
こんにちは!終活だよドットコムの運営者、終活・相続・不動産の専門家のカズです。
「空き家 売却 手順」と検索されているということは、ご実家の相続などで空き家を所有され、これからどうしようかと悩んでいらっしゃるのではないでしょうか。「空き家を売却する流れがわからない」「相続登記って必須なの?」「売却にかかる費用や税金はどれくらい?」など、不安な点も多いと思います。
特に2024年からの法改正で、空き家を放置するリスクは格段に上がりました。
この記事では、不動産の専門家である私が、複雑な空き家売却の手順をゼロから分かりやすく解説します。売却の流れはもちろん、売却にかかる費用や税金、そして最大の節税策である3000万円特別控除の活用法まで、あなたが知りたい情報を網羅しました。
この記事を最後まで読めば、空き家売却の全体像と、あなたが「今すぐやるべきこと」が明確になりますよ。
空き家の売却、何から始めればいいか分からない…
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- 空き家を放置する法的なリスクと金銭的コスト
- 2024年法改正で必須となった相続登記の手順と費用
- 「仲介」と「買取」など、最適な売却戦略の選び方
- 売却益にかかる税金と「3000万円特別控除」の活用術
空き家売却の手順と放置リスク

空き家の売却を考え始めたら、まず「売却活動」そのものよりも先に、「所有し続けることのリスク」を正確に把握することから始めなくてはなりません。特に近年の法改正で、空き家を取り巻く環境は激変しています。売却手順の検討は、このリスク把握からスタートすると言っても過言ではありません。
コンサルタント @KAZU私が多くのご相談を受ける中で感じるのは、「まだ大丈夫だろう」という油断が一番危険だということです。空き家は「負動産」とよく言われますが、それは所有しているだけでお金(固定資産税や維持費)が出ていくからです。2023年からの法改正で、管理が不十分だと税金が最大6倍になるリスクが現実化しました。売却手順の第一歩は、この「放置リスク」を自分事として認識することですよ。
空き家放置のデメリットとリスク
空き家を所有し続けることには、皆さんが想像する以上に多くのデメリットとリスクが潜んでいます。これらは「金銭的コスト」「資産価値の低下」「法的リスク」の3つに大別できます。
金銭的なコスト(負債)
まず、目に見えて分かりやすいのが金銭的なコストです。空き家は、まさに「持っているだけでお金がかかる」資産(負債)です。
- 税金: 誰も住んでいなくても、土地と建物が存在する限り、毎年1月1日時点の所有者に「固定資産税」および「都市計画税」が課税されます。
- 維持管理費: これが意外と厄介です。遠方のご実家などの場合、定期的に訪問して清掃や草刈り、通風・通水を行う必要があります。これを業者に委託すれば、もちろん費用が発生します(年間数万円~十数万円)。
- 光熱費・保険料: 水道や電気を解約してしまうと、いざ清掃に来たときや売却活動(内覧)の際に困るため、基本料金だけ払い続けるケースも多いです。また、火災保険も必須です。空き家は放火のリスクなどが高まるため、保険料が割高になる傾向があります。
資産価値の急速な低下
次に、資産価値の低下です。これは非常に深刻な問題で、「家は人が住まなくなると急速に劣化する」というのは本当の話です。
換気が行われない室内は湿気がこもり、カビや腐食の原因となります。通水されない排水管は内部が錆びたり、悪臭の原因となったりします。また、シロアリやネズミなどの害虫・害獣の温床にもなりやすいのです。
一般的な木造一戸建ての資産価値は築20年~25年でほぼゼロになるとされていますが、空き家として放置されると、そのスピードはさらに加速します。いざ売却しようと思った時には、想定していた価格よりも大幅に低い金額でしか売れない、あるいは解体費用の方が高くつく「マイナスの資産」になっている可能性もあります。
法的なリスク(損害賠償責任)
そして最も怖いのが、法的なリスクです。空き家の管理責任は、すべて所有者にあります。
例えば、以下のようなケースが考えられます。
- 台風や地震で屋根材や外壁が飛散し、隣家や通行人に損害を与えてしまった。
- 老朽化したブロック塀が倒壊し、人を負傷させてしまった。
- 不法侵入者による放火で火災が発生し、近隣に延焼してしまった。
- 雑草の繁茂や害虫の発生で、近隣からクレームが入った。
これらの場合、所有者は「損害賠償責任」を問われることになります。適切な管理を怠っていたと判断されれば、多額の賠償金を支払う事態にもなりかねません。こうしたリスクが現実化し、いわゆる「訳あり不動産」となってしまうと、売却はさらに困難になります。


管理不全空き家と固定資産税


「空き家を放置するリスク」は、2023年12月に施行された改正「空家等対策特別措置法」によって、さらに深刻かつ現実的なものとなりました。
この法改正の最大のポイントは、従来の「特定空き家」(倒壊寸前など、著しく危険・不衛生な状態)に加えて、新たに「管理不全空き家」という区分が創設されたことです。(出典:国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」)
「管理不全空き家」とは、簡単に言えば「特定空き家の予備軍」です。具体的には、「窓ガラスが割れたまま放置されている」「外壁に亀裂が入っている」「雑草が敷地全体に生い茂っている」など、このまま放置すれば「特定空き家」になる可能性が高い状態を指します。
この新区分の創設により、行政はより早期の段階で所有者に介入し、管理を促すことが可能になりました。
【最重要】固定資産税が6倍になる仕組み
この法改正が空き家所有者にとって最も恐ろしいのは、「固定資産税の増額」に直結する点です。
通常、住宅が建っている土地は「住宅用地の特例」という制度により、固定資産税が最大で6分の1に減額されています。多くの空き家所有者が、この恩恵を受けてきました。
しかし、法改正後の流れは以下のようになります。
