
こんにちは、終活だよドットコムの運営者で、終活・相続・不動産の専門家のカズです。実家やアパートの管理をスムーズにする切り札として注目される家族信託ですが、いざ検討を始めると「初期費用が予想以上に高い」と驚かれる方が後を絶ちません。
特に、司法書士への報酬とは別に発生する「家族信託の登録免許税」は、数百万円単位になることもあり、資金計画を大きく狂わせる要因になりがちです。
「たかが手続きの税金でしょ?」と甘く見ていると、将来不動産を売却したり相続したりする出口の段階で、本来なら払わなくて済んだはずの莫大な税金を請求される落とし穴があることをご存じでしょうか。
私のもとにも「自分で手続きしようとして計算を間違えた」「軽減措置が使えず大損した」という悲痛な相談が寄せられますが、一度登記してしまうと後戻りできないのがこの世界の怖いところです。
この記事では、家族信託の登録免許税の計算方法から、プロだけが知っている0.4%特例の活用法、そして絶対に避けるべき課税の罠まで、現場のリアルな事例を交えて徹底解説します。
この記事を読むことで、複雑怪奇な家族信託の登録免許税の仕組みが手に取るように分かり、無駄なコストを極限まで抑えた賢い資産承継の設計図が描けるようになりますよ。
【30秒で結論】家族信託の登録免許税はいくら?
・計算式:固定資産税評価額 × 税率(売却価格ではありません)
・税率:土地0.3%(期限あり)/建物0.4%
・最重要:信託終了(出口)の設計次第で“0.4% or 2.0%”に分岐します
→ 先に「我が家はどっち?」を確認すると、ムダな税金を避けやすいです。
固定資産税評価額と登記簿があれば、概算と“出口の税率”まで無料で整理できます。
親の認知症で資産が凍結される前に。初期費用だけでなく将来の安心も含めて、まずは専門家に無料相談してみませんか?
コンサルタント @KAZU正直に申し上げますと、家族信託の初期費用で最も「心が折れる」のがこの登録免許税です。しかし、ここをケチって自己流で登記し、将来「信託口口座が作れない」「売却できない」という事態に陥り、結局弁護士費用で300万円飛んでいった事例を私は見てきました。この税金は、将来の資産凍結リスクを回避するための「必要経費」であり、家族の自由を買うためのチケット代だと割り切る覚悟も必要です。
- 土地0.3%・建物0.4%という税率の仕組みと固定資産税評価額を使った正確な計算方法
- 信託終了時に税率が2.0%に跳ね上がる「課税の罠」とそれを回避する0.4%特例の条件
- 専門家報酬や公正証書費用を含めたトータルコストの目安と成年後見制度との比較
- 受託者や受益者が変更になった場合にかかる税金とランニングコストの実態
家族信託の登録免許税:計算と税率の基礎
| 対象 | 税率 | メモ |
|---|---|---|
| 土地 | 0.3% | 期限あり(終了時期を本文で明記) |
| 建物 | 0.4% | 基本税率 |
| 信託終了時(原則) | 2.0% | 設計ミスでここに着地しやすい |
| 信託終了時(特例) | 0.4% | 条件を満たすとここにできる |
家族信託を組成する際、不動産の名義を委託者(親など)から受託者(子など)へ変更するために登記が必要です。この時、国に納める税金が登録免許税です。
「名義を変えるだけなのに、なぜ税金がかかるの?」と思われるかもしれませんが、これは登記簿という公的な帳簿を書き換えるための手数料のようなものだと考えてください。
しかし、単なる手数料にしては金額が大きすぎると感じるでしょう。ここでは、その計算ロジックと、少しでも安く抑えるための仕組みについて、現場の視点から解説します。
土地と建物の税率と軽減措置の仕組み
まず押さえておきたいのが、土地と建物で税率が異なるという点です。これは非常に重要です。なぜなら、土地には現在、期間限定の「バーゲンセール」のような軽減措置が適用されているからです。
通常、不動産を売買で取得した場合の登録免許税は土地が1.5%、建物が2.0%ですが、家族信託の場合は「形式的な移転」であるため、大幅に安く設定されています。
| 対象 | 税率 | 備考 |
|---|---|---|
| 土地 | 0.3% | 租税特別措置法第72条による軽減税率 (2026年3月31日まで) |
| 建物 | 0.4% | 本則税率(軽減措置なし) |
特に土地については、本来0.4%のところ、政策的な配慮で0.3%に軽減されています。詳しくは国税庁の発表をご確認いただきたいのですが、この0.1%の差は意外とバカになりません。
