空き家解体費用の相場と補助金ガイド|固定資産税6倍を防ぐ3つの対策

空き家解体費用の相場と補助金ガイド|固定資産税6倍を防ぐ3つの対策
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終活だよドットコムの運営者、終活・相続・不動産の専門家のカズです。

実家が空き家になって久しいけれど、空き家解体費用って一体いくらかかるんだろう…と悩んでいませんか?空き家解体費用の相場を調べても情報に幅がありすぎるし、そもそも補助金が使えるのか、解体した後の固定資産税はどうなってしまうのか、不安なことだらけですよね。

こうした空き家相続問題は、本当に多くの方が直面する悩みです。

この記事では、そんな空き家解体費用に関するあらゆる疑問や不安に、相続・不動産の専門家である私の視点から、どこよりも分かりやすくお答えしていきます。

木造や鉄骨といった構造別の坪単価の違い、30坪や50坪といった具体的なシミュレーション、さらには見落としがちなアスベスト調査の必要性や、解体費用を安くする方法まで、あなたが知りたい情報をギュッと詰め込みました。

私自身、相続や不動産の現場で多くのご相談を受けてきましたから、皆さんがつまずきやすいポイントもしっかり押えて解説していきますよ。

この記事のポイント
  • 空き家解体費用の正確な相場と詳しい内訳
  • 解体費用が変動する具体的な要因(アスベスト・残置物など)
  • 解体後に固定資産税が最大6倍になる仕組みと対策
  • 費用負担を軽減する補助金制度と優良業者の見極め方

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コンサルタント @KAZU

「坪単価」は非常に便利な言葉ですが、これだけで総額が決まるわけでは決してありません。特に都心部の住宅密集地や、敷地に面した道路が狭くて重機が入りにくい場所(狭隘道路)では、小型重機を使ったり、手作業(手壊し)の割合が増えたりするため、坪単価が相場より1.5倍~2倍になることもあります。相場はあくまで「目安」として捉え、ご自身の空き家の状況(特に立地!)をしっかり業者に伝えることが大切です。

目次

空き家解体費用の相場と内訳

空き家解体費用の相場と内訳

まずは、皆さんが一番気になっている「結局いくらかかるの?」という相場観から見ていきましょう。解体費用は「坪単価」で語られることが多いですが、その中身(内訳)をきちんと理解することが、業者から提示された見積書が適正価格なのかを見抜くための第一歩になりますよ。

構造別(木造・鉄骨)の坪単価

解体費用に最も大きな影響を与えるのが、建物の「構造」です。頑丈な建物ほど、解体に使う重機が大型化し、作業時間(工期)も長くなるため、費用は高くなります。

一般的な構造別の坪単価の目安は以下の通りです。ただし、これはあくまで「本体工事費」の目安であり、地域(都心部は高く、地方は安い傾向)や業者によっても幅がある点にご注意ください。

構造坪単価(目安)特徴と費用が高くなる理由
木造(W造)2万円~5万円/坪日本の戸建てで最も一般的。比較的解体しやすいため安価な傾向です。ただし、古い木造住宅は屋根材や壁材にアスベスト(レベル3)が使われている可能性があり、その場合は別途調査・撤去費用がかかります。
鉄骨造(S造)4万円~7万円/坪鉄骨の厚みによって費用が変動します。軽量鉄骨造(厚さ6mm未満、プレハブやアパートに多い)は比較的安価ですが、重量鉄骨造(厚さ6mm以上、ビルや工場に多い)は解体に時間がかかり高額になります。耐火被覆材に危険度の高いアスベスト(レベル1, 2)が使われているケースも多いのが特徴です。
RC造(鉄筋コンクリート造)5万円~10万円/坪非常に頑丈なため、ブレーカーやクラッシャーといった特殊な大型重機が必要となり、工期も長期化します。騒音や振動も大きくなりがちなため、近隣対策(養生など)もより厳重にする必要があり、最も高額になります。