- 所有する空き家が「管理不全空き家」または「特定空き家」に該当すると行政が判断します。
- まず、行政から所有者に対して「適切に管理してください」という「助言」や「指導」が入ります。
- 所有者がこの「指導」に従わず、改善が見られない場合、行政は一段階重い「勧告」を出します。
- この「勧告」を受けた時点で、その敷地は「住宅用地の特例」の対象から除外されます。
- 結果、特例が解除されることで税額が元に戻り、翌年から土地の固定資産税が実質的に最大6倍に跳ね上がるのです。
重要なのは、もはや「倒壊寸前の家」だけが対象ではない、ということです。「管理が不十分な家」全般が、この固定資産税6倍のリスクに晒されることになりました。
さらに「勧告」を無視し続け、状態が悪化して「特定空き家」として「命令」を受けると、50万円以下の過料(罰金)が科される可能性があります。最終的に命令にも従わない場合、行政が所有者に代わって強制的に建物を解体し、その解体費用(数百万円規模)が所有者に請求される「行政代執行」という最終手段も待っています。
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相続登記の義務化と費用
相続した実家が空き家になっている場合、売却手順の「大前提」として立ちはだかるのが名義変更、すなわち「相続登記」です。
これが、2024年4月1日からついに法的に義務化されました。これは日本の不動産登記制度における歴史的な大転換です。
背景には、所有者不明の土地が全国で増加し、公共事業や災害復旧の妨げになるという深刻な社会問題がありました。こうした空き家相続の問題が非常に根深いため、国が本格的に対策に乗り出したのです。この義務化により、「相続したけど、手続きが面倒だから親名義のまま」という状態が許されなくなりました。
具体的なルールとして、相続により不動産の取得を知った日から3年以内に登記申請をしなければなりません。正当な理由(例:相続人が多すぎて遺産分割協議がまとまらないなど)なくこの義務を怠った場合、10万円以下の過料(罰則)が科される可能性があります。
そして非常に重要な点ですが、この義務化は2024年4月1日より前に発生した相続(登記未了のもの)にも適用されます。「何十年も前に相続したけど、そのままだった」というケースも対象となるため、今すぐ確認が必要です。
なぜ相続登記が必要なの?
「罰則があるから」という理由もさることながら、不動産実務においてもっと重要な理由があります。それは、相続登記をしないと空き家は絶対に売却できないからです。
登記簿上の所有者が亡くなった親(被相続人)のままでは、あなたが本当の所有者だと法的に証明できません。買主は「誰が本当の所有者か」分からない不動産を買うことはできませんし、売買契約を締結することも不可能です。
また、買主が住宅ローンを利用する場合、金融機関は購入する不動産に抵当権を設定しますが、登記名義が売主(相続人)になっていなければ、融資は実行されません。
もし登記を放置したまま、相続人であるあなた(や他の兄弟姉妹)が亡くなると(=二次相続)、権利関係者がネズミ算式に増えていきます。例えば、父が亡くなり、母と子3人が相続したのに登記せず、次に母が亡くなり、さらに子の1人が亡くなり…となると、相続人の数はあっという間に10人以上に膨れ上がります。そうなると、全員から実印をもらって遺産分割協議書を作成するのは、ほぼ不可能になります。
相続登記の放置だけでなく、親が認知症になると「資産凍結」で売却自体ができなくなるリスクもあります。
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相続登記にかかる費用
相続登記はご自身でも可能ですが、必要書類の収集(被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本など)が非常に煩雑なため、司法書士に依頼するのが一般的です。
主な費用は以下の通りです。
- 登録免許税(実費): 登記申請時に法務局へ納付する税金です。税率は原則として「固定資産評価額 × 0.4%」です。(例:評価額1,000万円の土地なら4万円)
- 司法書士報酬(手数料): 司法書士への依頼料です。相続人の数や不動産の数、遺産分割協議書の作成の有無などによって変動しますが、6万円~10万円程度が相場とされています。
- その他実費: 戸籍謄本(1通450円)、除籍・原戸籍謄本(1通750円)、住民票(1通300円程度)、登記簿謄本(1通600円)などの取得費用がかかります。
合計すると、一般的な相続登記であれば10万円~20万円程度を見込んでおくと良いでしょう。
売却前に必要な書類と測量


法的な権利関係(相続登記)をはっきりさせると同時に、売却する「モノ(商品)」としての不動産の価値を明確にするための物理的な準備も必要です。これが不十分だと、売却活動がスムーズに進まなかったり、売却価格が下がってしまったりします。
① 売却に必要な書類の準備
売却活動をスムーズに進めるため、以下の書類が手元にあるか、最低でも「どこにあるか」を確認しておきましょう。これらは不動産会社の査定時や契約時に必要となります。
【主な必要書類リスト】
- 登記済権利証(または登記識別情報): いわゆる「権利証」です。所有者本人であることを証明する最重要書類で、再発行は一切できません。
- 固定資産税納税通知書(+評価証明書): 毎年春に役所から送られてくる書類です。固定資産評価額や税額の確認、登記費用の計算などに使います。
- 建築確認済証・検査済証: 建物が建築基準法に適合していることを証明する書類です。特に「検査済証」は、買主が住宅ローンを組む際に金融機関から提出を求められることが多く、非常に重要です。
- 地積測量図・境界確認書: 土地の正確な面積や、隣地との境界がどうなっているかを示す図面です。
- 物件の図面(間取り図、設計図書など): どんな建物かを示す資料です。
「権利証」や「検査済証」を紛失したら?