(出典:国税庁『登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ』 No.7191)
たった0.1%の違いに見えますが、評価額が1億円の土地なら10万円の差が出ます。「まだ慌てなくていいや」と先延ばしにしている間にこの軽減措置が終了してしまうと、単純にコストアップになるので注意が必要です。
固定資産税評価額に基づく計算方法
登録免許税の計算式はシンプルですが、使う数字を間違えると大変なことになります。よくある間違いが、不動産屋さんのチラシに載っている「売却価格(実勢価格)」を使って計算してしまうケースです。
登録免許税 = 固定資産税評価額 × 税率
ここで使うのは、実際に売れる金額(実勢価格)ではありません。毎年春ごろに役所から送られてくる納税通知書に記載されている「固定資産税評価額」です。一般的に実勢価格の7割程度と言われていますが、都心部ではもっと乖離していることもあります。
【迷ったらここ】納税通知書で見るのは「価格(評価額)」
固定資産税の納税通知書には「課税標準額」など似た言葉が並びます。
登録免許税の計算で使うのは、原則として “価格(評価額)” です。
不安なら市区町村で「評価証明書」を取り、最新の評価額で計算するのが確実です。
【計算例】郊外の実家(土地2,000万円/建物300万円)
① 土地:20,000,000円 × 0.3% = 60,000円
② 建物:3,000,000円 × 0.4% = 12,000円
→ 合計 72,000円(※端数処理が必要なケースがあります)
「大体これくらい」ではなく、1円単位まで正確に出せる数字ですので、事前に最新の評価証明書を役所で取り寄せて確認することをお勧めします。
固定資産税評価額だけでなく、実際の「売れる価格」を知っておくことも重要です。将来の売却シミュレーションのために、今の相場をチェックしておきましょう。
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計算の際は、以下の手順で厳密に行います。
- 評価額の1,000円未満を切り捨てる
- それに税率(0.3%または0.4%)を掛ける
- 算出された税額の100円未満を切り捨てる
「大体これくらい」ではなく、1円単位まで正確に出せる数字ですので、事前に最新の評価証明書を役所で取り寄せて確認することをお勧めします。
所有権移転分が非課税となる理由
少し専門的な話をしますが、ここを知っていると「なぜ家族信託はお得なのか」が分かります。
家族信託の登記は、実務上「所有権移転登記」と「信託登記」の2つをセットで行います。本来ならダブルで税金がかかりそうですが、所有権移転登記分は非課税とされています(登録免許税法第7条)。
なぜなら、家族信託では形式的に名義が受託者に移るだけで、実質的な経済価値(家賃収入や売却益を得る権利)は委託者(=受益者)に残ったままだからです。
「実質的に持ち主は変わっていないのだから、移転税は取らないよ。その代わり、信託というラベルを貼る代金(信託登記分)だけ払ってね」というのが国のロジックです。
この仕組みのおかげで、贈与税や不動産取得税もかからず(自益信託の場合)、比較的低コストで資産の管理権限だけを移転できるのです。これは成年後見制度にはない、家族信託ならではのメリットと言えるでしょう。
費用総額のシミュレーション事例
では、実際にいくらかかるのか、私の顧客データをベースにしたリアルな数字を見てみましょう。机上の空論ではなく、これが現場の相場感です。
| ケース | 物件概要 | 評価額 | 登録免許税額 |
|---|---|---|---|
| ケースA:郊外の実家 | 古い木造戸建て | 土地2,000万 建物300万 | 土地:60,000円 建物:12,000円 合計:72,000円 |
| ケースB:都心マンション | 敷地権付き区分建物 | 土地3,000万 建物1,500万 | 土地:90,000円 建物:60,000円 合計:150,000円 |
| ケースC:収益アパート | RC造一棟もの | 土地8,000万 建物1.2億円 | 土地:240,000円 建物:480,000円 合計:720,000円 |
ご覧の通り、ケースCのような収益物件の場合、建物評価額が高いため税額だけで70万円を超えてきます。
「高い!」と絶句されるオーナー様も多いですが、これを支払わずに認知症になり、口座凍結や大規模修繕の発注ができなくなるリスクと比較すれば、安い保険料だと言えます。
アパート経営において「意思決定ができなくなる」ことこそが最大の損失だからです。