ご覧の通り、マンションなどで多いRC造は、戸建ての木造と比べると坪単価だけでも倍以上の費用がかかる可能性もある、ということですね。ご実家がどの構造に当たるか、まずは確認してみましょう。(登記簿謄本や固定資産税の納税通知書に記載されていますよ)

30坪や50坪の費用シミュレーション

では、上記の坪単価を基に、一般的な戸建て(30坪・50坪)の解体費用総額をシミュレーションしてみましょう。これはあくまで「本体工事費」の概算です。

構造30坪の費用目安 (延床面積 約99㎡)50坪の費用目安 (延床面積 約165㎡)
木造 (坪単価3~5万円で計算)90万~150万円150万~250万円
鉄骨造 (坪単価4~7万円で計算)120万~210万円200万~350万円
RC造 (坪単価6~10万円で計算)180万~300万円300万~500万円

【重要】シミュレーションの注意点(必ずお読みください)

この金額は、あくまで「坪単価 × 延床面積」で算出した本体工事費の目安に過ぎません。実際の総額は、これに加えて次にご説明する「付帯工事費(塀や庭石の撤去など)」や「諸経費(重機の運搬費など)」が必ず上乗せされます。

特に、アスベスト除去(数十万~数百万)や予期せぬ地中埋設物(数十万)が見つかった場合、費用は一気に跳ね上がる可能性があります。このシミュレーション額だけを見て「100万円あれば足りるな」と判断するのは非常に危険ですので、ご注意ください。

解体費用の詳しい内訳と諸経費

解体業者の見積書は、大きく分けて以下の3つの項目で構成されています。この内訳が「解体工事一式 〇〇万円」としか書かれていない見積書は、後々「これは含まれていなかった」と追加費用を請求されるトラブルの元になるため、必ず詳細な内訳を出してもらいましょう。

1. 本体工事費

建物の基礎、柱、壁、屋根など、建物本体を解体・撤去し、発生した廃材(木くず、コンクリートガラ、鉄くずなど)を分別して処分場へ運搬・処分するための費用です。シミュレーションで計算した、費用の大部分(全体の約70~80%)を占める中心的な費用ですね。

2. 付帯工事費(ふたいこうじひ)

建物本体以外の構造物や設備の撤去にかかる費用です。これは現場ごとに大きく異なり、「見積もりになかった」とトラブルになりやすいポイントNo.1です。現地調査の際に、業者と指差し確認で「これは撤去対象か」「これは残すか」を明確にすることが重要です。

【付帯工事費の具体例】

  • 外構・エクステリア: ブロック塀、フェンス、門扉、カーポート、アスファルト舗装など
  • 庭・敷地内: 庭木(特に大きな木の抜根は高額)、庭石、物置、井戸(お祓い費用も考慮)、池(水抜きと埋め立て)など
  • 地中埋設物: 浄化槽、配管、古い建物の基礎(以前の家の基礎が残っている場合)など

特に浄化槽の撤去は、内部の清掃、撤去、掘り起こし、埋め戻し作業が必要で、50万円から80万円程度かかることもあり、総額を大きく押し上げる要因になります。

3. 諸経費

工事を安全かつ合法的に進めるために必要な、間接的な費用です。本体工事費の10%~15%程度が目安となります。

  • 仮設工事費: 工事現場を囲う足場、防音・防塵シート(養生)、仮設トイレ、仮設電気・水道の設置費用など。隣家との距離が近いほど、養生は厳重にする必要があり高額になります。
  • 重機運搬費: 重機(ユンボなど)を現場まで運び、工事後に運び出すための費用。現場が遠いほど高くなります。
  • 各種手続き費用: 建設リサイクル法に基づく届出、道路使用許可申請などの行政手続きを代行する費用。
  • 近隣対策費: 工事前の近隣住民への挨拶回り(粗品代含む)、騒音・振動の測定費用など。
  • 保険料: 工事中の事故(隣家の物を壊した等)に備えた損害賠償保険料。

