
老後までに必要なお金って、考えたことありますか?
実は、私も子どもが生まれてからふと「老後っていくらかかるんだろう?」と不安になって調べ始めました。
一人暮らしならどのくらい生活費がかかるのか、老後資金はいくらあれば安心なのか…特に夫婦での暮らしを想定したシミュレーションは現実味があって驚きました。
中には「老後資金は必要ない」と言う人もいますが、本当にそれで大丈夫なのか疑問に思いますよね。
老後までに必要なお金は、ライフスタイルや収入によっても大きく違いますし、1億円の生活レベルを目指す方もいれば、3000万円で何年暮らせるかを考える方もいます。
このページでは、60歳から80歳までいくら必要ですか?や65歳までにいくら貯蓄があればいいですか?など、よくある疑問をまるっと解決します。
不安を安心に変えるための第一歩、いっしょに始めてみませんか?
- 老後までに必要なお金の具体的な金額や内訳がわかる
- 一人暮らしと夫婦それぞれの生活費の違いが理解できる
- 老後資金をいつまでにいくら貯めるべきかが見えてくる
- 生活レベル別に資金が足りるかどうか試算できる
老後までに必要なお金はどのくらい?

老後に必要なお金 一人暮らしの現実
老後を一人で迎えるということは、すべての生活費や判断を自分でまかなう必要があるということです。
誰かに頼ることが難しい分、お金の準備はしっかりと計画しておくことがとても大切なんですね。
特に「いくらあれば足りるのか」という不安を持っている方は多いと思います。
一般的に、一人暮らしの高齢者が必要とされる生活費は月約14万円〜17万円ほどと言われています。
以下に、平均的な支出を年間ベースでまとめてみました。
支出項目 | 月額目安(円) | 年間金額(円) |
---|---|---|
食費 | 35,000 | 420,000 |
光熱水道費 | 12,000 | 144,000 |
住居費(持家) | 15,000 | 180,000 |
医療費 | 10,000 | 120,000 |
通信・日用品など | 20,000 | 240,000 |
趣味・交際費 | 15,000 | 180,000 |
合計 | 約107,000 | 約1,284,000 |
この金額はあくまで持ち家・健康なケースでの想定なので、賃貸の場合や介護が必要な状態になると、もっと高くなることもあります。
例えば、家賃が月6万円かかる方であれば、それだけで年間72万円の支出が追加になります。
実際、私の知人の女性(60代・独身・賃貸暮らし)は、年金月額が約11万円しかないのに、家賃と生活費で月17万円以上かかる状態でした。
それでも貯金が少なく、毎月赤字で貯蓄を切り崩す生活をしていたため、数年で老後資金が底をついてしまったんです。
その後、急遽生活保護を申請することになり、精神的にも大きなダメージを受けていました。
こうならないためには、老後に必要な資金を「生活費 × 想定年数」+医療・介護予備費として考えておくのが安心です。
例えば、80歳から90歳までの10年間で計算すると:
- 年間支出:130万円(賃貸込み)
- 10年間で必要な金額:1,300万円
- プラス医療・介護の予備費:300万円
- 合計:1,600万円程度
という目安になります。
もちろん、収入が年金のみだとすれば、この金額をあらかじめ資金として貯めておく必要があります。
他にも、つみたてNISAなどの運用を活用して資金を増やす方法もありますが、リスク管理が必要です。
このように、一人暮らしの老後には**「もしも」の支出も含めて現実的な金額を想定して準備すること**が大切です。
そして次は、夫婦で老後を迎える場合の「安心できる金額」について見ていきましょう。
老後資金 いくらあれば安心 夫婦での目安

老後に向けて夫婦で暮らす場合、「安心」と感じられる資金の目安は人によって違いますが、一定の基準はあります。
特に「年金だけで足りるのか不安…」という声を多く聞きますが、それもそのはず。
実際には、夫婦で暮らすには年間およそ250万円前後の生活費がかかるからです。
以下に、一般的な「夫婦2人暮らし」の年間支出例をまとめました。
支出項目 | 月額目安(円) | 年間金額(円) |
---|---|---|
食費 | 60,000 | 720,000 |
光熱水道費 | 20,000 | 240,000 |
住居費(持家) | 20,000 | 240,000 |
医療費 | 20,000 | 240,000 |
通信・日用品など | 25,000 | 300,000 |
趣味・交際費 | 30,000 | 360,000 |
合計 | 約175,000 | 約2,100,000 |
年金収入が月20万円以上ある世帯も多いですが、それだけでは娯楽費や突発的な医療費まではまかないきれないケースが少なくありません。
