
こんにちは、終活だよドットコムの運営者で、終活・相続・不動産の専門家のカズです。
「自分たちでやれば費用を浮かせられるかも」と、PCの前で家族信託登記申請書のひな形や書き方を必死に探していませんか。
実は、その「とりあえず自分でやってみよう」という判断が、後々に数百万円単位の損失や、最悪の場合は信託自体が無効になるリスクを抱えていることを知る人は多くありません。
この記事では、現場の最前線で数多くの案件を見てきた私が、家族信託登記申請書の作成方法から、プロに依頼すべき分岐点まで、現場のリアルな実情を交えて徹底的に解説します。
親が元気なうちに資産凍結リスクを回避するなら、自己流で進める前にまずは専門特化のサービスへ相談するのが鉄則です。 家族信託の組成実績が豊富で、親身になって相談に乗ってくれる専門チームはこちらです。
コンサルタント @KAZU正直に言います。「登記申請書」はただの紙切れではありません。それは、認知症になった後のあなたの財産を守る「最強の盾」にもなれば、家族を争いに巻き込む「時限爆弾」にもなり得ます。特に、インターネット上の無料ひな形をそのまま使うのは、サイズが合わない靴を無理やり履いてフルマラソンを走るようなもの。まずは「何がリスクなのか」をこの記事でしっかりと把握してください。
- 家族信託の登記申請書を作成する際の法的なポイントと具体的な記載例
- 自分で手続きを行う場合に発生しうる実務上のリスクと失敗事例
- 登録免許税の計算方法や専門家に依頼した場合の適正な費用相場
- 信託目録の条項設計が将来の財産管理に与える決定的な影響
家族信託の登記申請書の書き方完全ガイド


家族信託の登記は、皆さんが想像するような一般的な売買や相続の登記とは全く異なる「特殊な二重構造」を持っています。
単に名義を変えるだけではない、この複雑怪奇なシステムを理解せずに申請書を書くのは、目隠しをして運転するようなものです。
ここでは、実際に法務局へ提出する申請書を作成する上で、絶対に押さえておくべき構造と論理を、現場を知る実務家の視点で解説します。
自分で手続きする際のリスクと課題
「司法書士報酬の10万円や20万円が惜しいから自分でやりたい」。そのお気持ち、痛いほど分かります。誰だって無駄な出費は抑えたいですからね。
しかし、家族信託の登記をDIY(自力)で行うことは、想像以上に険しいイバラの道であり、多くの人が途中で遭難しています。
「登記完了=ゴール」ではないという残酷な現実
最大のリスクは、「苦労して法務局の登記は通ったけれど、肝心の銀行口座が作れない」という事態です。これは本当によくある悲劇です。
法務局は書類の形式さえ整っていれば登記を受理しますが、その内容が金融実務に耐えうるかどうかまでは審査してくれません。
私が実際に相談を受けたケースでは、息子さんがインターネットの情報を頼りに苦労して登記を完了させました。しかし、いざ親御さんの預金を管理するために「信託口口座」を開設しようとしたところ、銀行の法務担当者から冷たい一言を浴びせられたそうです。
「この信託目録の記載では、受託者の権限が不明確なので口座開設はお断りします」。
こうなると、もう地獄です。再度、信託契約書を公正証書で巻き直し、登記も最初からやり直すことになります。
登録免許税の二重払いになるだけでなく、その間に親御さんの認知症が進行して意思能力がなくなっていれば、契約変更すらできなくなる。まさに「安物買いの銭失い」の典型例になりかねないのです。
「登記は通ったのにお金が下ろせない」という最悪の事態を防ぐために。 初期段階から金融機関の審査基準をクリアできる、プロの家族信託設計を依頼しましょう。
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申請に必要な書類のチェックリスト