これら3つ(本体工事費+付帯工事費+諸経費)が全て含まれて、初めて「解体費用の総額」となります。

アスベスト調査と除去費用

アスベスト調査と除去費用

古い建物(特に2006年9月以前に建てられた建物)の解体で、予算計画を根本から覆す可能性のある、非常に重要なのがアスベスト(石綿)の問題です。

2022年4月からの法改正(アスベスト事前調査の義務化)

法改正により、2022年4月以降に着工する建物の規模にかかわらず、解体工事を行う前のアスベスト事前調査が法的に義務化されました。(出典:環境省「石綿(アスベスト)問題への取組」

これは施主(あなた)の義務であり、解体業者が行う調査費用は、見積もりに含まれるか、別途請求されます。調査の結果、アスベストが発見されれば、その除去費用が別途必要になります。

アスベスト調査の費用

調査はまず「図面調査」「目視調査」を行い、それで判断がつかない場合(アスベスト含有の可能性がある建材が見つかった場合)に「分析調査」に進みます。

  • 図面・目視調査: 3万円~10万円程度が相場。
  • 分析調査: 1検体あたり3万円~8万円程度。複数の箇所を疑えば、その分費用がかかります。

一般的な住宅での事前調査費用は、総額で10万円~30万円程度を見ておくとよいでしょう。この調査費用も、自治体によっては補助金が出る場合がありますので、解体補助金とあわせて確認してみてください。

アスベスト除去・処理の費用

問題は、アスベストが見つかった場合です。アスベストはその飛散の危険度によって3つのレベルに分類されており、レベルが高いほど除去費用は爆発的に高騰します。

  • レベル1, 2 (危険度 高): 鉄骨の耐火被覆材や、壁・天井の吹付け材など。飛散性が非常に高く、作業場を宇宙服のような防護服で密閉・隔離する厳重な措置が必要です。除去費用は1㎡あたり2.0万円~8.5万円と非常に高額で、総額で数百万円になることも珍しくありません。
  • レベル3 (危険度 低): 屋根のスレート材、外壁のサイディング、床のPタイルなど。比較的飛散性は低いですが、割らないように慎重に手作業で撤去し、専用の袋で梱包して処分する必要があります。除去費用は1㎡あたり3,000円~程度ですが、面積が広ければ数十万円単位の費用になります。

アスベストが見つかると、高額な除去費用がかかるだけでなく、行政への届出(作業開始の14日前まで)が必要となり、工期も延長されます。解体計画の初期段階で調査を依頼し、「アスベスト・リスク」を確定させることが、予算オーバーを防ぐ最大の鍵となります。

家財など残置物の処分費用

「空き家」と言っても、家具や家電、衣類や食器、布団、趣味の道具などの「残置物」が大量に残っているケースは非常に多いです。私が見てきた現場でも、足の踏み場もないほど物が溢れているお宅は少なくありませんでした。

これらの残置物の処分費用は、原則として解体工事費とは別途請求されます。解体業者が処分する場合、これらは「産業廃棄物」扱いとなるため、処分費用が割高になるのです。

費用は「2トントラック何台分」または「1立方メートルあたり〇〇円」で計算されることが多く、例えば4DKの一軒家で荷物がぎっしり詰まっている場合、40万円~50万円、ひどい場合は100万円近くかかることも珍しくありません。

最大のコスト削減策!「残置物は自分で処分する」

解体費用を安くする最も効果的かつ確実な方法は、「残置物をできる限り自分で処分する」ことです。手間はかかりますが、費用対効果は絶大です。

  • 自治体の粗大ゴミ収集やクリーンセンターへの持ち込みを最大限活用しましょう(これが一番安いです)。
  • まだ使える家電や家具は、リサイクルショップやフリマアプリで売却すれば、わずかでもプラスになる可能性があります。
  • ご親族やご友人に声をかけ、「形見分け」として必要なものを持っていってもらうのも良い方法です。