権利証(登記識別情報)を紛失していても、売却は可能です。ただし、その場合、司法書士による「本人確認情報」の作成(別途5万~10万円程度の費用)や、法務局からの事前通知制度を利用する必要があり、通常より時間と費用がかかります。早めに司法書士に相談しましょう。
検査済証を紛失した場合、再発行はされません。これが無いと、買主の住宅ローン審査が厳しくなったり、将来買主がリフォームや増改築をする際に制約が出たりする可能性があり、売却価格に影響することがあります。
② 土地の境界確定(測量)
古い住宅地や、親世代が口約束で境界を決めていたような土地の場合、隣地との境界が曖昧になっているケースが多々あります。敷地内に境界杭(コンクリート杭や金属標)があるか確認してみましょう。
境界が不明確だと、買主は「購入後に隣人と境界トラブルになるのではないか」「登記簿上の面積より実際の面積が狭いのではないか」といった不安を抱き、購入をためらいます。
特に「更地」にして売却する場合や、高額な土地の場合、売買の前提として「確定測量図」の作成を買主から求められることがほとんどです。
「確定測量図」とは、土地家屋調査士が隣地所有者全員(および公道に面していれば行政とも)の立ち会いのもと境界を確認し、全員が合意したことを示す書面(境界確認書)が添付された、法的な信頼性が極めて高い図面です。
この測量は「土地家屋調査士」に依頼します。費用は35万円~50万円程度が目安ですが、隣接地の数、土地の形状、官民査定(行政との境界確定)が必要かどうかで、80万円以上になるケースもあります。
家財(残置物)の処分方法


不動産売買は、原則として中身が空(カラ)の状態で買主に引き渡します。長年住んでいたご実家ともなると、家具、家電、衣類、布団、食器など、家一軒分の家財(残置物)が残っていることが多く、この処分は相続人が想像する以上に時間・労力・費用がかかる作業です。
処分方法は、大きく分けて以下の3つです。状況に応じて組み合わせるのが現実的です。
方法1:売却する(リサイクルショップ・フリマアプリ)
メリット: 処分費用がかからず、逆にお金になる可能性があります。まだ新しく価値のある家電、ブランド品、骨董品などはこちらを検討しましょう。
デメリット: 手間がかかります。フリマアプリは梱包・発送が大変ですし、リサイクルショップも大型家具は引き取りに来てくれない場合があります。
家財の中には、意外な高値がつく骨董品や着物、切手などが眠っているかもしれません。
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方法2:自分で処分する(自治体の粗大ごみ収集)
メリット: 処分費用が最も安く済みます。
デメリット: 非常に手間と時間がかかります。自治体のルールに従って分別し、粗大ごみシールを貼り、指定された収集場所まで(家の中から)自分で運び出さなければなりません。遠方にお住まいの場合、何度も往復するのは現実的ではありません。
方法3:不用品回収業者に一括で依頼する
メリット: 圧倒的に手間がかかりません。電話一本で訪問見積もりに来てくれ、契約すれば分別から運び出しまで全てを一日で完了してくれます。時間や労力を最小限にしたい方には最適です。
デメリット: 費用が高額になります。間取りや物量によりますが、一軒家まるごとなると20万円~50万円以上かかることも珍しくありません。
また、悪徳業者(不法投棄する業者や高額請求する業者)も存在するため、複数社から相見積もりを取り、一般廃棄物収集運搬業の許可を持っているか確認することが重要です。
遠方の実家の片付けや、どこから手を付ければいいか分からない遺品整理は、プロに任せるのも賢明な選択です。
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なお、エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機は「家電リサイクル法対象品」であり、自治体の粗大ごみでは収集されません。別途リサイクル料金と収集運搬費がかかる点も忘れないでください。
後述する売却方法(「買取」)を選択した場合は、業者がこの残置物ごと引き受けてくれる(その分を買取価格から差し引く)ケースも多く、これは売主にとって大きなメリットとなります。
実践的な空き家売却の手順


さあ、ここからが本題です。第1部で解説した「法的準備(相続登記)」と「物理的準備(測量・残置物処分)」が整ったら(あるいは目処がついたら)、いよいよ「どう売るか」「誰に頼むか」という実践的な売却戦略を決め、実行に移していきます。
相続不動産全体の流れも確認しておきたい方は
相続不動産 売却 手続きの完全ガイド で、「相続~売却完了」までの全体像もあわせてチェックしておくと安心です。



ここからの戦略(売り方)が、手取り額に数百万円単位の差を生むことも珍しくありません。特に重要なのが「仲介」と「買取」の違いを理解することです。「仲介」は高く売れる可能性がありますが、売却後に欠陥が見つかった場合の責任(契約不適合責任)が残ります。「買取」は価格が下がりますが、その責任を免除してもらえるのが最大のメリット。ご自身の空き家の状態と、ご自身の性格(リスクを取りたくないか)に合わせて選ぶことが肝心ですよ。
ご自身の空き家、どちらの売り方が合っているでしょう?