相続や成年後見制度とのコスト比較
「家族信託は高いから、成年後見制度でいいや」と安易に考えるのは危険です。目先の初期費用だけでなく、10年、20年という期間でのランニングコストを比較してください。
- 成年後見制度:初期費用は20万円程度と安いですが、専門家が後見人につくと月額3〜5万円の報酬が死ぬまで発生します。10年で約400〜600万円が消えていきます。しかも、資産運用や生前贈与は一切できません。
- 家族信託:初期費用(税金+報酬)で100万円近くかかったとしても、家族が受託者になればランニングコストは原則0円です。
長期戦になればなるほど、家族信託の方が圧倒的にコストパフォーマンスが良いことが分かります。「安物買いの銭失い」にならないよう、トータルコストで判断しましょう。



登録免許税を少しでも安くするテクニックとして、「建物の評価替え」のタイミングを見る方法があります。固定資産税評価額は3年に1度見直され、建物は経年劣化で徐々に下がります。もし評価替えの直前なら、数ヶ月待って新しい(下がった)評価額で登記すれば数万円浮くことも。ただし、待っている間に親の認知症が進んでしまったら元も子もないので、その見極めは慎重に行ってください。
家族信託の登録免許税に関する納付と注意点
ここからは、実際にお金を払う段取りや、信託をスタートした後に発生するコスト、そして最も恐ろしい「出口戦略」での課税について深掘りします。ここを知らないと、将来思わぬ追徴課税を受けたり、手続きがストップしたりする可能性があります。
登録免許税は誰が払う?負担の原則
法律上、納税義務者は登記を申請する人(通常は受託者と委託者)ですが、実際に誰の財布から出すかが問題になります。
基本的には、「受益者(親)」が負担するのが税務上も合理的です。なぜなら、信託登記は受益者の権利を守るためのものだからです。
実務では、親の預金から引き出して支払うか、受託者(子)がいったん立て替えて、後で親から返してもらう形をとることが多いです。
ここで子が「親孝行だから」と勝手に全額負担してしまうと、親への「贈与」とみなされるリスクもゼロではありません。
数百万円規模になると贈与税の対象になりかねませんので、資金の流れは通帳に記録し、明確にしておく必要があります。
現金や印紙による納付方法の解説
「税務署に行って払うの?」とよく聞かれますが、違います。納付先は法務局(国)です。
- 現金納付:金融機関で納付書を使って支払い、領収証書を登記申請書に貼り付けます。これが最も一般的で確実です。
- 電子納付:オンライン申請の場合、ネットバンキング(Pay-easy)で支払えます。司法書士に依頼する場合は、彼らが代行してくれます。
- 収入印紙:税額が3万円以下の場合など少額であれば、印紙を貼って提出することも可能です。
数百万円単位の税額になる場合、銀行窓口での手続きが必要になることもあるので、決済日当日に慌てないよう準備が必要です。特に高額な場合は、司法書士が事前に見積もりを出してくれますので、その通りに準備すれば問題ありません。
受益者変更や受託者変更の課税関係
信託期間中に人が変わる場合、登録免許税はどうなるのでしょうか。ここも誤解が多いポイントです。受託者(管理する人)の変更 登録免許税は非課税です(ただし、不動産1個につき1,000円の手数料的な課税等がかかる場合があります)。
管理者が代わるだけなので、大きな税金はかかりません。 受益者(利益をもらう人)の変更 登録免許税は不動産1個につき1,000円です。
しかし、ここに巨大な罠があります。登録免許税は1,000円ですが、受益権が移転したことで「相続税」や「贈与税」がガッツリ課税されます。
「登記代が安いから」といって気軽に受益者を変えると、税務署からとんでもない額の請求が来るので絶対にやめてください。
信託終了時の特例と税率の落とし穴
【ここが最大の落とし穴】信託終了時、税率が2.0%になることがあります
信託の“出口設計”を間違えると、相続登記より重い税率で着地してしまうケースがあります。
最後に泣かないために、次のチェックだけは必ず確認してください。
この記事で最も重要なのがここです。ここだけは絶対に覚えて帰ってください。信託が終了し、不動産を最終的に誰かが引き継ぐ時の登録免許税率です。
原則として、信託終了による所有権移転は2.0%の税率がかかります。通常の相続登記(0.4%)の5倍です。これでは大損してしまいます。「家族信託なんてやらなければよかった」と後悔する瞬間です。
しかし、ご安心ください。以下の条件を全て満たせば、特例で0.4%に軽減されます(登録免許税法第7条第2項)。