実際に「夫婦2人で老後は月25万円必要」と考えているご家庭も多く、その場合は年間300万円、30年で9,000万円近くかかる計算です。
あるご夫婦(60代前半)は、「年金が月22万円あるから安心」と言っていました。
でも、いざ夫が倒れたあと、介護費用と医療費で月に+10万円以上の支出が増えたんです。
急きょ、退職金を取り崩すことになり、10年後には1,000万円以上あった貯蓄が半分以下になってしまったそうです。
こうしたケースを見ると、安心できる老後には「余裕を持った資金計画」が必要不可欠だと痛感します。
ここで「夫婦で安心できる老後資金」の一例をまとめてみました。
モデルケース | 安心資金の目安 |
---|---|
基本生活+旅行少々(持家) | 約3,000万〜4,000万円 |
趣味や外食も楽しみたい | 約5,000万円〜 |
介護や医療の備えも万全にしたい | 約6,000万円〜7,000万円 |
もちろん、5,000万円をすべて現金で持つ必要はありません。
年金や退職金、不動産収入や運用による収益を合わせて「トータルで確保できる見込み金額」が大事なんですね。
一方で、「老後資金 必要ない」という考えを持つ方も中にはいます。
たとえば年金+不労所得で支出をすべてまかなえる仕組みを構築している場合などです。
しかしその場合でも、急な支出リスクを見越して数百万円単位の現金は準備しておくべきです。
このように、老後の「安心」をつくるには、今の生活を見つめなおし、未来の支出と収入のバランスを把握することがスタート地点になります。
次は、「老後に必要なお金のシミュレーション」をもっと具体的に深掘りしてみましょう。
老後に必要なお金 夫婦 シュミレーションの具体例
老後に必要なお金って、ざっくりとはイメージしていても、実際に「夫婦2人でいくらかかるのか」と聞かれると答えにくいですよね。
特に、夫婦での生活費や支出のバランスを具体的に把握していないと、必要な資金が大きく見積もり不足になることが多いです。
ここでは、「標準的な夫婦世帯が老後をどのように暮らすか」という視点から、リアルな金額をシミュレーションしてみたいと思います。
例えば、65歳で定年退職し、85歳までの20年間を夫婦2人で過ごすケースを考えてみましょう。
以下のような生活費モデルで試算してみます。
支出項目 | 月額(円) | 年間(円) | 20年間合計(円) |
---|---|---|---|
食費 | 60,000 | 720,000 | 14,400,000 |
光熱費・通信費 | 25,000 | 300,000 | 6,000,000 |
医療費 | 20,000 | 240,000 | 4,800,000 |
趣味・交際費 | 30,000 | 360,000 | 7,200,000 |
住居関連費(持家) | 20,000 | 240,000 | 4,800,000 |
その他(雑費等) | 25,000 | 300,000 | 6,000,000 |
合計 | 180,000 | 2,160,000 | 43,200,000 |
つまり、20年間の老後生活費の目安は、約4,320万円ということになります。
ただ、これはあくまで基本的な生活費であり、実際には以下のような追加資金も見込んでおく必要があります。
- 自宅のリフォーム:100万円〜200万円
- 車の買い替え費用(1回分):150万円程度
- 介護費用の備え:300万円〜500万円
- 孫の教育援助・お祝い金など:100万円〜
このように追加費用を足していくと、総額で5,000万円前後になるケースが多いです。
一方で、年金などの収入があることも忘れてはいけません。
以下に、年金収入と支出のバランスを比較した表をまとめました。
項目 | 金額(年間) | 20年間合計 |
---|---|---|
収入:年金(夫婦) | 約240万円 | 約4,800万円 |
支出:生活費など | 約216万円 | 約4,320万円 |
差額(年間) | +24万円 | +480万円 |
年金収入だけで基本生活費をまかなえるご家庭もありますが、「何かあったとき」の備えがなければ不安ですよね。
私の親戚(夫婦2人)は年金月額23万円で生活していましたが、母が軽度認知症と診断されてから、介護サービス費や通院費が一気に増加。
その結果、毎月2〜3万円ほど赤字になり、退職金を少しずつ切り崩す生活に変わってしまったんです。
こうしてみると、やっぱり「年金収入+退職金+貯蓄+運用」のバランスが大切なんですね。
そして、もっと余裕のある老後を希望される方の中には、1億円の資金を目指すケースもあります。
その生活レベルとはどのようなものなのか、次の見出しで詳しくみていきましょう。
老後資金 1億円の生活レベルとは?