業者に依頼すると高額な「産業廃棄物」も、ご自身でやれば「一般廃棄物」として安価に処分できるものが多いためです。解体業者に見積もりを依頼する前に、どれだけ物を減らせるかが勝負ですよ。

残置物の処分が難しい場合は「専門業者」への依頼も検討

「自分で片付ける時間も人手もない」「遠方で作業できない」という場合は、遺品整理や生前整理の専門業者に依頼するのも一つの手です。

遠方の実家もおまかせできる全国対応の遺品整理を相談する(遺品整理110番)

また、価値があるか分からない骨董品や着物、ブランド品などがある場合は、買取専門業者に一度見てもらうと、思わぬ収入になる(処分費用が浮く)かもしれません。

実家の蔵や押入れに眠る価値が不明な骨董品の査定を依頼する(バイセル)

故人の着物やタンスの肥やしになっている着物の出張査定を依頼する(バイセル)

未開封の古いお酒の査定を依頼する(バイセル)

専門家カズからのアドバイス:『地中埋設物』という最大のトラップ

相続不動産の現場で、解体費用で一番トラブルになりやすいのが、見積もり時には分からなかった『地中埋設物』です。

建物を壊して基礎を掘り起こしたら、見積もりになかった古い基礎(昔の家のもの)や、浄化槽、コンクリートガラ、井戸などが地中から出てきて、「追加で50万円かかります」…なんて話は本当によくあります。

これは業者の現地調査(目視)だけでは100%見抜けません。だからこそ、契約時に『地中障害物発見時の取り決め(費用負担や工期、1立方メートルあたりの撤去単価)』を必ず書面で明確に交わしておきましょう。これが、予期せぬ高額請求から身を守る最大のリスクヘッジになりますよ。

「うちの空き家の解体、結局いくらかかるか不安…」

費用が複雑で、何から手をつけていいか分からないですよね。まずは「あなたの空き家の場合、いくらかかるのか」を専門家に見積もってもらい、正確な相場を知ることから始めましょう。

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※複数社の見積もりを比較できるので、一番安い優良業者が簡単に見つかります。

空き家解体費用についてよくあるご質問FAQ

空き家解体費用についてよくあるご質問FAQ
空き家解体費用を自分でシミュレーションする方法はありますか?

「構造別の坪単価 × 延床面積」で大まかな本体費用は計算できます。ただし、これはあくまで目安であり、実際には付帯工事費や諸経費、残置物処分費などが加わるため、正確な金額は業者に見積もりを依頼する必要があります。

解体費用はローンを組めますか?

はい、金融機関によっては「空き家解体ローン」や「フリーローン」などを提供しています。金利や融資条件は金融機関によって異なりますので、複数の機関に相談してみることをお勧めします。特に更地にして売却する予定がある場合などは、ローン利用も有効な選択肢です。

解体業者の見積もりが無料なのはなぜですか?

多くの業者は、契約を獲得するための営業活動の一環として、現地調査や見積書作成を無料で行っています。ただし、アスベストの有無を詳細に調べる「分析調査」や、地中の状況を調べる「地盤調査」などは、別途費用がかかるのが一般的です。

解体工事の期間はどれくらいかかりますか?

一般的な木造30坪の住宅で、近隣への挨拶や足場の設置から始まり、解体、廃材の搬出、整地(土地を平らにすること)まで含めて、約1週間から2週間程度が目安です。ただし、天候不順、アスベスト除去作業の発生(工期が数週間延長も)、地中埋設物の発見、残置物の量などによって工期は変動します。

空き家解体費用の注意点と対策

空き家解体費用の注意点と対策

解体費用の相場感がわかったところで、次は「絶対に知っておくべき注意点」について解説します。特に「税金」「補助金」は、知っているか知らないかで、最終的にあなたの手元に残るお金が何十万円、いや、何百万円も変わってくる可能性がある、非常に重要なポイントです。