【0.4%特例の適用条件(絶対厳守)】
① 信託の効力が生じた時から終了する時まで、委託者=受益者であったこと(自益信託)。
② 財産を引き継ぐ人が、委託者の「相続人」であること。
【0.4%で着地するためのチェック】
□ 委託者=受益者のまま(途中で受益者を変えていない)
□ 最終的に財産を引き継ぐ人が「相続人」に入っている
□ 契約書の条文が“特例要件を外さない書き方”になっている
つまり、途中で受益者を別の人に変えていたり、相続人ではない人(例えば孫や息子の嫁、法人など)に財産を渡す設計にしていると、最後の最後で2.0%の高い税金を払わされることになります。
評価額5,000万円なら、20万円で済むところが100万円になります。80万円の損です。
「孫に財産を残したい」という想いは尊いですが、この税率トラップを知らずに行うと痛い目を見ます。出口戦略を見据えた設計がいかに重要か、お分かりいただけると思います。
契約書の一文で税金が数百万円変わります。特例を確実に適用し、損をしないための家族信託設計はプロにお任せください。
このチェックは“契約書の一文”で外れることがあります。無料相談で我が家の出口を確認しておくと安心です。
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専門家報酬と実費を含めた総費用
最後に、登録免許税以外も含めた総額の目安をお伝えします。資産規模にもよりますが、以下の内訳になることが一般的です。
- 登録免許税:評価額の0.3〜0.4%
- コンサルティング報酬:信託財産額の1.0%程度(最低30〜50万円〜)
- 公正証書作成費用:数万円〜10万円
- 登記代行報酬:10〜15万円
例えば、実家(評価2,000万円)を信託する場合、総額で60万〜80万円前後が相場です。「高い」と感じるかもしれませんが、これは将来の空き家リスク、資産凍結リスクを完全に封じ込めるための「安心料」です。
一度払えば、その後は安心して枕を高くして眠れるのですから。
家族信託だけでなく、相続全般の手続きや費用に不安があるなら。相続のプロにまとめて相談して、最適なプランを見つけましょう。
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家族信託の登録免許税についてよくあるご質問FAQ
家族信託の登録免許税のまとめと対策
家族信託の登録免許税について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。単なる手数料ではなく、資産の防衛ラインを構築するための重要なコストであることがご理解いただけたかと思います。
まとめとして、登録免許税は「土地0.3%・建物0.4%」という数字だけでなく、出口戦略での「2.0%か0.4%か」という分岐点が非常に重要です。ここを間違えると、節税どころか大増税になってしまいます。
私たち専門家は、単に書類を作るだけでなく、こうした将来の税務リスクまでシミュレーションして、あなたのご家族にとって最も損のない設計図を描いています。
目先の数十万円を惜しんで、将来数百万円の損失を出さないよう、ぜひ賢い選択をしてください。



信託終了時の税率が0.4%になるか2.0%になるかは、契約書の「一文」で決まります。私が以前相談を受けたケースでは、ご自身でネットの雛形を継ぎ接ぎして作った契約書のせいで特例が使えず、本来なら払う必要のなかった150万円を追加で納税することになった方がいました。契約書はただの紙切れではありません。資産を守る盾です。ここだけはプロに任せてください。
家族信託は「転ばぬ先の杖」。親が元気な今だからこそ、資産凍結のリスクを回避して家族の資産を守りましょう。
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今日からできるアクションプラン
- まずは毎年届く「固定資産税納税通知書」を引っ張り出し、土地と建物の評価額を確認して0.3%と0.4%を掛けてみる(現実を知る第一歩)。
- 親が元気なうちに、「もし認知症になったら家をどうしたいか」を話し合い、信託の目的(売却か、管理継続か)を明確にする。
- 自分で悩む前に、登記簿と評価証明書を持って、信託に強い専門家の無料相談に行き、概算見積もりを出してもらう。
「知識は武器、行動は防御」。大切な資産を守れるのは、あなたの一歩だけです!
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