1億円。
この数字を聞くと「そんなに必要なの?」と感じる方も多いのではないでしょうか。
でも実は、“豊かな老後”を叶えたい方にとっては、1億円という金額は非現実的な話ではないんです。
まず前提として、以下のような生活を目指す場合に1億円が必要になってくると言われています。
- 毎年1回は夫婦で海外旅行へ
- 孫や子どもへの経済的援助も行いたい
- 高級シニアマンションや介護付き住宅へ入居予定
- 食事・趣味・ファッションにも妥協しない
- 将来の医療・介護費用も十分に備えたい
以下は、そのような「ゆとりある老後」の年間支出モデルです。
項目 | 年間金額(円) | 30年間合計(円) |
---|---|---|
生活費(上位モデル) | 4,000,000 | 120,000,000 |
医療・介護の備え | – | 含まれる |
趣味・旅行・外食 | 含む | 含まれる |
高齢期の施設入居費 | – | 別途2,000万円目安 |
合計資金必要額(目安) | – | 約1億〜1.2億円 |
つまり、夫婦で30年暮らすと考えた場合、年間400万円×30年=1億2,000万円が目安になります。
この生活を「ぜいたく」と思うか「理想」と思うかは、人それぞれだと思います。
実際、私の知り合いで早期退職して「資産1億円」を実現されたご夫婦がいました。
夫婦で海外移住したり、国内の温泉地を巡ったりと本当に楽しそうだったのですが、あるとき夫が心臓病で倒れ、高額な医療費と帰国費用で一気に資金が激減。
「老後資金は減るだけじゃなく、大きく削られるタイミングが突然やってくる」という現実を目の当たりにされていました。
この経験から学んだのは、1億円の資金があっても油断は禁物ということです。
一方で、資金1億円を目指すには、現役時代から計画的な資金準備や運用が欠かせません。
例えば、40代〜50代から以下のようなステップで積み上げていくことが理想です。
- 毎月の貯蓄目標を明確にする(例:月10万円貯金 × 20年)
- つみたてNISA・iDeCo・不動産などの運用を活用
- 定年時の退職金や年金額も見込んで計画
こうした意識をもつことで、「1億円なんて無理」と思っていた方でも、十分に近づける可能性があるんですね。
ではここから、実際に「老後はどれくらいの収入と支出を見込んで生活できるのか」について、よりリアルな金額を見ていきましょう。
参考: 金融庁「NISA特設ウェブサイト」
URL: https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/index.html
老後までに必要なお金の備え方とは

老後 生活費 リアルな月額の目安
老後に入ってからの生活費のリアルな月額、どれくらいになるか不安ですよね。
ネットで調べても平均値ばかりで、自分にとっての適正な金額が見えにくくなりがちです。
そこでここでは、実際の支出項目別に、老後に必要な生活費のリアルな目安を具体的に見ていきましょう。
まず、総務省「家計調査(高齢夫婦無職世帯)」によると、夫65歳以上・妻60歳以上の夫婦世帯の平均生活費は月約26万円程度とされています。
ただしこれはあくまで「平均」であって、「持ち家か賃貸か」「地方か都市か」「趣味・交際費をどう考えるか」などでかなり違ってきます。
参考公的機関サイト:
- 総務省統計局「家計調査報告」
- URL: https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.html
以下は、標準的な支出項目と金額をまとめた表です。
支出項目 | 月額(円) | 補足内容 |
---|---|---|
食費 | 60,000 | 自炊中心でも物価上昇で高めになりがち |
光熱・水道費 | 25,000 | エアコンや給湯機使用頻度によって変動 |
通信費 | 10,000 | スマホ2台+Wi-Fiを想定 |