相続・不動産の専門家として、ここが一番お伝えしたい部分でもあります。しっかりチェックしていきましょう。

コンサルタント @KAZU

私が相続のご相談を受ける中で、解体費用そのものよりも、解体後の「固定資産税の急増」を知って驚かれる方が非常に多いです。「え!?安くなるんじゃなくて、高くなるんですか!?」と。そうなんです、高くなるんです。この税金リスクと、それをカバーできるかもしれない「補助金」の知識は、解体時期を戦略的に決める上で「両輪」となります。知らなきゃ損、では済まされない重要なお話ですよ。

解体後の固定資産税はどうなる?

これは、本当に多くの方が誤解されている、最大の注意点です。結論から言うと、家を解体して更地(さらち)にすると、翌年からの固定資産税は大幅に高くなります。

【最大の財務リスク】固定資産税の「住宅用地の特例」が解除される

なぜ税金が高くなるのか?それは、土地の上に「住宅」が建っている場合、「住宅用地の特例」という制度が適用され、土地の固定資産税が大幅に優遇されているからです。

  • 小規模住宅用地(200㎡以下の部分):課税標準額が 1/6 に軽減
  • 一般住宅用地(200㎡超の部分):課税標準額が 1/3 に軽減

しかし、家を解体して住宅がなくなった「更地」になると、この特例が適用されなくなります。その結果、土地の固定資産税(200㎡以下の部分)が最大で6倍に跳ね上がる可能性があるのです。(都市計画税も同様に最大3倍になります)

「解体費用で150万円払った上に、翌年からの税金が年間10万円も高くなるなんて…」と頭を抱えてしまいますよね。だからこそ、解体後の土地活用(すぐに売却する、駐車場にして収益化するなど)をセットで考えておくことが、非常に重要になるのです。

「解体して更地にするべきか、それとも空き家のまま売却するべきか…」と迷う方は、売却パターンも一度整理しておくと安心です。詳しい流れや必要書類、税金まで含めて知りたい方は、空き家売却の全手順と税金対策ガイドもあわせてチェックしてみてください。

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課税基準日(1月1日)を意識した解体戦略

固定資産税は、「毎年1月1日時点」の土地の状況(建物があるか、更地か)に基づいて、その年度(4月~)の税額が決定されます。

これが何を意味するかというと…

  • 12月31日までに解体を完了させる → 翌年1月1日時点では「更地」= 翌年度から税金が高くなる
  • 1月2日以降に解体を完了させる → 翌年1月1日時点では「建物あり」= 翌年度の税金は安いまま(特例適用)

もし解体後の土地をすぐに売却する予定がなく、更地のまま保有する期間が長引きそうなら、解体工事の完了時期を「年明け(1月2日以降)」に調整することで、税金が上がるタイミングを1年間遅らせることができる、という戦略的な視点も重要になります。

「管理不全空き家」「特定空き家」に注意!

「じゃあ税金が安いままなら、解体しないで放置しておこう」と考えるのも危険です。2023年の法改正で新設された「管理不全空き家」や、さらに危険な「特定空き家」に指定されてしまうと、事態は悪化します。

特に「特定空き家」として自治体から「勧告」を受けてしまうと、家が建っていても「住宅用地の特例」が解除され、税金が6倍になる可能性があります。解体費用を払わずに、税金だけが高くなるという最悪の事態です。解体しなくてもリスクがある、ということも覚えておきましょう。

ちなみに、こうした管理が難しく放置された空き家や、相続で揉めて共有名義のままになっている不動産は、いわゆる「訳あり不動産」として、売却が非常に困難になるケースも多いです。

相続で揉めた「共有名義」の不動産も買い取れる専門業者に相談する(ワケガイ)

そもそも、こうした問題は親御さんがお元気なうちに対策しておくのが一番です。もし親御さんの認知症などで実家の管理や売却ができなくなる「資産凍結」が心配な方は、早めに専門家へ相談しましょう。