家族信託の登記申請には、通常の所有権移転登記とは異なる書類セットが必要です。役所で取得するものから、自分たちで作成・手配するものまで多岐にわたります。
抜け漏れがあると、法務局の窓口で「出直してきてください」と門前払いを食らいますので、念入りにチェックしてください。
| 書類名 | 入手先・備考 |
| 登記原因証明情報 | 信託契約書の内容を要約して作成した書面(報告形式推奨) |
| 登記識別情報(権利証) | 委託者が不動産を取得した際の権利証(紛失時は事前通知制度等を利用) |
| 印鑑証明書 | 委託者のもの(発行後3ヶ月以内・実印必須) |
| 住民票 | 受託者・受益者の住所証明情報として(マイナンバー記載なし) |
| 固定資産税評価証明書 | 登録免許税計算のため(最新年度のもの・都税事務所や市役所で取得) |
| 信託目録 | 申請書の一部として作成・提出(最重要書類) |
プライバシーを守る「報告形式」の知恵
特に厄介なのが「登記原因証明情報」です。理論上は、公証役場で作った分厚い信託契約書(公正証書)をそのまま提出することも可能です。
しかし、契約書の中には、親御さんの年金額や、信託しない他の預貯金の情報、あるいは「誰にいくら渡したい」といった極めてセンシティブな家族の秘密が書かれていますよね。
これをそのまま出すと、法務局で永久に保存され、閲覧される可能性があります。だからこそ実務では、登記に必要な事項(当事者や不動産の表示、信託の目的など)のみを抜粋した「報告形式の登記原因証明情報」を別途作成して提出するのがスタンダードなのです。
これを知らずに契約書を丸ごと提出してしまうと、家族のプライバシーが丸裸になってしまいます。
費用の内訳と登録免許税の計算
「結局、いくらかかるの?」という点は最も気になりますよね。家族信託の登記費用は、大きく分けて「実費(税金)」と「専門家報酬」の2つです。
専門家に頼まなくても、絶対に逃れられない実費である登録免許税について、まずは計算してみましょう。
家族信託の登記は、「所有権移転」と「信託」の2つを同時に申請します。しかし、所有権移転部分は非課税となるため、実質的には「信託登記分」の税金がかかります。
【登録免許税の計算式】 ・土地:固定資産税評価額 × 0.3% ・建物:固定資産税評価額 × 0.4% (出典:国税庁『登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ』)
例えば、土地の評価額が2,000万円、建物が1,000万円の実家を信託する場合でシミュレーションしてみましょう。
- 土地:2,000万円 × 0.3% = 6万円
- 建物:1,000万円 × 0.4% = 4万円
合計で10万円の登録免許税を収入印紙で納める必要があります。売買(2.0%)や贈与(2.0%)に比べれば格安ですが、それでもまとまった現金が必要です。ちなみに、計算結果の100円未満は切り捨てになるなど、細かい端数処理のルールもありますので、電卓を叩く際は注意してください。
専門家報酬について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
家族信託の費用相場は?初期費用からランニングコストまで徹底解説
ちなみに、不動産の価値が正確に分からないと税金計算もできませんし、そもそも「信託すべきか売却すべきか」の判断もできません。 たった60秒の入力で、実家の現在の価値(市場価格)を無料で把握しておきましょう。
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ひな形を活用する際の注意点


ネット上には「家族信託 登記 申請 書 ひな形」で検索すれば、WordやPDFのテンプレートが見つかります。しかし、これらを安易にコピペして使うのは、時限爆弾のスイッチを自分で押すような行為です。
なぜなら、ひな形はあくまで「標準的な(最もシンプルな)ケース」を想定しているからです。あなたの家族構成、不動産の状況(抵当権がついているか、農地か)、将来の希望(売却するか、建て替えるか)は千差万別です。
標準的なひな形には、将来のトラブルを防ぐための「特約」や「予備的条項」が含まれていないことがほとんどです。
例えば、ひな形には「受託者が死亡した場合」の規定がないことが多いです。もし登記した後で受託者(あなた)が事故で亡くなったらどうしますか?
予備的受託者が登記されていなければ、信託は宙に浮き、最悪の場合、裁判所で新しい受託者を選任する手続きが必要になります。
ひな形は「参考資料」程度に留め、内容は必ず専門家のチェックを受けることを強くお勧めします。
家族信託の契約や登記に潜むリスクについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
登記の目的や原因の正確な書き方
申請書の冒頭にある「登記の目的」と「原因」は、登記の根幹をなす部分です。ここを間違えると一発で法務局から補正(修正)の呼び出し電話がかかってきます。平日の昼間に呼び出されるのは本当にストレスですよ。
登記の目的: 基本的には「所有権移転及び信託」と記載します。これは、「所有権を移す手続き」と「信託財産として管理する手続き」をセットで行うことを意味します。もし受託者が二人いる場合は、単に連名にするのではなく「合有(ごうゆう)」という特殊な関係になるため、その旨の記載も必要になります。
原因: 「令和〇年〇月〇日信託」と記載します。日付は原則として信託契約日(公正証書作成日)です。もし遺言信託であれば「遺言者の死亡日」になります。
ここがプロの現場! 申請書には「権利者(受託者)」と「義務者(委託者)」を書きますが、売買と違って信託は「対価(お金のやり取り)」がありません。そのため、課税価格の計算や添付書類の整合性チェックにおいて、税務署や法務局も目を光らせています。記載ミスは単なる誤記では済まされないこともあるのです。
家族信託の登記申請書についてよくあるご質問FAQ