住居費 | 15,000 | 持ち家(固定資産税等)または家賃一部 |
医療費 | 12,000 | 健康保険+自己負担分 |
日用品・雑費 | 8,000 | 洗剤・トイレットペーパーなど |
趣味・交際費 | 30,000 | 旅行やランチ会、趣味活動 |
被服・美容費 | 5,000 | 最低限のおしゃれや理美容代 |
交通費 | 5,000 | 電車・バス利用を前提 |
合計 | 170,000〜250,000 | 生活レベルにより変動 |
特に気をつけたいのが「趣味・交際費」や「医療費」です。
私の母は70代で地域の合唱サークルに通っていましたが、発表会の衣装代や打ち上げ参加費など、意外と細かい支出が年間で20万円以上かかっていました。
また、父は持病の通院があり、薬代や検査費が月平均2万円以上に。
それに加え、白内障の手術費用がかかった月には、一時的に生活費が40万円を超えてしまったこともあったんです。
老後は収入が限られ、資金の運用も保守的になるため、予想外の支出に耐えられる体制が重要になります。
そして、年金が月20万のご家庭では、足りない分を貯蓄から補う形になるため、長寿化に備えた資金設計が必須です。
ここまで見ると、「自分の場合はいくらぐらいあれば安心かな?」と疑問に思いますよね。
次は、55歳女性のケースに焦点を当てて、いくらあれば安心かを具体的に見ていきますね。
老後資金 いくら あれば 安心 55才 女性のケース

55歳女性の方が「老後資金、いくらあれば安心なの?」と考えはじめるのはとても現実的なタイミングです。
なぜなら、60歳で退職、65歳で年金受給が始まるとすれば、あと5〜10年の間で老後のための資金準備を完成させる必要があるからです。
ここでは、独身・一人暮らしの55歳女性をモデルにして、リアルな資金シミュレーションをしてみましょう。
まず、生活費の想定です。
先ほどの表から、一人暮らしの場合の月額生活費は約15万〜18万円と見込まれます。
これをベースに、65歳から85歳までの20年間に必要な支出を整理すると以下の通りです。
項目 | 金額(年間) | 20年間合計 |
---|---|---|
生活費 | 180万円 | 3,600万円 |
医療・介護費 | 15万円 | 300万円 |
住居修繕・設備 | 10万円 | 200万円 |
交際・趣味費 | 15万円 | 300万円 |
合計 | – | 4,400万円程度 |
では、収入はどうなるでしょうか?
55歳の時点で正社員であれば、退職金が500万円〜1,000万円ある方もいらっしゃるかと思います。
また、国民年金と厚生年金の平均的な女性受給額は合わせて月12〜13万円、年間で約150万円程度です。
つまり、毎年の収入と支出を比較すると…
年間収入(年金) | 年間支出 | 差額 |
---|---|---|
150万円 | 220万円 | ▲70万円 |
この差額を20年分で考えると、1,400万円の不足となります。
この不足を埋めるために、退職金や貯蓄で備える必要が出てきます。
さらに、80代以降の医療・介護のリスクも視野に入れると、トータルで約2,000〜2,500万円は手元に残しておきたい資金となるでしょう。
私の知人(女性・当時56歳)は、「老後に必要な金額なんて漠然としててわからない」と言っていたのですが、60歳で早期退職してしまい、その後は再就職が難しく、想定外の長い無収入期間に不安を抱えることに。
最終的に、実家に戻って生活費を抑える選択をされましたが、「もっとシビアにシュミレーションしておけばよかった」と何度も口にされていたのが印象的でした。
このようなケースを見ると、55歳からの10年間が“老後資金のラストチャンス”であることがよくわかります。
では次に、「65歳でいくら貯蓄が必要なのか?」という視点で、老後生活設計をより具体的に深掘りしていきましょう。
夫婦2人 老後 5000万円で足りるか?