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そのまま売るか解体するべきか
空き家の「売り方(商品の状態)」には、大きく分けて3つのパターンがあります。どれを選ぶかで、売主の初期費用やリスク、そして最終的な手取り額が大きく変わります。
① 「そのまま」で売却(中古住宅・古家付き土地)
概要: リフォームや解体を一切せず、現状のまま売却する方法です。建物にまだ価値があると判断されれば「中古住宅」として、建物が古く価値がほぼない(築25年以上など)と判断されれば「古家(ふるや)付き土地」として売り出されます。
メリット: 売主の初期費用(解体費、リフォーム費)が一切かからない点が最大の魅力です。手間も最小限で済みます。
デメリット: 買主がリフォーム費用や建物の老朽化(耐震性など)を懸念し、その分の費用を差し引いた金額でしか売れないため、売却価格は低くなりがちです。また、売却後に建物の隠れた欠陥(雨漏り、シロアリ、給排水管の腐食など)が見つかった場合、売主が責任を負う「契約不適合責任」のリスクが残ります。
② 「リフォーム」して売却
概要: 売主が数百万円の費用を負担して、水回り(キッチン、風呂、トイレ)の交換や壁紙の張り替えなど、物件の魅力(第一印象)を高めるリフォームを行ってから売却する方法です。
メリット: 内覧時の印象が格段に良くなり、「即入居したい」という買主層に響けば、高く・早く売れる可能性があります。
デメリット: リフォーム費用がかかることです。最大の注意点は、「かけたリフォーム費用を、そのまま売却価格に上乗せして回収できるとは限らない」ということです。リフォーム内容が買主の好みと一致しない場合、かえって売れ残るリスクすらあります。
③ 「更地(解体)」にして売却
概要: 売主の負担で建物を解体し、土地(更地)として売却する方法です。
メリット: 新築住宅を建てたい個人や、建売住宅を建てたいハウスメーカー・デベロッパーなど、買主の層が広がります。土地の状態が分かりやすいため、早期売却が期待できる傾向があります。また、建物の維持管理費や、建物に関する「契約不適合責任」が一切なくなります。
デメリット: 高額な解体費用が売主の初期費用として発生します。また、後述する「3000万円特別控除」の適用がない場合、重大な「税金の罠」にはまるリスクがあります。
【目安】建物の解体費用
解体費用は、建物の構造や立地(重機が入りやすいか)、アスベスト使用の有無などで大きく変動しますが、一般的な目安は以下の通りです。
| 建物の構造 | 費用相場(1坪あたり) | 30坪の家の場合の目安 |
|---|---|---|
| 木造 | 3万円 ~ 6万円 | 90万円 ~ 180万円 |
| 鉄骨造 | 4万円 ~ 7万円 | 120万円 ~ 210万円 |
| 鉄筋コンクリート造 (RC) | 6万円 ~ 9万円 | 180万円 ~ 270万円 |
※上記はあくまで本体の解体費用です。これに加えて、敷地内のブロック塀の撤去費用、庭石・庭木の撤去費用、地中埋設物(古い浄化槽など)の撤去費用が別途かかる場合があります。
【重大】更地売却の「固定資産税の罠」
第1部でも触れましたが、非常に重要なので繰り返します。建物が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が最大6分の1に減額されています。
しかし、建物を解体すると、この特例が適用されなくなります。
もし10月頃に解体したものの、売却活動が長引き、年を越して1月1日(固定資産税の賦課期日)をまたいでしまった場合、その年1年分の高額な固定資産税(最大6倍)を売主が負担することになってしまいます。
したがって、後述する「3000万円特別控除」の適用を狙う場合を除き、解体は「買主が決まり、引渡し日が確定してから」行うか、あるいは「解体停止条件付売買契約(=解体更地渡し)」にするのが賢明です。
仲介と買取どちらを選ぶ?