認知症による資産凍結から親を守る|家族信託の「おやとこ」に無料相談する

固定資産税や相続に関する税金の悩みは、非常に専門的です。不安な方は、税金のプロである税理士に相談するのも一つの手ですよ。

相続や不動産税務に強い税理士を無料で探す(税理士ドットコム)

使える補助金・助成金制度

使える補助金・助成金制度

高額な解体費用と税金リスクの話に暗い気持ちになってしまったかもしれませんが、朗報もあります。それが「補助金・助成金制度」です。

多くの自治体が、倒壊の危険性がある古い空き家や、景観を損ねる空き家の解体を促進するため、費用の一部を補助する制度を設けています。これは使わない手はありません。

補助金の種類と金額の目安

  • 制度の名称: 「老朽危険家屋解体工事補助金」「危険廃屋解体撤去補助金」「空き家解体費用助成」など、自治体によって様々です。
  • 補助金額: 上限50万円程度(または解体費用の1/2~1/5など)が一般的ですが、地域によっては川崎市(上限100万円)や足立区(上限280万円 ※条件による)など、高額な補助金を設定している場合もあります。
  • アスベスト補助: 上記の解体費用の補助とは別枠で、アスベストの「調査費用」や「除去費用」に対しても、別途補助金制度が設けられている場合があります(例:調査上限10万円、除去上限100万円など)。

これらの補助金を組み合わせることで、費用負担を大幅に削減できる可能性があります。

【最重要】申請は「必ず」工事着手前に!

補助金制度を利用する上で、絶対に、絶対に守らなければならないルールがあります。それは、「必ず工事契約や着工の前に、自治体へ事前申請を完了させる」ことです。

補助金は予算が決まっているため、年度の途中で締め切られることもあります。業者と契約を済ませてしまったり、すでに工事が始まってしまったりした後で「あ、補助金使い忘れた!」と気づいても、ほぼ100%補助金は受け取れません。

解体計画の「一番最初」に、まずはあなたがお持ちの空き家がある市区町村の役所(建築指導課やまちづくり課など)の窓口やウェブサイトで、「空き家の解体で使える補助金はありますか?」と確認することから始めてください。

解体費用を安くする方法

補助金以外にも、解体費用を少しでも安く抑えるために、ご自身でできる実務的な工夫がいくつかあります。

  • 1. 残置物(家財)は自分で処分する: 前述の通り、これが最も効果が大きいです。数十万円単位で費用が変わる可能性が最も高いポイントです。
  • 2. 複数の業者から相見積もりを取る: 1社だけではその金額が高いか安いか判断できません。最低3社は比較しましょう(次項で詳述)。
  • 3. 業者の繁忙期を避ける: 解体業者は、公共工事が増える年度末(2月~3月)や、天候が安定する秋口(9月~11月)が繁忙期になりがちです。梅雨時期(6月~7月)や真夏(8月)など、比較的工事がやりにくく閑散期になりやすい時期に依頼すると、「値引き交渉」がしやすくなる可能性があります。
  • 4. 自分でできる手続きは自分で行う: 「建設リサイクル法」の届出や、工事完了後の「建物滅失登記」など、業者が代行する諸経費の一部を自分で行うことで、数千円~数万円の節約につながる場合があります。特に建物滅失登記は司法書士に頼むと数万円かかりますが、知識ゼロでも自分で安く登記できるシステムなどを使えば費用を抑えられますよ。

これら「チリも積もれば山となる」努力が、総額を抑えることにつながりますよ。

信頼できる業者選びのコツ

信頼できる業者選びのコツ

「費用を安くしたい」という気持ちは痛いほど分かりますが、安さ「だけ」で業者を選ぶのは非常に危険です。

相場より極端に安い業者は、必要な許可を持っていなかったり、アスベスト調査を故意に手抜きしたり、解体で出た廃材を山中などに不法投棄したりする悪質な業者の可能性があります。

不法投棄は「施主」の責任も問われます!