家族信託の登記申請書作成と目録の実務


ここからは、さらに踏み込んで実務の核心部分、「信託目録」について解説します。登記申請書が「表紙」だとすれば、信託目録は「中身」そのものです。ここがスカスカだと、どんなに立派な契約書を作っても何の意味もありません。
信託目録に記載すべき重要条項
信託目録は、登記簿の一部として誰でも閲覧できる状態になります。ここには、受託者(財産を管理する人)がどのような権限を持っているかが列挙されます。ここが一番の勝負所です。
「その他一切の処分」では通用しない
特に重要なのが「信託財産の管理・処分方法」の欄です。 ここに「売却」や「担保設定(借金のための抵当権設定)」の権限が明記されていないとどうなるか。
いざ老人ホームの入居一時金を作るために実家を売ろうとした時、買主側の司法書士や仲介業者から「権限がないので取引できません」とストップをかけられます。
よくある勘違いが、「その他一切の処分」という包括的な文言を入れておけば大丈夫だという思い込みです。しかし、金融機関や不動産会社はリスク回避のため、条項に「明記」されていない行為を極端に嫌います。
「売買、賃貸、建替え、修繕、担保設定」など、将来想定される行為は、親の敵のように具体的かつ網羅的に書き込む必要があります。これが書かれていない登記簿は、ただの「所有権凍結の記録」になってしまうのです。
司法書士の報酬相場と依頼の価値


「家族信託 登記 司法書士 報酬」と検索すると、相場が分からず不安になる方も多いでしょう。大きく分けて2つのパターンがあります。
- 登記申請代行のみ:10万円〜15万円程度(登録免許税別)
- 信託組成コンサル+登記:30万円〜100万円以上(信託財産評価額の1%程度が目安)
「高い!」と思われたかもしれません。しかし、この費用には「安心料」と「将来の法的安定性」が含まれています。プロに依頼する最大の価値は、「将来の紛争リスクの排除」と「金融機関対応の円滑化」です。
信託口口座の開設交渉や、税務リスクを考慮した条項設計は、登記手続き単体以上の価値があります。「自分でやって失敗したから直してくれ」と後から持ち込まれる案件の方が、修正の手間がかかる分、結局高くつくことが多いのが現実です。
「家族信託に限らず、相続全般のことを誰に相談していいか分からない」という方は、まずは相続専門のサポート窓口で全体像を整理してもらうのが近道です。 手続きの流れや費用の目安まで、相続のプロがまるごと相談に乗ってくれます。
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農地を信託する場合の許可と登記
もし、信託したい財産の中に「田」や「畑」が含まれているなら、話は一気に複雑になります。農地法という強力な法律の壁があるからです。
農地を信託財産として所有権移転するには、原則として農業委員会の許可が必要です。しかし、受託者(子供など)が農業従事者でない場合、この許可が下りないケースが多々あります。
許可証がなければ、法務局は登記を絶対に受け付けてくれません。
「停止条件付信託」というウルトラC
この場合、「農地だけ信託から外す」のが一番安全ですが、どうしても信託したい場合は、許可を条件とする「停止条件付信託」とし、仮登記だけを入れておく等の高度な法的テクニックが必要になります。
これを素人判断で進めると、契約自体が無効になったり、農地法違反で罰則を受けたりする可能性があります。



農地が含まれる案件でDIY登記をしようとするのは、地図を持たずに雪山に登るようなものです。必ず事前に専門家に相談してください。取り返しがつかないことになります。
信託口口座の開設に必要な登記


信託した不動産から家賃収入がある場合、そのお金は受託者個人の財布とは厳格に分けて管理しなければなりません。そのために作るのが「信託口口座(しんたくぐちこうざ)」です。
多くの銀行では、この口座を作る条件として「信託の登記が完了していること」を求めてきます。つまり、登記申請書の内容や信託目録の記載が銀行の規定に合致していなければ、口座開設を断られてしまうのです。
「登記はできたけど口座が作れない」という悲劇は、この銀行実務との連携不足から起こります。
プロは事前に銀行の担当者と契約書案のすり合わせを行ってから登記申請を行いますが、個人ではその事前交渉が難しく、結果として行き詰まってしまうのです。
家族信託の登記申請書で資産を守る
家族信託登記申請書は、単なる手続き書類ではありません。それは、親御さんが元気なうちに、家族の想いと財産を法的に守るための「契約の結晶」です。
ネット上の情報だけで見よう見まねで作成した申請書が、数年後に家族の絆を引き裂く原因になることもあれば、プロの手による盤石な申請書が、数十年にわたって家族の生活を支える基盤になることもあります。
目先の数万円、数十万円の節約のために、数千万円の資産と家族の安心をリスクに晒すことが本当に正解なのか、今一度立ち止まって考えてみてください。
認知症対策は「待ったなし」ですが、「焦って失敗」が一番の禁物です。
【今日からできるアクションプラン】
- まずは実家の「登記事項証明書(登記簿謄本)」を法務局で取得し、現在の権利関係(所有者や担保の有無)を確認する。
- 固定資産税の納税通知書を引っ張り出し、土地と建物の評価額を確認して、概算の登録免許税を計算してみる。
- 「自分たちだけで完結させるのは難しそうだな」と少しでも感じたら、地元の司法書士や信託専門家に無料相談の予約を入れる。
準備不足で走り出すのが一番危険です。まずは現状把握から、第一歩を踏み出しましょう!
家族信託は「契約」と「登記」がセットになって初めて機能します。 家族だけで悩まず、実績豊富な専門家に頼ることで、将来にわたる安心を手に入れてください。
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