売り方(商品の状態)が決まったら、次に「売り先(市場)」を決めます。これは大きく「仲介」と「買取」の2つの手法に大別されます。これは売却のスピードと金額に直結する、非常に重要な選択です。
① 仲介 (ちゅうかい)
概要: 不動産会社が「仲介役」となり、一般の個人や法人(買主)を探す方法です。新聞広告やSUUMOなどのポータルサイトに物件情報を掲載し、買主を広く募集します。最も一般的な売却方法です。
メリット: 市場価格(相場)で売れる可能性があり、最も高く売れる可能性を秘めた方法です。不動産会社が持つ販売網やノウハウを最大限に活用できます。
デメリット:
- 時間がかかる: 買主が見つかるまでに平均3~6ヶ月、場合によっては1年以上かかることもあります。
- 仲介手数料が必要: 売却が成立した際、成功報酬として不動産会社へ「仲介手数料」を支払う必要があります。(上限額:売買価格 $\times 3\% + 6$万円+消費税 ※400万円超の場合)
- 手間がかかる: 購入希望者による「内覧(物件見学)」の対応が必要で、その都度、清掃や立ち会い(または鍵の預け)が求められます。
- 契約不適合責任が残る: 前述の通り、売却後に隠れた欠陥が見つかった場合、売主が修補や賠償の責任を負うリスクが残ります。
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② 買取 (かいとり)
概要: 不動産会社(買取業者)が「買主」として、その空き家を直接買い取る方法です。業者は買い取った物件をリフォームやリノベーション、あるいは解体・新築して、再販売することを目的としています。
メリット:
- スピードが圧倒的に早い: 価格に合意すれば、最短で1週間~1ヶ月程度で現金化が可能です。
- 仲介手数料が不要: 不動産会社が直接の買主となるため、仲介手数料(売買価格 $\times 3\% + 6$万円)はかかりません。
- 契約不適合責任が免除: これが最大のメリットです。買主はプロ(不動産会社)であり、建物の欠陥リスクを織り込んだ上で価格を提示するため、契約で「契約不適合責任を一切免除する」と定めるのが通例です。
- 手間がかからない: 一般向けの内覧対応は不要です。また、交渉次第では家財(残置物)も処分せずにそのまま引き取ってもらえるケースが多いです。
- 近所に知られずに売却できる: 広告活動を行わないため、ご近所に知られることなく売却手続きを進められます。
デメリット: 売却価格が安くなります。業者は買い取った後のリフォーム費用や、再販売するための経費・利益を見込む必要があるため、売却価格は市場価格(相場)の6~8割程度になるのが一般的です。
「仲介」では売れそうにない…そんな物件でも専門業者なら買い取れるかもしれません。
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「買取」は合理的なリスク回避戦略
「買取」と聞くと、安く買い叩かれるネガティブなイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。しかし、特に相続した古い空き家の場合、所有者(相続人)自身が、その家の壁の中や床下(シロアリ、雨漏り、配管の腐食など)の状態を完全に把握していることは稀です。
「仲介」で一般の方に売却し、引渡し後にそうした欠陥が見つかって数百万単位の修繕費や損害賠償を請求されるリスクを負うくらいなら、「買取」で売却価格は下がっても、将来の金銭的リスクや手間(残置物処分)を一切合切まとめてゼロにする、という非常に合理的な戦略的選択肢となります。
不動産会社選びと売却の流れ


ここでは、最も一般的な「仲介」を選んだ場合を前提に、売却活動の具体的な流れを7つのステップで解説します。
STEP1:不動産会社への売却相談・査定依頼
まずは、売却の第一歩として不動産会社に売却価格の目安(査定額)を出してもらいます。査定には2種類あります。
- 机上査定(簡易査定): 物件情報(所在地、築年数、面積)や周辺の取引事例(レインズデータ)のみで、おおよその査定額を算出します。訪問が不要なため、数時間~1日程度で結果が出ます。
- 訪問査定: 担当者が実際に現地を訪問し、建物の劣化状態、日当たり、内装、リフォームの必要性、周辺環境(道路の広さ、騒音など)を細かく確認して、より正確な査定額を算出します。
売却を本格的に進める場合は、必ず複数の会社(できれば3社以上)に「訪問査定」を依頼し、査定額を比較することが重要です。この時、ただ高い査定額を提示する会社ではなく、その「査定の根拠」を明確に説明できる会社を選ぶことが、売却成功の鍵となります。
STEP2:媒介契約の締結
査定額や担当者の対応、販売戦略などを比較し、売却を依頼する不動産会社を決定したら、その会社と「媒介契約」を結びます。この契約は、不動産会社に売却活動を正式に依頼する契約であり、以下の3種類があります。
【比較表】3種類の媒介契約
| 契約形態 | ① 一般媒介契約 | ② 専任媒介契約 | ③ 専属専任媒介契約 |
|---|---|---|---|
| 契約できる会社数 | 複数可 | 1社のみ | 1社のみ |
| 自己発見取引(自分で買主を発見) | 可能 | 可能 | 不可 |
| レインズへの登録義務(業者間情報共有) | 任意(義務なし) | 7日以内 | 5日以内 |
| 売主への業務報告義務 | 任意(義務なし) | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