夫婦2人で老後を5000万円で乗り切れるかどうかって、正直なところとても気になる話題ですよね。
一見すると「そんなにあれば十分では?」と思う方も多いのですが、実は生活費・医療費・住居費・介護費などの支出が積み重なると、意外とシビアな金額になってきます。
まずは、夫婦2人で老後に必要とされる年間支出の平均額を整理してみましょう。
支出項目 | 年間支出(円) | 補足 |
---|---|---|
生活費(食費・光熱・通信など) | 300万円 | 地方であれば若干安くなる傾向 |
医療・介護費 | 30万円 | 健康状態により変動 |
趣味・交際費 | 40万円 | 旅行やレジャーを含む |
住居関連費(修繕・税) | 20万円 | 持ち家維持費用 |
合計 | 390万円 | 平均的な支出イメージ |
このように、夫婦2人で年間390万円ほどの生活コストを見込むと、仮に90歳までの25年間生きた場合、
390万円 × 25年 = 9,750万円の支出が見込まれる計算になります。
もちろん、全額を貯蓄からまかなうわけではありません。
実際は公的年金(収入)が支えとなります。
たとえば、夫婦で受け取れる年金の平均額は月額22万円前後、年間で約264万円とされています。
つまり、
項目 | 金額 |
---|---|
年間支出 | 390万円 |
年間年金収入 | 264万円 |
年間不足額 | 126万円 |
25年間の不足総額 | 3,150万円 |
この3,150万円の不足分をカバーするのに必要なのが、老後資金としての貯蓄や退職金なんですね。
ここに、突発的な医療費や子どもの援助、家の大規模リフォームなどが加われば、合計5000万円あってもギリギリ、もしくは少し足りない可能性もあるんです。
実際、知人のご夫婦は「退職金とあわせて5000万円あるから安心」と話していたのですが、退職後5年で自宅の屋根修繕に300万円、心臓病での入退院に100万円以上がかかり、「これ以上何かあったら不安」と口にするようになりました。
このように、5000万円は決して少なくない資金ですが、「何が起こっても安心」というレベルではありません。
お金を守りながら上手に運用する力や、支出をコントロールする知恵も必要になってきます。
次に、その“目安の資金”をどう見極めるか、「65歳でいくら貯蓄が必要か?」について詳しくお話ししていきますね。
参考:厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」
URL: https://www.mhlw.go.jp/content/001233406.pdf
65歳でいくら貯蓄が必要か見極める

「65歳でいくら貯蓄していれば安心できるのか?」という問いに、はっきり答えを出すのは簡単ではありません。
それは、住んでいる地域・生活レベル・健康状態・家族構成によって支出も収入も大きく変わるからです。
ただ、目安として考えるには「支出総額-年金収入」で老後資金の必要額を算出する方法がとても役に立ちます。
以下は、夫婦と単身者それぞれのケースで、老後20年間のシミュレーションをまとめたものです。
項目 | 夫婦世帯 | 単身女性 |
---|---|---|
年間生活費 | 390万円 | 220万円 |
年間年金収入 | 264万円 | 130万円 |
年間赤字 | 126万円 | 90万円 |
必要資金(20年分) | 2,520万円 | 1,800万円 |
この表から見てもわかるように、65歳時点で2,000万円〜2,500万円の貯蓄が一つの目安になります。
ここに退職金や企業年金、投資・運用による副収入などがあるかどうかで必要貯蓄額は変動します。
知り合いの女性(当時63歳)は「とりあえず1,000万円貯めたし、あとは年金で何とかなる」と楽観的に考えていたのですが、実際に65歳を迎えると健康保険料や固定資産税、介護保険料が思った以上に高額で、毎月の生活が不安定に。
その後、週3日のパートを再開し、「60代のうちにもっと備えればよかった」と振り返っていました。
反対に、あるご夫婦は60歳で2,000万円以上の貯蓄があり、65歳時点でも投資信託で年間60万円程度の運用収入を確保していたおかげで、年金にプラスしてゆとりある生活を実現されていました。
つまり、65歳での貯蓄は「いくらあるか」だけでなく、「どれだけの支出が予想されていて、どのくらいの収入や運用を見込んでいるか」で安心度が決まるんですね。
次は、「60歳から80歳までに必要な支出をどう見積もればいいのか?」という具体的な期間ベースの視点に移っていきましょう。
65歳までにいくら貯蓄があればいいですか?
