含まれる
- 配偶者には最大1億6000万円まで非課税の特例がある
- 法定相続人の数によって課税額が変動する
- 各相続人の法定相続分で課税額を按分する仕組みになっている
- 税率は取得金額に応じて10%~55%まで7段階ある
- 控除額があるため同じ税率でも実際の負担額は異なる
- 小規模宅地等の特例など土地評価額の減額制度がある
- 借入金などの債務は遺産から差し引いて計算できる
- 生命保険金や退職金の一部も課税対象になることがある
- 相続開始前3年以内の贈与財産も加算される場合がある
- 税額は各相続人ごとに計算され、申告と納税が必要になる
- 国税庁のシミュレーターを使うと概算の確認ができる
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