もし依頼した業者が不法投棄を行った場合、廃棄物処理法に基づき、業者だけでなく、工事を発注した施主(あなた)も責任を問われ、罰金や原状回復費用(不法投棄されたゴミの撤去費用)を請求される可能性があります。「知らなかった」では済まされません。安物買いの銭失いどころでは済まなくなってしまいます。

信頼できる業者か見極めるため、最低限以下の点は必ず確認しましょう。

【優良業者チェックリスト】

  • 1. 許可・登録: 500万円以上の工事を請負うには「建設業許可(解体工事業)」、500万円未満なら「解体工事業登録」が必須です。必ず許可証のコピーをもらい、番号が本物か確認しましょう。
  • 2. 保険: 万が一の工事中の事故(隣家の壁を傷つけた、通行人にケガをさせた等)に備え、「損害賠償責任保険」に加入しているか。保険証書のコピーを見せてもらうのが確実です。
  • 3. マニフェスト: 廃材を適正に処理したことを証明する「マニフェスト(産業廃棄物管理票)」を、工事完了後にきちんと発行してくれるか。これが不法投棄を防ぐ最大の証拠となります。
  • 4. 対応: 現地調査や見積もりの際、あなたの質問に的確に答えてくれるか。近隣への挨拶回りや、騒音・粉塵対策(養生)などを丁寧に行ってくれる計画になっているか。担当者との相性も重要です。
  • 5. 自社施工: 重機を自社で保有し、下請けに丸投げしない業者か。自社で一貫して施工する業者の方が、中間マージンが省かれ、費用が安くなる傾向があります。

相見積もりのチェックポイント

前述の通り、信頼できる業者を適正価格で見つけるための唯一の方法が「相見積もり(あいのり)」です。最低でも3社に現地調査を依頼し、見積書を比較検討しましょう。

その際、単に総額の「A社150万、B社130万、C社180万」という総額だけを見て「じゃあ一番安いB社にしよう」と決めるのは絶対にやめてください。

見るべきは「見積もりの明瞭さ」です。なぜC社は180万円なのか?もしかしたらC社だけが、他の業が見落とした浄化槽の撤去費用や、厳重なアスベスト対策費用をしっかり計上している「正直な見積もり」かもしれません。

以下のポイントで、各社の見積書をじっくり比較してください。

  • 「解体工事一式 〇〇万円」といった大雑把な見積もり(=どんぶり勘定)になっていませんか?
  • 「本体工事費」「付帯工事費」「諸経費」の項目ごとに、単価と数量(例:ブロック塀撤去 〇〇㎡ × △△円)が細かく記載されていますか?
  • 付帯工事の範囲(「ブロック塀は道路側だけ」「庭木は5本まで」など)は全社で同じ条件になっていますか?
  • アスベスト調査費用は含まれていますか?(含まれていない場合、別途いくらかかりますか?)
  • 地中埋設物(地中障害物)が発見された場合の追加費用や対応について、「別途協議」ではなく、「1立方メートルあたり〇〇円」など、明確な単価が記載されていますか?

安すぎる見積もりは、これらの項目(特に地中埋設物対応やアスベスト対策)が意図的に「含まれていない」可能性があり、工事が始まった後で「あれもこれも追加です」と高額な追加請求をされる典型的なトラブルパターンです。

価格だけでなく、前述のチェックリスト(許可、保険、マニフェスト)の確認や、担当者の対応の丁寧さ、あなたの質問に対する回答の的確さなども含めて、総合的に「ここなら信頼して任せられる」という業者を選んでください。

なお、費用の見積もりや法律に関する解釈、補助金制度の適否については、自治体や時期によっても異なります。最終的な判断をご自身で行わず、必ず契約前に各自治体の担当窓口や、信頼できる専門家にご相談いただくことをお勧めします。