「65歳までにいくら貯めておけば安心なの?」と聞かれること、よくありますよね。
でも実はこの問い、年金の収入額やライフスタイルによって大きく違ってくるんです。
それでも、「ざっくりでもいいから目安が知りたい」という気持ち、とてもよくわかります。
平均的な家庭をモデルにしてシミュレーションしてみましょう。
以下は、夫婦2人世帯が65歳から85歳までの20年間を想定した例です。
項目 | 年間金額 | 20年間合計 |
---|---|---|
生活費 | 300万円 | 6,000万円 |
医療・介護費 | 30万円 | 600万円 |
趣味・交際費 | 40万円 | 800万円 |
その他(住居修繕など) | 30万円 | 600万円 |
合計支出 | 400万円 | 8,000万円 |
では、65歳以降にもらえる公的年金はどのくらいあるのでしょうか?
平均的な夫婦で月22万円前後、年間約264万円の収入となります。
年間年金収入 | 年数 | 合計年金収入 |
---|---|---|
264万円 | 20年 | 5,280万円 |
このように考えると、8,000万円の支出に対し、5,280万円の収入。
差額の2,720万円が、65歳までに貯蓄しておきたい目安資金になるということです。
私の母も65歳を迎えたとき、「年金だけで大丈夫」と思っていたのですが、想像以上に孫へのお祝い金や病院代がかさんで、「こんなにお金が出ていくとは思わなかった…」と驚いていました。
一方、友人のご両親は、60歳時点で3,000万円ほどの貯蓄があり、投資信託で年間3%の運用収入を得ていて、年に90万円ほど増えていたそうです。
こうした工夫があると、お金の減り方に安心感が出るんですね。
このように、「65歳までにいくらあればいいか」は人それぞれですが、平均的には2,500万~3,000万円程度がひとつの目安になると言えるでしょう。
ではその貯蓄が60歳からどのように減っていくかを知っておくと、よりリアルに備えることができます。
次は「60歳から80歳までいくら必要なのか?」という視点で見ていきますね。
60歳から80歳までいくら必要ですか?

60歳から80歳までの20年間をどう乗り切るかは、老後の安心感を左右する大きなポイントです。
この期間、仕事を辞めた直後から医療や介護、そして趣味や旅行と、お金の使い道は多岐にわたります。
そして、思っているより支出が多くなる傾向があること、あまり知られていないかもしれません。
具体的に、支出のシミュレーションを見てみましょう。
支出項目 | 年間支出 | 20年間合計 |
---|---|---|
基本的な生活費 | 300万円 | 6,000万円 |
医療・介護費 | 30万円 | 600万円 |
趣味・交際・娯楽 | 40万円 | 800万円 |
住宅維持・修繕 | 20万円 | 400万円 |
臨時支出(冠婚葬祭など) | 20万円 | 400万円 |
合計 | 410万円 | 8,200万円 |
ここに年金収入が加わるわけですが、年金だけではまかないきれない現実があります。
平均的な年金収入(夫婦2人)は年間264万円なので、20年で5,280万円。
つまり、2,920万円の不足分を、60歳時点の貯蓄や退職金でカバーする必要があるんです。
実は、私の知り合いで60歳定年を迎えた男性が、「退職金が1,800万円あるから、これで余裕」と考えていたのですが、5年後にはリフォーム・病気・旅行費用で残り半分に。
「もっと計画的に使えばよかった…」と本音を漏らしていました。
反対に、別の家庭では退職金を手をつけず、一部をNISAで資産運用して年間60万円ほどの利益を得ていて、「資金が減る不安がない」と穏やかな日々を過ごしています。
このように、60歳から80歳までの生活には最低でも2,500万円~3,000万円の貯蓄があると安心です。
ただし、そのお金をどう管理し、どう運用するかでも老後の生活満足度は大きく変わります。
次は、実際にどんな支出が予想外に増えるのか?という点に着目して、より細かく見ていきましょう。
3000万円で何年暮らせるか試算する
「老後に3000万円あれば安心」ってよく聞くけど、本当にそれで足りるの?」
そんな疑問を持つ方、多いのではないでしょうか。
この問いに対しては、まず年間にどのくらいの生活費がかかるのかを知ることが大切です。
では、一般的なモデルケースを見てみましょう。
ここでは、夫婦2人暮らしで月25万円(年間300万円)の支出がある場合を想定します。