| 推奨ケース | 人気物件、広く問合せたい | 一般的、まずは1社に任せたい | 手厚い報告が欲しい |
※レインズ(REINS): 不動産会社専用の物件情報データベースです。ここに登録することで、契約した会社以外の全国の不動産会社が買主を探せるようになり、売却のチャンスが広がります。
「専任」または「専属専任」は1社にしか依頼できませんが、その分、不動産会社も広告費などをかけて積極的に販売活動を行ってくれる傾向があります。まずは「専任媒介契約」(契約期間は最大3ヶ月)で1社に任せてみるのが一般的です。
STEP3:売却活動の開始
媒介契約に基づき、不動産会社が売却活動(SUUMO、HOME’Sなどポータルサイトへの掲載、レインズ登録、新聞折込チラシの配布、既存顧客への紹介など)を開始します。
売主は、内覧希望者が「いつ来ても大丈夫」なように、物件の清掃や整理整頓を行います。特に玄関(第一印象)、リビング、キッチン、トイレ・浴室などの水回りを清潔に保つことが、良い印象を与える最大のポイントです。室内を明るく見せるため、日中はカーテンを開け、照明もつけておくと良いでしょう。
STEP4:売買契約の締結
買主が見つかり、価格や引渡し条件(例:残置物の扱いはどうするか、引渡しはいつにするか)について合意に達したら、買主と「売買契約」を締結します。
契約当日は、不動産会社の事務所などで、宅地建物取引士が「重要事項説明書」を読み上げ、物件に関する法的な制限や建物の状態などを説明します。その後「売買契約書」の内容を双方が確認し、署名・捺印します。この際、売主は買主から「手付金」(売買価格の5~10%程度)を受領します。
STEP5:決済と物件の引渡し
売買契約から約1ヶ月後(買主の住宅ローン審査などが完了した後)、銀行などで関係者(売主、買主、不動産会社担当者、司法書士)が全員集まり、残代金の決済と物件の引渡し(所有権移転)を同日に行います。
【当日の流れ】
- 司法書士が、売主の本人確認と登記関連書類(登記済権利証または登記識別情報、印鑑証明書、実印など)が全て揃っているか最終確認します。
- (売主側に住宅ローンが残っていれば、抵当権抹消の手続きも同時に行います)
- 買主が、売主の銀行口座に「残代金」(売買価格から手付金を引いた額)を送金します。
- 売主は、自身の口座への着金(入金)を(通帳記帳などで)確認します。
- 着金確認後、売主は領収書を発行し、司法書士は法務局へ「所有権移転登記」の申請を行います。
- 売主は、不動産会社へ仲介手数料の残額、司法書士へ登記費用(抵当権抹消など)の報酬を支払います。
- 最後に、売主は買主に物件の鍵や関連書類(建築確認書、取扱説明書など)を全て渡し、引渡しが完了となります。
売却にかかる期間の目安は、STEP1の相談からSTEP5の完了まで、平均して3~6ヶ月程度とされています。
STEP6:確定申告(売却の翌年)
無事に売却が完了しても、もう一つ重要な手続きが残っています。それが「確定申告」です。
不動産を売却して「利益(譲渡所得)」が出た場合、売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に、税務署で「確定申告」を行い、税金(譲渡所得税・住民税)を納める必要があります。
非常に重要なのは、たとえ利益が出なかった(マイナスだった)場合でも、第6部で解説する「3,000万円特別控除」などの特例を利用して税金が0円になる場合には、その特例の適用を受けるために確定申告が必須であるという点です。申告しなければ、特例は使えません。
売却益にかかる税金の計算
空き家を売却して利益が出た場合のみ、その利益(=譲渡所得)に対して税金(譲渡所得税・住民税)がかかります。これは売却時の税金ですが、そもそも相続時にかかる「相続税」とは別のものです。この計算方法をしっかり理解しておくことが、節税の第一歩です。
STEP 1: 譲渡所得(利益)を計算する
税金の対象となる「利益」は、売却価格そのものではありません。以下の計算式で算出します。
【計算式】譲渡所得 = 売却価格 – (取得費 + 譲渡費用)
- 売却価格: 買主に売った金額です。
- 取得費: その不動産を購入したときの価格や建築費、購入時にかかった諸費用(仲介手数料、登記費用など)の合計です。相続の場合は、被相続人(親など)が購入したときの価格を引き継ぎます。
- (注意)取得費が不明な場合: 親が購入した時の売買契約書などが見つからず取得費が不明な場合は、「売却価格の5%」を概算取得費とすることができます。ただし、この5%ルールを使うと取得費が非常に低く見積もられ、利益(譲渡所得)が過大に計算されてしまうため、税金が非常に高くなるケースがほとんどです。
- 譲渡費用: 売却のために「直接」かかった費用です。これらを漏れなく計上することが節税に繋がります。
- 仲介手数料
- 印紙税(売買契約書に貼付)
- 登記費用(抵当権抹消登記など)
- 建物の解体費用(更地で売る場合)
- 土地の測量費用
- 残置物の処分費用(業者に依頼した場合)
- (売却のために行ったハウスクリーニング代やリフォーム費用も含まれる場合があります)
STEP 2: 税率を確認する(所有期間がカギ)
算出した「譲渡所得」にかかる税率は、売却した年の1月1日時点で、その不動産の所有期間が5年を超えているかどうかで激変します。
【重要】 相続の場合、この所有期間は「あなたが相続した日」からではなく、「被相続人(親など)がその不動産を取得した日」からカウントして計算します。親が何十年も前に建てた実家であれば、ほぼ確実に「長期譲渡所得」が適用されます。