コンサルタント @KAZU

解体は「終わり」ではなく、次の「始まり」です。更地にした後、売却するのか、駐車場として活用するのか、それとも新しく家を建てるのか。その「解体後の活用プラン」まで含めて業者に相談できると、より良い提案(例:再建築しやすいように基礎のガラ(破片)まで徹底的に除去して整地しておく、など)が期待できます。

解体費用という「点」で悩むだけでなく、その先の未来まで「線」で捉えて計画を立てることが、後悔しない空き家対策の秘訣ですよ。

不動産の売却や解体は、知らないまま進めてしまうと数百万円単位で損をしてしまうケースもあります。実際にどんな失敗パターンがあるのか知っておきたい方は、不動産売却で数百万円損するやばいケース集もあわせて読んでおくと、トラブル予防に役立ちます。

空き家解体費用のお悩みはご相談を

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ここまで本当にお疲れ様でした。空き家解体費用は、建物の構造、立地、アスベストの有無、残置物の量など、本当に多くの要因が複雑に絡み合って決まる、非常に専門的な分野であることがお分かりいただけたかと思います。

「相場を把握し、補助金を確認し、税金リスクを理解し、その上で信頼できる優良業者を選定する…」これらをすべてご自身で、本業や家事の合間に進めるのは、本当に、本当に大変な作業です。情報が多すぎて、何から手をつけていいか分からなくなってしまいますよね。

もし「自分一人で進めるのは不安だ」「うちの場合は結局、解体すべきなのか、そのまま売却すべきなのか分からない」「誰に相談していいか分からない」と足がすくんでしまったら、ぜひ一度、私たち「終活だよドットコム」にご相談ください。

相続や不動産のプロフェッショナルとして、あなたの空き家解体費用に関する個別のお悩みや、その後の土地活用、あるいは「そもそも解体すべきか、解体せずに売却すべきか」といった根本的な問題まで、あなたの状況に寄り添ってワンストップでサポートさせていただきます。

まずは無料相談から、あなたの不安なお気持ちを、私カズに聞かせてください。

今回お話しした空き家解体費用だけでなく、孤独死物件・共有名義・再建築不可などの「訳あり不動産」や相続・遺品整理まで全体像を整理したい方は、当サイトの総合案内である訳あり不動産・相続・遺品整理の総合ガイドもぜひ参考にしてみてください。

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空き家解体の悩みは、まず「適正な相場」を知ることから解決が始まります。複数の優良業者から無料で見積もりを取り寄せ、じっくり比較検討してみましょう。

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不安を解消する第一歩は、現状把握からです。この記事を読んだ「今日」から、以下の3つのうち、まずは1つでも始めてみませんか?

今日からできるアクションプラン

  • 1. 「書類」で実家の情報を確認する: まずは手元にある実家の「固定資産税の納税通知書」や「登記簿謄本(権利証)」を探してみましょう。そこに建物の構造(木造?鉄骨?)と、正確な延床面積(〇〇㎡)が記載されています。これが全ての基本情報になります。
  • 2. 「ネット」で自治体のHPをチェック: お持ちの空き家がある「市区町村名 + 空き家 解体 補助金」で検索し、どんな制度があるかだけでも覗いてみましょう。「あ、うちの市は上限50万も出るんだ」と分かるだけでも、大きな前進です。
  • 3. 「写真」で残置物を把握する: もし実家に行ける距離なら、各部屋の写真を撮っておきましょう。特に物置や押し入れの中など、物が詰まっている場所の写真を撮っておくだけで、後日、業者に見積もりを依頼する際の重要な資料になります。

小さな一歩が、大きな不安を解消する必ず助けになります。焦らず、一つずつ、一緒に頑張りましょう!

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この記事を書いた専門家

保有資格: 相続診断士 / 宅地建物取引士 / AFP(日本FP協会認定)など20種以上

不動産・金融業界で15年以上の実務経験、1,500件以上の相談実績を持つ相続・終活・不動産相続のプロフェッショナル。法律・税務・介護の専門家と連携し、ご家族に寄り添った円満な終活・相続を実現します。

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