年間生活費 | 300万円 |
---|---|
貯蓄額 | 3,000万円 |
生活可能年数 | 10年間 |
つまり、年金などの収入がまったくないと仮定した場合、3000万円で暮らせるのは10年程度ということになります。
しかし、実際には多くの方が公的年金という収入源を持っています。
例えば、夫婦で月22万円の年金をもらっている場合、年間で約264万円の収入があります。
その年金でまかなえない差額だけを貯蓄から補う形になるんですね。
例えば、生活費が月25万円(年間300万円)であれば、年金でまかなえるのは264万円。
差額は年間36万円です。
この差額だけを貯蓄で補うとすれば、3,000万円あれば…
年間不足額 | 36万円 |
---|---|
貯蓄額 | 3,000万円 |
生活可能年数 | 約83年 |
このように、年金があるかどうかで大きく違うのがお分かりいただけると思います。
でも、忘れてはいけないのが医療費や介護費用などの突発的な支出です。
母の知人で、70歳を過ぎてからご主人が脳梗塞を患い、毎月5万円以上の介護費が発生。
計算上は足りると思っていた老後資金が一気に減ってしまったそうです。
また、私の親戚で退職金を元手に3,000万円を運用しようとした方がいたのですが、投資信託を選ぶ際にリスク管理を怠ってしまい、リーマンショック級の下落で大損。
数年で1,200万円まで目減りしてしまい、今も節約生活を続けています。
こうしたリスクも見越して、生活費・支出の見直しや、長期視点での運用設計が必要なんですね。
そこで気になるのが、「そもそも老後資金がそんなに必要ない人ってどんな人?」ということです。
次の章では、老後資金があまり要らない人の条件をくわしく見ていきます。
老後資金 必要ない人の特徴と条件

「うちは老後資金、そこまでいらなかったわ」と話す方に出会うことがあります。
その方たちに共通するのが、**「生活コストが低く、安定収入がある」**ということでした。
具体的に、老後に多くの資金を必要としない人には以下のような特徴があります。
老後資金が少なくても安心して暮らせる人の特徴
- 持ち家で住宅ローンが完済済み
- 地方在住で物価・生活費が低め
- 年金収入が夫婦合算で月25万円以上ある
- 子どもに金銭的援助をしていない
- 趣味や交際費が少ない生活をしている
- 医療費がかからない健康体である
- 家計簿をつけて支出をきっちり管理している
例えば、夫婦で田舎暮らしをしているご夫婦のお話です。
2人とも公務員で年金がしっかりあり、月25万円の年金収入で生活費をまかなえています。
家も築30年の平屋でリフォーム済み。
車も1台だけで、交際費や趣味も最小限。
「特に贅沢はしないけど、毎日穏やかで幸せ」とおっしゃっていました。
一方、都市部でマンション暮らしを続けている親戚夫婦は、月の生活費が40万円近くかかっており、年金だけではまったく足りない状態。
「60歳過ぎてからも働かないと無理」とこぼしていたのが印象的でした。
このように、老後に必要な金額は人それぞれで、条件次第では「意外とそんなに貯金しなくても大丈夫」というケースもあるんです。
つまり、「いくら必要か」よりも、「どんな暮らしをしたいか」の方がずっと大切だということなんですね。
老後までに必要なお金を正しく把握するための総まとめ
- 一人暮らしの老後生活費は月15万円〜20万円が目安
- 夫婦の老後生活費は月25万円前後が一般的な平均
- 年金だけでは不足しがちなため、貯蓄や資産の補填が重要
- 老後資金の目安は夫婦で2,000万円〜3,000万円が現実的
- ゆとりある老後には1億円近い資金が必要になるケースもある
- 生活費の見直しと定期的な支出管理が資金維持のカギとなる
- 医療費や介護費などの突発的支出に備える必要がある
- 住宅ローンや家賃の有無で必要資金が大きく変わる
- 65歳時点での貯蓄目標は1,500万円〜2,500万円が理想
- 60歳から80歳までにかかる生活費は約5,000万円前後になる場合もある
- 3,000万円の貯蓄で暮らせる期間は生活レベルによって異なる
- 資産運用によって不足分をカバーする工夫が求められる
- 持ち家で質素な生活なら老後資金が少なくても安心して暮らせる
- 地方移住やミニマムライフで老後資金の負担を軽減できる
- 自分に合った生活スタイルに合わせた資金計画が最も大切である
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