| 所有期間 | 区分 | 所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 | 合計税率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 5年以下 | 短期譲渡所得 | 30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
| 5年超 | 長期譲渡所得 | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
※復興特別所得税は、所得税額の2.1%で計算されます(例:所得税15% $\times 2.1\%$ = 0.315%)。
見ての通り、税率が約2倍も違います。所有期間が5年ギリギリの場合は、売却時期を調整する(年明けまで待つ)ことも戦略の一つとなります。
STEP 3: 税額を計算する
最終的な税額は、以下の計算式で決まります。
税額 = (譲渡所得 – 特別控除) × 税率
この「特別控除」の代表格が、次に解説する「3,000万円特別控除」です。
売却プロセスの早い段階で、この「譲渡所得」がプラスになるのか(税金がかかるのか)、マイナスになるのか(税金がかからないのか)を試算することが極めて重要です。
そして、売却のために支払ったすべての領収書(仲介手数料、印紙代、解体費、測量費、残置物処分費など)を、確定申告のために漏れなく保管すること。これが、最も簡単かつ重要な節税対策となります。
相続した家の税金をもっと具体例で知りたい方へ
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3000万円特別控除の活用術
相続した空き家の売却において、絶対に知っておかなければならない最大の節税策が、通称「空き家の3,000万円特別控除」です。
正式名称は「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」といいます。これが適用できるか否かで、納税額がゼロになるか、数百万円になるかという程の大きな違いが生まれます。
制度の概要と節税効果
この制度は、一定の要件を満たす「相続した空き家」を売却した場合、譲渡所得(利益)から最大3,000万円を控除できるという、非常に強力な制度です。
例えば、売却益(譲渡所得)が2,000万円だった場合、この特例を使えば「2,000万円 – 3,000万円 = 0円(マイナスは0円とみなす)」となり、譲渡所得がゼロになります。結果、税額も0円になります。
もし相続人3人が共同で相続した空き家を売却した場合、各人が要件を満たせば、それぞれ3,000万円ずつ、合計で最大9,000万円まで控除可能です。
【重要】適用要件の詳細リスト
ただし、この強力な特例には非常に厳格な適用要件が定められており、一つでも満たせないと適用できません。
【主な適用要件】
- 相続の背景(被相続人の居住要件):
- 被相続人(亡くなった親など)が、相続開始の直前まで一人で居住していたこと。(※二人暮らしなどは対象外)
- 【緩和措置】 もし被相続人が相続直前に老人ホーム等に入居していた場合でも、一定の要件(要介護認定を受けていた、入居直前まで居住していた、家財道具が保管されていた等)を満たせば対象となります。
- 家屋の要件:
- 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された家屋(いわゆる旧耐震基準の建物)であること。
- 区分所有建物(マンションなど)ではないこと。
- 売却の要件:
- 相続開始(亡くなった日)から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること。(例:2023年5月1日に相続発生 → 2026年12月31日までに売却が必須)
- 売却代金が1億円以下であること。
- 売却先が親子や配偶者、内縁関係者など特別な関係でないこと。
- 売却時の状態(AまたはB):
- A: 耐震リフォームして売却: 売却時までに現行の耐震基準を満たすようリフォームする。
- B: 更地にして売却: 家屋を解体し、土地(更地)として売却する。
2024年(令和6年)改正と適用期限
この特例は、本来は2023年末まででしたが、税制改正により適用期限が2027年(令和9年)12月31日までの売却に延長されました。
さらに、2024年1月1日以降の売却については、非常に重要な改正が行われました。それは、上記 4. の要件(売却時の状態)について、「売却後に買主が解体・耐震改修する場合」でも、一定の要件下(例:引渡しから翌年2月15日までに買主が解体・改修)で特例の対象となったことです。
これにより、従来は売主が先行して高額な解体費用やリフォーム費用を負担する必要がありましたが、その必要がなくなり、特例が格段に利用しやすくなりました。
申請の必須書類:「被相続人居住用家屋等確認書」
この特例を適用するためには、確定申告書に「被相続人居住用家屋等確認書」という書類を必ず添付する必要があります。
この書類は、税務署ではなく、物件の所在地がある市区町村の役所(建築指導課など)に申請して交付を受けます。
申請には、被相続人の除票住民票、相続人全員の住民票、売買契約書の写し、解体した場合は閉鎖事項証明書など、売却パターンに応じた膨大な書類が必要となり、交付までに数週間かかる場合もあります。売却が決まったら早めに準備を始めることが重要です。
戦略の最終結論:解体すべきか?
さて、ここまで「更地(解体)にすると固定資産税の罠(最大6倍)がある」と解説してきました。しかし、この「3,000万円特別控除」の適用要件(旧耐震の家は解体が必要)によって、その戦略は180度変わる可能性があります。
空き家売却の戦略は、物件の「築年月日」によって最適解が異なります。
- [戦略A] 売却する家が「新耐震」(昭和56年6月1日以降の建築)の場合→ 3,000万円控除は対象外です。→ この場合、「解体」するメリットは小さく、前述した「固定資産税の罠」にかかるデメリットが上回ります。→ 最適戦略:「そのまま(古家付き土地)」または「リフォーム」して売却する。
- [戦略B] 売却する家が「旧耐震」(昭和56年5月31日以前の建築)の場合→ 3,000万円控除の対象となります。→ 適用要件を満たすため、「解体して更地で売る」(または耐震改修、あるいは買主解体)ことが必要になります。→ このケースでは、「解体による固定資産税の一時的な増額(数万~十数万円の損失)」と、「3,000万円控除による節税効果(数百万円の利益)」を天秤にかけることになります。→ 最適戦略:節税効果が圧勝するため、「解体(または買主解体)を前提とし、3,000万円特例を使って確定申告する」。
このように、売却手順の最適解は、所有する空き家の「築年月日」という一つの条件によって、真逆に分岐するのです。ご自身の空き家の建築確認書や登記簿を今すぐ確認してみてください。
空き家売却の税金と特例についてよくあるご質問FAQ



空き家売却の税金計算、特に「3,000万円特別控除」は非常に複雑です。私がご相談を受ける際も、お客様が「使える」と思っていても要件(例:親が老人ホームに入っていた期間)で使えなかったり、逆に「使えない」と思っていた(例:2024年改正で買主解体でもOKになった)ケースもあります。税金に関わる最終判断は、必ず税理士や税務署にご相談くださいね。
空き家売却の手順は当サイトで解決
ここまで、空き家売却の全手順を、放置リスクから法的準備、売却戦略、そして最も重要な税金対策まで、網羅的に解説してきました。いかがでしたでしょうか。
「空き家 売却 手順」と一口に言っても、2024年の法改正(相続登記義務化)と2023年の法改正(管理不全空き家と固定資産税増額)への対応が必須となり、以前にも増して専門的な知識と迅速な判断が求められるようになっています。
「まだ大丈夫」と先延ばしにしていると、管理コストがかさむだけでなく、資産価値が下がり、さらには行政指導による税金増額というペナルティまで課せられかねません。
特に「相続登記」「境界確定」「解体すべきか(3,000万円特例の対象か)」「仲介か買取か」など、重要な判断の連続です。これらの手順を一つひとつ確実にクリアしていくことが、あなたの大切な資産を(あるいは「負動産」を)、トラブルなく、そして適正な価格で次世代につなぐための唯一の道です。
もし、ご自身の空き家がどのケースに当てはまるのか、何から手をつければ良いか迷ったときは、ぜひ当サイト「終活だよドットコム」の他の記事も参考にしてください。私カズが、あなたの空き家問題解決の第一歩を全力でサポートします。
空き家売却の第一歩は「現状把握」から
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【今日からできる】空き家売却 実行チェックリスト
この記事を読んだあなたが「今すぐ」やるべきアクションプランです。
- 法務局で「登記事項証明書(登記簿謄本)」を取得する→ まずは「所有者名義が誰になっているか」を確認。これが全てのスタートです。(オンライン請求なら480円、窓口なら600円程度で誰でも取得可能です)
- 「固定資産税納税通知書」を引っ張り出す→ 「固定資産評価額」を確認し、相続登記や税金計算の基礎資料とします。(毎年4月~6月頃に送られてきているはずです)
- 建築確認書や登記簿で「建築年月日」を調べる→ 「昭和56年5月31日以前か」を確認し、3,000万円特例の対象になるか当たりをつけます。(登記簿の「原因及びその日付」欄でも確認できる場合があります)
まずは現状把握から。この3つを揃えるだけでも、不動産会社や司法書士への相談が格段にスムーズになりますよ!行動あるのみです!
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